思惟石

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原田マハ『楽園のカンヴァス』 なんだかなあ

2017-12-18 16:07:31 | 日記
美術ミステリーです。
と言っても、『写楽殺人事件』や『ひまわりの祝祭』のように
人が死んだりはしません。
複雑に絡み合う物語でもありません。

ルソーへの愛と知識にあふれた、いたってシンプルなお話しです。

歴史的事実をベースにしたフィクションとして
読みやすくて良い小説のではないでしょうか。




個人的な感想を言わせて頂くとですね、
なんだかなあ、な出来です。

とにかく読んでいて困ったのが、
作中作が拙いということ。
設定として、学の無い人物が綴った物語、とのことですが
それで逃げちゃダメだろ、ってくらい魅力が無い。
歴史的新事実と言ってもいいようなエピソードが
書かれているはずなのですが、魅力が無いので、説得力もない。
それを世界トップレベル(?)のルソー研究者がマジメに
夢中になって読みこんだとか言っているのも、なんだかなあ。
私は「『アラビアの夜の種族』って名作だったよなあ…」などと
現実逃避しながら読んでいました。

加えて、世界トップレベルの研究者とやらが、
研究者としての良識もプロとしてのプライドも無いような言動を
物語のあちこちでやらかしています。

特にクライマックスでの、でまかせピカソ説。
フランクなディスカッションならまだしも
10分しかないワンチャンスの講評の場で
恋しちゃったから仕事は適当なこといってぶん投げちゃう、って、
究極の悪手でしょう。
しかもすぐに前言撤回する、言動への責任の無さ。
人として大丈夫か。
これで世界トップレベルって、その世界は大丈夫か。

ついでに言うと、プロローグがあれで良かったのだろうか。
要らないんじゃないの。


まあ、エンターテイメント小説ってことで
良いのではないでしょうか。


え?
これ、山本周五郎賞なの?
コメント
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