この日曜日には、広島市現代美術館にも足を運び、「日本の70年代」展を観た。
美術館は比治山の上にあり、エスカレーターと坂道を登る。なお、張本勲は、この山の影にあった段原地域に住んでおり、原爆による直接の熱線を浴びなかったという。
この時代の尖った感覚が好きなこともあって、とても楽しめた。
横尾忠則の『新宿泥棒日記』ポスターやその習作。『季刊フイルム』。『映画批評』。松田正男や平岡正明の著作群。足立正生『略称・連続射殺魔』のヴィデオ(富樫雅彦・高木元輝の音楽が流されていなかったのは残念)。赤瀬川原平の『赤軍・PFLP世界革命宣言』ポスターや『櫻画報』。李禹煥。関根伸夫。菅木志雄。松本俊夫。高田渡。
経年的に観ていくと、時代の変化は明らかだ。展示の終わりは80年代初頭あたり、こうなると、上澄みがいびつに発達した「ポップ・カルチャー」的になっていき、ある種の感慨を覚える。
案内してくれた記者のDさんは、あれほどまでに先鋭的であったアートが、なぜこうもやすやすとセゾン文化に回収されてしまったのか、との言。
実際に、この哀しさ・哀れさは否定できない。結果論かもしれないが、万博の際の亀倉雄策によるポスターは、東京オリンピックのときと同様に、既に資本主義に取り込まれてしまっている。また、やはり万博の「せんい館」における松本俊夫の意欲的なアートも、やがて来る形勢の逆転をはらんでいるようにも感じられた。