小嶋稔+是永淳+チン-ズウ・イン『地球進化概論』(岩波書店、原著2012年)を読む。
地球はどのようにでき、どのように進化してきたか。
わたしは、高校生の時分に『地球大紀行』(NHK、1987年)に感激してしまい、地球物理を勉強することになった(情熱は長くは続かなかったのではあるが)。本書を読むと、その後も地球史の研究が大きく進展してきたことがよくわかる。つい夢中になって、1日で読了してしまった。
本書はコンパクトではあるが、さすがに第一人者によるだけあって、包括的な内容をカバーし、議論の全体感がわかるとともに、各論も「かゆい所に手が届く」ものとなっている。いかなる専門家であっても、これはなかなかできないことだ(逆に、各論の隘路に入り込み、説明も独りよがりな本ならば何冊もある)。
本書では、たとえば各論を読みつつ「あの話とは何の関係があるのだっけ」と思っていると、それを見越したかのように、議論の全体における位置を示してくれる。また、学問としての進展のプロセスや、現在の限界も、同時に示してくれる。
通読すると、同位体の存在が、地球史という学問を精緻なものにしてきたことがよくわかる。また、熱的なバランスという観点から、プレートテクトニクスや、地磁気について議論が展開され、なるほどと思わせてくれるものがある。
素晴らしい概説書。推薦。