今でこそ、バリエーションも豊富で、どこのラーメン店にでもある「つけ麺」だが、
実は21世紀に入るまでは、専門店はほとんどなく、決してメジャーな存在ではなかった。
それが証拠に、かつて私が購入したガイド本「首都圏版 最強のラーメン139」(KKベストセラーズ発行)では、
「つけ麺って食べたことある? 聞いたことあるけど、食べたことはないという人が案外多いはず」との記述があり、
以降で『青葉』など数店舗のつけ麺を紹介しているのだが、この書籍の初版発行が2000年。
20世紀最後の年でも、つけ麺はまだ「食べたことある?」と問われてもおかしくないメニューだったのだ。
ちなみに私は小学生の頃、地元の中華食堂で食べたことがあったが、つけダレ独特の酸味が、子供の舌には合わなかった。
とはいえ、昭和の時代から「つけ麺」を提供し、看板商品としているお店も、もちろん存在していた。
東池袋の山岸一雄さんで有名な『大勝軒』や『丸長』グループ、そしてそのものズバリ『つけ麺大王』。
このつけ麺大王とは、『どさん子(娘)』と並ぶ「昭和の懐かしラーメンチェーン」の一角であり、
かつてはいろんな場所に店舗が存在したが、私が利用したことがあるのは、明大前と浅草橋(閉店)のみだ。
つけ麺発案の元祖は、先述の山岸さん(当時は中野店勤務)とされているが、名称は「もりそば」「つけそば」であり、
「つけ麺」と名付けたのは、大王が日本初らしい。
現存している一部店舗(自由が丘など)にある、「元祖中華つけ麺大王」という看板は、詐称ではないのだ。
今回紹介する、早稲田の『大王ラーメン』さんも、特に名乗ってはいないが、
提供しているメニューを見れば、明らかに大王グループであり、元祖の流れを受け継いでいるはず。
初めて利用したのは数ヶ月前。店内は中央に調理場があり、周囲を「コの字」カウンター席で囲っている。
ツマミで一杯やってから、シメに名物のつけ麺を食べることにしたため、最初の注文は「瓶ビール【アサヒ】」500円と、
「餃子 焼5コ」450円に「ロース揚つまみ」600円。いつも通り、メニュー表記はお店でのものに沿っている。
ロース揚というのは、大王グループではおなじみ豚肉を揚げたもの。
以前紹介した、神保町にある担々麺のお店『五ノ井』さんの「排骨(パイクー)」みたいなのを想像していた。
上記画像の五ノ井さんの「単品排骨」は400円(注:現在は500円)。それと比較すると、600円はちょい割高に感じたが、
出てきたパイクー…ではなく「ロース揚つまみ」のサイズにびっくり!
比較用に割りばしを置いてみたけど、このデカさが伝わるだろうか!?
一般的なとんかつ屋さんのカツ2枚分か、最低でも1.3枚分はある。600円じゃ安すぎるよ。
ヨコからのアングルがこちら。ゆでモヤシにネギ・キャベツと、野菜がてんこ盛り。こりゃヘルシーだね(苦笑)。
また、本体のロース揚も、味付けされた衣や、ジューシーな豚肉の旨味には満足させられるのだが、
衣がかなり歯応えがあり、モヤシやキャベツと同様、噛むのに時間を必要とし、どんどん満腹中枢が刺激されていく。
そこへ「餃子」も登場。こちらも、驚くほどではないけれど、そこそこ大きめサイズ。
中のアンは具材が細かく刻まれ、野菜と肉がよくミックスされている。最近の流行とは異なるが、私は好きなタイプ。
ビールを2本、ウーロンハイも1杯飲み干し、胃の限界はとっくに超えているが、元祖のつけ麺をどうしても食べたくて、
気合を入れて追加注文。この気合を、もっと他に活用できないものだろうか。※例:労働、納税
なお、こちらは麺が「特製太麺」「龍麺」「健康翡翠(ひすい)麺」と、3種類用意されているのだが、
私は一橋学園の『なにや』さんのに似ている、エメラルド色の健康翡翠麺を選択。
※なにやさんの麺と解説
数分後、スープの入った丼と、平らなお皿に盛られた麺=「つけ麺」700円がやってきた。
色鮮やかで健康そうな(クロレラ入りらしい)麺は、青臭さなどのクセもなく、温かいスープにつけて一気にすする。
コシのある麺に、酸味のある醤油ベースのスープ。ガキの頃は苦手だった、これぞクラシックなつけ麺!
具材はチャーシュー、メンマ、海苔、ワカメにネギ。当然、さっき余った豚ロース揚げも仲間入り。
近年主流となっているつけ麺とは違い、味が濃厚すぎず、麺も適量だったため、残さず食べ切ることができた。
とはいえ、会計時にはベルトを緩めるどころか、はずさなくてはならないハメに。それでもズボンが落ちないのが情けない。
推定「腹十三分」状態の私は「ま、また来ます」とだけ告げ、あわててお店をあとにしたのだった。
数日後、別の場所で飲んだあとに再訪問。そこそこ飲んでいたので、ビール1本でシメる予定だったが、
酒のアテに注文した「牛すじピリ辛」500円が、異様にウマかったため、ビール追加!
よくある牛スジ肉の煮込みかと思いきや、ちょうどよい柔らかさに煮込まれたスジの脂身が、辛口タレとベストマッチ。
途中で、卓上の豆板醤や黒コショウなどを加えて、辛さや刺激が増すと、さらにウマくなった。
今までいろんな居酒屋で牛スジ煮込みを食べてきたけど、辛口タイプはここ大王ラーメンさんのが一番好きだ。
若い頃だったら、この「牛すじピリ辛」とさっきの「ロース揚」さえあれば、メシが10杯は喰えたね。
だが、ここはラーメン屋さんなので、この日もシメに麺類を。注文したのは「チャーシューメン」900円を龍麺で。
龍麺とは、壁の説明では(手づくり風味の極上細麺)とのこと。本当に細麺らしく、注文から30秒未満で完成。
チャーシューは4枚、他の具材はさっきのつけ麺と同じ。下には細い麺が泳いでいる。
こってりピリ辛煮込みのあとだからか、さっぱりタイプの醤油ラーメンが染みるねえ。
次回は、3種麺の残りひとつであり、ベースでもある特製太麺にしようと決意し退散。
それからさらに数ヶ月たち、年も明けたつい先日、ようやく3度目の訪問。
これまで撮影してなかった、アルコール注文時についてくるお通し代わりの「モヤシ&メンマ」と、
なぜか、ウーロンハイ350円など焼酎類を頼むと添えられる、妙にファンシーなコースターを掲載。
ちょっと怖そうな女性店員がいるけど、このコースターはあの方のアイデアだろうか。かわいいお姉さんじゃねえか。
この日も、牛すじピリ辛でビールとウーハイをたしなんだが、前回同様、「牛すじ~」は厨房の奥から運ばれてきたため、
「ひょっとして既製品をレンジでチン?」「牛スジって、煮込むのに手間がかかるし…」と疑っていたのだが、
その直後、厨房奥から運ばれてきた、牛スジのカスが大量にこびりついた大鍋を、私の目の前で洗い始めたので、
牛すじピリ辛は自家製ということがめでたく判明。疑ってすまなかった。
シメには「大王つけ麺」900円を、予定通り特製太麺で。出てきたのがこちら。
プリプリの太麺は想像通りだが、つけスープに浮かぶ中華あんかけが目新しい…というか熱そうで危険。
具材は、白菜、きくらげ、人参、豚肉、メンマ、うずらなどなど。スープ丼に沈めた麺を、ヤケドしないよう慎重にすする。
中華アンと絡んだ麺はもちろん美味しいのだが、予想以上だったのが特製太麺自体のウマさ!
「指定のない場合は太麺で作らせて頂きます」と提示していたように、お店も太麺が一番のおススメなのかな。
ついでに、残った牛すじピリ辛にも、少しだけ麺を投入して食べてみた。
注文後時間がたち冷めていたため、麺との相性はイマイチだったが、これが熱々だったら絶品かも。
大王ラーメンの方、もし見ていたら「牛すじピリ辛つけ麺」のレギュラー化を希望します!
まあ、こんなブログ、絶対見てないだろうけど…それはさておき。
大王つけ麺は、屋号を冠したメニューだけあって、ハシが止まることなく一気に食べ終えることができた。
これに、例のロース揚を追加した、「大王ロースつけ麺」1300円もいつかは挑戦してみたい。
短期間だけ存在していた、お店のHPによると、
「早稲田の地で創業40年。豊富なメニューを取り揃えて午前から深夜までお待ちしています。」とあった。
近所の早大生やホテルの宿泊客(来ないか?)たちのお腹を、長時間かつ長年にわたり支え続けてきたのだろう。
私のような、東京の西側に住み、地下鉄をあまり利用しない人間には、ちょっと行きづらい場所にあるお店だが、
あの牛すじとロース揚は、他ではなかなか食べられないため、今後も通い詰めるしかない。
無論、シメには元祖つけ麺を欠かさない、大王グループを敬うメタボ大王の私であった。
大王ラーメン
東京都文京区関口1-41-1
都電荒川線早稲田駅より徒歩約4分、地下鉄早稲田駅より徒歩約8分、JRほか高田馬場駅より徒歩約26分
JR飯田橋や市ヶ谷からは徒歩約45分(←我ながら「歩くなよ」と思った)
営業時間 午前11時~翌3時
定休日 水曜
実は21世紀に入るまでは、専門店はほとんどなく、決してメジャーな存在ではなかった。
それが証拠に、かつて私が購入したガイド本「首都圏版 最強のラーメン139」(KKベストセラーズ発行)では、
「つけ麺って食べたことある? 聞いたことあるけど、食べたことはないという人が案外多いはず」との記述があり、
以降で『青葉』など数店舗のつけ麺を紹介しているのだが、この書籍の初版発行が2000年。
20世紀最後の年でも、つけ麺はまだ「食べたことある?」と問われてもおかしくないメニューだったのだ。
ちなみに私は小学生の頃、地元の中華食堂で食べたことがあったが、つけダレ独特の酸味が、子供の舌には合わなかった。
とはいえ、昭和の時代から「つけ麺」を提供し、看板商品としているお店も、もちろん存在していた。
東池袋の山岸一雄さんで有名な『大勝軒』や『丸長』グループ、そしてそのものズバリ『つけ麺大王』。
このつけ麺大王とは、『どさん子(娘)』と並ぶ「昭和の懐かしラーメンチェーン」の一角であり、
かつてはいろんな場所に店舗が存在したが、私が利用したことがあるのは、明大前と浅草橋(閉店)のみだ。
つけ麺発案の元祖は、先述の山岸さん(当時は中野店勤務)とされているが、名称は「もりそば」「つけそば」であり、
「つけ麺」と名付けたのは、大王が日本初らしい。
現存している一部店舗(自由が丘など)にある、「元祖中華つけ麺大王」という看板は、詐称ではないのだ。
今回紹介する、早稲田の『大王ラーメン』さんも、特に名乗ってはいないが、
提供しているメニューを見れば、明らかに大王グループであり、元祖の流れを受け継いでいるはず。
初めて利用したのは数ヶ月前。店内は中央に調理場があり、周囲を「コの字」カウンター席で囲っている。
ツマミで一杯やってから、シメに名物のつけ麺を食べることにしたため、最初の注文は「瓶ビール【アサヒ】」500円と、
「餃子 焼5コ」450円に「ロース揚つまみ」600円。いつも通り、メニュー表記はお店でのものに沿っている。
ロース揚というのは、大王グループではおなじみ豚肉を揚げたもの。
以前紹介した、神保町にある担々麺のお店『五ノ井』さんの「排骨(パイクー)」みたいなのを想像していた。
上記画像の五ノ井さんの「単品排骨」は400円(注:現在は500円)。それと比較すると、600円はちょい割高に感じたが、
出てきたパイクー…ではなく「ロース揚つまみ」のサイズにびっくり!
比較用に割りばしを置いてみたけど、このデカさが伝わるだろうか!?
一般的なとんかつ屋さんのカツ2枚分か、最低でも1.3枚分はある。600円じゃ安すぎるよ。
ヨコからのアングルがこちら。ゆでモヤシにネギ・キャベツと、野菜がてんこ盛り。こりゃヘルシーだね(苦笑)。
また、本体のロース揚も、味付けされた衣や、ジューシーな豚肉の旨味には満足させられるのだが、
衣がかなり歯応えがあり、モヤシやキャベツと同様、噛むのに時間を必要とし、どんどん満腹中枢が刺激されていく。
そこへ「餃子」も登場。こちらも、驚くほどではないけれど、そこそこ大きめサイズ。
中のアンは具材が細かく刻まれ、野菜と肉がよくミックスされている。最近の流行とは異なるが、私は好きなタイプ。
ビールを2本、ウーロンハイも1杯飲み干し、胃の限界はとっくに超えているが、元祖のつけ麺をどうしても食べたくて、
気合を入れて追加注文。この気合を、もっと他に活用できないものだろうか。※例:労働、納税
なお、こちらは麺が「特製太麺」「龍麺」「健康翡翠(ひすい)麺」と、3種類用意されているのだが、
私は一橋学園の『なにや』さんのに似ている、エメラルド色の健康翡翠麺を選択。
※なにやさんの麺と解説
数分後、スープの入った丼と、平らなお皿に盛られた麺=「つけ麺」700円がやってきた。
色鮮やかで健康そうな(クロレラ入りらしい)麺は、青臭さなどのクセもなく、温かいスープにつけて一気にすする。
コシのある麺に、酸味のある醤油ベースのスープ。ガキの頃は苦手だった、これぞクラシックなつけ麺!
具材はチャーシュー、メンマ、海苔、ワカメにネギ。当然、さっき余った豚ロース揚げも仲間入り。
近年主流となっているつけ麺とは違い、味が濃厚すぎず、麺も適量だったため、残さず食べ切ることができた。
とはいえ、会計時にはベルトを緩めるどころか、はずさなくてはならないハメに。それでもズボンが落ちないのが情けない。
推定「腹十三分」状態の私は「ま、また来ます」とだけ告げ、あわててお店をあとにしたのだった。
数日後、別の場所で飲んだあとに再訪問。そこそこ飲んでいたので、ビール1本でシメる予定だったが、
酒のアテに注文した「牛すじピリ辛」500円が、異様にウマかったため、ビール追加!
よくある牛スジ肉の煮込みかと思いきや、ちょうどよい柔らかさに煮込まれたスジの脂身が、辛口タレとベストマッチ。
途中で、卓上の豆板醤や黒コショウなどを加えて、辛さや刺激が増すと、さらにウマくなった。
今までいろんな居酒屋で牛スジ煮込みを食べてきたけど、辛口タイプはここ大王ラーメンさんのが一番好きだ。
若い頃だったら、この「牛すじピリ辛」とさっきの「ロース揚」さえあれば、メシが10杯は喰えたね。
だが、ここはラーメン屋さんなので、この日もシメに麺類を。注文したのは「チャーシューメン」900円を龍麺で。
龍麺とは、壁の説明では(手づくり風味の極上細麺)とのこと。本当に細麺らしく、注文から30秒未満で完成。
チャーシューは4枚、他の具材はさっきのつけ麺と同じ。下には細い麺が泳いでいる。
こってりピリ辛煮込みのあとだからか、さっぱりタイプの醤油ラーメンが染みるねえ。
次回は、3種麺の残りひとつであり、ベースでもある特製太麺にしようと決意し退散。
それからさらに数ヶ月たち、年も明けたつい先日、ようやく3度目の訪問。
これまで撮影してなかった、アルコール注文時についてくるお通し代わりの「モヤシ&メンマ」と、
なぜか、ウーロンハイ350円など焼酎類を頼むと添えられる、妙にファンシーなコースターを掲載。
ちょっと怖そうな女性店員がいるけど、このコースターはあの方のアイデアだろうか。かわいいお姉さんじゃねえか。
この日も、牛すじピリ辛でビールとウーハイをたしなんだが、前回同様、「牛すじ~」は厨房の奥から運ばれてきたため、
「ひょっとして既製品をレンジでチン?」「牛スジって、煮込むのに手間がかかるし…」と疑っていたのだが、
その直後、厨房奥から運ばれてきた、牛スジのカスが大量にこびりついた大鍋を、私の目の前で洗い始めたので、
牛すじピリ辛は自家製ということがめでたく判明。疑ってすまなかった。
シメには「大王つけ麺」900円を、予定通り特製太麺で。出てきたのがこちら。
プリプリの太麺は想像通りだが、つけスープに浮かぶ中華あんかけが目新しい…というか熱そうで危険。
具材は、白菜、きくらげ、人参、豚肉、メンマ、うずらなどなど。スープ丼に沈めた麺を、ヤケドしないよう慎重にすする。
中華アンと絡んだ麺はもちろん美味しいのだが、予想以上だったのが特製太麺自体のウマさ!
「指定のない場合は太麺で作らせて頂きます」と提示していたように、お店も太麺が一番のおススメなのかな。
ついでに、残った牛すじピリ辛にも、少しだけ麺を投入して食べてみた。
注文後時間がたち冷めていたため、麺との相性はイマイチだったが、これが熱々だったら絶品かも。
大王ラーメンの方、もし見ていたら「牛すじピリ辛つけ麺」のレギュラー化を希望します!
まあ、こんなブログ、絶対見てないだろうけど…それはさておき。
大王つけ麺は、屋号を冠したメニューだけあって、ハシが止まることなく一気に食べ終えることができた。
これに、例のロース揚を追加した、「大王ロースつけ麺」1300円もいつかは挑戦してみたい。
短期間だけ存在していた、お店のHPによると、
「早稲田の地で創業40年。豊富なメニューを取り揃えて午前から深夜までお待ちしています。」とあった。
近所の早大生やホテルの宿泊客(来ないか?)たちのお腹を、長時間かつ長年にわたり支え続けてきたのだろう。
私のような、東京の西側に住み、地下鉄をあまり利用しない人間には、ちょっと行きづらい場所にあるお店だが、
あの牛すじとロース揚は、他ではなかなか食べられないため、今後も通い詰めるしかない。
無論、シメには元祖つけ麺を欠かさない、大王グループを敬うメタボ大王の私であった。
大王ラーメン
東京都文京区関口1-41-1
都電荒川線早稲田駅より徒歩約4分、地下鉄早稲田駅より徒歩約8分、JRほか高田馬場駅より徒歩約26分
JR飯田橋や市ヶ谷からは徒歩約45分(←我ながら「歩くなよ」と思った)
営業時間 午前11時~翌3時
定休日 水曜