拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

『超電導カンタムロボ』

2007-02-09 17:11:27 | テレビ
『超電導カンタムロボ』というアニメをご存知だろうか。アニメ『クレヨンしんちゃん』の初期に登場した劇中アニメで、『アクション仮面』と並んでしんちゃんお気に入りのテレビ番組の一つ。ちなみに『アクション仮面』は特撮モノで、『カンタムロボ』はアニメらしい(まぁ、我々視聴者にとってはどっちもアニメにしか見えないわけだが)。アニメ『クレヨンしんちゃん』のDVD1巻、2巻、4巻に収録されている。
『超電導カンタムロボ』は初期の『クレヨンしんちゃん』のスペシャルで過去三回にわたって登場した。劇中劇にもかかわらずきちんと主題歌が用意されておりストーリーも作りこまれ、最終回ではなんとなく泣ける(マジ?)という、妙に気合いの入った作品。『しんちゃん』のアニメスタッフが「普通のギャグアニメだけじゃなくて、派手なロボットアニメも作りてぇ!」と思い立ち制作されたようなクオリティの高さである。所々に『マジンガーZ』や『機動戦士ガンダム』など過去の名作ロボットアニメを思わせるシーンが挿入されていて、製作陣のハシャギっぷりが伝わってくる。ロボットアニメだけではなく、日本の様々なアニメクラシックスから名場面やセリフを引用している。
しかし必殺技がふざけてるとしか思えないような内容だったり、カンタムロボの秘密基地が奈良の大仏型だったり、物凄く変なポーズでロボットが立ち止まったりと、『クレヨンしんちゃん』の世界ならではのバカバカしさは健在。カンタムロボ及びそれを操縦する山田ジョン少年がパワーアップのための「超化」の際に「チョーーーー!」と叫ぶたびに爆笑だよ。物語は終始シリアスなトーンで貫かれているため、そのバカバカしさは膨れ上がるばかりだ。カンタムと山田ジョン少年の心温まる友情や、悪の権化が放つセリフも熱すぎて笑える…。
正義のヒーローが登場するアニメにありがちなベタな熱さと、そんな熱さをあっさり相対化して笑ってしまうクールさ。この二つの要素の同居は見ていて本当に可笑しい。「大人が見ると熱すぎて思わず笑ってしまう、しかし子供たちは何故かそれを真剣に見てしまう」という多くの子供向けSFアニメを見事にパロディー化しているからだ。こんなアニメを単独で放送するのはもちろん不可能で、『クレヨンしんちゃん』の劇中劇というポジションだからこそ出来たことだろう。こんなスパイスの効いたメタ・子供アニメを許容できる『クレヨンしんちゃん』の懐の深さは異常だ。他にそんなアニメ見当たらない。
過去三回の放送でアニメの序盤~最終回を見事に描ききった『超電導カンタムロボ』。しんちゃんの母・みさえは初期の頃は「やれやれ、またアニメ見てる…」と呆れ気味でしんのすけを見守っていたのだが、最終回ではうっかり号泣。ふざけるところはふざけつつ、あくまでも普通のSFアニメとして通用するようなクオリティで丁寧に作られたこのアニメには時に大人がハっとさせられるセリフが所々に散りばめられている。ハっとさせられるか爆笑させられるかは紙一重なのだが。「ロボットが感傷的になっちゃ可笑しいかい?」というセリフなど、胸にひっかかるけどやっぱ笑える…。

以下、youtubeで見つけたので貼っておく。どれもおすすめ!

『超電導カンタムロボ』
このアニメの主題歌。王道な曲調&歌詞と、カッコイイんだかなんなんだかわからん映像(「♪夢と希望があるかぎり」の所…)がヤミツキに。

『無敵のカンタムロボだゾ』
記念すべき初登場。初っ端からぶっとばしております。「ヒューマロボノイド」という概念及びネーミングが素晴らしい。筋トレみたいなことをすると必殺技を繰り出せるという妙なシステムにもこだわりを感じる。

『カンタムロボも大好きだゾ』
「男版クララ」みたいな少年を励まそうとする山田ジョンに対してカンタムロボが言うセリフ、「難しい問題だね。機械なら緩んだネジをしめればいいけれど、人間の心はそうはいかないからね」が切なすぎる。とっておきの必殺技「超電導あんま」を繰り出した後の疲れ果てたカンタムロボの姿には最強ギャグアニメ『クレしん』スタッフならではの意地を感じさせるマヌケさ。「人類が生きていることこそが、自然破壊の元凶なのだ!」というマジメなセリフを言うカンタムロボの敵にして兄、カイザムロボにも注目。

『カンタム最後の戦いだゾ』
最終回にして最高傑作。ギャグとシリアスのバランスが絶妙で、笑えばいいのか泣けばいいのか…いや、笑えるんだけどね。笑える名ゼリフ、珍必殺技がこれでもかという程満載。豪快なロボットアクションも過去最高。「もうパワーアップしていくだけの殺し合いはたくさんだ!」というセリフは世界に響かせたいメッセージ。まさかのカンタムJrも登場。山田ジョン少年の「カンタムもやることやってたんだね」「可愛いなぁ!ちょっと重いけど」は名言。

…こんな記事書いて、果たして誰か賛同してくれるのだろうか(笑)。本当に面白いよ?カンタムロボ…。

●今日の一曲
「花葬-1014 mix-」/L'Arc-en-Ciel
ラルクの名曲「花葬」をドラムのyukihiroがリミックス。原曲のアレンジを一瞬忘れるほどトリップ感がある。まったくの別の曲に生まれ変わっているがこれはこれで大好き。バンド内にこんなに優秀なリミキサーがいるなんて、やっぱラルクは凄いぞ。