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さんたろう日記

95歳、会津坂下町に住む「山太郎」さんたろうです。コンデジで楽しみながら残りの日々静かに生きようと思っています。

双体道祖神に悲しい恋の物語り

2014-06-12 | 日記
 私がまだ若くて定年で職を離れたばかりだった頃、私はミニバイクのホンダカブに乗ってあちこちの石仏を訪れて撮るのに夢中でした。カメラは安くてよく写る小型軽量の名機オリンパスOM-1でした。



 この、双体道祖神は三島町大谷の村はずれ八木の瀬の山際の草むらの中に立っています。そしてこの道祖神にはひとつの悲しい恋の物語は語り継がれているのです。

 昔、隣り村どうしの若い二人がこの村の境いの八木の瀬で秘やかな恋の逢瀬を楽しんでおりました。でもその美しい娘はやがて親の定めた縁談で隣村のお金持ちの家に嫁がなければならなくなりました。悲しんだ娘は婚礼の晚ひそかにぬけて川に身を投げて死にました。

 それを知った若者は悲しみのあまり七日七晚食を絶ち、やがて河原から大きな石を運んできて鑿を振るいこの像を彫りました。それはあの世で男が娘に定めの酒をつぐ姿の悲しい双体道祖神の像でした。若者はその石像をかつて逢瀬を楽しんだ八木の瀬の山際に立てると自分も娘の後を追ってみまかりました。
 
(奥会津書房 大谷八木の沢の道祖神によりました)


 道祖神は塞の神(さえのかみ)とも呼ばれ集落のはずれに立って集落に入ろうとする疫病神や不幸を招く悪霊をさえぎる神とも、また旅の安全を守る神とも聞いております。 

 でも、私ははこの双体道祖神にレンズを向けシャッターをきりながらこの二人の悲恋の言い伝えのことを懐かしく思いました。集落の人達の暖かい心によるのいいつたえなんですね