今日の棋譜20200723
昭和25年10月、高柳敏夫先生と毎日東西対抗です。
この時期、大山先生の先手ならば大体は矢倉のようです。
相矢倉ですが1筋の位を取ったというのが少し珍しいです。現代矢倉ならば26歩のままで15歩ならば雀刺しなのでしょうが、25歩を突いているので攻撃の形が増えるわけではありません。
5筋を突き合うのがこの時代に出てきた新しい矢倉です。
先手が36歩を突いていないので、高柳先生は64角でけん制します。大山先生も46角で総矢倉四手角を目指すのはあり得ました。手詰まりでも端の位が生きます。
大山先生の57銀は65歩~66銀右をねらったのでしょうか?(この当時にあったかどうか。)高柳先生は桂を跳ねて65歩を拒否したのですが、現代感覚ならば9筋の突き合いがあるので73銀から棒銀です。
ここも現代感覚ならば93香~92飛の雀刺しです。
高柳先生はおとなしく角を引いて
64歩~63銀を目指しますが、大山先生は早繰り銀で動きます。35同歩24歩同銀35銀とすれば先攻ですが
1歩交換だけでした。高柳先生は63銀型に組んで、65歩から攻めるというのが今では当然ですが
前局で書いたように、65歩からの攻めは見つけられていません。雀刺しではないですが、92香~91飛という発想は、アマチュアのほうが考えそうな指し方ですから、もっと前からあったようです。
95歩同歩に同香ではなくて65歩というのは、少し手順前後しているのかもしれません。
37角の桂取りに95香とは走れませんから、55歩同角64銀。先手は取れますが角筋は止まります。
37角に66歩同銀右95香97歩同香成同香96歩同香95歩、香をさばいておきたかったと思うのですが。そうしないと91飛が37角の射程に入っているのが気がかりです。高柳先生は3筋から盛り上がったというか37角を移動させたかったのですが
46銀に34銀
24歩同歩55銀、角を追われる前に大山先生が動きます。
銀を交換して
64歩というのが高柳先生の疑問手です。先手を取っていないので飛桂の両取りで
桂損になりました。先手の73銀が遊ぶならば良いのですが
この64歩を支えていますし(55飛同歩64角とはできない)、まあまあの働きがあります。
一回飛を浮いて
飛を切って64歩を払うというのは当然でしょう。飛角を封じられたままでは戦えませんから。
大山先生は序盤の15歩を生かして16桂を打ちました。これ以上の駒損をしたくない高柳先生は25歩ですが、玉頭に空間ができました。
14歩(同歩は12歩同香14桂)に15銀、使いたくないですが受けておかねばなりません。
大山先生は23歩~24歩~36歩。36同歩は35歩~25飛です。
55角に58飛、54歩ならば飛を切って攻めるのですが
19角成52飛成でも十分でしょう。23飛の打ち込みがあるので
34角に13歩成から
香を吊り上げて23飛を打ちます。
角を打てば後手玉が狭く
歩も打てますし
成り捨てて
飛を切り、34金を取って終わりです。
この時代の矢倉は、現代矢倉とは違うので面白くないかもしれません。升田先生が雀刺しなどの新戦法をつくったのですが、そのあとの世代(加藤有吉内藤中原米長)が出てくるまでは洗練されていないでしょう。(定跡を作るという意味では対振り飛車急戦を含めて加藤一二三先生の功績が大きいです。)終盤強化のために、どうやって寄せるかを考えてみることです。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.43 棋譜ファイル ----
開始日時:1950/10/26
手合割:平手
先手:大山九段
後手:高柳敏夫8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 7七銀(78)
6 8五歩(84)
7 2六歩(27)
8 4二銀(31)
9 7八金(69)
10 3二金(41)
11 4八銀(39)
12 5二金(61)
13 1六歩(17)
14 5四歩(53)
15 2五歩(26)
16 3三銀(42)
17 1五歩(16)
18 6二銀(71)
19 5八金(49)
20 3一角(22)
21 5六歩(57)
22 7四歩(73)
23 7九角(88)
24 4一玉(51)
25 6六歩(67)
26 4四歩(43)
27 6七金(58)
28 4三金(52)
29 6九玉(59)
30 6四角(31)
31 9六歩(97)
32 9四歩(93)
33 5七銀(48)
34 7三桂(81)
35 6八角(79)
36 3一玉(41)
37 7九玉(69)
38 2二玉(31)
39 4六銀(57)
40 8一飛(82)
41 8八玉(79)
42 4二角(64)
43 3六歩(37)
44 6四歩(63)
45 3五歩(36)
46 同 歩(34)
47 同 銀(46)
48 3四歩打
49 4六銀(35)
50 6三銀(62)
51 5九角(68)
52 9二香(91)
53 4八角(59)
54 9一飛(81)
55 5七銀(46)
56 9五歩(94)
57 同 歩(96)
58 6五歩(64)
59 3七角(48)
60 5五歩(54)
61 同 角(37)
62 6四銀(63)
63 3七角(55)
64 3五歩(34)
65 4六銀(57)
66 3四銀(33)
67 2四歩(25)
68 同 歩(23)
69 5五銀(46)
70 6六歩(65)
71 同 銀(77)
72 5五銀(64)
73 同 角(37)
74 6四歩打
75 8二銀打
76 5一飛(91)
77 7三銀(82)
78 6五歩(64)
79 7七銀(66)
80 7五歩(74)
81 6四歩打
82 9七歩打
83 同 香(99)
84 5三飛(51)
85 6二銀成(73)
86 5五飛(53)
87 同 歩(56)
88 6四角(42)
89 1六桂打
90 2五歩(24)
91 1四歩(15)
92 1五銀打
93 2三歩打
94 同 銀(34)
95 2四歩打
96 3四銀(23)
97 3六歩打
98 5五角(64)
99 5八飛(28)
100 1九角成(55)
101 3五歩(36)
102 同 銀(34)
103 5二飛成(58)
104 3四角打
105 1三歩成(14)
106 同 香(11)
107 1四歩打
108 同 香(13)
109 2三飛打
110 同 角(34)
111 同 歩成(24)
112 同 玉(22)
113 1二角打
114 2二玉(23)
115 2三歩打
116 3三玉(22)
117 3四歩打
118 同 金(43)
119 2二歩成(23)
120 同 金(32)
121 同 龍(52)
122 同 玉(33)
123 3四角成(12)
124 投了
まで123手で先手の勝ち