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名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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20170423今日の一手(その497);形の違いに注意する

2017-04-23 | 今日の一手
20170423今日の一手

4月2日の名南将棋大会から、KさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。先手玉も68金右~88玉となっていれば同じですが、この2手の違いはかなり大きいです。
先手の攻め駒は持ち駒角1枚。
後手の攻め駒は持ち駒角1枚。ただし86歩はいつでも入るので82飛も加わりますし、73桂か54銀もすぐに働きそうで、3枚に近いのです。(将来のことを言っているので、大局観の範疇ですが。)

総合すれば後手が作戦勝ちです。

☆ 大局観として
実際は先後が逆で先手(実際は後手)が1手損をして角換わりの相腰掛銀になったのだと思います。
後手一手損角換わりでは

実戦と手順は違うのですが、この図の1手前29桂の形が基本図(の先後が逆)で、37桂か67金右が分岐点です。
ここから42金右はあり得る手(65歩や62飛が定跡化されている)、48飛も普通の応手、22玉に25歩が疑問手(厳しく言えば悪手)でしょう。26歩の形のメリットを放棄して、65歩と先攻されました。
形勢判断のところで書きましたが、後手玉が堅く、その上にが65歩と先に仕掛けているのですから後手の作戦勝ちです。次の手を考えていくと、どうして先手の作戦負けなのかがはっきりしてきます。

さて、問題図ではどうするか。
37桂と跳ねているので、後手から1歩持って35歩同歩36歩という筋があり、受けきりが難しいです。37桂(さらには48飛)という攻めの手を指しているのですから、どうにか攻め合いに持っていくしかありません。
けれど後手が先攻している分だけ攻めの速度が遅くなりそうです。解決策は手持ちの角を使って、後手の攻めをけん制しながら、曲線的な攻め合いの形に持ち込むしかありません。
1手の間違いならまだ立て直しが利くことが多いです。大切なのは疑問手を重ねないことなのです。
角換わりの将棋は攻撃力が高いので、作戦負けというのはすぐに不利になり、劣勢、敗勢につながるのです。ここ数手で勝敗が決まってしまうことが多いです。


× 素直なのは65同歩ですが

65同桂66銀35歩

飛が28にあればまだ反撃も利くのですが、これはほぼつぶれています。47銀とか47金とか47角とか、指せば続きますが悪くなるばかりです。

65同桂には同銀

と取るほうが良いのですが、65同銀73角81飛55角成

後手もいろいろありますが、54銀56馬61飛

これくらいでも後手玉が堅く、攻め駒は3枚です。66歩に65歩同歩同銀、となればいうことがありません。


× 実戦は26角でしたが

これはほとんど悪手です。66歩45歩

で45同歩と取ってもらえるわけもなく、後手はどんどん攻めてきます。86歩に同歩なら95歩同歩85歩

飛角桂香で攻められてつぶれます。先手は44歩と取り込んでもなんでもなく、角が働くことがありません。

戻って実戦は86歩に同銀でしたが、65桂44歩39角

というのもありました。これも後手が有利。

実戦は86歩同銀に35歩

こういうのも大駒を近づける手筋です。35同角に64角26角

こうなると互いの角の働きに差があります。後手としては45歩と取っておいて十分でしたが、55銀は急ぎ過ぎ。65歩86角

の時に55銀と取って逆転するところだったのですが、86同歩56銀同歩67銀

というのは後手は駒損でも十分すぎます。金をもって27金と打つこともできますから、この攻めは切れないです。


△ 角を打たないで45歩のほうがましなのですが

64角26角45歩

やはり角の打ちあいは64角の方が働いています。45同銀には55銀、45同桂には同銀同銀19角成~46香で後手が指しやすそう。まだ勝負にはなりそうですが。


○ ということで64角しかないです。

これは後手の右金が42なので63金とできない、という意味でとがめています。84角45歩62飛46角66歩

今度は角の位置が逆になりました。後手の攻めの手が進んでいるとはいえ、75歩同歩44歩

で74歩を狙い、45歩同桂44銀74歩65桂

66銀76歩67歩

これなら互角です。後手の84角が攻めに働いている(66角と切れる)ので、これまでの先手の26角よりは条件が良いのですが、先手の46角も攻防に働きがあります。



☆ まとめ
角換わりでの26角(84角)という四手角と呼ばれる位置に打つのはあまりうまくいきません。うまくいくのは一方的に45歩同歩同桂(あるいは銀)と攻められる時だけです。前にも書きましたね。
問題では48飛~25歩~26角~45歩というのが手数がかかりすぎているのです。後手が専守防衛ならわかるのですが、攻め合いではっきり速度負けです。
26角と打たずに、45歩同歩同銀同銀同桂~71角などと直接後手陣に飛車取りで打ち込むほうが、駒損になりやすいかもしれませんが、攻めがかなり速いのです。
角換わり腰掛銀ならば53歩の形なので、26角の利きが53で止まっているということも関係しています。(相矢倉なら54歩の形で、53に銀がいたり、71角成と成り込めたりします。)

自陣の形だけ見て、48飛56銀37桂26角~45歩というのが強力な攻めだ、とだけ思いこんではいけません。当然ながら相手の攻撃の速度との兼ね合いです。四手角の攻めは遅い(その分強力かもしれませんが)のです。相手の攻めも考えなくてはいけません。
前回と同じで、矢倉と角換わりは違うのです。何が違うか、どう違うか、を考えましょう。より深く理解できます。

一番自然に65同歩として悪くなる、というのは作戦負けがかなり進んでいる証拠です。後手一手損の角換わり腰掛銀は、25桂と跳ねられるから35歩からの桂頭攻めがあまり怖くない、というのが売りだったのですが、それを放棄した25歩が悪い手でした。

自分も45歩と攻めるのは、飛車が48にいるのですから、本来は当然の手です。1手遅くなっても元が取れるかもしれません。でも後手に64角を先着されるのが痛く、やや苦しい展開です。

64角と先に角を打ってしまうのが唯一の良い手です。後手は金で受けられないので、飛で受ける(72飛あるいは83飛)か角で受けるかありませんが、その後で45歩(~46角)として、この角のラインで頑張ります。




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