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名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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20170706今日の一手(その535);筋の良い手を心がける

2017-07-06 | 今日の一手
20170706今日の一手

整理が追いついていないので、しばらく古い将棋です。2014年11月の名南将棋大会から、私とMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答
仕掛けから見てみます。

先手は平美濃(いわゆる飯島流引き角戦法、と飯島先生は主張するのですが、何が飯島流かわかりません)この戦法は美濃囲いに囲うために57に角を移動するのが難点で、角頭を狙われやすいです。また、駒組み完成まで手数がかかるので、振り飛車の迎撃態勢が整ったところで仕掛けることになり、よい戦法だとは思えません。46歩に55歩と返され、早速角頭を狙われました。
55同歩44銀75角32飛

この場合は75角と先手を取って逃げられるので悪いということもないようです。45歩55銀54歩64銀

66角55銀75角64銀では千日手。57角65銀に24歩同歩同角と攻めて互角の戦いでした。実戦は64同角同歩41銀

こういうのは筋が悪い、あるいは俗手だ、と言われるのです。それがイコール疑問手というわけでもないのですが、後手玉が薄くなる代わりに手駒を与えます。後手の守備力が下がり、攻撃力が上がるわけです。

41銀よりは44銀

のほうが良かったようで、44同角同歩は先手十分。42角に24歩同歩53歩成同金同銀成同角24飛

が自然な応手で、21飛成と43金があるので先手よし。自然に進んで先手よしなら44銀で指しやすいだろう、ということがわかります。

戻って41銀から

42飛52銀成同飛24歩同歩

で問題図です。

☆ 形勢判断をします。
角金交換で先手の駒損です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は28飛と持ち駒金で2枚。
後手の攻め駒は33角と持ち駒角銀で3枚。

総合すれば後手が指しやすいです。

☆ 大局観として
形勢を改善するなら
駒損を回復する
攻め駒を増やす
どちらかです。玉を固めるのは悪手ではないけれど、駒損で長期戦ということになりかねないので、次第に形勢が悪くなります。

金で両取りをかけるのが見えますよね。それでよいかどうか。持ち駒の金を角と交換すると駒損はほぼなくなり、玉の堅さで優っているけれど、後手の攻め駒が3枚、飛を使われたら4枚になります。せいぜい互角、まだ後手が良いかもしれません。
ですからもう少し工夫が必要です。なるべく条件をよくして駒損を回復したいのです。

攻め駒を増やす、ということで24歩同歩の突き捨ては好手です。これを入れないで金を打って角を取ったら悪いでしょう。あとは37銀や29桂を使って・・・と考えるところですが、先は長いですね。つまりは角を切って後手陣を薄くしたというのは時期尚早だったということなのです。


× 本筋としては46銀と使うのですが

39角27飛54飛44金

44同角同歩同飛45歩54飛22角

こんな感じに進めばまあまあには見えるのですが、後手の攻め駒はもう4枚ありますね。強く58飛成同金56金

が受けにくいし、寄せ合いに持っていくこともできません。これは困っています。
1手溜めると、後手の54飛の味が良い、というわけです。


× 実戦は43金と打ったのですが

54飛33金同桂43角53飛34角成

馬を作って駒得になってまあまあ、ではないです。やはり後手の攻め駒は4枚なので、25桂と跳ねて46銀に39角

と打たれたら後手優勢に近かったです。28飛を逃げるところに困りますし、5筋も破られそう。例えば26飛57歩68金寄56飛35歩47金

という進行です。勝負になりません。

実戦ではここから

57歩68金寄58金

と攻めたのですが単調です。44馬69金同金56飛66金58歩成

これを同飛と取ったのが敗着で、金で取れば難しい形勢でした。58同飛同飛成同金57歩

攻め駒4枚でこんなところに歩を打たれたら受けようがありません。


○ 44金なら

これも筋が良いとは言えませんが、とりあえず54飛は防いでいます。44同角同歩54飛43歩成
は と金得で、後手の攻め駒は4枚ですが24飛からの攻め合いも望めるので形勢は互角です。

44金に62銀と受けたとしたら

角を取って飛をさばこう、なんて考えずに、じっと46銀

が本筋です。


△ 53金も筋が悪いようですが

51飛に44歩42歩22歩

抑え込めればちょっと指しやすくなります。

44歩に同角

が普通で、24飛57歩68金寄47角

は少し先手が指しにくそうですが、後手も飛を抑え込まれていて互いに難しいです。


○ 44歩は筋が良くて

44同角に24飛33桂53金

51飛には23飛成

で飛を抑えて竜を作っています。45桂と使われるのが難点ですが、右銀が働きだすということもあります。

53同角なら同歩成同飛22飛成。

これは攻め合いになるので玉が堅いのと攻撃力が高いのとどちらがよいか、ということで形勢互角です。

44歩に42歩と受けたら

53金51飛22歩

としてもよいですし、

53金を入れないで22歩54飛21歩成

でも56歩48銀57銀に45金51飛11と

から54香を狙っても互角の形勢です。45金というのが飛角を抑える手になります。


☆ まとめ
やはり形勢互角の時に筋の悪い手というのは指さないほうが良いです。
筋の悪い手、という定義は難しいですが、効率の悪い手、という言い換えはできそうです。

問題図に至る前に、角で64の銀を取って41銀の割打ち、というのは筋が悪いのです。駒損でも敵玉を薄くしていますから、悪いというほどでもないですが、その後の攻撃力不足が心配です。

問題図では
43金は駒損を回復できるので少し「効率が悪い」という意味が薄れますが、後手から見たら角金銀をさばいた、さらに飛と左桂が働きだした、ということになります。

44から金を打てば、角取りと と金作りの両狙い。44同角同歩の形は左桂を使わせていない分だけ優ります。そのため24飛が可能なので、攻め合いも望めます。

もう少し筋が良いのは44歩と突きだす手で、同角には43金ではなくて(これは44同飛まで強制できるのでやや得だが)、24飛とさばくのが正しいわけです。

形勢がやや良い、というくらいまでは筋の良い手(=効率の良い手)を心がけたいです。
形勢がはっきり有利になってくると、俗手の好手、と呼ばれる、やや筋が悪いけれども確実な手が良い手になる場合もあります。


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