先手番加藤先生の手を考えます。
第1問
こんなところに目をつけるとは。
A 66歩 B 56歩 C 36銀
第2問
この手が入れば先手有利でしょう。
A 64歩 B 77桂 C 44歩
第3問
強い受けが出ました。慎重に攻めます。
A 43同銀成 B 35飛 C 32歩成
先手番加藤先生の手を考えます。
第1問
こんなところに目をつけるとは。
A 66歩 B 56歩 C 36銀
第2問
この手が入れば先手有利でしょう。
A 64歩 B 77桂 C 44歩
第3問
強い受けが出ました。慎重に攻めます。
A 43同銀成 B 35飛 C 32歩成
今日の棋譜20210826
昭和35年4月、加藤一二三先生と第19期名人戦第1局です。二十歳の名人挑戦者として有名になりました。まさに弱冠です。(一時期弱冠という言い回しが流行りましたが、拡大して二十歳前後に適用するのは誤りです。古代中国で男子が二十歳、もちろん数え歳ですが、に成人して冠をつける習慣から来ていて、弱の文字左半分右半分に十の意味があります。)
加藤先生の先手で矢倉です。
5筋を突き合う矢倉が主流になっています。
大山先生の53銀右は何かねらっている手です。
25歩に33銀と受けましたが、その銀が前に出てきます。
これは「中央に銀二枚を並べる戦型」です。相矢倉が流行する前に指されていたのですが、久しぶりに見ます。
加藤先生は2筋の歩を切って25飛(高飛車)で受けます。
桂を跳ねて先攻しようという形です。
左銀を66に出るのは後手陣とのバランスでしょうか。66歩から矢倉に入るのは、後手から攻められそうでした。単に45銀同銀直同歩もありそうでしたし、この辺りは好みの問題かもしれません。
55歩に47銀と引けばゆっくりした流れです。
互いに銀を押し戻されて
7筋3筋の歩を角で交換します。違いは、加藤先生が2筋と5筋の歩を手持ちにしていることです。
このまま進むと先手の作戦勝ちになるでしょう。大山先生は玉を左に囲っても堅くないので中住まいに。
加藤先生は矢倉に入城します。持ち歩が3対1ですから、やはり先手が指しやすいか。右桂を使えているということもプラスです。
94歩に66歩突きにくい歩ですが、66同歩同銀76飛67金右72飛65歩・・・と抑え込んでしまえば先手有利になりそうです。
86歩同銀を入れて、大山先生は44歩、先手の角を追いたいのですが、危ない感じの手です。
75銀73角が入ったというのが大きくて、先手有利になっているかもしれません。
加藤先生はもち歩が多いので、25桂42銀33歩、桂を交換しに行って
65歩を取れば64桂があります。
65同銀に53歩、同玉は77桂76銀65桂打が利きます。43玉は大山先生らしい粘りですが。
64歩を取れなくて62金、まだ駒損ではありませんが、差が広がっています。後手の飛角に働きがないのです。
44歩同銀45歩同銀55角、加藤先生は角をさばき
44歩に57桂で両取り。
54銀右77角85桂、角を逃げても良いのですが、
銀角桂桂を取り合います。先手の駒損になりましたが、64歩と53歩の拠点がありますし、2~4筋に歩を打てるので3枚の攻め駒でもなんとかなりそうです。
44歩同玉36桂33玉44銀、後手玉の守りの駒が少ないので、押さえつけていけば寄りそうです。
43玉33歩22金に24歩
24同歩に同桂もありそうでしたが、24同飛から横歩を取ります。これで43歩ねらい。
43角もすごい受け方ですが(61角が普通ですが43歩同角を思えばおなじことか)、32歩成、同金には同飛成同角34歩で寄りです。
32同角に43歩、これは33歩を消去したということになるのですが、43同角同銀成同銀31角と寄せるのでしょう。
43同銀だったのですが、銀交換して51銀まで。51同玉31飛成41銀22竜と進めば63歩成などがあります。
私は「中央に銀二枚を並べる戦型」と書いていますが、この戦法の勝率は悪いです。戦前の中央志向の名残なのでしょうね。
加藤先生の快勝で、当時はかなり話題になっていたようです。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.46 棋譜ファイル ----
開始日時:1960/04/15
手合割:平手
先手:加藤一二三8段
後手:大山名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 6八銀(79)
4 3四歩(33)
5 7七銀(68)
6 4二銀(31)
7 2六歩(27)
8 6二銀(71)
9 4八銀(39)
10 3二金(41)
11 7八金(69)
12 4一玉(51)
13 5六歩(57)
14 5四歩(53)
15 6九玉(59)
16 5二金(61)
17 3六歩(37)
18 7四歩(73)
19 5八金(49)
20 5三銀(62)
21 2五歩(26)
22 3三銀(42)
23 7九角(88)
24 4四銀(33)
25 4六歩(47)
26 5五歩(54)
27 4七銀(48)
28 5四銀(53)
29 2四歩(25)
30 同 歩(23)
31 同 飛(28)
32 2三歩打
33 2五飛(24)
34 5六歩(55)
35 同 銀(47)
36 6四歩(63)
37 3七桂(29)
38 8五歩(84)
39 6八角(79)
40 6三金(52)
41 6六銀(77)
42 5五歩打
43 4七銀(56)
44 6五歩(64)
45 7七銀(66)
46 3一角(22)
47 4五歩(46)
48 3三銀(44)
49 2九飛(25)
50 7五歩(74)
51 同 歩(76)
52 同 角(31)
53 3五歩(36)
54 同 歩(34)
55 同 角(68)
56 7二飛(82)
57 4六角(35)
58 6四角(75)
59 7六歩打
60 5二玉(41)
61 7九玉(69)
62 3四歩打
63 8八玉(79)
64 9四歩(93)
65 6六歩(67)
66 8六歩(85)
67 同 銀(77)
68 4四歩(43)
69 7五銀(86)
70 7三角(64)
71 2五桂(37)
72 4二銀(33)
73 3三歩打
74 同 桂(21)
75 同 桂成(25)
76 同 銀(42)
77 6五歩(66)
78 同 銀(54)
79 5三歩打
80 4三玉(52)
81 6四歩打
82 6二金(63)
83 4四歩(45)
84 同 銀(33)
85 4五歩打
86 同 銀(44)
87 5五角(46)
88 4四歩打
89 5七桂打
90 5四銀(65)
91 7七角(55)
92 8五桂打
93 4五桂(57)
94 7七桂成(85)
95 同 桂(89)
96 4五歩(44)
97 4四歩打
98 同 玉(43)
99 3六桂打
100 3三玉(44)
101 4四銀打
102 4二玉(33)
103 3三歩打
104 2二金(32)
105 2四歩打
106 同 歩(23)
107 同 飛(29)
108 2三歩打
109 3四飛(24)
110 4三角打
111 3二歩成(33)
112 同 角(43)
113 4三歩打
114 同 銀(54)
115 同 銀成(44)
116 同 角(32)
117 5一銀打
118 投了
まで117手で先手の勝ち