名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(662);三間飛車に急戦(二上達也)

2017-10-04 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番広津先生の次の手は?

☆ 今日の棋譜20171004
昭和57年7月、二上達也先生と第15回連盟杯争奪戦です。

大山先生の先手三間飛車に、二上先生は急戦です。でもこれは88飛で仕掛けられない形ですね。

9筋を詰めて、96歩同歩86歩同歩75歩同歩96香同香76歩、という攻め筋は73桂と跳ねているので使えず

二上先生は攻める場所を見つけられません。それでも機会をうかがっていたと思うのですが。
大山先生の方から動きました。63金では不安(74歩同金に65歩とか95角とか)、84飛はありそう、本譜は素直に取って

角交換から

飛をさばいて少し大山先生が良さそうです。二上先生は金を上がって受けられませんから角を打って

桂交換から自陣に打つのですが、これでは苦しいです。

少しリードすると大山先生の感覚の良さが目立ちます。飛を切って角を打ち

桂を打てば銀を逃げられません。

あとは馬を作る得意の展開です。

二上先生はうまく桂を守り

右桂をさばきました。(けれど86歩同角75金のほうだったかも)

が、この桂打ちは痛いです。77飛成はまだ早く

先に金を逃げてから切りました。

これは難しくなったか、というところですが、大山先生は平凡に金を取って詰めろ。馬は取られますが

竜は先手玉から遠くなりました。あとは後手玉を追いかけて

詰めろを続けます。二上先生は入玉できればよいのですが、ここで52竜がぴったり。

入玉を阻止されたら

形を作って投了です。

二上先生のような終盤型の棋士の序盤に考えていることはわかりにくいです。今回はそれでも玉が堅い方なので結構頑張れました。本譜は大山先生に良い手ばかり。切られ役です。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:二上達也9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 8五歩(84)
7 7七角(88)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5四歩(53)
15 2八玉(38)
16 7四歩(73)
17 3八銀(39)
18 5二金(61)
19 5八金(69)
20 6四歩(63)
21 5六歩(57)
22 7三桂(81)
23 8八飛(78)
24 4二銀(31)
25 1六歩(17)
26 1四歩(13)
27 4六歩(47)
28 9四歩(93)
29 4七金(58)
30 9五歩(94)
31 3六歩(37)
32 5三銀(62)
33 6七銀(68)
34 6二飛(82)
35 7八飛(88)
36 6一飛(62)
37 2六歩(27)
38 4四角(22)
39 4五歩(46)
40 3三角(44)
41 3七桂(29)
42 8一飛(61)
43 7五歩(76)
44 同 歩(74)
45 6五歩(66)
46 同 歩(64)
47 3三角成(77)
48 同 桂(21)
49 7五飛(78)
50 6四角打
51 7四飛(75)
52 4五桂(33)
53 4六歩打
54 3七桂成(45)
55 同 金(47)
56 6二桂打
57 6四飛(74)
58 同 銀(53)
59 7七角打
60 5五歩(54)
61 7六桂打
62 5三金(52)
63 6四桂(76)
64 同 金(53)
65 7二角打
66 8四飛(81)
67 6一角成(72)
68 5一金(41)
69 7二馬(61)
70 7四飛(84)
71 5五歩(56)
72 6六歩(65)
73 同 銀(67)
74 6五桂(73)
75 同 銀(66)
76 同 金(64)
77 6三馬(72)
78 6九飛打
79 5四桂打
80 5六金(65)
81 6二桂成(54)
82 7七飛成(74)
83 同 桂(89)
84 5七桂打
85 5一成桂(62)
86 6三飛成(69)
87 4一銀打
88 3三玉(32)
89 3二飛打
90 4四玉(33)
91 4二飛成(32)
92 5五玉(44)
93 5二龍(42)
94 同 龍(63)
95 6五金打
96 4四玉(55)
97 5二銀(41)
98 4九桂成(57)
99 4五飛打
100 投了
まで99手で先手の勝ち
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20171004今日の一手(その580);一歩と一手の交換

2017-10-04 | 今日の一手

20171004今日の一手

7月16日の名南将棋大会から、KさんとIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答
仕掛けから見てみます。

角換わり腰掛銀ですが、多分先後が逆で、先手一手損角換わりなのでしょう。1手得だからと早くも仕掛けました。仕掛ける前に79玉は指しておきたかったのですが。
45同歩同銀同銀同桂44銀に24歩同歩71銀

これでどこに逃げても角打ちができます。92飛83角37角29飛55角成

飛は取れるのですが、馬を作られては失敗している感じです。92角成同香61飛41歩62銀成42金右で問題図。

☆ 形勢判断をします。
角歩と飛の交換ですが持ち歩があります。馬と成銀を作り合っていて、ほぼ損得なしです。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。これは玉の位置と馬の存在によるもの。
先手の攻め駒は61飛29飛45桂で3枚。62成銀も使えるかどうか。
後手の攻め駒は55馬と持ち駒角銀で3枚。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
先手は玉の堅さで劣っているので囲いを強化すると、45桂を取られて駒損になりそうです。
普通に桂香を拾ってどうか、後手は桂しか取れないので駒得になりそうではあるのですが。
45桂を取られる前になにか攻めたい、ちょっと得できないかなあ、と考える局面です。


△ 実戦は81飛成

と桂を取りました。75歩66銀45馬92竜38角

馬による両取りを防いだつもりでしたが、角を打つ両取りもありました。
24飛23歩47香

これが予定通りだったのでしょうか、ひねり出したのでしょうか。飛竜と馬銀の取り合いですが、先手玉は薄いですから飛2枚渡しては悪いです。

途中75歩に51竜

から52成銀を狙えば悪くはないと思います。それでも52同金同竜74角があるのでその対処が必要ですが。


× 前の変化と比較するのは最初に51飛成

ですが、45馬52成銀73桂

は駒損でやや悪いのでしょう。


× 79玉と手を入れると

45馬で81桂は取れず、51飛成とすることになり、前の変化と同じようなことになりそうです。


○ 一つは43歩と叩きたいところで

ただし歩切れになるので先の見通しが必要です。43同金直52成銀、45銀には

41飛成22玉23歩同玉21竜22馬81竜

これなら駒得(92竜などを見越して)なのでやや先手よし。

後手は45桂を馬で取ると81桂にひもがつくのですが、

22馬と引けないのでこの図で困っています。

22玉と早逃げして

41飛成に23銀

と埋めたら手堅さそうなのですが、25歩同歩同飛24歩53桂成

で決まってしまいます。(53同金55飛同銀42成銀か53成銀)

52成銀に42金引

と引いたら、1歩で1手儲けたようなものです(51飛成が不要)。42同成銀同玉62飛成52銀63金

は寄り筋ですから、

42成銀を金で取って24飛

とするか、53桂成同銀23歩

のほうか。あるいは81飛成も23桂をみているし、どれも先手が指せる局面です。

後手は最初の43歩を同金左とすれば

81飛成45馬92竜に32金

と23の空間を気にしなければなりません。これも1歩で1手儲けた(「一歩と一手の交換」と表現されます)ことになります。終盤なら1手のほうが大きいでしょう。


△ もう少し工夫すると24飛

23歩25飛45銀に43歩

で得をしているかもしれません。

ただし13桂と飛を追われると43歩

が成立するかどうか。飛を逃げているとやや悪いでしょう。
25桂42歩成同金43歩同金52成銀

激しく攻めます。32銀51金22玉41金

としたところで29飛と打たれて金を渡せないので先手不利です。
さすがに飛は渡せないようです。


× 他には46歩として

46同馬49飛45馬同飛

と角を手にして攻める手ですが、45同銀63角49飛52成銀46桂

これは先手の負けです。


× 最後は25歩で

25同歩同飛23歩に43歩、となれば先手が得をしていますが、
45銀24歩38銀

飛を追われて悪いです。


☆ まとめ
桂香の取り合いは駒得で有利、のはずが竜飛取りの筋がありました。92香までは取れず、玉の堅さで劣るために互角くらいです。

良くするためには4枚目の攻め駒である62成銀を使いたいのです。51成銀と入っても効果が薄いですから、52成銀としたい。そのために51飛成と1手使うよりも、43歩同金直52成銀ならば0手(ただし1歩損)です。「一歩と一手の交換」というのは言葉ではなくて実際の局面で確かめましょう。歩切れになるときはわかっていても指しにくいものですが。

それでちょっと良くなると(攻め駒が増えたので)いろいろな攻め筋が生じるものです。22玉と追って23歩とか、53桂成をうまいタイミングで決めるとか。

別の話として、仕掛ける前に自玉を安定させておくと攻撃力が上がります。先手玉が88にあったら飛を捨てる、切る攻めができたのです。(後手の65歩~64角とかでけん制されるのでしょうけれど。)

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