名南将棋大会ブログ 名古屋

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将棋が強くなるための記事を書きます。
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大山将棋研究(538); 四間飛車に玉頭位取り(花村元司)

2017-06-02 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170602
昭和55年5月、花村元司先生と第6期棋王戦です。


大山先生の四間飛車に花村先生は玉頭位取りです。ちょっと早い感じですが。

大山先生は石田流を目指し

端角。花村先生は大模様を張りすぎたんですね。大山先生は美濃囲いにせずに早く動きました。

2筋から動かれて花村先生は嫌な形です。

5筋に転戦するのは妥当な指し方ですが

角銀交換しかないのではやや苦しいです。

飛は角と刺し違えることになり

香を取れば二枚換え。この瞬間はまあまあですが

桂香を拾われてみると飛桂と銀の交換です。

花村先生は駒損なので、後手玉に迫らないとだめなのですが、大山先生は中央を手厚く受けます。

花村先生は歩を使えないので攻めにくい。

それでもいやらしく迫ります。

馬を好所に引いてこれならと思わせますが

低く受けられて決め手がありません。

34銀と打たされ、角を打たれ

ここで投了です。でもまだ指しそうですよね。53馬同金左33銀不成34飛94桂同香(逃げると危険)同歩92歩。まだ悪いですが。秒を読まれて切れちゃったのでしょうか。得意の終盤なのに残念です。

先手が大山先生なら、そもそも3筋の歩交換を避けないのですが、16歩を突かないで26飛は15角が嫌な筋ですね。先手玉が堅くて飛車を切ってよしならともかく、ちょっと悪いです。
後手をもって受け方を見ておきましょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:花村元司9段
後手:大山王将
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 7六歩(77)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 5六歩(57)
12 7二玉(62)
13 5七銀(48)
14 4三銀(32)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 7五歩(76)
18 3五歩(34)
19 2五歩(26)
20 3三角(22)
21 6八銀(79)
22 3二飛(42)
23 6六歩(67)
24 4二角(33)
25 2六飛(28)
26 3四飛(32)
27 6五歩(66)
28 5四歩(53)
29 6六角(88)
30 5二金(41)
31 6七銀(68)
32 1五角(42)
33 1六飛(26)
34 1四歩(13)
35 5八金(49)
36 2四歩(23)
37 5五歩(56)
38 2五歩(24)
39 5四歩(55)
40 同 銀(43)
41 7七桂(89)
42 3三角(15)
43 5六飛(16)
44 5五歩打
45 同 角(66)
46 同 銀(54)
47 同 飛(56)
48 4五歩(44)
49 同 飛(55)
50 4四角(33)
51 6八銀(57)
52 3三桂(21)
53 4四飛(45)
54 同 飛(34)
55 2二角打
56 4二金(52)
57 1一角成(22)
58 9五歩(94)
59 同 歩(96)
60 3九飛打
61 5九歩打
62 2九飛成(39)
63 2一馬(11)
64 1九龍(29)
65 6四歩(65)
66 同 飛(44)
67 6六香打
68 2四飛(64)
69 3一馬(21)
70 5二金(61)
71 6五桂(77)
72 6二銀(71)
73 6四歩打
74 同 歩(63)
75 6三歩打
76 同 玉(72)
77 5五銀打
78 7二玉(63)
79 1三馬(31)
80 2一飛(24)
81 3五馬(13)
82 6五歩(64)
83 6三歩打
84 5三銀(62)
85 6五香(66)
86 6一歩打
87 4四銀(55)
88 同 銀(53)
89 同 馬(35)
90 2四飛(21)
91 3四銀打
92 5三角打
93 5四馬(44)
94 8二玉(72)
95 投了
まで94手で後手の勝ち

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20170602今日の一手(その517);自陣角で粘る

2017-06-02 | 今日の一手

20170602今日の一手

5月7日の名南将棋大会から、TさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀歩と角の交換で、持ち歩があるので歩はカウントせず。ただし竜を作られているので、先手の駒得ではありますが差はわずかです。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。銀の位置が違いますね。
先手の攻め駒は68飛と持ち駒角角で3枚。
後手の攻め駒は79竜と持ち駒銀銀で3枚。

総合すればやや先手有利です。

☆ 大局観として
相振り飛車で後手に飛を縦横に使われて(22~26~76~73~75~79)、銀角交換には持ちこみましたが竜を作られてしまいました。この竜の存在が大きく、先手は後手玉を上から攻める態勢に持っていけません。先手は68飛のまま6筋を攻める形にならないのです。
方針としては飛をさばきたい。79竜と交換するか、敵陣に成り込むか、というのが理想です。このままでも遊んでいるわけではないのですが、飛を攻められる展開は避けたいです。
それと、89桂99香は取られそうなので、これらもさばきたいのですが。なかなか交換には持ち込めないので、後手の21桂11香との取り合いでしょうか。
こうなったらいいなあ、というのはあるのですが、全部は実現できません。どれを優先しますか?


× 実戦は66飛としたのですが25歩

と渋く受けられて26飛は実現できず。26飛とできないなら飛のひもが切れて追われそうです。23角33桂97桂73歩(これも渋い)95歩99竜74歩同歩85桂95竜73歩

99香は取られたものの、89桂はさばいた、と言えるのですが歩切れです。攻めとしては少し足りないです。アマチュアなら攻めている方が気が楽なので、この後はかなり怪しくはなったのですが、後手Hさんがうまく受けきりました。


× 66飛25歩は無効だったので、先に97桂でも

99竜85桂96竜73歩同桂同桂成同金

実戦よりは攻めやすそうですが、やはり歩切れなのでまずいでしょう。攻め駒4枚でも持ち歩がないと上からは攻めにくいものです。


× 桂を守る23角はどうか。

34銀打41角成89竜

銀を投入しても桂を取れば二枚換えです。31馬99竜21馬76歩

まだ11香を取り切っていないので75香などの嫌味がなく と金作りを目指されると後手が有利になりそう。


○ 67角の方が良くて

これなら角筋を止められません。33桂には78飛で交換を迫ります。78同竜同角79飛68金

(68金では77飛からもう一回飛交換ねらいもありますが、ここは金を寄るほうが良いです。)45桂69金78飛成同金57桂成41飛

(41飛では77飛から57成桂を抜くと、王手飛車で返されます。)71飛打がありますから、61銀とか受けさせて、11飛成か、一度58歩と受けておくか。銀を打たせれば、後手の攻め駒が3枚に減るので先手が有利です。

67角に77歩で78飛を受けられたら88角

で飛を取れます。68竜同金78銀

これは取るしかなさそう。78同金同歩成同角68飛79銀65飛成23角成

飛はさばいた、とはいえ88角が残ってしまいました。

もう少し工夫して97から角を打った方が良さそうです。

端の取り込みがあるのですが、68竜同金96歩には31角成

88飛69歩78銀76角

かわした76角が働くのでこれは先手有利です。

後手は73竜と引き上げるかもしれませんが

78飛74歩22角

13香11角成32銀打12角成

これで21馬寄と取るのではなくて、67馬と引いて使います。後手から69銀はありますが、避けなくてもよいと思います。これなら銀と馬の交換(金と馬の交換になりそうですが)駒得なので長期戦を目指してだんだんによくなるはず。(馬作りよりも95歩を取りたい、と思うかもしれません。)


× ひねると88角89竜67角

で飛を取るのですが、桂を取られています。88竜同飛66角78飛73歩

後手から99角成と56銀があって、両方は防げません。後手有利。


○ 最後は22角で

桂香の取り合いを目指します。後手は13香だと12角77歩31角成

でぱっとしないので、桂香の取り合いになりそう。

89竜11角成99竜21馬

これは先手の駒得(銀角交換を保ち馬を作った)で攻め駒5枚。(攻め駒5枚は不要ですが、最後の21馬で3枚から5枚になった。)後手の竜がそれたので攻めやすくなっています。とりあえず74桂ねらい。73歩の受けなら54香53香同香成同金直65桂52金引54香

持ち歩が1枚なので攻めにくい、と言っても桂香をうまく使えます。


☆ まとめ
振り飛車(対抗型)で飛角交換で飛を自陣に打ち込まれてしまう、という展開はよくあることだと思いますが、67や78に角を打って自陣角で89桂を守っておけば難しい、ということも多いのではないでしょうか。この場合はその応用です。
できれば23から打って馬を引き付けたいのですが、34銀打が嫌。67角と打って78飛のぶっつけを狙います。77歩に97角まで見えたら正解です。

他には22角から桂香の取り合いが候補で、何回か11角成は大きな手と書きましたね。竜(あるいは飛)で桂香を横に拾われても、竜(あるいは飛)の働きはよくならないのですが、角は馬になって自陣に引く可能性が大きいので、角で11香を取るのは(敵玉から遠い方でも)働いているのです。
この場合は自陣には引けませんが、さらに21馬と取った形が43銀の目標があるので働いていました。後手は99竜でさらに働きが悪くなって(自陣に引きにくくなった)かなり先手が攻めやすくなります。

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