簡単に、単純に考える
2001年出版、2004年には文庫、去年はKindleでも出ているみたいです。
羽生先生と平尾誠二さん(神戸製鋼ラグビー部GM)二宮清純さん(
スポーツジャーナリスト)金出武雄さん(カーネギーメロン大学教授、ロボット工学)3人との対談集です。
平尾さんとの対談が一番面白いのですが、スポーツ好きなら二宮さん、コンピュータ将棋に関心があれば金出さんの対談に興味を持つかもしれません。
メモもたくさん。見つけたら読んでみてください。
今のこの局面が楽しいかどうかという要素は大きい。集中力に関係する。
気力は集中力が表面化したもの。日本人は外からの刺激で出てくる。
気力を支えるには体力が必要。
好きだから飽きずに長くやっていられる。
前に指した手が悪かったと対局中に考えるのは良くない。
勝負所を感じ、判断し、指した手がいいかわるいか、全部実力。大局観で差がついていることが多い。
自分の中のもう一人の自分が今より強くて大きい存在。客観的で冷静。
将棋の理想は初手から終わりまで一本の線。自然の流れと理論的な必然性があり、それを見つけたい。
常に高いところを見ていかないと自分の技術も進歩していかない。
新しいものを発想するより対策を考えるほうが楽。でもその中で違いを出していくには未知の分野にも進出する。
問題を発見するのは分析力ではなく洞察力。データ分析ばかりではなく洞察して創造する。
局面をとらえるセンスは十代前半にどれだけ将棋を指したか将棋と向き合ったかによって培われる。
別のジャンルの経験で感性が磨かれる
想像力は省略から生まれる
一流の選手は天才型と秀才型がある。経験から学習して日々強くなるか、常にパイオニアであるか。
決断とは自己責任。自己責任を伴わない決断には意味がない。
将棋は攻めるより守るほうが楽。戦略を組み立てる段階では主導権を握り、終盤の切り合いでは相手に手を渡す。
この局面は最後にこうなるべきだろうという見方がある。形やパターンの記憶がある。
古い価値観に縛られない、美学は逃げ言葉、未知のものに驚く、好奇心が膨らむ、失敗も必要
精神が最も高まった状態は静的。
対局中は論理的に考えていない。バラバラに考えていて、最後にまとめる。
強い形は美しい形。美しさを感じられる棋士が強い。指し手に無駄がなくていいかわるいか、いい形は大体いい手。
優劣がはっきりしている場面は時間をかければ必ず最善手は見つかる。
若い時は考える方向性の数が少ないので読んで指し手を判断していた。経験を積むとそれ以外が増える。プラスだけとは限らないが。思考の過程をできるだけ省略し、経験を生かす。大局観で局面を漠然と眺め、この一手だとすぐにわかる。そればかりだと雑になるが。
思考の過程を省略する方法は本質を見抜く目。