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名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋問題集20211124

2021-11-24 | 大山将棋研究

先手番大野先生の手を考えます。

第1問

 

この図から動きます。

A 35歩  B 65歩  C 16歩

 

第2問

 

確実な攻めを目指しますが、後手からの攻めの速度も考慮しておきます。

A 25桂  B 44香  C 25歩

 

第3問

 

より厳しく。

A 44香  B 33香  C 44歩

 

第4問

攻め駒を増やします。

A 25香  B 44銀  C 66金

 


大山将棋研究(2181);三間飛車に急戦(大野源一)

2021-11-24 | 大山将棋研究

昭和37年9月、大野源一先生と第1期十段戦です。

大野流の三間飛車です。57銀の形はすべて大野流というのですが、三間飛車が一番合っていると思います。

端を受けずに美濃囲いを急ぎます。

4筋に位を取りました。57銀の形を生かすためです。

大山先生は袖飛車から動きますが、75同歩に64銀とすると先手に軽くさばかれそうで選びにくいのでしょう。

飛で歩を取り返します。大野先生は57金、銀にひもを付けたのですが、堅さと守備力の中間策です。

73桂26歩44歩、これは位が危なさそうですが。26歩ではなくて37桂と跳ねるところだったでしょうか。

44同歩に45歩は76歩の返しがありました。よって44同銀でしたが、この45歩が打てるのか? 45同銀に76歩は46銀75歩57銀成で後手有利。45同銀同飛74歩には65桂から攻められそう。45同銀同飛に59角が正しいのか。76歩くらいで後手が悪いこともなさそうですが。

53銀37桂43銀、これで激しい順は無くなりました。

さて大山先生が攻める番でしょう。65歩とか86歩同歩85歩とか、86歩同歩88歩同飛76歩59角65桂とか。

大野先生は金を使って受けます。これでも86歩同歩85歩はあるかもしれませんが、どこかで55歩を突いて角筋を止めることができるというのが大野流振り飛車の良いところろです。65歩系統の急戦には対応しやすいのです。

互いの飛の位置が変わったところで、大野先生が動きます。

自分から65歩を突いて角交換させます。ねらいは66角なので

77同桂に65歩が自然な応手でしたが、それを同桂と取るのですか。ちょっと強引なさばきという感じはします。

65同桂に66角で両取りですが、

81飛11角成33桂、これが馬取りになるので、11馬の価値は半減します。でもこの馬を殺す筋はないし、44香を打つこともできますから、先手が指しやすいのでしょう。

12馬に47歩同金86歩、大山先生は飛を使うのですが、かなり遅い攻めです。

25桂に87歩成が間に合うようには見えませんが、77と~89飛成は39角ねらいなので、まあまあ魅力がある手です。でも一度25同桂同歩の形のほうが良かった可能性はあります。

33桂成同金25桂、これが結構厳しくて、

24金82歩、これも悩ましいですが82同飛は初志貫徹です。

11馬41桂44歩、44同銀右は45香が痛いです。

なので44同銀直45歩33銀、これも駒を損していくので受けが難しくなるでしょう。

33同桂成同桂までは当然として、大野先生は66金。金の早逃げでもありますし、桂取りです。桂を持てば44桂を打てると。

59角にかまわず65桂を取ります。

48角成同金68飛66角、ぴったりの攻防手があって、先手優勢です。

42金に44桂。43玉は21馬で寄ります。

41玉に43香同金32銀。42玉は43銀成同玉21馬でも、単に21馬でも寄ります。

32同飛から二枚換えになりました。先手の攻め駒は3枚くらいなのですが、後手玉は飛に弱いのです。

12飛41玉21馬

42金54金。65にあった金を使えば4枚目の攻め駒ですから受けは無くなります。ここまで。

 

大山先生は4筋の歩を交換したので、それを生かせれば後手有利に進められたはずなのですが、ゆっくり指していたら先手から動かれました。特別おかしな対応はしていないと思うのですが、8筋から飛を使うのでは間に合いません。

大野流の振り飛車はちょっと無理をしている印象があった(大山全集を並べているからでしょうが)のですが、本譜のさばきは名局集に入れても良いところでしょう。

 

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.46 棋譜ファイル ----
開始日時:1962/09/03
手合割:平手  
先手:大野源一8段
後手:大山名人
手数----指手--
   1 7六歩(77)  
   2 3四歩(33)  
   3 6六歩(67)  
   4 5四歩(53)  
   5 6八銀(79)  
   6 6二銀(71)  
   7 5六歩(57)  
   8 8四歩(83)  
   9 5七銀(68)  
  10 4二玉(51)  
  11 7八飛(28)  
  12 8五歩(84)  
  13 7七角(88)  
  14 3二玉(42)  
  15 4八玉(59)  
  16 7四歩(73)  
  17 3八玉(48)  
  18 5二金(61)  
  19 5八金(69)  
  20 1四歩(13)  
  21 2八玉(38)  
  22 1五歩(14)  
  23 3八銀(39)  
  24 9四歩(93)  
  25 3六歩(37)  
  26 4二銀(31)  
  27 4六歩(47)  
  28 5三銀(62)  
  29 4五歩(46)  
  30 7二飛(82)  
  31 4六銀(57)  
  32 7五歩(74)  
  33 同 歩(76)  
  34 同 飛(72)  
  35 5七金(58)  
  36 7三桂(81)  
  37 2六歩(27)  
  38 4四歩(43)  
  39 同 歩(45)  
  40 同 銀(53)  
  41 4五歩打    
  42 5三銀(44)  
  43 3七桂(29)  
  44 4三銀(42)  
  45 2七銀(38)  
  46 4二金(41)  
  47 3八金(49)  
  48 6四歩(63)  
  49 6七金(57)  
  50 7四飛(75)  
  51 7六歩打    
  52 9五歩(94)  
  53 4八飛(78)  
  54 8四飛(74)  
  55 6五歩(66)  
  56 7七角成(22)
  57 同 桂(89)  
  58 6五歩(64)  
  59 同 桂(77)  
  60 同 桂(73)  
  61 6六角打    
  62 8一飛(84)  
  63 1一角成(66)
  64 3三桂(21)  
  65 1二馬(11)  
  66 4七歩打    
  67 同 金(38)  
  68 8六歩(85)  
  69 2五桂(37)  
  70 8七歩成(86)
  71 3三桂成(25)
  72 同 金(42)  
  73 2五桂打    
  74 2四金(33)  
  75 8二歩打    
  76 同 飛(81)  
  77 1一馬(12)  
  78 4一桂打    
  79 4四歩(45)  
  80 同 銀(43)  
  81 4五歩打    
  82 3三銀(44)  
  83 同 桂成(25)
  84 同 桂(41)  
  85 6六金(67)  
  86 5九角打    
  87 6五金(66)  
  88 4八角成(59)
  89 同 金(47)  
  90 6八飛打    
  91 6六角打    
  92 4二金(52)  
  93 4四桂打    
  94 4一玉(32)  
  95 4三香打    
  96 同 金(42)  
  97 3二銀打    
  98 同 飛(82)  
  99 同 桂成(44)
 100 同 玉(41)  
 101 1二飛打    
 102 4一玉(32)  
 103 2一馬(11)  
 104 4二金(43)  
 105 5四金(65)  
 106 投了        
まで105手で先手の勝ち


大山将棋問題集20211123

2021-11-23 | 大山将棋研究

先手番大山先生の手を考えます。

第1問

 

必然ではないですが、指されてみればなるほどです。

A 74歩  B 45金  C 69玉

 

第2問

 

この香打ちが後手の疑問手でしたが、大山先生らしい応対でとがめます。

A 38金  B 83角  C 54飛

 

第3問

 

先手玉は安全なので決め所です。

A 51竜  B 33桂  C 22歩

 

第4問

 

即詰みです。難しくはないでしょう。


大山将棋研究(2180);矢倉(花村元司)

2021-11-23 | 大山将棋研究

今日の棋譜20211123

昭和37年8月、花村元司先生と第3期王位戦第3局です。

大山先生の先手で矢倉です。

花村先生は2筋を受けずに急戦のようです。桂を跳ねるのは今の将棋みたいですが

63に金を上がったというのは変な感覚です。花村先生らしいですが。

さらに腰掛金ですか。王位戦の1、2局は腰掛銀でしたが、金にすると何が変わるのでしょうか。

大山先生は2筋で1歩得ているので桂頭をねらいます。

そして7筋の位を取ってしまいました。こうなると第1局と同じような感じです。花村先生は8筋の歩を切ると、85歩から飛を捕獲されます。

なので玉を固めるのを優先です。大山先生は77角ではなくて77桂ですか。後手の65歩の攻めを防いだということか。

ということで花村先生は65歩から攻めなかったのですが、65歩同歩同桂同桂64銀66歩では失敗でした。でも65歩同歩74歩同歩同銀75歩65銀と攻めるのはあり得ました。銀桂交換でも77歩を打てるので攻撃力があります。すると後手の陣形はぴったりでしたか。

本譜は65歩を突かずに74歩の合わせです。

銀は83に引いて

端攻めです。74歩を突かれても75歩を打てるからうるさいかな。でも端を突き捨てるのを後にする方が良いのかも。

55歩44金(55同金同銀同角は45金)94歩96歩

96同香に55金同銀95歩、先に金を捨てているので、ちょっと無理をしている感じです。

64銀96歩69玉、大山先生は端から玉を逃げておきます。角を逃がしたいという意味もあるでしょう。

5筋に歩を垂らして

68歩(取ると97歩成79角の時に利きが止まっている)59玉51銀

24歩同角79角

61飛52歩成同銀73銀不成

73同銀68角。細かいやり取りがありましたが、駒の損得もあまりなく、互角に近い局面です。ここから大きく動いていきます。

68同角成同金寄39角

58飛に花村先生の44香というのが良くわからない手です。単に66角成ではいけなかったのでしょうか。

38金66角成というのは後手が得をしたようにも見えますが、

65歩を打てば馬が死んでいたのです。それを助けるために香を成り捨てて

39角成では損でしょう。大山先生の54飛は銀香取り。先手が有利になったでしょう。

銀と金桂の交換で先手の駒得です。

でも29桂を取られるからまだ難しかったですか。48金に55桂、後手もまだまだ指せそうです。

66角に54歩? 花村先生の疑問手です。54同飛と取られても何をしているのかわかりません。当然67桂成とすべきで、67同銀のときに11角成を受けるか、56金とか47銀とかで攻めるか。

22歩に19馬、22歩は取りにくいところでしたが、これは馬が遊ぶので良くはならないです。54飛に53香を用意したのでしょうけれど。

21歩成同玉57金寄

44香46歩67歩68金左寄29馬。結構先手玉に迫っているのですが、

54飛とされて忙しいです。とりあえず銀を打ちこんで

金を剥がして56歩を打ちます。58金引でもちょっと足りなさそうですが、

52飛成57歩成同金。後手玉は2手すきにはなっているでしょう。

67歩を取ってもらえてありがたいような気もしましたが、銀を剥がして飛をぶつけます。62同竜同銀とか51竜31金打とかならまだ戦えるか。

大山先生は竜取りを処理する前に22歩同玉33銀、多分即詰みではないです。

33同玉45桂24玉27香、玉を逃げると詰みなのか。

25銀同香同玉27銀で詰めろ。この時に先手玉は何でもないので、かなり余裕があります。

26銀36銀打、これで上部を押さえます。

24玉51竜は詰めろではないけれど

27銀不成に26香、13玉は25桂24玉33桂右成から詰みます。

25香の捨て合いに、25同香13玉、これは詰まないですが、

27玉56歩、ここで詰みがあります。

ここまで。

 

戦型がちょっと違うのですが、同じようなテーマで進んでいます。この時代に花村先生のほうを持って攻め切るのは難しいでしょうね。いろいろな現代の攻め筋が見つけられる前の時代です。それでも本譜は良い勝負だったのですが、少し届かず。結果は3連敗です。

棋風的に花村先生は相性が悪いというのもあるでしょう。大山全集でみると花村先生の良いところが観られにくいです。

 

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.46 棋譜ファイル ----
開始日時:1962/08/23
手合割:平手  
先手:大山王位
後手:花村元司8段
手数----指手--
   1 7六歩(77)  
   2 8四歩(83)  
   3 7八銀(79)  
   4 3四歩(33)  
   5 7七銀(78)  
   6 3二金(41)  
   7 4八銀(39)  
   8 8五歩(84)  
   9 7八金(69)  
  10 4一玉(51)  
  11 2六歩(27)  
  12 6二銀(71)  
  13 2五歩(26)  
  14 7四歩(73)  
  15 5六歩(57)  
  16 7三桂(81)  
  17 5八金(49)  
  18 6四歩(63)  
  19 6六歩(67)  
  20 5二金(61)  
  21 6七金(58)  
  22 6三金(52)  
  23 2四歩(25)  
  24 同 歩(23)  
  25 同 飛(28)  
  26 5四金(63)  
  27 2八飛(24)  
  28 2三歩打    
  29 7五歩(76)  
  30 6三銀(62)  
  31 7四歩(75)  
  32 同 銀(63)  
  33 7五歩打    
  34 6三銀(74)  
  35 7六銀(77)  
  36 4二銀(31)  
  37 5七銀(48)  
  38 1四歩(13)  
  39 6九玉(59)  
  40 9四歩(93)  
  41 9六歩(97)  
  42 3一玉(41)  
  43 7九玉(69)  
  44 3三角(22)  
  45 7七桂(89)  
  46 8一飛(82)  
  47 1六歩(17)  
  48 7四歩打    
  49 同 歩(75)  
  50 同 銀(63)  
  51 7五歩打    
  52 8三銀(74)  
  53 4六銀(57)  
  54 9五歩(94)  
  55 同 歩(96)  
  56 8四銀(83)  
  57 5五歩(56)  
  58 4四金(54)  
  59 9四歩(95)  
  60 9六歩打    
  61 同 香(99)  
  62 5五金(44)  
  63 同 銀(46)  
  64 9五歩打    
  65 6四銀(55)  
  66 9六歩(95)  
  67 6九玉(79)  
  68 9四香(91)  
  69 5四歩打    
  70 同 歩(53)  
  71 5三歩打    
  72 6八歩打    
  73 5九玉(69)  
  74 5一銀(42)  
  75 2四歩打    
  76 同 角(33)  
  77 7九角(88)  
  78 6一飛(81)  
  79 5二歩成(53)
  80 同 銀(51)  
  81 7三銀(64)  
  82 同 銀(84)  
  83 6八角(79)  
  84 同 角成(24)
  85 同 金(78)  
  86 3九角打    
  87 5八飛(28)  
  88 4四香打    
  89 3八金打    
  90 6六角成(39)
  91 6五歩打    
  92 4七香成(44)
  93 同 金(38)  
  94 3九馬(66)  
  95 5四飛(58)  
  96 5三歩打    
  97 9四飛(54)  
  98 2九馬(39)  
  99 4八金(47)  
 100 5五桂打    
 101 6六角打    
 102 5四歩(53)  
 103 2二歩打    
 104 1九馬(29)  
 105 2一歩成(22)
 106 同 玉(31)  
 107 5七金(67)  
 108 4四香打    
 109 4六歩打    
 110 6七歩打    
 111 5八金(68)  
 112 2九馬(19)  
 113 5四飛(94)  
 114 6八銀打    
 115 同 金(58)  
 116 同 歩成(67)
 117 同 玉(59)  
 118 5六歩打    
 119 5二飛成(54)
 120 5七歩成(56)
 121 同 金(48)  
 122 6七歩打    
 123 同 銀(76)  
 124 同 桂成(55)
 125 同 玉(68)  
 126 6二飛(61)  
 127 2二歩打    
 128 同 玉(21)  
 129 3三銀打    
 130 同 玉(22)  
 131 4五桂打    
 132 2四玉(33)  
 133 2七香打    
 134 2五銀打    
 135 同 香(27)  
 136 同 玉(24)  
 137 2七銀打    
 138 2六銀打    
 139 3六銀打    
 140 2四玉(25)  
 141 5一龍(52)  
 142 2七銀(26)  
 143 2六香打    
 144 2五香打    
 145 同 香(26)  
 146 1三玉(24)  
 147 2七銀(36)  
 148 5六歩打    
 149 1一龍(51)  
 150 1二金打    
 151 2三香成(25)
 152 投了        
まで151手で先手の勝ち

 

 


大山将棋研究(2179);雁木(花村元司)

2021-11-22 | 大山将棋研究

今日の棋譜20211122

昭和37年8月、花村元司先生と第3期王位戦第2局です。

大山先生は振り飛車ではなくて居飛車です。タイトル戦では持ち時間が長いので相居飛車も選びやすいのでしょう。

花村先生のほうは現代的で、78銀から46歩。

左美濃と腰掛銀の組み合わせです。大山先生は雁木へ。これは現在良く見られる形ですね。花村先生は第1局から工夫をして、この形がよいと思いついたのか。

でも右桂を跳ねて攻める形にはしませんでした。第1局は右四間飛車にしていたのに残念です。

角を引いたということは四手角を見ているのでしょう。

大山先生は中央の位を取ります。

花村先生は銀矢倉へ。このほうが現代将棋でも常識的ではあるのですが、47金の形が気に入らないのと、四手角で4筋をねらうのでは後手の一番手厚い場所です。よって先手の作戦負けになりそうなのです。

飛を中央に回り、5筋の位を奪還したら作戦負けは消えそうなのですが。

大山先生は6筋の歩を交換して待ちます。

花村先生は26角22玉を入れてから56歩

56同歩同銀(金かと思いましたが)55歩。こう進んだのならば、67銀と引くものだと思いましたが。

55同銀と取りたくなるのもわかります。でも銀交換して38銀は俗手ですが、これが痛かったのです。57金は54銀ですし、48金は27銀成、なので37金しかなく

29銀成59飛28成銀。持ち駒の銀を手放して桂香を拾うというのは(駒落ちで出てきますが)筋が悪いとされています。だけどこの場合は先手の攻め駒が機能していないので利いているのです。17角19成銀同飛で2枚替えでも後手が良いでしょう(15歩もあるし、83香とか86桂とかで攻めることもできる)。

花村先生は35歩同歩34銀、これで角を取れば二枚替えです。

でも37金や26角の働きが悪いのです。37金が68にあれば良いのですが。

45歩86歩同歩87歩。これも困っていますね。取れば67桂ですし、このままでは戦えません。

96歩35歩52歩、プロっぽい応酬の後で

大山先生は34桂35角48銀、またも俗手の銀打です。この場合は先手に有力な攻め筋がないので有効なのです。

角と金銀桂の交換となりました。

87金に46桂で58桂成ねらい

の他に36成銀で角を捕獲するねらいもありました。もう好き放題です。

68飛に角と成銀の取り合いにしましたが、28成銀は遊んでいた駒です。

39角から馬を作ります。花村先生は駒損がひどいので、68銀打などと玉を固める受けが無効です。

後手の攻めは確実なので

と金を作っても形づくりになるかどうか。

41と に32金と引かれて攻める手はありません。

この図から

88金同金86飛。87銀82飛86歩とすれば長いですが、見込みはないです。

なので44歩は形つくり。78銀は詰めろで

78同飛に87歩でしたか。87同金78成桂86金79馬くらいで終わりかと思ったら、花村先生は69金。異筋が出ます。

88歩成から清算して86金は、77成桂からの詰めろ。

98玉に68飛

68同金同馬88歩78成桂、これで受けは無くなって

31銀から王手をかけましたが、ここまで。

 

後手が角換わりを避けるとこういう形になることがあるのですが、昔の私は対策がわからず、本譜のような作戦負けになって負けたことが何度もあります。

この形から右桂を跳ねて攻めるというのが、将棋世界の講座に載っていました。先日の太陽将棋研究会オンライン例会でも話題にしたのですが、優秀な指し方ですので参考にしてみてください。

 

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.46 棋譜ファイル ----
開始日時:1962/08/10
手合割:平手  
先手:花村元司8段
後手:大山王位
手数----指手--
   1 2六歩(27)  
   2 3四歩(33)  
   3 7六歩(77)  
   4 4四歩(43)  
   5 4八銀(39)  
   6 3二銀(31)  
   7 6八玉(59)  
   8 8四歩(83)  
   9 7八銀(79)  
  10 5四歩(53)  
  11 4六歩(47)  
  12 6二銀(71)  
  13 4七銀(48)  
  14 5三銀(62)  
  15 5六銀(47)  
  16 8五歩(84)  
  17 7七角(88)  
  18 4三銀(32)  
  19 5八金(49)  
  20 3二金(41)  
  21 7九玉(68)  
  22 7四歩(73)  
  23 6六歩(67)  
  24 4一玉(51)  
  25 3六歩(37)  
  26 5二金(61)  
  27 2五歩(26)  
  28 3三角(22)  
  29 5九角(77)  
  30 5五歩(54)  
  31 6七銀(56)  
  32 5四銀(43)  
  33 4七金(58)  
  34 4三金(52)  
  35 1六歩(17)  
  36 1四歩(13)  
  37 7七銀(78)  
  38 6四歩(63)  
  39 7八金(69)  
  40 3一玉(41)  
  41 5八飛(28)  
  42 6五歩(64)  
  43 同 歩(66)  
  44 同 銀(54)  
  45 6六歩打    
  46 5四銀(65)  
  47 2六角(59)  
  48 2二玉(31)  
  49 5六歩(57)  
  50 同 歩(55)  
  51 同 銀(67)  
  52 5五歩打    
  53 同 銀(56)  
  54 同 銀(54)  
  55 同 飛(58)  
  56 3八銀打    
  57 3七金(47)  
  58 2九銀成(38)
  59 5九飛(55)  
  60 2八成銀(29)
  61 3五歩(36)  
  62 同 歩(34)  
  63 3四銀打    
  64 5四歩打    
  65 3三銀(34)  
  66 同 金(32)  
  67 4五歩(46)  
  68 8六歩(85)  
  69 同 歩(87)  
  70 8七歩打    
  71 9六歩(97)  
  72 4五歩(44)  
  73 5二歩打    
  74 3四桂打    
  75 3五角(26)  
  76 4八銀打    
  77 6九飛(59)  
  78 3七銀成(48)
  79 8七金(78)  
  80 4六桂(34)  
  81 6八飛(69)  
  82 6七歩打    
  83 同 飛(68)  
  84 3六成銀(37)
  85 6八飛(67)  
  86 3五成銀(36)
  87 2八飛(68)  
  88 3九角打    
  89 1八飛(28)  
  90 5七角成(39)
  91 8八玉(79)  
  92 5八桂成(46)
  93 1七飛(18)  
  94 5六馬(57)  
  95 5一歩成(52)
  96 7八金打    
  97 9八玉(88)  
  98 5七成桂(58)
  99 4一と(51)  
 100 3二金(33)  
 101 3七飛(17)  
 102 4六馬(56)  
 103 3八飛(37)  
 104 6七成桂(57)
 105 8八銀(77)  
 106 同 金(78)  
 107 同 金(87)  
 108 8六飛(82)  
 109 4四歩打    
 110 7八銀打    
 111 同 飛(38)  
 112 8七歩打    
 113 6九金打    
 114 8八歩成(87)
 115 同 飛(78)  
 116 同 飛成(86)
 117 同 玉(98)  
 118 8六金打    
 119 9八玉(88)  
 120 6八飛打    
 121 同 金(69)  
 122 同 馬(46)  
 123 8八歩打    
 124 7八成桂(67)
 125 3一銀打    
 126 同 金(32)  
 127 8二飛打    
 128 4二銀(53)  
 129 投了        
まで128手で後手の勝ち


大山将棋研究(2178);相居飛車力戦(灘蓮照)

2021-11-21 | 大山将棋研究

今日の棋譜20211121

昭和37年8月、灘蓮照先生と第1期十段戦です。

後手の灘先生のうそ矢倉です。

と思ったら3筋に位を取ります。こういう指し方は大山先生も好みますが、灘先生も力将棋が好きなのです。

凸矢倉(銀立ち矢倉)を作るのですが、

大山先生は相矢倉(とまだ言えるのか)を目指しません。5筋の歩を交換して

56銀の形を作れば攻めやすいでしょう。灘先生は32金31玉の形ならば受け身もありそうですが、32玉型だと当たりがきついかも。

ということなのか、54歩などとは打たずに銀を出て、

金も中央に使います。後手玉が薄いので危なさそうですが。

中央の位も取るのは好形とも言えないですが、抑え込みにできたのでしょうか。大山先生は銀を引かずに戦います。これで銀の取り合い、銀交換、金銀交換のパターンがありますが、

65同銀55銀53金。やはり灘先生は強くは戦えないようです。

67銀42金36歩。大山先生は3筋に目を向けます。

金は棒金で使いました。3筋の位を取り返せば有利になるでしょう。

74歩に66歩

銀を交換してから36歩の合わせ。これで技ありという感じです。35歩43銀34銀と進めば先手有利が確定します。

45歩35歩55角、灘先生の踏ん張りどころです。34歩46角68飛59銀と進めば後手が良いので、

88玉に56歩ですか。単に46角は37銀を打たれてまずいから、56同銀と取らせて46角37銀57角成ということなのでしょう。

34歩57歩成

36金47銀。灘先生は飛を使えていないから(ということはどこかで52飛として戦うべきだったのか)、角が活躍しないと勝てません。

でも37金に46歩はつらいか。46歩を取らないで36歩だと47金同と、と金が離れていくのもつらいのです。

24歩を手抜いて36歩、ちょっと驚きますが、24歩同歩23歩33歩成~54飛と使われたらまずいので24歩は取れませんでした。これで47金同歩成だと少しまぎれますが、

23歩成43玉33と

33同桂23飛成。これでも劣勢です。寄せ合いの形にできないので、

22歩はちょっと怪しい手でしたが、33歩成同金34銀

53玉65桂。64玉には86角があるし、2段目に落ちると22竜があります。

65同金54歩同玉25竜まで。

 

後手番で3筋の位を取るのはかなり無理があるのでしょう。うそ矢倉から進行したので、先手の角筋も通ったままでしたし。大山先生はかなり楽に進められたのではないでしょうか。大山先生の攻めは特別うまくはないので、後手はしっかり守備陣形を取っていたほうが良かったでしょう。

 

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.46 棋譜ファイル ----
開始日時:1962/08/02
手合割:平手  
先手:大山名人
後手:灘蓮照8段
後手省略名:灘
手数----指手--
   1 7六歩(77)  
   2 3四歩(33)  
   3 2六歩(27)  
   4 4四歩(43)  
   5 4八銀(39)  
   6 3二銀(31)  
   7 5六歩(57)  
   8 5四歩(53)  
   9 2五歩(26)  
  10 3三銀(32)  
  11 6八銀(79)  
  12 5二金(61)  
  13 7八金(69)  
  14 3五歩(34)  
  15 6九玉(59)  
  16 4三金(52)  
  17 4六歩(47)  
  18 3四銀(33)  
  19 4七銀(48)  
  20 3三角(22)  
  21 5五歩(56)  
  22 同 歩(54)  
  23 同 角(88)  
  24 6二銀(71)  
  25 7七角(55)  
  26 5三銀(62)  
  27 5八金(49)  
  28 4二玉(51)  
  29 5六銀(47)  
  30 3二玉(42)  
  31 4七金(58)  
  32 6四銀(53)  
  33 6六歩(67)  
  34 5四金(43)  
  35 7九玉(69)  
  36 5五歩打    
  37 6五歩(66)  
  38 同 銀(64)  
  39 5五銀(56)  
  40 5三金(54)  
  41 6七銀(68)  
  42 4二金(41)  
  43 3六歩(37)  
  44 同 歩(35)  
  45 同 金(47)  
  46 3五歩打    
  47 2六金(36)  
  48 7四歩(73)  
  49 6六歩打    
  50 5四銀(65)  
  51 同 銀(55)  
  52 同 金(53)  
  53 3六歩打    
  54 4五歩(44)  
  55 3五歩(36)  
  56 5五角(33)  
  57 8八玉(79)  
  58 5六歩打    
  59 3四歩(35)  
  60 5七歩成(56)
  61 3六金(26)  
  62 4七銀打    
  63 3七金(36)  
  64 4六歩(45)  
  65 2四歩(25)  
  66 3六歩打    
  67 2三歩成(24)
  68 4三玉(32)  
  69 3三と(23)  
  70 同 桂(21)  
  71 2三飛成(28)
  72 2二歩打    
  73 3三歩成(34)
  74 同 金(42)  
  75 3四銀打    
  76 5三玉(43)  
  77 6五桂打    
  78 同 金(54)  
  79 5四歩打    
  80 同 玉(53)  
  81 2五龍(23)  
  82 投了        
まで81手で先手の勝ち


大山将棋問題集20211120

2021-11-20 | 大山将棋研究

先手番大山先生の手を考えます。

第1問

 

大山先生はこういう指し方をします。

A 79玉  B 35歩  C 75歩

 

第2問

 

この7筋が守り切れるのです。

A 65歩  B 59角  C 85銀

 

第3問

 

まだ成立しなさそうなところですが。

A 65歩  B 85桂  C 35歩

 

第4問

 

ここに目が向けば優勢になります。

A 34桂  B 45桂  C 88飛

 

 


大山将棋研究(2177);雁木(花村元司)

2021-11-20 | 大山将棋研究

今日の棋譜20211120

昭和37年7月、花村元司先生と第3期王位戦第1局です。

花村先生の阪田流向い飛車のスタートですが、

この頃は角を交換しない将棋の方が多いです。大山先生は56歩も突いたので角換わりにもなりません。

8筋は角で受けたので矢倉ではなく

雁木に組みます。

花村先生は腰掛銀から右四間飛車ですが、右桂を85にはねられないので攻めにくいでしょう。

後手が桂を使いにくくなっているのに、7筋に位を取るというのが大山先生らしいです。

6筋の歩を交換されても、自分から角を交換することはありません。

では7筋の位は保てるでしょうか。

76銀に74歩同歩63銀。7筋の駒数が足りないですが、

59角に74飛。74銀としていれば37角でけん制して位を保てるのでした。

75歩84飛37角64歩、後手に歩を打たせたので、作戦勝ちになるでしょうか。

駒組が進み

46銀(35歩ねらい)に44歩

55銀(交換は74に負担がある)63銀。ここで65歩ではちょっと足りないですが、

85桂同桂86歩。これが成立するのか。

77歩68金寄97桂成。歩を取られると、この筋はだめなものなのですが。

97同香に花村先生としては86飛のほうが良かったのですが、64銀と出られるからと54歩、しかし

85歩83飛64銀、これでは条件が悪くなっています。

でも55桂があった、けれど同銀と取られて

同歩同角64歩、桂歩と銀の交換では駒損です。先手有利が確定しました。

77金上53金24桂、これは取りにくいです。

22金35歩43銀、とりあえず先手のいうことを聞いておくしかないです。

34歩同銀35歩同銀、3筋はすっきり取ってしまうほうが良いか。

でも88飛とまわられて8筋は受けきれません。とりあえず24桂を取れましたが

と金を作られて32飛。

飛を成り込まれても、まだ受けは利きます。

25歩~23金は入玉の準備でしょう。

大山先生はとりあえず74と と引いて42角と引かせ、

33歩を打てば42角の利きが止まります。

それから54桂を打てば角が逃げられないわけで、

自然に駒得が続きます。こういうところがうまいですね。花村先生は銀を引いて38飛ねらい。

先手に37歩を打たせたのはいいですが、32銀のところで、もう少し何かあったらよかったのですが。

52金41銀打、これで角を取られます。

と金を使われて、先手は攻めに困りません。後手が勝つには入玉しかないのですが、角を取られているので点数が足りない状況です。

これで銀を取られて

先手に入玉まで見せられました。

歩の手筋でちょっとブロックしました。

と金を作って

13玉とすれば長かったのですが、相入玉でも見込みなしと見たのでしょう。37と はどうにかして39角を取れたらという手です。

でも先手に31角を打たれては、後手の入玉は難しいです。

24歩を無視して47と の角取りですが、

金を取られ、角を逃げて入玉を阻止されてはどうにもなりません。

41金に35金で

35同飛同角34玉55竜まで。

 

大山先生は相居飛車でも玉頭方面から動いて入玉を見せるのがうまいです。これは私もどうにかして身に着けたいのですが、うまくはならないですね。棋風が関係しているのでしょう。

 

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.46 棋譜ファイル ----
開始日時:1962/07/27
手合割:平手  
先手:大山王位
後手:花村元司8段
手数----指手--
   1 7六歩(77)  
   2 3四歩(33)  
   3 2六歩(27)  
   4 3二金(41)  
   5 2五歩(26)  
   6 3三角(22)  
   7 4八銀(39)  
   8 4二銀(31)  
   9 5六歩(57)  
  10 8四歩(83)  
  11 6六歩(67)  
  12 8五歩(84)  
  13 7七角(88)  
  14 6四歩(63)  
  15 7八金(69)  
  16 6二銀(71)  
  17 5七銀(48)  
  18 6三銀(62)  
  19 6八銀(79)  
  20 5二金(61)  
  21 6七銀(68)  
  22 5四銀(63)  
  23 6九玉(59)  
  24 1四歩(13)  
  25 3六歩(37)  
  26 6二飛(82)  
  27 5八金(49)  
  28 4一玉(51)  
  29 7五歩(76)  
  30 6五歩(64)  
  31 同 歩(66)  
  32 同 銀(54)  
  33 6六歩打    
  34 5四銀(65)  
  35 7九玉(69)  
  36 7二飛(62)  
  37 7六銀(67)  
  38 7四歩(73)  
  39 同 歩(75)  
  40 6三銀(54)  
  41 5九角(77)  
  42 7四飛(72)  
  43 7五歩打    
  44 8四飛(74)  
  45 3七角(59)  
  46 6四歩打    
  47 6七金(58)  
  48 3一玉(41)  
  49 1六歩(17)  
  50 5四銀(63)  
  51 7七桂(89)  
  52 7三桂(81)  
  53 4六銀(57)  
  54 4四歩(43)  
  55 5五銀(46)  
  56 6三銀(54)  
  57 8五桂(77)  
  58 同 桂(73)  
  59 8六歩(87)  
  60 7七歩打    
  61 6八金(78)  
  62 9七桂成(85)
  63 同 香(99)  
  64 5四歩(53)  
  65 8五歩(86)  
  66 8三飛(84)  
  67 6四銀(55)  
  68 5五桂打    
  69 同 銀(64)  
  70 同 歩(54)  
  71 同 角(37)  
  72 6四歩打    
  73 7七金(68)  
  74 5三金(52)  
  75 2四桂打    
  76 2二金(32)  
  77 3五歩(36)  
  78 4三銀(42)  
  79 3四歩(35)  
  80 同 銀(43)  
  81 3五歩打    
  82 同 銀(34)  
  83 8八飛(28)  
  84 2四歩(23)  
  85 8四歩(85)  
  86 8二飛(83)  
  87 8三歩成(84)
  88 3二飛(82)  
  89 7三と(83)  
  90 5四銀(63)  
  91 8一飛成(88)
  92 5一歩打    
  93 2八角(55)  
  94 2五歩(24)  
  95 8八玉(79)  
  96 2三金(22)  
  97 7四と(73)  
  98 4二角(33)  
  99 5五歩(56)  
 100 4三銀(54)  
 101 3三歩打    
 102 同 飛(32)  
 103 5四桂打    
 104 同 金(53)  
 105 同 歩(55)  
 106 2四銀(35)  
 107 3七歩打    
 108 3二銀(43)  
 109 5二金打    
 110 4一銀打    
 111 4二金(52)  
 112 同 銀(41)  
 113 6四と(74)  
 114 2二玉(31)  
 115 5三歩成(54)
 116 同 銀(42)  
 117 同 と(64)  
 118 同 飛(33)  
 119 5六歩打    
 120 3三飛(53)  
 121 8七玉(88)  
 122 7四歩打    
 123 同 歩(75)  
 124 7五歩打    
 125 6五銀(76)  
 126 8四歩打    
 127 8六歩打    
 128 2六歩(25)  
 129 5一龍(81)  
 130 2七歩成(26)
 131 3九角(28)  
 132 3七と(27)  
 133 2五歩打    
 134 同 銀(24)  
 135 3一角打    
 136 1二玉(22)  
 137 2四歩打    
 138 4七と(37)  
 139 2三歩成(24)
 140 同 玉(12)  
 141 1七角(39)  
 142 4一金打    
 143 3五金打    
 144 同 飛(33)  
 145 同 角(17)  
 146 3四玉(23)  
 147 5五龍(51)  
 148 投了        
まで147手で先手の勝ち