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小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

「終戦の日」に考える――降伏文書とサンフランシスコ講和文書の検証に、メディアはなぜ目を背ける。

2014-08-15 06:50:33 | Weblog
 日本人の大半は、今日が「終戦の日」だと思っている。メディアが勝手にそう決めつけているからだ。
 正確に言うと、日本国民が「戦争が終わった」ことを知った日が8月15日だ。いわゆる玉音放送がラジオで流されたのが69年前の8月15日正午だったからである。
 いまこのブログを書いているのは午前5時前。私が住んでいるこの地区には新聞販売店の競争がない。つまり販売店1社が読売新聞も朝日新聞も、毎日新聞、日本経済新聞から地元紙やスポーツ紙に至るまですべてを扱っているからだ。だから1人の配達人がすべての購読者に、とっている新聞を間違えないように配達しなければならない。すべての新聞を扱っているコンビニが配達までしているようなものだ。そのためか、あるいは独占にあぐらをかいているせいか、新聞の届くのは毎日6時過ぎになる。
 が、ネットでは全国紙5紙の社説を読むことができる。全国紙5紙のうち日本経済新聞を除いて4紙が社説欄のすべてを「終戦」に割いた。視点はそれぞれ違うし、各紙の社説を今日のブログで論じるつもりもない。
 が、終戦の重みを知っている人がだんだん少なくなっている。かくいう私も、年代的には戦中派に入るが、終戦直後に中国・天津から佐世保港に引き揚げた船中のことだけが、なぜか頭の片隅に残っている。父は終戦間際に現地召集され、父の勤務先の配慮で残った家族たちがいち早く帰国できたらしい。それ以外は、戦争についての記憶はまったくない。戦後の疎開先の田舎でのことは断片的にいろいろ覚えてはいるが。
 しかし、なぜ今日が「終戦の日」なのか、ふと疑問に思った。で、ネットで「終戦」をキーワードにヤフーで検索してみた。検索結果の中からウィキペディアの「終戦の日」を開いてみた。各国によって終戦日は異なっていることが分かった。アメリカ、イギリス、フランス、カナダ、ロシアは9月2日を対日戦勝記念日(VJデー)と呼んでいるようだ。東京湾に入港した戦艦ミズーリ―号上で日本政府が降伏文書(ポツダム宣言受諾)に調印した日が1945年9月2日だからだ。
 フランスはドイツに占領され、米英連合軍によって解放された国だ。日本と戦争状態にあったとすれば、東南アジアのフランス領を日本軍が占領したことを意味するとしか考えようがない。それらの旧フランス領は、すべて独立してフランスの植民地ではなくなっていた。フランスが、なぜ対日戦勝国になるのか、不思議だ。
 もっと不思議なのは、カナダだ。日本はカナダと戦火を交えたことがあっただろうか。戦争をしていない国が9月2日を「戦勝記念日」として設けたのはなぜだろう? 理由がさっぱりわからない。

 厳密に言えば、日本政府がポツダム宣言受諾を連合国に通告したのは8月14日。ウィキペディアの「終戦の日」では分からなかったが、同じウィキペディアの「日本の降伏」によれば、8月15日にNHKが放送した昭和天皇の玉音放送「終戦の勅書」の日付は8月14日となっているという。
 驚いたのは、「日本の降伏」で知った新しい事実だ。ウィキペディアは必ずしも常に正確な解説をしているとは限らないが、この記述に関しては何の疑問も寄せられていない(つまり「編集」という注意書きが付されていない)から、事実とみて良いだろう。その記述によれば、9月2日の降伏文書調印によって、連合国による大日本帝国版図の分割占領統治が決まった。そのこと自体はだれもが知っていることだが、だれもが知らされていないことがあった。
 分割占領統治は、降伏文書調印によってこう決められたようだ。

 北方領土に対する占領統治はソ連。
 中国大陸および台湾に対する占領統治は主に中華民国。
 その他は主に米国。イギリスは占領に関与していない。

 この分割占領統治状態は、サンフランシスコ講和条約によってどうなったのか。重要な二つのケースに関して、ウィキペディアは①千島列島の権利の放棄、②琉球諸島や小笠原諸島などについては、「アメリカ合衆国の信託統治領とする同国の提案があればこれに同意する」としている。
 つまり北方領土問題も、沖縄返還時の密約問題やその後の基地問題も、その発端はすべて降伏文書とサンフランシスコ講和条約文書の内容にありそうだ。ソ連がサンフランシスコ講和条約の締結を拒否したのも、北方領土に対する権利関係が不明遼だったためではないか。実際、千島列島に南千島(択捉・国後)が含まれるかどうかについては解釈上の争いがいまでもあるようだ。
 メディアは、たとえ日本の国益にとって不利になることであっても、歴史の検証はフェアにやってほしい。

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