今日(8月29日)午前5時58分ごろ(日本時間)、北朝鮮が首都ピョンヤン近くの基地(西岸のトンチャンリ)から弾道ミサイルを発射し、6時6分ごろ北海道・襟裳岬上空を通過、12分ごろに襟裳岬の東1180キロの太平洋に落下した、と政府が発表した。
事前の通告はまったくなく、明らかな国際法違反であり、政府が北朝鮮に強く抗議するのは当然である。過去、北朝鮮は人工衛星を打ち上げるとして日本国内上空を通過する「ミサイル」を4回発射しているが、発射時期や時間帯などを国際機関に事前通告していた。今回のような無通告の発射は国際的にも異例の事態であり、私も憤慨している。
この弾道ミサイル発射に関し、安倍総理は直ちに米トランプ大統領と電話で40分ほど話し合い、北朝鮮に対するさらなる圧力を強めていくことで同意したという。
が、経済封鎖などの圧力・制裁をいくら強めても、これまでの北朝鮮の対応から考えても効果はほとんど期待できないだろう。
もともと北朝鮮が自国国民の生活を犠牲にしてまで核・ミサイル開発に血道をあげてきたのは、アメリカの敵視政策に対する「自衛手段」としてである。確たる根拠もなくアメリカ政府は過去、北朝鮮を「ならず者国家」「テロ支援国家」「悪の枢軸」などと非難してきた。そして露骨な北朝鮮攻撃作戦実施を前提とした米韓合同軍事演習を行ってきた、いま現在も合同軍事演習を実行中である。今回の軍事演習はコンピュータによるシミュレーションということだが、その内容は公表されていないが、朝鮮半島で再び戦火が生じた場合の対北作戦であることは疑いようがない。
北朝鮮がアメリカに対して根本的な不信感を持っているのは、イラク戦争を知っているからだ。アメリカは勝手にイラク・フセイン政権が核兵器や生物化学兵器を開発していると思い込み、一方的にイラクを攻撃、フセインを殺した。が、イラクの国中を探しても核兵器も生物化学兵器も出てこなかった。このイラク戦争に加わったイギリス政府は戦後、国民からの厳しい批判を浴びることになった。それまではアメリカの最大の同盟国としてアメリカの戦争に加担してきたイギリスだが、イラク戦争以降アメリカの軍事行動に対して距離を置くようになったくらいだ。
もし日本が、たとえば核大国であるロシアや中国から敵視政策をとられ、軍事的威圧を受けることになったら、アメリカの「核の傘」を当てにしているわけにはいかなくなる。実際自民党次期総裁候補として有力視されている石破氏は、「いざというとき、アメリカが自ら血を流しても日本を守ってくれると思っていたら大間違いだ」と発言している。
外交力を左右する最大の要因は軍事力である。建前としてではあっても、いちおう日本はアメリカの「核の傘」で守られている間は、日本の外交力はアメリカの核によって補完されている。ただし、日本の独自外交はアメリカのご機嫌を大きく損なわない範囲に限られる。
安倍政権が、対ロ外交においてある程度独自性を行使できているのは、安保法制を成立させたことでアメリカに多少恩を売ったからにすぎない。安保法制の成立によって、日本は同盟国アメリカが他国から攻撃を受けた時、アメリカのために戦争が出来る国になった。
憲法9条は、日本の交戦権を否定している。戦力の不保持もうたってはいるが、自衛隊が戦力ではないなどと思っている人は世界中探しても一人もいないだろう。「戦力ではない実力」などというごまかしは、日本国内では通用しても、海外では通用するわけがない。安保法制によって、憲法9条の最後の砦だった交戦権の否定すら危うくなってしまった。
現に、北朝鮮がグアム周辺にミサイルを撃ち込むと宣言した時、そのミサイルを日本領空で迎撃できる体制を整えた。そして小野寺防衛相は「もしグアムが攻撃されたら、日本の抑止力が弱まる。ということは日本存亡の危機に相当する可能性も否定できない」と、いわゆる「集団的自衛権」の行使をほのめかしている。もし日本がアメリカのために北朝鮮のミサイルを撃ち落としたら、北朝鮮から宣戦布告に等しい行為とみなされる可能性は否定できない。
誤解のないよう言っておくが、私は北朝鮮の核やミサイルを支持しているわけではない。アジアの平和と安定にとって大きな脅威であることは否定できない。ただ圧力で北朝鮮に核とミサイルを放棄させることは不可能だ、ということを言いたいだけだ。
北朝鮮はどんなに経済的あるいは軍事的圧力をかけても、核とミサイルを放棄することはあり得ない。北朝鮮にとっては核とミサイルは国家存亡にかかわる問題だからだ。
この問題を解決するには、アメリカが北朝鮮に対する敵視政策をやめることしかない。米韓軍事演習も朝鮮半島周辺で行うのではなく、グアムでやればいい。日本の自衛隊もアメリカと合同軍事演習を行っているが、朝鮮半島周辺で行っているわけではないから、北朝鮮も自国に対する挑発行為だとは受け取っていない。
北朝鮮がアメリカの軍事力を脅威に思わなくなったら、現在持っている核とミサイルを放棄することはないにしても、これ以上の開発は止める可能性が高い。あとは事実上の核保有国であるインドやパキスタン、イスラエルと同様、触れず障らずで黙認するしかない。
前回のブログで田原総一郎氏が安倍総理に進言した「政治生命をかけた冒険」とは、おそらく安倍総理の北朝鮮への電撃訪問と平和条約交渉ではなかったか、と実は私は思っている。その根拠は二つのキーワード「外交問題」と「野党も反対しないだろう」にある。さらに「安倍さんがアクションを起こせばわかる」「いま内容を話すと確実に壊れる」も重要なキーワードだ。なぜ壊れるのか。壊すのはだれか。しかも「野党も反対しない」「外交」問題ということになると、事前に分かると間違いなくアメリカが妨害する「日朝関係」しか考えられない。
が、今回の北朝鮮のミサイル発射問題で、安倍総理も「政治生命をかけた冒険」に乗り出すことは不可能になった。おそらく田原氏をインタビューした毎日新聞の吉井記者も「日朝関係」ということには気づいていると思う。電撃訪問と平和条約交渉ということまでインタビューの中で話が出たのではないか。が、田原氏への信義もあり、そこまで踏み込んだ記事にはしなかったのだろう。私も前回のブログでは多少匂わすところでとどめておいたが、「政治生命をかけた冒険」も不可能になったから書いてしまうことにした。
事前の通告はまったくなく、明らかな国際法違反であり、政府が北朝鮮に強く抗議するのは当然である。過去、北朝鮮は人工衛星を打ち上げるとして日本国内上空を通過する「ミサイル」を4回発射しているが、発射時期や時間帯などを国際機関に事前通告していた。今回のような無通告の発射は国際的にも異例の事態であり、私も憤慨している。
この弾道ミサイル発射に関し、安倍総理は直ちに米トランプ大統領と電話で40分ほど話し合い、北朝鮮に対するさらなる圧力を強めていくことで同意したという。
が、経済封鎖などの圧力・制裁をいくら強めても、これまでの北朝鮮の対応から考えても効果はほとんど期待できないだろう。
もともと北朝鮮が自国国民の生活を犠牲にしてまで核・ミサイル開発に血道をあげてきたのは、アメリカの敵視政策に対する「自衛手段」としてである。確たる根拠もなくアメリカ政府は過去、北朝鮮を「ならず者国家」「テロ支援国家」「悪の枢軸」などと非難してきた。そして露骨な北朝鮮攻撃作戦実施を前提とした米韓合同軍事演習を行ってきた、いま現在も合同軍事演習を実行中である。今回の軍事演習はコンピュータによるシミュレーションということだが、その内容は公表されていないが、朝鮮半島で再び戦火が生じた場合の対北作戦であることは疑いようがない。
北朝鮮がアメリカに対して根本的な不信感を持っているのは、イラク戦争を知っているからだ。アメリカは勝手にイラク・フセイン政権が核兵器や生物化学兵器を開発していると思い込み、一方的にイラクを攻撃、フセインを殺した。が、イラクの国中を探しても核兵器も生物化学兵器も出てこなかった。このイラク戦争に加わったイギリス政府は戦後、国民からの厳しい批判を浴びることになった。それまではアメリカの最大の同盟国としてアメリカの戦争に加担してきたイギリスだが、イラク戦争以降アメリカの軍事行動に対して距離を置くようになったくらいだ。
もし日本が、たとえば核大国であるロシアや中国から敵視政策をとられ、軍事的威圧を受けることになったら、アメリカの「核の傘」を当てにしているわけにはいかなくなる。実際自民党次期総裁候補として有力視されている石破氏は、「いざというとき、アメリカが自ら血を流しても日本を守ってくれると思っていたら大間違いだ」と発言している。
外交力を左右する最大の要因は軍事力である。建前としてではあっても、いちおう日本はアメリカの「核の傘」で守られている間は、日本の外交力はアメリカの核によって補完されている。ただし、日本の独自外交はアメリカのご機嫌を大きく損なわない範囲に限られる。
安倍政権が、対ロ外交においてある程度独自性を行使できているのは、安保法制を成立させたことでアメリカに多少恩を売ったからにすぎない。安保法制の成立によって、日本は同盟国アメリカが他国から攻撃を受けた時、アメリカのために戦争が出来る国になった。
憲法9条は、日本の交戦権を否定している。戦力の不保持もうたってはいるが、自衛隊が戦力ではないなどと思っている人は世界中探しても一人もいないだろう。「戦力ではない実力」などというごまかしは、日本国内では通用しても、海外では通用するわけがない。安保法制によって、憲法9条の最後の砦だった交戦権の否定すら危うくなってしまった。
現に、北朝鮮がグアム周辺にミサイルを撃ち込むと宣言した時、そのミサイルを日本領空で迎撃できる体制を整えた。そして小野寺防衛相は「もしグアムが攻撃されたら、日本の抑止力が弱まる。ということは日本存亡の危機に相当する可能性も否定できない」と、いわゆる「集団的自衛権」の行使をほのめかしている。もし日本がアメリカのために北朝鮮のミサイルを撃ち落としたら、北朝鮮から宣戦布告に等しい行為とみなされる可能性は否定できない。
誤解のないよう言っておくが、私は北朝鮮の核やミサイルを支持しているわけではない。アジアの平和と安定にとって大きな脅威であることは否定できない。ただ圧力で北朝鮮に核とミサイルを放棄させることは不可能だ、ということを言いたいだけだ。
北朝鮮はどんなに経済的あるいは軍事的圧力をかけても、核とミサイルを放棄することはあり得ない。北朝鮮にとっては核とミサイルは国家存亡にかかわる問題だからだ。
この問題を解決するには、アメリカが北朝鮮に対する敵視政策をやめることしかない。米韓軍事演習も朝鮮半島周辺で行うのではなく、グアムでやればいい。日本の自衛隊もアメリカと合同軍事演習を行っているが、朝鮮半島周辺で行っているわけではないから、北朝鮮も自国に対する挑発行為だとは受け取っていない。
北朝鮮がアメリカの軍事力を脅威に思わなくなったら、現在持っている核とミサイルを放棄することはないにしても、これ以上の開発は止める可能性が高い。あとは事実上の核保有国であるインドやパキスタン、イスラエルと同様、触れず障らずで黙認するしかない。
前回のブログで田原総一郎氏が安倍総理に進言した「政治生命をかけた冒険」とは、おそらく安倍総理の北朝鮮への電撃訪問と平和条約交渉ではなかったか、と実は私は思っている。その根拠は二つのキーワード「外交問題」と「野党も反対しないだろう」にある。さらに「安倍さんがアクションを起こせばわかる」「いま内容を話すと確実に壊れる」も重要なキーワードだ。なぜ壊れるのか。壊すのはだれか。しかも「野党も反対しない」「外交」問題ということになると、事前に分かると間違いなくアメリカが妨害する「日朝関係」しか考えられない。
が、今回の北朝鮮のミサイル発射問題で、安倍総理も「政治生命をかけた冒険」に乗り出すことは不可能になった。おそらく田原氏をインタビューした毎日新聞の吉井記者も「日朝関係」ということには気づいていると思う。電撃訪問と平和条約交渉ということまでインタビューの中で話が出たのではないか。が、田原氏への信義もあり、そこまで踏み込んだ記事にはしなかったのだろう。私も前回のブログでは多少匂わすところでとどめておいたが、「政治生命をかけた冒険」も不可能になったから書いてしまうことにした。
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