さんざん世間を騒がせた、あの人が次期総選挙への出馬の意欲を示した。豊田真由子衆院議員である。
この人のキャリアはすごい。お嬢様学校で女子校御三家のNO.1、桜蔭学園(中高一貫校)から東大法学部を経て厚生省(現厚労省)に入省。国費留学生としてハーバード大学院で修士号を取得、12年12月の衆院選で自民党から埼玉4区で出馬し、初当選。現在2期目。
桜蔭は勉強もさることながら、「礼」と「作法」を重んじ、道徳教育にも熱心だという。さらに厚労省と言えば社会的弱者のための政策を担当する行政府である。秘書に対する暴言・暴行(本人は暴行は否定)とは、およそ無縁な境遇に身を置いてきたはずだ。
ブログ読者は豊田氏の「暴言・暴行」事件についてはご存じのはずだから、ここでは繰り返さない。ただ、17日の『Mr.サンデー』で放映された宮根氏とのインタビューと、昨日(18日)の90分に及ぶ記者会見をみると、この人は「自分の何が問われているのか」がまったくお分かりでないようだ。
「あんな異常なことは、今回が初めて。自分でもどうかしていたとしか思えない」
「私も、あの音声を聞くたびに呆然として涙が止まらない」
「自分にはエリート意識がなく、コンプレックスのかたまり」
「人が必要としてくれる、自分が役にたてるということが、自分の生きる証というか力になったというか、それは自信のなさの裏返しだったと思う」
「多分、私は世の中とのかい離がすごくあったと思う」
「ここで逃げるのではなく、地域のため国のため世界のため、恥をさらして(政治家として)生きていくことが責任を全うすることだと思う」
政治家も人の子。過ちを犯すこともあるだろう。
問題は、過ちを犯したときの身の処し方が、政治家の場合は一般人と違ってより厳しく問われるということだ。そうした自覚のない人は、いかに高邁な理想を持っていたとしても、政治家としての資質に欠けると言われても仕方あるまい。
宮根氏は、インタビューで「自分もアホです。あなたもアホだ。でも出直しはできる」と、心にこもったアドバイスをした。彼がインタビューしたときは、まだ永田町に解散風は吹き出していなかった。
私が早ければ臨時国会での冒頭解散、遅くても10月22日の補選結果を見ての解散の可能性が強いとのブログを投稿したのは17日の07:47:49である。いま読み直してみて憲法改正についての記述に誤変換があったことに気付いた。「正統派(石橋)」とあるのは「石破氏」の誤変換である。それを直すと投稿日時が変わってしまうので、そのままにしておく。
そのことはともかく、3か月も雲隠れしていた(『文藝春秋』のインタビューには応じたが…)豊田氏が、宮根氏とのインタビューに応じたのは永田町の空気の変化を察したためだったのか。だとしたら豊田氏は相当したたかだし、宮根氏はまんまとひっかけられたことになる。
このインタビューと放送があった17日には、豊田氏は翌18日に地元で支持者や後援会員に説明会を開く予定にしていたが、支持者たちの反発が強く集会不可能ということで、いったん中止の報道があった。
が、翌日一気に解散風が噴き出した途端、地元での説明会と記者会見を行うことにした、という経緯がある。豊田氏にとってはすべて計算づくのストーリーだったのかもしれない。政治家たるもの、そのくらい図々しくないと人の上には立てないということか。
とりわけ豊田氏は、厚労省のキャリアである。せめて社会的弱者の心の傷と痛みに思いをはせることが出来るようになるまで、「精神修行」なり社会的弱者に対するボランティア活動というみそぎを済ませてからでも、政治家として何かをやりたいなら遅くはないと思うのだが…。ま、自分の子供が小学校でいじめられてはいないだろうか、という母心も失っている人に、そういうことを期待するほうが無理か。
が、そんな人に厚労行政で大きな顔はしてもらいたくない。
豊田氏の件から離れる。臨時国会冒頭の解散は必至という情勢のようだ。やはり問題になったのは、私がブログで書いた通り「解散の大義名分」だった。でも、私もまさか安倍政権が「消費税増税分の使途」を持ち出すとは思いもよらなかった。だいたい、増税はまだ1年以上先の話だ。
民進党の前原代表は、民進党代表選で「消費税増税分を子育て財源に」と主張していたようだが、それを安倍さんはパクったのか。憲法改正でも9条の1項2項は残して3項で自衛隊について明記するというアイディアも、前原氏が先に言い出していたようで、安倍さんにはパクリの前科がある。
私もさんざんパクられてきたから、前原氏の怒りも分からぬわけではないが、しょせん政治の世界は豊田氏のように図々しくなければ勝ち残れない世界のようだから仕方がない。
それにしても、いまなぜ「消費税増税分の使い道」なのか。もともと民進党・前原氏が主張してきたアイディアにかぶせたのなら、選挙の争点になどなりはしない。
昨夜の『プライム』で反町MCが、「確か先の衆院選でも争点は消費税の増税時期延期が争点でしたよね」と言っていたが、コメンテーターのだれも「違う」と否定しなかった。
実は前回の衆院選では、安倍総理としては民主党が3党合意に基づいて予定通り消費税増税時期の延期に反対するだろうと予想し、実際に増税時期を争点にしようとしていたのだが、肝心の民主党がのってこなかった。かといって永田町に噴出した解散風は収まらない。
やむを得ず、安倍総理が苦肉の策として無理やり争点にしようとしてのが「アベノミクスの継続について国民に信を問う」と、まだアベノミクスの失敗が明らかになっていなかった時点で、勝手にぶち上げたアドバルーンだった。当時アベノミクスを手厳しく批判していたのは私くらいなもので、メディアも見極めをつけかねていた時期である。
当然有権者は、この選挙にしらけきった。ちょっと面倒くさかったが、この選挙について私が書いたブログを見直すことにした。14年11月21日から12月11日まで7回にわたって『総選挙を考える』と題したブログを書いていた。その1回目の冒頭で私はこう書いている。
安倍総理は解散表明後の記者会見でこう述べた。「今回の選挙で自公が過半数を取れなければ、アベノミクスが国民から否定されたことを意味する。私は直ちに退陣する」と(18日)。
実は安倍総理が解散表明した当日の18日10:27:52に投稿したブログではこう書いている(総理が解散を初めて表明したのは、海外歴訪から帰国した当日の午後8時)。
今日安倍総理が解散を宣言するようだ。「早まった」と後悔しているかもしれないが、ここまで来た解散風を止めることは総理にもできまい。「争点なき選挙」と言われてきた12月総選挙だが、アベノミクスの総括が最大の争点になることは必至だ。(中略)「争点は生じたが、選択肢がなくなった総選挙」と私は定義する。
私が書いた『総選挙を考える』の7回シリーズのタイトルだけ列挙しておく。
① 解散の大義はアベノミクスの継続のためか?
② アベノミクスは砂上の楼閣だったかも…。
③ 「アベノミクス」が総選挙の争点になったホントウの理由
④ 「アベノミクス・サイクル」はなぜ空転したのか。
⑤ 保育所増設では少子化対策に歯止めはかけられない。
⑥ 社会福祉政策を根本から見直す時が来た。
⑦ 安倍さんが次の世代に回そうとしているツケにストップを。
このシリーズの4回目は公示日(12月2日)の翌日に投稿している。そのブログで、私はこう書いた。
今回の総選挙は憲政史上空前の低投票率を記録することだけは間違いない。結果として国民に選択肢がないため(野党が効果的な経済政策を打ち出せないため)、自公連立政権は継続されることも間違いないが、はっきりしていることは選挙の低投票率は、国民が突き付けたアベノミクスに対するNOであることだけは言っておく。
結果はどうだったか。戦後最低の記録を作った前回の投票率59.32%をはるかに下回る52.66%だった。今回は、その記録も破る可能性が高い。
安倍総理の解散表明は国連総会が終えた帰国後に行うようだ。
この人のキャリアはすごい。お嬢様学校で女子校御三家のNO.1、桜蔭学園(中高一貫校)から東大法学部を経て厚生省(現厚労省)に入省。国費留学生としてハーバード大学院で修士号を取得、12年12月の衆院選で自民党から埼玉4区で出馬し、初当選。現在2期目。
桜蔭は勉強もさることながら、「礼」と「作法」を重んじ、道徳教育にも熱心だという。さらに厚労省と言えば社会的弱者のための政策を担当する行政府である。秘書に対する暴言・暴行(本人は暴行は否定)とは、およそ無縁な境遇に身を置いてきたはずだ。
ブログ読者は豊田氏の「暴言・暴行」事件についてはご存じのはずだから、ここでは繰り返さない。ただ、17日の『Mr.サンデー』で放映された宮根氏とのインタビューと、昨日(18日)の90分に及ぶ記者会見をみると、この人は「自分の何が問われているのか」がまったくお分かりでないようだ。
「あんな異常なことは、今回が初めて。自分でもどうかしていたとしか思えない」
「私も、あの音声を聞くたびに呆然として涙が止まらない」
「自分にはエリート意識がなく、コンプレックスのかたまり」
「人が必要としてくれる、自分が役にたてるということが、自分の生きる証というか力になったというか、それは自信のなさの裏返しだったと思う」
「多分、私は世の中とのかい離がすごくあったと思う」
「ここで逃げるのではなく、地域のため国のため世界のため、恥をさらして(政治家として)生きていくことが責任を全うすることだと思う」
政治家も人の子。過ちを犯すこともあるだろう。
問題は、過ちを犯したときの身の処し方が、政治家の場合は一般人と違ってより厳しく問われるということだ。そうした自覚のない人は、いかに高邁な理想を持っていたとしても、政治家としての資質に欠けると言われても仕方あるまい。
宮根氏は、インタビューで「自分もアホです。あなたもアホだ。でも出直しはできる」と、心にこもったアドバイスをした。彼がインタビューしたときは、まだ永田町に解散風は吹き出していなかった。
私が早ければ臨時国会での冒頭解散、遅くても10月22日の補選結果を見ての解散の可能性が強いとのブログを投稿したのは17日の07:47:49である。いま読み直してみて憲法改正についての記述に誤変換があったことに気付いた。「正統派(石橋)」とあるのは「石破氏」の誤変換である。それを直すと投稿日時が変わってしまうので、そのままにしておく。
そのことはともかく、3か月も雲隠れしていた(『文藝春秋』のインタビューには応じたが…)豊田氏が、宮根氏とのインタビューに応じたのは永田町の空気の変化を察したためだったのか。だとしたら豊田氏は相当したたかだし、宮根氏はまんまとひっかけられたことになる。
このインタビューと放送があった17日には、豊田氏は翌18日に地元で支持者や後援会員に説明会を開く予定にしていたが、支持者たちの反発が強く集会不可能ということで、いったん中止の報道があった。
が、翌日一気に解散風が噴き出した途端、地元での説明会と記者会見を行うことにした、という経緯がある。豊田氏にとってはすべて計算づくのストーリーだったのかもしれない。政治家たるもの、そのくらい図々しくないと人の上には立てないということか。
とりわけ豊田氏は、厚労省のキャリアである。せめて社会的弱者の心の傷と痛みに思いをはせることが出来るようになるまで、「精神修行」なり社会的弱者に対するボランティア活動というみそぎを済ませてからでも、政治家として何かをやりたいなら遅くはないと思うのだが…。ま、自分の子供が小学校でいじめられてはいないだろうか、という母心も失っている人に、そういうことを期待するほうが無理か。
が、そんな人に厚労行政で大きな顔はしてもらいたくない。
豊田氏の件から離れる。臨時国会冒頭の解散は必至という情勢のようだ。やはり問題になったのは、私がブログで書いた通り「解散の大義名分」だった。でも、私もまさか安倍政権が「消費税増税分の使途」を持ち出すとは思いもよらなかった。だいたい、増税はまだ1年以上先の話だ。
民進党の前原代表は、民進党代表選で「消費税増税分を子育て財源に」と主張していたようだが、それを安倍さんはパクったのか。憲法改正でも9条の1項2項は残して3項で自衛隊について明記するというアイディアも、前原氏が先に言い出していたようで、安倍さんにはパクリの前科がある。
私もさんざんパクられてきたから、前原氏の怒りも分からぬわけではないが、しょせん政治の世界は豊田氏のように図々しくなければ勝ち残れない世界のようだから仕方がない。
それにしても、いまなぜ「消費税増税分の使い道」なのか。もともと民進党・前原氏が主張してきたアイディアにかぶせたのなら、選挙の争点になどなりはしない。
昨夜の『プライム』で反町MCが、「確か先の衆院選でも争点は消費税の増税時期延期が争点でしたよね」と言っていたが、コメンテーターのだれも「違う」と否定しなかった。
実は前回の衆院選では、安倍総理としては民主党が3党合意に基づいて予定通り消費税増税時期の延期に反対するだろうと予想し、実際に増税時期を争点にしようとしていたのだが、肝心の民主党がのってこなかった。かといって永田町に噴出した解散風は収まらない。
やむを得ず、安倍総理が苦肉の策として無理やり争点にしようとしてのが「アベノミクスの継続について国民に信を問う」と、まだアベノミクスの失敗が明らかになっていなかった時点で、勝手にぶち上げたアドバルーンだった。当時アベノミクスを手厳しく批判していたのは私くらいなもので、メディアも見極めをつけかねていた時期である。
当然有権者は、この選挙にしらけきった。ちょっと面倒くさかったが、この選挙について私が書いたブログを見直すことにした。14年11月21日から12月11日まで7回にわたって『総選挙を考える』と題したブログを書いていた。その1回目の冒頭で私はこう書いている。
安倍総理は解散表明後の記者会見でこう述べた。「今回の選挙で自公が過半数を取れなければ、アベノミクスが国民から否定されたことを意味する。私は直ちに退陣する」と(18日)。
実は安倍総理が解散表明した当日の18日10:27:52に投稿したブログではこう書いている(総理が解散を初めて表明したのは、海外歴訪から帰国した当日の午後8時)。
今日安倍総理が解散を宣言するようだ。「早まった」と後悔しているかもしれないが、ここまで来た解散風を止めることは総理にもできまい。「争点なき選挙」と言われてきた12月総選挙だが、アベノミクスの総括が最大の争点になることは必至だ。(中略)「争点は生じたが、選択肢がなくなった総選挙」と私は定義する。
私が書いた『総選挙を考える』の7回シリーズのタイトルだけ列挙しておく。
① 解散の大義はアベノミクスの継続のためか?
② アベノミクスは砂上の楼閣だったかも…。
③ 「アベノミクス」が総選挙の争点になったホントウの理由
④ 「アベノミクス・サイクル」はなぜ空転したのか。
⑤ 保育所増設では少子化対策に歯止めはかけられない。
⑥ 社会福祉政策を根本から見直す時が来た。
⑦ 安倍さんが次の世代に回そうとしているツケにストップを。
このシリーズの4回目は公示日(12月2日)の翌日に投稿している。そのブログで、私はこう書いた。
今回の総選挙は憲政史上空前の低投票率を記録することだけは間違いない。結果として国民に選択肢がないため(野党が効果的な経済政策を打ち出せないため)、自公連立政権は継続されることも間違いないが、はっきりしていることは選挙の低投票率は、国民が突き付けたアベノミクスに対するNOであることだけは言っておく。
結果はどうだったか。戦後最低の記録を作った前回の投票率59.32%をはるかに下回る52.66%だった。今回は、その記録も破る可能性が高い。
安倍総理の解散表明は国連総会が終えた帰国後に行うようだ。
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