三筋北陸・ワインダー(糸捲き機)の専門機料店

繊維産業のウラ話に迫る、メンテナンスのお気楽日記。

メンテお気楽日記 7月1日 海外糸の脅威

2015-06-30 | メンテナンスお気楽日記
                        記事とは関係ない、原糸の資料写真です。

加工業者が驚いた。韓国から入った原糸のパッケージを開け、撚台にセットする。
以前は、それなりの糸?とタカをくくっていたが、手当りが違っているのを感じる。


加工賃の値上げを要求をするば「他工場でやってもらえる処がある」「海外加工すればこの価格以下で
出来る」など、ケツを捲くれない状況がずっと続いていた。

それでも我慢できたのは、海外糸の品質を知っていたから。TWが違う、量がバラバラ、中には原糸
状態でもケバが確認できる。商社に「うちはAランク糸しか買ってない」と言わしめる品質。

そりゃ、仕事のなんたるかを教えないまま、生産依頼すれば、先方は買ってもらえる仕事が出来る。
機械は日本で余った?中古機械が提供され、人件費の差が○○に大きな利益をもたらす。

撚糸屋のおやじに聞けば「海外糸の品質には商社が根をあげる筈、それにいつまでも低賃金で雇える
筈もなく、必ず日本の品質に泣きを入れてくる。それまでの辛抱ダ」


ところが、美味しい味を覚えた海外工場もバカではない。製造技術を覚えれば、次は品質技術。
良い糸を作れば、高く売れる。賃金の高騰分も確保しなければならない。
すでに中国では、中古機械の輸入規制をかけ、繊維機械産業の育成を後押ししている。

この状態がもう何年続いたかは定かではないが、個人企業の体力は確実に落ちている。
後継者を勧める魅力を見いだせない、それどころか国内品質を維持する設備自体も危うい。


「自分の代が終われば、すべて海外生産に頼るしかないのか?」そんなことは絶対ない!
技術を伝承し、今ある設備を維持できれば、国内需要、しいては魅力あるものづくりも可能。

その為には、マイスター協会、仲間同士の団結・協力が大きな力となると考えます。
確かに「組合」は存続していますが、繁栄時代を引きずり、組合維持のための団体に感じてしまう。

本来の組合は、会員が切磋琢磨して、勉強会・情報交換などを通し「ものづくり」を楽しくする為の組織。
また、組織の強さは、設備維持資金や設備投資の相談にのり、国・県の後押しを得る窓口ともなる。

問題は組織の編成。「織物組合」「撚糸組合」では大きすぎて自分の立場が見えずらい。
たとえば、撚糸組合には「絹部会」と「合繊部会」があるが、合繊部会にはダブルツィスター工場もあれば
イタリー撚糸機の工場も会員となっている。仕事仕様・設備・客先がまったく違うのに変な話です。

どこまで細分化すれば、必要な情報・援助を得やすいのか自分には解らないけれど、只、きれいな三角形
組織が必至なことは解る。その底辺、一番下が今崩れようとしている。そここそが技術の源でもある。


なんて、偉そうなことは言えても、自分では何にも出来ない空言です。
只、一人で悩んでいる工場は多い。仲間と話し合い、自分の仕事が楽しめる環境こそが希望です。

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メンテお気楽日記 6月30日 手間手間仕事。

2015-06-30 | メンテナンスお気楽日記
福井・京都・奈良・埼玉とお客さまより、かなり注文?に近い問い合わせ依頼が入っています。
「○○仕様のワインダーが欲しいんだけど、準備できるかナ?」「はい、できますョ。」

でも、GOサインというか「注文指示」がなかなか入ってこない?


中古整備の場合は、素材機械の分解に始まり、洗浄・塗装?・部品準備・組み付けで段取りする。
ところが、この洗浄整備がけっこう手間で、大半の素材機械は真っ黒の油汚れ状態。

1~3錘機程度?なら手間ヒマを惜しまず、塗装整備まで楽しめる。ところが6~12錘機となると
汚れ落としだけでも、けっこうな時間を要する。マジックリン洗浄も回を重ねれば、重ねるだけ
きれいにはなるが、作業時間も掛かって来る。 ここはお客さんには見えない作業です。


もちろん、客先仕様に整備することが重要です。 部品を集め、仕事仕様に合う様に組み付けます。
これも、ドラム選択から始まり、客先の仕事が出来る仕様部品を選び集めなければなりません。

たとえば、絹屋さんはS巻きが当然と思っているし、ニット屋さんは9°15′Zドラムに
ワキシング装置が付いているのが当然?の機械と思っている。これも部品集めがけっこう大変。

注文?をいただいても「ハイ、これです」って訳にはいかないのが、中古機械のお世話です。


その為には、問い合わせがあれば、ある程度の予備準備も必要になり、まさか注文があってから
分解・洗浄から始めれば、納期が半月・一か月と掛かることになる。客先は注文すればスグ欲しいのが気持ち。

なかには、問い合わせしたけれど、ン・ン事情で注文に至らないケースもあるが、三筋には遜色ない。
整備した機械は、次のお客仕様にも変更する手間だけで提供できるから。基本手間は省けることになる。


紙管の選択・ドラムの選択・鬼綾対策・タイマー停止・変速インバーター。客先の要望は多種多様です。
たとえ、仕様整備がボツになっても、次の整備は変更だけと、自分を慰める?ことにしています。

そんなこともあり、倉庫には出番待ちのワインダーが何台かあります。嫁ぎ先が決まれば衣装変更?だけで
すぐに嫁に出せます。出戻り後家さんも5台ほどいますが、こちらは、まだ顔も洗っていません。

注文があれば、綺麗にしたり、小さくしたり、客先の要望どうりに変身します。
これも手間、あれも手間、手間ばかり掛かりますが、嫁ぎ先があるからこそのお仕事です。

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