迷宮映画館

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チョコレート

2002年10月01日 | た行 外国映画
俗にいうディープ・サウス、ジョージア州が舞台。建国当時からの南部、南部したところであるということをまず頭に入れておかなければならない。それが、いいとか悪いとかじゃなくて、黒人差別が普通にあるということが前提だ。すんでいる彼らだってそれが不当なことであるということも、納得いかないということもわかっている。でもそれが彼らのジョージア州なのだ。

刑務所の看守をしているハンク(ビリー)は父親もかつて看守で、息子のソニー(ヒース)もまた看守をしている。父親はすでに引退しているが、コチコチの人種差別主義者だ。ハンクもまた差別主義者であったが、黒人と親しくしている息子を歯がゆい思いで見ていた。

レティシア(ハル)は10年以上も死刑囚の妻をしていることに辟易していた。今日まさに夫が死刑に処せられる日、息子と共にその時間を待ちながら、彼女は苛立ち、そして開放感すらも感じていた。その死刑に立ち会ったのがハンクとソニー。しかし、ソニーは死刑を前に毅然とした態度を取れなかった。あまりの情けなさにハンクの怒りは爆発した。「何でおまえはそんな奴なんだ・・。」その疑問に答えるかのように翌日、ソニーは父と祖父の前で自殺をした。このヒースの目の悲しさにおばさんはまたやられてしまいました。いい。

レティシアはウェイトレスの仕事を首になり、つい食べ過ぎる息子タイレルをしかりながら、部屋を追い出されそうになりながらも何とか日々を過ごしていた。そんなある日、タイレルがひき逃げされる。通りかかったハンクが助けるがタイレルはあっけなく死んでしまう。呆然とするレティシア、かける言葉も見つからないハンク。忌むべきはずだった黒人女性だったのに、いつしか自然に愛し合うようになっていった。しかし、二人には大きな秘密があった。その秘密を抱えたまま、二人で生きていけるのか・・・。

この映画にはいろいろな死に方が出てくる。人間、好きでそんな風に死ぬわけではないのだが、死に方は選べないということだろうか。そして、それ以上に印象的なのが残された人々の生き様だ。誰もがその死に様を背負って生きているのだ。あのにくったらしいじいさんでさえそうだ。息子の死に様で自分の生き方が大きく変わったのがハンクなのかもしれない。そうでなかったらあまりに彼の死がかわいそう過ぎる。

人間の最大の命題である、生き方と死に方を見るものに問うたように思われた。黒人であろうと、白人であろうと、差別主義者であろうと、死刑囚であろうと・・。見て、賛否両論あると思うし、差別的な映画だと思われる人もいるかもしれない。しかし、あえてアメリカのアキレス腱をぶつけたその描き方に私は共感が持てた。それはひとえにビリーとハルの演技によるものなのかもしれない。

ひとつだけ、文句言わせて、マイ・ブームのヒースちゃんがかわいそう。でもビリーとハルに負けない演技に株がまた上がったぞい。

「チョコレート」

原題「Monster’s Ball」  
監督 マーク・フォスター 
出演 ハル・ベリー ビリー・ボブ・ソーントン ヒース・レジャー 2001年 アメリカ作品


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