迷宮映画館

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ロード・トゥ・パーディション

2002年10月06日 | ら行 外国映画
1931年、恐慌の傷跡がそこここに残るイリノイ州。郊外の瀟洒な家に住むマイケル・サリヴァンは妻と二人の息子とそれなりに幸せに暮らしていた。彼は無口で威厳があり、昔の父親とはこんなものだった。サリヴァンは父親代わりの街の有力者、ルーニー氏のもとで働いていたが、何の仕事をしているのかは不明。息子のマイケル・ジュニアは父に対して、少々の近寄りがたさを感じていたが、ある日、仕事に行く父の車の後ろにこっそり忍び込み、父の仕事を見てしまった。ルーニー氏の息子のコナーと共に、ルーニーに対して裏切りを働いていたものの掃除だった。

コナーは口封じのためにサリヴァンの妻ともう一人の息子のピーターを殺す。ルーニーにとってサリヴァンは息子同様に可愛がっていた部下。しかし、ルーニー氏はいくら出来が悪くとも、自分の息子の方を選ぶ。復讐を誓うサリヴァン。サリヴァンを狙う殺し屋の登場。ここから、サリヴァン親子の『地獄への道』の旅が始まるのだった。

アイルランド系ギャングの構成員のサリヴァンをトム・ハンクスが演じる。ギャング役!という評判だが、なにやらせてもうまい事には変わりない。この人にはセリフで語らせるより、演技で語らせた方が数倍もいという事を監督はよく知っている。

逃走する親子を狙う殺し屋にジュード・ロウ。ただでさえ目立つ端正な風貌が、怪演によってものすごくなってしまってる。ここまでやらせるとは、サム・メンデス恐るべし。

そして、何よりはギャングの頭目のポール・ニューマン。んー渋い。77歳、かっこよすぎる。そこに登場するだけで周りの人々を尊敬させる何かが漂っている。それが画面からオーラのようにふりまかれている。よくぞ、でてくれた。長生きしてください。

アイルランドやイタリアというのは後発の移民で、先に住み着いていたいわゆるWASPにおいしい仕事はとられてしまい、仕方なしに違法な事やギャングまがいの事に手を染めていかなければ生きていけなかった。その象徴がカポネであり、映画に登場したニティらだった。ルーニーもサリヴァンも十分にその事をわかっており、自分達が『天国に行けない事』だけは確実にわかっていた。でも、天国にいける人間は天国にやらなければならない。それが、息子のマイケルであり、彼はギャングである前に父親だった。悲しい事に父親である事を強く再認識したのが妻子の死であったけど。

移民、恐慌時、ギャングという派手なものをバックに実は二組の父子の生き様を描いたものだった。多くを語らせず、ジュワーーと沁みてくる毛細現象のような映画。やっぱり、サム・メンデス、只者でなかった。

「ロード・トゥ・パーディション」

原題「Road to Perdition」 
監督 サム・メンデス 
出演 トム・ハンクス ポール・ニューマン ジュード・ロウ 2002年 アメリカ作品


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