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レイルウェイ 運命の旅路

2014年07月08日 | ら行 外国映画
第二次大戦中、シンガポール陥落の際に、日本軍の捕虜となった英軍の兵士は、タイとビルマを結ぶ【泰緬鉄道】建設に駆り出された。あまりに過酷な労働を強いられ、拷問を受け、身も心もずたぼろに大きな傷を受けてしまった。エリックが受けた傷はあまりに大きく、戦後しばらく経った後でも、悪夢に苛まされ、笑うことも忘れ、仲間と歓談することもできないでいた。

鉄道にしか興味を持てず、自分の中に閉じこもっていたエリックの人生に陽が射したのは、妻となる女性との出会いだった。苛まされきた人生に、わずかに暖かい日々がもたらされたと思ったが、それもつかの間だった。また悪夢に悩まされ、何かに追われてるように前を向けない毎日。このまま、自分が負った戦争の傷に覆い尽くされてしまうのか。。。

そんな時に、エリックが鉄道建設に従事させられていたときに、通訳をしていた永瀬という男が、今も生きており、タイの戦争資料館で働いていることを知る。自分の過去と向き合い、前を向くためにはこの男と対峙するしかない!と、意を決してタイに向う。そして永瀬と対面したエリックが取った行動は・・・。

いわゆるPTSDに悩まされる元兵士。どれだけ精神が傷つき、その深さがどれくらいなのかは、それこそ人によって違うし、他人がとやかく言えるもんではない。本当に死んだ方がまし・・という場合もどれだけあったかと思う。エリックの壊れ具合を見て、日本軍がやった所業のとんでもなさがわかるのだが、表し方が唐突過ぎて、今に至るまでの途中はどうだったんだろう・・・などとも思ってしまった。ここでいう今は、戦後30年後くらいの今になるのだが、30年間、ずっと傷を抱え、傷とともに生き、傷に覆われて生きてきた。

勿体ない時を過ごさせてしまったのは、やはり日本のせい?日本は永遠に謝り続けなければならないんだろうなあ~と思いながら、国と国との対立は、個人と個人の融和で理解しあえることもある。個人にもちろん責任はあるが、戦争が生み出した大きな傷を、個人に負わせるのはどうなのか。

エリックが向けた復讐心が、個人に向けられていたというのが、どこか釈然といかず。そうならざるを得ない気持ちもわかるんだけど、話の構成上、すとんと落ちなかった。でも事実なんだからそうなんだろうし、かなり主観も入ってるんじゃないかとも感じた。

戦争の残骸の醜さと、いくらでも修復できるのが人の気持ちのありようであることを再認識。真田広之の若いころが、あれ?っていうのは、ちょっとなああ~でした。
コリン・ファースはさすがのうまさ。

◎◎◎●

「レイルウェイ 運命の旅路」

監督 ジョナサン・テプリツキー
出演 コリン・ファース 真田広之 ニコール・キッドマン ステラン・スカルスガルド ジェレミー・アーバイン


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4 コメント

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こんにちはー☆ (kira)
2014-07-11 19:59:22
>エリックが向けた復讐心が、個人に向けられていたというのが、どこか釈然といかず

コレ、私も同じように感じました。
てか、エリックと永瀬の再会の経緯を大きく事実と変えている時点で、
反日っぽいモノを感じました。
役者はよかったのに残念な作品でした。
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>kiraさま (sakurai)
2014-07-24 10:59:59
事実をそのまま映画にするのはそりゃ無理ですけど、どっか素直じゃないってか、ねじ曲がってるっていうか、しようがないのかな。。と思いつつ、なんかすとんと落ちませんでした。
それこそが戦争のもたらした弊害なんでしょうがね。
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Unknown (ふじき78)
2014-08-25 21:55:28
> 真田広之の若いころが、あれ?

真田さんはダンディだから、逆に若い時に合わせて無名の日系人を真田さんの代わりに使ってもいいと思いました。まあ、そうしたら観に行かなかった気もするけど。

日本軍人が発する怒号がまさに日本人の発声だったのにはちょっとやられました。ああいうのしっかりやってもらうと偉いと思う。
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>ふじき78さま (sakurai)
2014-09-01 14:53:14
うーん、難しいとこですね。
結構レアなあちらの作品にお出になりますが、真田さんも今のところ、迷走してるような気もします。
細かい描写が丁寧に作られてると、好感が持てますね。
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