迷宮映画館

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リスボンに誘われて

2014年11月18日 | ら行 外国映画
常にフルボリュームのどよよんとした感じが多いアウグスト監督ということで、それなりの臨戦態勢だったのだが、予想に反して結構なあっさり風味。もう、どっしりと、長々と作るってのは、ないのかなあ~と、ちょっとさびしさを感じました。なので、ずいぶんと見やすくなっているのは事実。

スイスで教師をやってるライムント。妻に先立たれ、単調な生活にも慣れていた。授業もおざなり。そこにやってきた青天の霹靂が一人の女性の投身自殺未遂。それを押しとどめたライムントは、彼女のコートの中から、一冊の本を見つける。そこに書かれていたことは、自分が探し求めていたことに思えたライムント。本に挟んであったリスボン行きの電車に飛び乗ってしまう。

まるで冒険。こんなことができた自分にびっくりしつつ、リスボンの町を歩き、本に描かれていたことを探ろうとする。著者のこと、反政府運動のこと、著者の妹、運動の生き残り、壊れたメガネ。。。

著者のアマデウの行動を追っているのは現実の今を生きている自分。しかし自分は生きていると言えるのか。生き生きとよみがえってくるかつての若者たちの生き様がまるで死人のようだったライムントの魂に何かを吹き込んだ。

日本でいうなら学生運動みたいなもんか。ポルトガルでかつてこのような反政府運動が行われていたというのは、さっぱり知らなかった。どこにでもありうる話なのだが、リスボンの街並みが何とも言えずに情緒的。ひなびた感じと、抒情的な雰囲気が画面から伝わってくる。行ってみてえ~~と思った。スペインあたりと違って、派手さではなく、落ち着いた感じがそこここに見える。

話はそれほどにズシンとは来なかった。いい歳のおっさんが、別の人生に歩みだす!死人のような生活から、未来を見出す!!ってのに異存はないが、仕事を投げ出すのはいかがなものかと。教師がそんな単調な毎日か。それはあんた次第でしょ!と、言いたくなった気持ちをぐっとこらえる。まあ、気の持ちようってことですよね、何をするにしても。

ジェレミーさんは、安泰の演技。メラニー・ロランはなかなあかいい。アウグストを演じたジャック・ヒューストンがなかなかの男前!と思ったら、ヒューストン一族なのね。

◎◎◎●

「リスボンに誘われて」

監督 ビレ・アウグスト
出演 ジェレミー・アイアンズ メラニー・ロラン ジャック・ヒューストン マルティナ・ゲデック トム・コートネイ


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