迷宮映画館

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チェンジリング

2009年02月20日 | た行 外国映画
冒頭、「TRUE STORY」と但し書きが入るが、先日見た「フェイク・シティ」を思い出して、L.A.P.D.と言うところは、とんと成長してないのかなどとも思ってしまった。
さて、物語は・・・・

1928年のロサンジェルス、母一人で息子を育てていたクリスティン。息子・ウォルターに深い愛情を注いでいたが、仕事もしないといけない。一人さびしくほっておかれることもあった。

その日もやはりクリスティンはやむ負えない仕事で遅くなってしまった。帰った家にウォルターの姿はなかった。すぐさま警察に捜索を依頼するが、警察はすぐには動いてはくれなかった。忸怩たる思いを抱いても、どうしようもない。

結局、息子は帰っては来ず、行方不明になる。いくら捜索してもウォルターの行方はようとして分からなかった。

5ヶ月後、突然、遠く離れたイリノイ州で、ウォルターが見つかったとの連絡が入る。やはり息子は生きていた。ウォルターは生きていたのだ。喜びいさんで駅に迎えに出たその少年はウォルターではなかった。

でも、警察はこの少年がウォルターだと認めろと迫り、少年も自分をウォルターだという。マスコミの目の前で、やむなく母子のふりをしたが、この少年はウォルターではない。

何度も警察に申し入れをしても、それは聞き入れてはもらえない。それどころか、警察のやったことに異議を唱えたものとして、逆に脅され、果ては精神を病んだとして、病院に放り込まれる。

一番頼りになるはずの警察こそが、信頼のおけないものだとしたら・・・・。お上は一体・・・・。

しかし、彼女は一人ではなかった。警察の不正を何とかしようと活動をしている牧師、無償で彼女を助けようとする弁護士、そして憤りを感じる市民、彼女と同じように警察の横暴で病院に閉じ込められた女性たち・・・・。

そんな頃、ある牧場で、少年たちの誘拐に加担していたという少年が警察に保護される。その中に・・・・・。

ということで、いったいL.A.P.D.は何をしてるんだ!!と憤ってしまうことこの上ない。ほんとにこんなのなの?こんなに頼りにならないんだから、あすこには行くなよ!!行くとますます泥沼にはまるんだから!!と見てるこっちがはらはらしてしまう。

でも、それでも警察には行く。そう、それが市民の心情だ。警察は私たちを守ってくれるはずなのだから・・・。

まるでドンキホーテみたいに無力な人々が警察に立ち向かい、正義を求め、立ち上がって行く様は見てて痛快だ。あまりに警察側が汚くてずさんなので、これで暴けなかったら、絶対に世の中おかしいやろ!!とさえ思うのだが、実際、勘違いしている警察ほど、怖いものはない。

カリフォルニア州、カーメル市で、市長もしたほどの監督だが、今回は真正面から政治的な腐敗に立ち向かって正義を信じる姿が心地いい。

で、アンジー!!化粧の厚ぼったさは時代を表しているのか、ちょっとあつくるしかったが、母の息子を思う心情、全身からほとばしる感情、絶望と希望と勇気が見事だ。凄い迫力を感じた。お見事。見ごたえ十分。いつまでもエネルギッシュな映画を撮るイーストウッドの力のもとになっているものを考えると、ちょっと悲しい気もするのだが。

◎◎◎◎○

『チェンジリング』

監督 クリント・イーストウッド
出演 アンジェリーナ・ジョリー ガトリン・グリフィス ジョン・マルコヴィッチ


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18 コメント

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いやぁ~ (miyu)
2009-02-21 21:13:56
本当にアンジーは久しぶりに彼女の本領発揮を
してくれていましたよね~。
イーストウッド監督も彼女のそんな演技を引き出し、
エネルギッシュな作品を作り上げてくれましたよね。
見応え充分!すばらしい作品でした。
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>miyuさま (sakurai)
2009-02-23 08:44:31
お見事でした、アンジー。
さすがですよね。
あの静の迫力!彼女ならではだったと思います。
しかし、80過ぎてなおこれだけの映画を作り続ける監督には本当に頭が下がります。
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こんばんは♪ (SOAR)
2009-02-25 23:38:14
アンジーとイーストウッド、最高でした!

それにしても「フェイクシティ」を観た後だと“今も昔もLAPDはまったくもう!”ってなっちゃいますよね~。
やはりLAPDにはピーター・フォークのような実直な刑事さんがいないとねぇ。
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>SOARさま (sakurai)
2009-02-26 08:31:15
さすが、イーストウッドでしたね。
そして、自分の力を存分に発揮したアンジーもさすがでした。
うーん、コロンボ刑事もやってたことは、結構引っかけで、法すれすれというか、やばいやり方で犯人捕まえてたと思いませんか?
面白く毎回見てましたが、「あれは裁判ではどれも勝てない」という指摘を読んだことがあります。
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監督の仕事 (mariyon)
2009-02-28 23:33:14
これだけの作品をきちんとまとめることができる
80代って、どうなんでしょう!!
生涯現役って、ほんとうによく言ったものですが、
このパワー、敬服です。

アンジーの力強さをとことん引き出してあって、
彼女が母親として、絶対負けない女であると思えることが、暗い事件といえども、単に暗い映画にならずに済んでいると思います。
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うん!大満足 (なな)
2009-02-28 23:43:19
こんばんは
>いつまでもエネルギッシュな映画を撮るイーストウッドの力のもとになっているもの・・・・
んんん???何なんですかね?それって?知りたいな。
とにかく元気な爺さまですよね,イーストウッド。
主演映画も公開が楽しみです。
この「チェンジリング」も監督賞くらいにノミネートされてもいいような
素晴らしい出来だったとおもうのですが・・・・


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>mariyonさま (sakurai)
2009-03-02 13:07:23
いつまでもパワフルですよね。
敬服、脱帽、次も期待です。
年取ってきて、ますますけれんみにあふれてるような。
いつまでもシャープな切れ味ですね。

銃を傍らにも似合ってますが、こういう母の役も見事に似合うようになりました。
それを引き出す技も見事でした。
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>ななさま (sakurai)
2009-03-02 13:18:39
彼に撮り続けさせるものは、やはりこの世の闇の部分や、人間の弱さ、やりきれないこの世の現実等々。
これらが存在し続けていると言うことが、彼にメガホンを握らせている原動力ではないかと思います。
それはものすごく悲しいことなわけで。
「ミスティック・リバー」みたいに、アメリカの闇の部分でも、裏社会の闇みたいなもんが描かれていると、アカデミーも喜ぶんでしょうが、もろに警察の・・・というと敬遠されるんでしょうかね。
その辺のほんとのところはわかりませんです。
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クリント・イーストウッド監督・・・。 (mezzotint)
2009-03-04 23:14:06
sakuraiさま
今晩は☆★
コメント・TBありがとうございました。
いやあ~クリント・イーストウッド監督ですが、
何と今年で79歳だそうで・・・。いまだに現役
でこんな内容のぎっしり詰まった作品作りをされて
いるなんて凄い!!隠居している場合じゃないと
いう気にさせるこの社会、確かに腐敗状態ですわ。
わが子じゃないものを押し付け、正当化しようと
する国家組織・・・。情けない話ですね。
まあ日本の警察も似たような?もんですが。
アンジーは監督のマジックにかかったような
素晴らしい演技でした。重厚な作品でした。
文句なしですよね!!
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>mezzotintさま (sakurai)
2009-03-05 10:06:37
てっきり80に到達してたと思ってたのですが、ぎりぎり70代でしたね。
すごいです。
まあ、役者としては、そんなに上手い人でもなかったし、若い頃の映画は、ちょっとナル入ってましたが、ここにきて凄いです。
そういう映画を撮らせる世の中が問題ありですが、次回作も楽しみになってきました。
アンジー!!上手いですね。
派手な容貌で、少々損してますが、彼女はほんとに上手いですね。
しばらく、母業をするとかですが、目が離せません。
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