迷宮映画館

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マリと子犬の物語

2007年12月20日 | ま行 日本映画
2004年10月23日。あの日の地震はしっかと覚えてます。あの時お母ちゃんたちで飲もうと、宴会に行こうとしておりました。ご飯を早めに作って支度をしていた時、ぐらぐらっと!

やばい。鍋を火にかけていたのをとっさに止め、しばらく様子を見て、大丈夫と宴会場に。わーわー飲んだ後、家に帰ってきたらば、何ともすごい惨状を見て、なんだかものすごく申し訳ないような気になってしまった。すいません。あの時、不謹慎にも、楽しく飲んでました・・・。といってもしようがない。

そうです。映画でもお父さんが「仕方がないことがいっぱいあるんだ!」と言ってたし。という懺悔はそっちにおいて、映画。

棚田広がる山間の村、山古志。牛の角突きと錦鯉が有名な村だが、隣接する長岡市との合併話が進んでいた。あの見事な錦鯉を見るたびに、某目黒の大邸宅を思い浮かべてしまうのはいけないことでしょうか・・・。

そこに住む10歳の亮太と5歳の彩。お母さんを病気で亡くし、おじいちゃんとお父さんと暮らしている。もう、ここで泣きモードです。泣かせよう、泣かせようという地雷が、あっちこっちに埋められていて、ドカン、ドッカンときます。

捨て犬を拾って家で何とか飼いたいと・・・。でも、お父さんは犬が嫌い。絶対に飼えないだろうとあきらめの境地になると思いきや、どっこい、泣く子と犬には勝てない。石川家の住人となる。これがいとしいなんてもんじゃない。あんな純粋なつぶらな犬目で、くーーんとやられたら、だれでも一コロですよ。

さて、マリと名付けられたワンちゃんはすくすくと育って、翌年にはお母さんに。コロコロとした三匹の赤ん坊犬ですよ。もう、これでもか、これでもかと、今度は艦砲射撃風に可愛さが押し寄せてきます。あーー、疲れる。

そして、その日。10月23日。動物たちがなんかざわざわしている。いきなりの大地震。家は崩れ、道は寸断され、がけ崩れは起こり、電柱が倒れる。その時家にいたのが足が弱くなり、家で寝ていたおじいちゃんと彩。崩れた家の中で身動きが取れなくなっていた。

マリはなんとかして大好きな彩を助けようと一所懸命がれきをどけ、助けようとするのだが、無理だ。でも、その姿は絶望しそうな彩たちを励ます。

ヘリコプターで助けにきた自衛隊に見つけられ、何とか救助されるが、マリたちまでヘリに乗せる時間はない。今はまず人命優先。彩が乗ったヘリコプターをどこまでも、どこまでも追いかけるマリ。・・・・もうだめです。ここで、完全に土砂崩れ状態。予告で、この辺で涙が出ちゃった方、怖れることはありません。怒涛のように涙が押し寄せてきます。

マリは一体どうなっただろうか。避難所にいながら、マリのことが心配で心配でしようがない。人っ子一人いなくなったあの村で、マリは子供たちとどうやって生きていくのか。「大丈夫だよ。マリはお母さんだから。お母さんは、どんな時でもこどたちを守ることができるんだ」・・・・。

マリの山古志での様子がまたうまい。なんとかして生きていこうとする姿があらわされます。そして・・・・。

ということで、地震の怖さが見事に表現されております。あの衝撃を味わった方にはトラウマになるであろう程の怖さ。メインはそこなので、あとは一応とってつけないと話が持たない。なので、時折、教条的な表現になるのはやむを得ないし、文科省お勧め表現もこの際目をつぶりましょう。だって、子供と犬ですもの。

彩役をした佐々木麻緒ちゃんが、たまげるくらいのうまさです。すごい。凄すぎる。船越さんも、宇津井健さんも尻尾まいて裸足で逃げ出すくらいのうまさです。久々に鳥肌立つくらいのうまい子どもを見ました。マリと出会った時、意にかなわずマリと別れる時、小さい自分をもどかしいと思う真摯さ。完全にこの子と、マリの映画でした。

実際のマリは、地震当日に三匹の子供を産んで、倒壊した飼い主をずっと気遣っていたということだそうです。そして、マリをその時に救助することができす、16日間、あの山古志で子供を守って、生き抜いたと。四の五の言いません。思う存分泣きに行ってください。

シアターには年配のおばちゃんたちが結構おられまして、ものすごくいいことなのですが、完全に自宅でTV見ている乗り。場面、場面で感想言ったり、ものすごくでっかい声で相槌うったり、ああだ、こうだとまじにうるさい。遠くに離れて座っていたのが救いでした。あ、松重さんでない日本映画、久しぶりだ。

◎◎◎○

『マリと子犬の物語』

監督 猪股隆一
出演 船越英一郎 松本明子 広田亮平 佐々木麻緒 高嶋政伸 小林麻央 小野武彦 宇津井健


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2 コメント

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Unknown (ケント)
2008-01-05 18:55:33
sakuraさんこんばんは、TBお邪魔します
とにかく泣けました。犬よりも子役の女の子に泣かされましたね。
泣けば良い映画ということはありませんが、熱い血が燃え上がるような感動の涙でした。
単純といわれても、この映画を貶したくありませんね。
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>ケントさま (sakurai)
2008-01-05 20:53:46
子役の女の子のまっすぐな目に完全にやられました。
あのこにすべて持ってかれたと言ってもいいのでは。
三匹の子犬を一匹ずつくわえるシーンがありましたが、母は数を数えられなくても、子供は絶対わかる。お母さんは、どんな時でも子供を守るんだよ、といったあたりもあたし的にはつぼでしたわ。
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