試写会にて鑑賞。宝塚にはとんと疎いので、男役トップスターとか言われても、さっぱり知らずに見ましたが、いまどきのトップスターって言うのは、ああいうタイプなんですね。あたし的には、鳳蘭みたいなのが、典型的なのかなあと思ってたもんで。あっさり美人とでも言いましょうか。そんな和央ようかが、戦国時代から、安土桃山、江戸時代にかけて、数奇な人生を送った茶々に。
さて、映画は冒頭からいきなりクライマックス。大坂の陣で、燃え上がる大坂城のまわりが映し出されます。その天守閣から茶々が、まるで下界を見下ろすかのように立ちすくむ。そこにやってくるのは妹のお江(ごう)。なぜに姉妹が、仇敵同士のように別れてしまったのか・・・。
三姉妹の母、市(織田信長の妹)が浅井長政に嫁いで、織田と浅井の盟約が結ばれ、ゆるぎないものかに思われたが、時は戦国。そんな盟約が、永劫のものだと信じる者などいるはずもない。
信長は浅井の居城、小谷城を攻めて落とす。当然、妻も夫と城とともに運命を共にするはずだったが、助けられ、兄信長のもとに。そこで見たのは夫、長政のしゃれこうべ。金箔を塗られ、盃にされ、辱められる。(このエピソードは、よく表現されますが、きちんとした史料にはその事実は見えません)
兄に夫を殺された市は心身ともに力を落とすが、長女の茶々は信長に引けを取らない。堂々と渡り合い、己の気丈の強さを見せつける。
その後、市は柴田勝家に嫁ぎ、それなりに幸せな日々を送るが、信長亡きあと、そのあとを継ぐべく、木下秀吉が勝家を滅ぼす。たぶん、市に懸想していたと思われる秀吉は、市を助けようとするのだが、それを拒み、今度こそ戦国の女として、夫と城と運命を共にする。
その時、娘に「生きろ、生きなさい。生きていかなければならない」と諭す。
秀吉に助けられ、3人の娘たちは健やかに育ち、それぞれ嫁入り先に嫁いでいく。しかし、茶々だけは、留め置かれる。なぜ?それはすべて秀吉の策略。いまや天下人となった秀吉に迎えられ、豪奢な聚楽第に入る茶々。
自分の子供を産んでくれと乞われる茶々だが、その胸に秘めた思いは秀吉への憎しみ。二人の父を殺し、母を死に追いやった男。小柄を手にし、秀吉を殺そうとするが・・・・。
念願通り、長男を産み、茶々の権勢はゆるぎないものになったはずだったが、その鶴松はあっという間に亡くなってしまう。すべてを失ったかと思った茶々を助けたのは苦難をともにした姉妹。
茶々が生んだ次の子こそがのちに秀頼。秀吉の心残りは自分が築き上げたこの地位を息子にゆるぎなく譲る場面を見れないこと。思った通り、秀吉亡きあと、秀頼に仕えるという確約を反故にし、関ヶ原の戦いが起きる。そして世は徳川のものに・・・。
秀頼を守っていくのは自分しかいない。佐治一成に嫁いでいた妹、お江を徳川に嫁にやり、徳川家と盟約を結ぼうとする。(このとき、お江はすでに佐治一成とは離縁していた。そして、秀吉の甥・秀勝と結婚していたが、秀勝は戦死しており、未亡人状態だった)
徳川秀忠とお江の子、千姫を秀頼の妻として迎え、ほんの一時、幸せな時間を過ごすが、また戦いが始まる。大坂の陣。これが最後の決戦と徳川側が大坂に攻め込んでくる・・・。
という、戦国時代や、江戸時代のはじまりのごくごく知られた【徳川家康】vs【茶々】の宿命の決戦。原作は井上靖の「淀どの日記」。残念ながら未読であるが、茶々の視点からの切り取りだ。男の見栄と欲張りの争いに翻弄されてしまった母の運命を見、それに殉じるのが女性の道なのだろうが、逆に切り開いていった女性の人生。
当然、そういう女は、男どもから蛇蝎のように嫌われる。よって、茶々は権勢を己がものとし、息子秀頼を溺愛し、豊臣の家運を貶しめ、大坂城を崩壊させた女のように扱われ、一般的にそう見られている。
その同じ戦いを、茶々の目から見てみると、こういう風な切り口になるというなかなか新鮮な表現であった。宝塚男役のトップスターを配したのは、馬に乗って、武将たちを鼓舞させようとするシーンで納得。あれは、ちょっとやそっとの女優じゃ無理。ま、そこだけっていう気もしましたが・・・。
えーー、実はさっぱり期待も持たずに、どれ歴史映画でも・・・のつもりだったのだが、勉強するつもりではなく、壮大な任侠映画として見ると、とっても面白い。意にそわないところにお嫁に行ったり、にっくき相手と腹のさぐりあいをしたり、どれも部下たちは腹黒く、何考えてるのかわからない、というとっても普遍的なお話です。平ったく言えば、極道の女たち・・・みたいなもんでしょうか。
でも、その中で真摯に、一所懸命生き、子供を守り、命を大事にしようと思う女性の姿がいい。これは任侠ながら、女性の映画。そうなんすよ、女性に見せたいと思うにしちゃ、血なまぐささが東映風。その辺の按配の不釣り合いがやっぱり東映なんですねえ。
ま、戦闘シーンに目をつぶっていただいて、女性の生き方を見るには、結構見ごたえあり。史上一番いい男が配役されたのではないかと思われる秀吉に、タヌキおやじの獅堂@家康もなかなか堂にいってる。意外に拾い物でした。
あ、そうそう。マリと子犬の奇跡の名女優・佐々木麻緒ちゃんがここにも登場。で番は少ないですが、やはり光ってますわ。と、茶々の子供時代を演じた子役の女優さん。和央ようかに驚くほど似てまして、きっとそのそっくり状態で選ばれたのかと。ただし、市が浅井の居城を出た時、茶々はまだ10歳にも満たないくらいの少女だったはずです。でも、女性の生没年など、しっかりとは分かっていないのが通例。あ、そうそう松重さんはちゃんと登場です。
◎◎◎
『茶々 天涯の貴妃』
監督 橋本一
出演 和央ようか 寺島しのぶ 富田靖子 高島礼子 余貴美子 原田美枝子 中村獅童 渡部篤郎 松方弘樹(特別出演)
さて、映画は冒頭からいきなりクライマックス。大坂の陣で、燃え上がる大坂城のまわりが映し出されます。その天守閣から茶々が、まるで下界を見下ろすかのように立ちすくむ。そこにやってくるのは妹のお江(ごう)。なぜに姉妹が、仇敵同士のように別れてしまったのか・・・。
三姉妹の母、市(織田信長の妹)が浅井長政に嫁いで、織田と浅井の盟約が結ばれ、ゆるぎないものかに思われたが、時は戦国。そんな盟約が、永劫のものだと信じる者などいるはずもない。
信長は浅井の居城、小谷城を攻めて落とす。当然、妻も夫と城とともに運命を共にするはずだったが、助けられ、兄信長のもとに。そこで見たのは夫、長政のしゃれこうべ。金箔を塗られ、盃にされ、辱められる。(このエピソードは、よく表現されますが、きちんとした史料にはその事実は見えません)
兄に夫を殺された市は心身ともに力を落とすが、長女の茶々は信長に引けを取らない。堂々と渡り合い、己の気丈の強さを見せつける。
その後、市は柴田勝家に嫁ぎ、それなりに幸せな日々を送るが、信長亡きあと、そのあとを継ぐべく、木下秀吉が勝家を滅ぼす。たぶん、市に懸想していたと思われる秀吉は、市を助けようとするのだが、それを拒み、今度こそ戦国の女として、夫と城と運命を共にする。
その時、娘に「生きろ、生きなさい。生きていかなければならない」と諭す。
秀吉に助けられ、3人の娘たちは健やかに育ち、それぞれ嫁入り先に嫁いでいく。しかし、茶々だけは、留め置かれる。なぜ?それはすべて秀吉の策略。いまや天下人となった秀吉に迎えられ、豪奢な聚楽第に入る茶々。
自分の子供を産んでくれと乞われる茶々だが、その胸に秘めた思いは秀吉への憎しみ。二人の父を殺し、母を死に追いやった男。小柄を手にし、秀吉を殺そうとするが・・・・。
念願通り、長男を産み、茶々の権勢はゆるぎないものになったはずだったが、その鶴松はあっという間に亡くなってしまう。すべてを失ったかと思った茶々を助けたのは苦難をともにした姉妹。
茶々が生んだ次の子こそがのちに秀頼。秀吉の心残りは自分が築き上げたこの地位を息子にゆるぎなく譲る場面を見れないこと。思った通り、秀吉亡きあと、秀頼に仕えるという確約を反故にし、関ヶ原の戦いが起きる。そして世は徳川のものに・・・。
秀頼を守っていくのは自分しかいない。佐治一成に嫁いでいた妹、お江を徳川に嫁にやり、徳川家と盟約を結ぼうとする。(このとき、お江はすでに佐治一成とは離縁していた。そして、秀吉の甥・秀勝と結婚していたが、秀勝は戦死しており、未亡人状態だった)
徳川秀忠とお江の子、千姫を秀頼の妻として迎え、ほんの一時、幸せな時間を過ごすが、また戦いが始まる。大坂の陣。これが最後の決戦と徳川側が大坂に攻め込んでくる・・・。
という、戦国時代や、江戸時代のはじまりのごくごく知られた【徳川家康】vs【茶々】の宿命の決戦。原作は井上靖の「淀どの日記」。残念ながら未読であるが、茶々の視点からの切り取りだ。男の見栄と欲張りの争いに翻弄されてしまった母の運命を見、それに殉じるのが女性の道なのだろうが、逆に切り開いていった女性の人生。
当然、そういう女は、男どもから蛇蝎のように嫌われる。よって、茶々は権勢を己がものとし、息子秀頼を溺愛し、豊臣の家運を貶しめ、大坂城を崩壊させた女のように扱われ、一般的にそう見られている。
その同じ戦いを、茶々の目から見てみると、こういう風な切り口になるというなかなか新鮮な表現であった。宝塚男役のトップスターを配したのは、馬に乗って、武将たちを鼓舞させようとするシーンで納得。あれは、ちょっとやそっとの女優じゃ無理。ま、そこだけっていう気もしましたが・・・。
えーー、実はさっぱり期待も持たずに、どれ歴史映画でも・・・のつもりだったのだが、勉強するつもりではなく、壮大な任侠映画として見ると、とっても面白い。意にそわないところにお嫁に行ったり、にっくき相手と腹のさぐりあいをしたり、どれも部下たちは腹黒く、何考えてるのかわからない、というとっても普遍的なお話です。平ったく言えば、極道の女たち・・・みたいなもんでしょうか。
でも、その中で真摯に、一所懸命生き、子供を守り、命を大事にしようと思う女性の姿がいい。これは任侠ながら、女性の映画。そうなんすよ、女性に見せたいと思うにしちゃ、血なまぐささが東映風。その辺の按配の不釣り合いがやっぱり東映なんですねえ。
ま、戦闘シーンに目をつぶっていただいて、女性の生き方を見るには、結構見ごたえあり。史上一番いい男が配役されたのではないかと思われる秀吉に、タヌキおやじの獅堂@家康もなかなか堂にいってる。意外に拾い物でした。
あ、そうそう。マリと子犬の奇跡の名女優・佐々木麻緒ちゃんがここにも登場。で番は少ないですが、やはり光ってますわ。と、茶々の子供時代を演じた子役の女優さん。和央ようかに驚くほど似てまして、きっとそのそっくり状態で選ばれたのかと。ただし、市が浅井の居城を出た時、茶々はまだ10歳にも満たないくらいの少女だったはずです。でも、女性の生没年など、しっかりとは分かっていないのが通例。あ、そうそう松重さんはちゃんと登場です。
◎◎◎
『茶々 天涯の貴妃』
監督 橋本一
出演 和央ようか 寺島しのぶ 富田靖子 高島礼子 余貴美子 原田美枝子 中村獅童 渡部篤郎 松方弘樹(特別出演)
明けましておめでとうございます
( ̄▽ ̄人)♪本年も宜しくです
それからsakuraiさんコメント有難うです
確かに言われてる通り、意外に楽しめました。
正月時代劇としてhideも意外に満足しました
>あの発声は気になりましたね。歯並び・・・・
(^_^;)sakuraiさんもお感じに成りましたか。
hideはトテモ気に成ってレビューに載せました。
空き歯なのかな?歯の治療中なのかな?
・・・と気に成って彼女の口の中を熱心見てしまいました(笑)
まあ退団して間が無いようで・・・
緊張して混乱してるのかなあと解釈しました
結構楽しめてしまいました。
女の生き方!!みたいなあたりで、ちょっとやられた位にして。
いままでにない茶々の描き方にも新鮮味を感じたのですが、やっぱ歯並びですかね。
せめて考証通り、淀君が片膝立座りをしてたら、もっと貫禄がでたのですが。
どうせ時代考証無視のエンタメなら、同時代のエリザベス女王みたいに銀の甲冑を着て、祖父信長のようにド派手な赤の大マントをつけて、鉄砲を撃ちまくる活躍をしてもらいたかったので残念です。
この映画、試写会だったんで見たのですが、金払って見たか・・というと、見なかったかも。
歴史で飯食ってるので、考証にはいろいろと突っ込みたくなりますが、それなりの解釈も面白いなあと見るようにしてます。
これも、今までにはあまりなかった、茶々からの視点で、結構興味深かったようね。だいぶ、詳細は忘れましたが。
東映任侠時代劇としての視点で見ました。