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第152回 骨董の世界

2016-02-12 | エッセイ

 一時期、骨董・・・と言うほど立派なものでなく、キッチュと呼んだほうがいいような珍奇なモノ集めに凝ってました。金額は、月々の小遣いの範囲内。対象は、デザインが面白く、ちょっと身のまわりに回りに置いておきたいモノ。備前焼(売り手の言い分ですが)の小振りな花生けをペン立てに、英国で暖房用石炭を保管しておくためのバケツのミニチュアを鍵入れに、など自分なりの工夫で楽しんでました。

 熱の方はすっかり冷めましたが、集めた品々は今でも愛用していますし、骨董、アンティークについての本を読んだりするほうの熱は、今でも続いています。

 最近読んだなかでは、「アンティークは語る」(マーク・アラム著 エクスナレッジ)が、豊富なエピソードで、読み応えがありました。こちらです。



 まずは、ナポレオンのペニスの話から。
 1821年に、彼が死んだ時、検死解剖が行われたのは事実。で、ナポレオン付きの司祭が、ペニスを手に入れて、代々受け継がれてきたというのですね。それが、1916年にオークションにかけられ、イギリス人コレクターの手に。その後、幾多の手を経て、アメリカ人の泌尿器科医のもとへ。その医師が亡くなって、現在は、娘が譲り受けている。残念ながら、非公開!

 「第一次世界大戦のきっかけとなった銃弾」が、チェコのコノビシュチェ城の博物館に保管、展示されている。暗殺者ガヴリロ・プリンツィプが、オーストリア=ハンガリー帝国のフェルディナント大公の命を奪ったもので、歴史を変えた凶弾です。
 また、アメリカのリンカーン大統領の命を奪った弾は、メリーランドの国立保健衛生医学博物館で見ることができるそうな。アメリカにとっては、歴史的な品、ということになるのでしょうね。

 大事故にまつわる品も、プレミアムがついて、取引きされるのがこの世界。
 タイタニック号の見張り台にあった鍵が、2007年のオークションで、9万ポンドで落差された。この鍵を持っていた船員が、出航直前に船から降りることになったが、同僚に渡すのを忘れたまま下船したため現存する、といういわくつきのもの。
 1937年に爆発事故を起こした飛行船ヒンデンブルグ号には、1万7609通の郵便物が載っていたが、回収されたのは、367通で、一通あたり、1万ポンドから3万ポンドで取引きされているという。

 「モノポリー」というゲームがあります。いかにもアメリカ的に、金儲けを競うボードゲームです。最近、「アンティーク・ロードショー」(イギリス版「何でも鑑定団」)に、そのゲームが登場した。1963年の大列車強盗の一味が、犯行後、ほとぼりの冷めるまで興じていたといういわく付きのもの。当然のことながら、使ったのはチップではなく、本物の紙幣だった、というオチがつく。

 いかがでしたか?次回をお楽しみに。