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第571回 「〜さかい」ほか-大阪弁講座57

2024-04-12 | エッセイ
 大阪弁講座の第57弾をお届けします。

<~さかい>
 先日、車で出かけていた時、ラジオから懐かしい歌のアタマが流れて来ました。

踊り~疲れた~ディスコの帰り~/
これで青春も終わりかな~とつぶやいて~/

 少し年配の方ならご存知だと思います。「大阪で生まれた女」(作詞・作曲・歌 BORO)です。こちらがBORO(ボロ)さん。こんな方だったんですね。知りませんでした。

 曲はやがて、サビに入ります。

大阪で生まれた女やさかい/
大阪の街 よう捨てん/
大阪で生まれた女やさかい/
東京へは ようついていかん/

 聴きながら、「そや、「~さかい」て、コテコテの大阪弁で、講座のネタに使えるな」と思ったのが、我ながら貧乏性で、苦笑いしてしまいました。
「~なので」「~だから」と理由を説明する言い回しです。前に名詞が来る場合は、「~だ」とか「~である」を意味する大阪弁の「や」を付けて、歌詞のように「女や「さかい」」となります。
「アイツは悪知恵が働くヤツや「さかい」、気ぃつけや」のような用例も。
 そして 動詞に続く場合は、「さかい」をつけるだけです。
「こっちはワイがやる「さかい」に、そっちはアンタがやってくれるかな」、「あんたがワァワァ言う「さかい」、まとまる話がまとまらへんがな」なんてのを思いつきました。

 調べてみると、この曲は、1979年にリリースされています。私が30歳ちょっとの頃です。もう少し若い頃に聞いたような気がしていましたが・・・
 東京の女性が、大阪へいくのをいやがる・・・これだとリアル過ぎて、歌になりにくい気がします。大阪で生まれ育って、この街にすっかり馴染んでいる女性が、いまさら男について東京へ行くのを「堪忍(かんにん)してぇ~」となるから、可哀そうやなと(特に大阪のオッチャンなんかは)気持ちが動き、ホロっとなるのでしょうね。
 ここまで東京と大阪を対比させる大胆さ、ストレートさに新鮮な驚きを感じたことを思い出します。

<正味な>
 食品などに、よく「正味○○グラム」などと表示があります。容器とか外装材を除いた実質的な内容量のことです。「正味8時間」働いた、といえば、休憩などを除いた実質労働時間を指します。

 大阪弁だとこれを「正味な」と無理矢理に形容詞化します。どんな使い方してたかなぁ~、と考えて、思い出したのが、かつて人気を誇った「横山やすし・西川きよし」の漫才コンビです。

 とにかく愛用していたのが、横山やすしさん(故人)です。
 「付き合うてる男の子のこと、どう思うねん、てその女の子に訊いても、うつむいた顔を赤らめて、もじもじするばっかりで、要領を得えへんねん。どない思う」と話を振る「きよしさん」に、
「そら、ふたりはデキとるわ。「正味な話し」がっ」と一刀両断する「やすしさん」。
 
「ぶっちゃけて言えば」「早い話が」「結論をはっきり言えば」「遠慮なく言わしてもらえば」などの意味合いです。「話」とセットで使われることが多いような気がします。いらち(短気)な大阪人愛用の「大阪弁」です。

 いかがでしたか?それでは次回をお楽しみに。