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第225回 空耳英語-英語弁講座13

2017-07-14 | エッセイ

「空耳英語」というのを、ご存知でしょうか。

 日本語としてそれなりに意味のある(?)言い回しが、英語として通じたり、そう聞こえるというものです。いささか怪しいものもないわけではないですが・・ 

 高校の英語教師から教わったのは、「掘った芋いじるな」(What time is it now?)でした。(その時は、面白いなあ、と感心しましたが、昔からある定番みたいですね)
 
 サラリーマン時代、英語が堪能な商社マンから、「フィラデルフィア(Philadelphia)という地名は、そのまま英語的に読んでも絶対通じません。「古豆腐屋(フルドーフヤ)」で通じますから」と言われました。確かにそう聞こえます(ドーにアクセント)。

 「それから、電車やバスを降りる時は、「揚げ豆腐(アゲドーフ=I'll get off.)」と言うのが一番です」とも。これは、家人がニューヨークで使って、実証済み。

 ネットから拾ってきたネタで、飛び切りの傑作だと思うのは、「岐阜には、割烹着(かっぽうぎ)でこい!」。さて、どんな英語か想像がつきますか?

 正解(?)は、「Give me a cup of coffee.(コーヒーを一杯お願い)」です。しかるべき場所だと通じそうで、笑えるネタです。

 さて、こんな空耳英語が話題になる(?)のも、日本人には、英語の「発音」が大きなハードルのひとつだからですね。音の種類も、体系、仕組みなどもまったく違いますから、無理からぬことです。
 日本人の場合、自信がないから、ついモゴモゴ言って、分かってもらえず、ますます自信をなくす、という悪循環にも陥りがち。

 このあたりの問題は、別の機会に、あらためて話題にしてみようと思ってますが、もうちょっと真面目で、(使い方次第で)役立ちそうな本を紹介しようと思います。

「怖いくらい通じるカタカナ英語の法則」(池谷裕二 講談社ブルーバックス)がそれです。著者は脳科学が専門ですが、英語も堪能のようです。こちらが表紙。


 タイトル通りの中身で、なにはともあれ、いくつかの実例をご覧ください。

 Nice to meet you. ナイストミーチュ (初めまして(お目にかかれて、嬉しいです))
 Not at all. ナラローウ ((お礼に対して)どういたしまして)
 Is that enough? イゼリナフ? (それで十分ですか?)
 Get out of here. ゲラウラヴヒア (とっとと、出て行け)
 I got it. アイガーレッ (分かりました(了解しました))
 I'm not sure. アイナッシュオ (さあ、どうでしょうか(確信が持てません))
 Say it again. セイーラゲン (もう一度、言ってください)
 Take it easy. テイケリーズィ (気を楽にして)
 I've got to go.  アイガーラゴウ (もう行かなきゃ)
 It's yours,isn't it? イツユオズイズネッ? (それは、あなたのですよね)

 いかがですか?確かに、こう言ってるし、こう聞こえます。
 ちなみに、最初の"Nice to meet you."には、「納豆、密輸」という空耳英語もあります。

 つまるところ、彼らも「省エネ」を基本にしゃべってる、ということなんですね。

 途中の(発音が面倒な)子音は、飛ばす。子音と母音の連続は、ひとつの音にリンクさせる(最初の例の「ミーチュ」のように)。

 発音が楽な音に変える("t"を"n"に変える(トゥウェンティ(20)を、トゥエニィのように)手もあります。
 このへんは、なにかといえば短縮、省エネしたがる大阪弁と通じるところもあって、面白い。

 ただし、英語の発音全般がそう得意でもないのに、カタカナ英語で覚えた表現を、「中途半端に」、「生兵法的に」使うのはお奨めできません。英語ペラペラと思われて、手加減してくれなくなったり、特定の表現だけネイティブ並み、というのは不自然に思われそうです。

 あくまで「知識として」知っておいて、もっぱらリスニングの時に役立てる、というのがいいと思います。

 いかがでしたか?それでは次回をお楽しみに。