今夜は、風がゴーゴーよく哭く
さっき向こうの部屋で息子の甘えた泣き声が聞こえて間もなく止んだ
お腹が空いた時の焼け付くような泣き方ではない
もしかしたら風の音が恐かったのかもしれない
「精神安定剤としてお乳をあげたら、すぐ眠ったよ」と後で妻が言った
ここまで何事も無く育ってくれた
そして今日、区が行う3ヶ月検診に行った妻が、いくつかの情報を仕入れてきた
育児に振り回され、何も予定が立てられないのは1歳くらいまでは続く、ということ
だけど幼稚園に入り、小学校に入る頃には
もう親より友達の方に気が行くから
親子の密着は、あっという間の期間だということなど
忘れずにいたいと思ってることをもう一度再確認する
以前よりハッキリしてきてた表現の中で「親を呼んでいる時の泣き方」が、
やはり僕は一番やられてしまう
とても切なく狂おしい音色だからだ
それをもし音楽として聴いたなら
僕は涙を流しながらブラボーと叫ぶだろう
そしてすぐ
自分が知っている(遠くから近いとこまでの)人達のことを想ってしまう
みんな誰一人、もれることなく
赤ちゃんの時はこんな声を出して親を呼んだのだ
好きな人も苦手な人も
正直な人も狡い人も
乱暴な人も臆病な人も
みんな
夜通し吹き続けそうな風の音を伴奏にして
さっき聴いた切ない音色が
僕の頭の中で主旋律を奏で続けている
フォーレのシシリアーノのように
夜いっぱいが
音楽となって