千畳敷とは、畳千畳ほどの広さを持つ平坦な岩礁である。それを見学するための遊歩道に二つの橋がかかっている。名称は「観月橋(第一と第二)」だ。さぞかしここから見上げる満月が美しいのだろう。この橋も長年(完成は昭和9年)の日本海の荒波を受けて浸食されたのか、てすりの根本が錆付き、ややぐらついていた。橋を渡りきると堤防に到るが、肝心の堤防へと登る階段がない!夏ならば安全な堤防だが、海が荒れる頃にこの堤防に登るのは危険極まりない行為ゆえ、あえて階段を作っていないのだと思った。堤防の向こう側には、コンクリートの平板が広がっていて、降りれば磯遊びが楽しめそうな場所だった。
この千畳敷に関しては、岩礁の成分がどうだの、与謝野鉄幹がこの地に来て歌った歌がどうだのと小難しい話をこねくり回したブログ記事を読んだ事があるが、「だから面白くないので読者が少ないんですよ」、と心の中でつぶやいたことがある。筆者ならローヒールのパンプスかスニーカーを履かせた女の子を連れてここへ来るだろう。まず、男が堤防をよじ登り、次いで女性の手を引っ張りあげて堤防の上へ乗せる。その際、勢い余って後退すると堤防から落下しかねないという安全上の理由を述べて、引き上げた女性の体をしかと受け止める。この時点で労せずしてハグができちゃう。運がよければ日本海からの強風が彼女のスカートを巻き上げるといういたずらをしてくれるかもしれない。5月のこの時期でも堤防の上に立つとかなりの強風を受けて体が揺らぎそうになるので、お互いに体を支えあう必要が生じる。そして、この事が二人の間の絆を強めるきっかけになるかもしれない。
二つの観月橋
このような岩礁が広がっている
第二観月橋
第一観月橋
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