i8で明治通りを走行し、表参道の交差点辺りで信号待ちをしていると、必ずと言っていいほどi8の写真を撮られる。i-phoneで写す人、デジカメで写す人と様々だが、皆さん、車のナンバーが写らないようにと側面や斜め上方からのアングルで撮影する。増産体制になったとは言え、i8はまだまだ流通量の少ない車ゆえ、その希少価値は高く、ディーラー担当者の話では「3年落ちでも5割の値が付く」そうである。従って、街中でi8を目にする機会はほとんどないため、人々の注目を集めるのだろう。さほど車に興味のなさそうな人でも「まるで映画の世界から出てきたまんまじゃないですか」と言いながら視線を向けるし、車好きな人なら穴の開くほど見つめ続ける。映画に出て来たのと全く同じデザインのコンセプトカーだから、猛スピードで迫って来る、まるで鉄兜を被ったようなwide & lowのi8の姿がドアミラーに写ると、どの車もぶつけたらやばいとばかりに自然に避けてくれるし、i8の前に割り込むときも心なし遠慮がちである。映画に出て来たコンセプトカーが市販車になると、ややデフォルメされ落ち着いたモデルになるのが通例だが、i8のデザインスタイルは、トムクルーズ主演の「ミッション インポシブル」の第4弾「ゴーストプロトコール」に出て来たのと全く同じである。これがi8のかっこよさ、人気の高さ、人々の耳目を集める最大の理由である。
筆者は公道では時速60km以上は出さない主義なので、スポーツモードでアクセルを一踏みしたらあっと言う間に時速60kmに達するため、ものの1-2秒でアクセルペダルから足を離さざるを得なくなる。その加速感たるや、まるで飛行機の離陸時のようで、背中をシートに打ちつけられっぱなしで、シートベルトがきつく締まってロックされる。だが、電気モードだけの際にアクセルを強く踏み込むと、キックダウン現象が生じ、急減速してから急加速する感じになる。アクセルを緩めると回生ブレーキが効き始めるが、その効き目は、まるでブレーキの如き強烈さを感じるi3ほどではない。これの繰り返しなので、気分的に燃焼不良状態が続いたままの走行になり面白くない。なので、一般道を走る際は、ガソリン消費量が少ない、「コンフォトモード」(スポーツモードよりも電気の使用量が多くガソリン消費量が少ない)か「エコプロモード(コンフォトモードよりも更に電気の使用量が多くガソリン消費量がより少ない)」で走る事にしている。「エコプロモード」でも充分な加速力があるのでこのモードで充分であり、満充電後にエコプロモードのみで往復37kmを走行した時の燃費は実に41.7km/Lを叩き出した。i8は、170kW(231PS)/320Nmの直列3気筒1499ccのツインパワー・ターボ・エンジンで後輪を回し、96kW(131PS)/250Nmのモーターで前輪を回す4輪駆動車で、これらを組み合わせて、システム全体で266k(362PS)/570Nmを発生する。これにより0-100km/h加速は4.4秒としつつ、EUテスト・サイクルでは40km/Lという低燃費を実現。モーターのみで最高速120km/hまで出すことが可能なほか、最長35kmまでEV走行ができるとしている。だが、電気モーターのみでの航続可能距離は、エアコン使用や、急加速急発進などの繰り返しでどんどん減少するため、実際には25km前後がいいところで、平均燃費もリッターあたり、20-30kmくらいである。362PS程度の馬力で0-100km/h加速が4.4秒と速いのは、1500kgと言う車重の軽さにある。低重心でかつ前後の重量バランスが2:2のため、高速走行時の安定性は抜群で、コーナリングも軽快である。東名高速道路の御殿場付近に、下り坂でカーブとトンネルが連続する区間があり、ここでは大抵の車は横風でふら付くために危険を感じ、時速80km程度に落としてゆっくり走行せざるを得ない。だがi8はこの区間を100kmで定速走行しても危険を全く感じなかったのだから凄いの一言に尽きる。おまけに、トンネルなどの暗闇に入ると自動的にヘッドライトが点灯するオートライトシステムが装備されているため、ライトを点灯させるボタンに一切触れる事無くトンネルを高速で突き抜ける事が可能だ。だが、タイヤはさほど太くないため、限界速度以上でコーナーに入るとややアンダーステア気味になる。そして繰り返しになるが、硬めのサスペンションに寄る乗り心地の悪さが、筆者に取っては最大の欠点のように感じられる。
筆者に取って、i8とは単なる腰掛け車である。筆者の最終目標は、BMWの創立100周年に当たる2016年に、それを記念して発売が予定されている「i8S」である。i8Sは、ポルシェ911GT3を凌ぐ動力性能を持つ、500馬力以上のスペックになるらしく、コーナリングの際にヘッドライトの光軸を細かく変化させて安全走行に寄与するシステムや、対向車のライトを検知したらハイビームを自動的にロービームに変換する装置の装備なども予定されているらしい(これらは既にレクサスの最上級車種のLSに標準で装備されている)。更には四輪操舵システムにしてコーナリング走行を安全に行える事なども検討されている模様だ。価格は2500万円くらいになるらしいが、現在のi8が1000万円で売却可能なので、実質価格は1500万くらいかと思う。i8Sは、退任するCEOへの餞別代わりの記念車になるらしく、多分台数を限定した上での生産になるのではないだろうか?さすればプレミアも付くのでi8Sの次の車への買い替え時には非常に有利になるだろう。
新宿で信号待ちをしていたら、外国人カップルが「かっけいい~!」と言った表情でi8を見て行った
池袋で、i8の写真を撮る外国人のおじさん(左片隅に写っているピンクのポロシャツの男性)
「うわあ~かっこいい」と言いながら見ていくカップル
しっかりi8の後ろ姿も見て行った