約束が違うじゃないか（ホテル東宝） 佐ガット覆面調査員

約束どおり午後７時頃にホテルに到着した。フロントには誰もいない。見ると、「御用の方は呼び鈴を鳴らして下さい」と言う書置きがカウンターの上にあった。。二回ほど呼び鈴を鳴らしたところでようやくご当主様が御登場。５階の一室を指定され、「後ほど仲居が説明に伺うので部屋で待機していて欲しい」と指示された。部屋に入ってみると、少し寒い！よく見たら暖房用エアコンが設置されていないのだ。代わりに石油ファンヒーターが一台置いてあった！去年の悪夢が蘇ってきた。筆者は昨年の某旅館での宿泊体験で苦い教訓を得ていたので、予約時に、あれほどしつこく「暖房用エアコン完備のお部屋を」と念押ししておいた。にも関わらず、暖房は石油ファンヒーターだけだった。やがて仲居さんが現れたので、「暖房用エアコン完備の部屋をとお願いしておいたのに話が違うじゃないか」と、詰問すると「あら、それは申し訳ないことをしてしまいましたのおー」と仲居は謝罪したものの、怒りが収まらない筆者は怒りを押し殺しながら、「暖房用エアコンが完備したお部屋に替えて下さい」と懇願した。すると仲居は「当ホテルは全室、暖房は石油ファンヒーターだけなんです」と当方を奈落の底に突き落とすような事を平気で言った。「石油ファンヒーターを一晩つけっぱなしにしたら、一酸化炭素中毒で死亡しかねないだろう」と筆者が言うと。仲居は事も無げに「石油ファンヒーターをつけっぱなしにして寝る人もいますけどねえー」と言いながら、入り口のドアにドアストッパーを噛ませて、ドアを少し開け、そこを換気代わりにして就寝したらどうかと勧めてきた。筆者は「冗談じゃない、そんな事をすれば、部屋が充分暖まらないし、第一無用心ではないか」と心の中で叫んだものの、ホテル吉田屋が全館満室状態なのにひきかえ、東宝さんの当日の宿泊客は７人だけ。冬季は宿泊客が少なく、暖房用エアコンの設置を求める客の要望が少なかったのかもしれないし、予約時に対応したおじさんは、「暖房用エアコンと石油ファンヒーターを勘違いしたのかもしれない」、そう思い、これ以上未練がましい事を言うのはやめて我慢することにした。多分、ホテル東宝さんは、暖房用エアコン設置の必要性は痛感していたと思うのだが。。。

部屋は１４畳もある広さで畳もまずまず新しい。ところが、障子はところどころ破れており、トイレは今時珍しい男女兼用の和式であった。洗面台には液体石鹸ではなく固形石鹸が用意されており、風呂場には「ケロリン」と書かれた風呂桶が置いてあった。仲居に言われたとおり、ドアを少し開け気味にし、石油ファンヒータをつけっぱなしにして就寝した。就寝中に一酸化炭素中毒であの世へ行くかもしれないという恐怖感が頭から抜け切れなかったためとても熟睡などできるはずもなかった。午後１１時頃に就寝したが、午前３時には早々と目が覚めてしまった。