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福一事故・回避先送り、避難者が告訴・事故予見先送り・旧経営陣3人

2019-09-17 | Weblog

「憤りが原動力」=避難者の告訴が一歩―東電強制起訴公判

 東京電力旧経営陣3人の刑事責任を問う動きは、福島県の避難者らの告訴が出発点だった。19日に東京地裁で言い渡される判決を前に、当初から携わった2人に話を聞いた。

 福島原発告訴団団長の武藤類子さん(66)は「起きずに済んだ事故かもしれないという憤りが原動力だった」と振り返る。福島市で育ち、原発事故後の約1カ月間、山形県に避難。福島県田村市で営んでいた自然食の喫茶店は事故で廃業に追いやられた。

 自分に何ができるのか。仲間と模索を続ける中、「責任の所在をはっきりさせ、責任ある人たちから言葉を聞きたい」との思いに至り、事故から1年後の2012年3月、告訴団を結成した。6月、事故当時県内に住んでいた1324人が名を連ねた告訴状を福島地検に提出。その後、賛同者は全国約1万4000人に膨らんだ。

 しかし、地検と共に捜査していた東京地検は2度、不起訴処分に。勝俣恒久元会長(79)ら3人は、告訴団の申し立てを受けた検察審査会の起訴議決で16年2月に強制起訴された。

 これまでに37回開かれた公判は全て、福島から足を運んで傍聴した。「刑事事件の被害者は限られているが、その後ろにたくさんの被害者がいるという認識を持ってほしい」。裁判所の判断に期待を寄せた。

 告訴団を支え、被害者参加代理人として法廷に立った海渡雄一弁護士(64)は「東電内部の誰が、どの時点で、どう判断したのか。生の行動が明らかになった」と公判の意義を語る。

 証拠として開示された社内メールや元幹部の調書などを読み、「そもそも検察がなぜ不起訴にしたのか。謎だ」といぶかしむ。

 旧経営陣側は政府機関の地震予測「長期評価」の信用性も争っているが、海渡弁護士は事故前、日本原子力発電が長期評価に基づいて東海第2原発(茨城県東海村)の津波対策をしていたことに触れ、「裁判所には東電の体質まで分かった上で、真実を見抜いてほしい」と話している。

 

東電原発事故、予見可能性どう判断 旧経営陣3人に19日判決

 東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された同社元会長、勝俣恒久被告(79)ら旧経営陣3被告の判決公判が19日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれる。最大の争点は、巨大津波を予見し、対策を取れば事故を回避できたかどうか。未曽有の事故から8年半。企業トップらの刑事責任は認められるのか。司法の判断に注目が集まる。

 他に強制起訴されたのは、ともに元副社長の武黒一郎被告(73)と武藤栄被告(69)。3被告はいずれも無罪を主張している。平成29年6月の初公判から計37回の公判が開かれ、今年3月に結審した。

 審理で特に時間が割かれたのは、事故前に政府が出していた地震予測の信頼性と、それを受けた東電内部の対応だった。

 政府の専門機関は14年、「津波地震が福島沖を含む日本海溝沿いで発生しうる」との地震予測「長期評価」を公表。東電子会社は20年、長期評価を基に「最大15・7メートルの津波が襲来する」との試算を示した。

 検察官役の指定弁護士によると、東電の担当部署は試算に基づく津波対策を検討し、同年6月に武藤被告に報告。しかし武藤被告は7月、長期評価の妥当性を土木学会に検討させるよう指示した。21年2月には3被告が出席した会議で、担当部長が巨大津波発生の可能性について言及したものの、対策は実現しなった。

 検察官役の指定弁護士は、3被告は津波の試算に接していたのに、より詳細な情報を収集することを怠ったと指摘。「津波の襲来は予見でき、対策していれば事故は防げたのに、漫然と原発の運転を続けた」として、3被告に禁錮5年を求刑している。

 これに対し3被告側は、長期評価は根拠が不明確で「信頼性はなかった」とし、直ちに対策に取り組まなかったことの妥当性を強調する。また実際の津波は試算と異なり、仮に試算に基づいて対策しても「結果の回避は不可能だった」と主張。指定弁護士の訴えと真っ向から対立している。

 事故をめぐっては、国会や東電など4つの事故調査委員会が検証を実施。国会事故調は事故を「人災」とし、東電も津波想定に「結果的に甘さがあった」とした。ただ一般的に重大事故で個人に刑事責任を負わせる過失罪の立証はハードルが高い。漠然とした不安感などではなく、具体的な危険性を認識した上で事故を予測できたとの厳しい事実認定が不可欠だからだ。

 東京地検は25年9月、「津波を具体的に予見することは困難だった」などとして3被告ら計42人を不起訴処分としたが、検察審査会は3被告を起訴すべきだと2度議決。津波を予見できたのに対策を怠り、事故で長時間の避難を余儀なくされた双葉病院(福島県大熊町)の入院患者ら計44人を死亡させたなどとして、28年2月に強制起訴された。

 

「停止回避で先送り」=元幹部調書でも対立―東電原発事故公判

 東京電力福島第1原発事故で旧経営陣3人が強制起訴された公判では、元東電幹部が検察官に「原発の運転停止を避けるため、津波対策を進める方針が変わった」などと説明していたことが明るみに出た。検察官役の指定弁護士は、元幹部の調書を「対策が先送りされた」との主張の柱に据えたが、弁護側は内容に激しく反発。19日の判決はどう判断するのか。

 調書は計4通で、安全対策担当だった元幹部が事故後、検察官の取り調べに応じて作成された。元幹部の証人尋問が実現せず、地裁が証拠採用。それによると、東電は2008年3月の常務会で、政府機関の地震予測「長期評価」に基づいて襲来する恐れのある津波高を算出し、安全対策を行う方針を決定したとされる。

 算出された津波高は、原発の敷地高(約10メートル)を優に超える「最大15.7メートル」。元幹部は検察官に、報告を受けた元副社長武藤栄被告(69)が08年7月、社の方針を転換して対策先送りを決めたと説明。「長期評価に基づけば、対策工事に時間がかかり、原発が停止される可能性があった」「費用も数百億円規模で、新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発も止まっている中、会社としてリスクが大きかった」と理由を分析した。

 弁護側は調書の内容に真っ向から反論する。そもそも長期評価は信頼性に疑問があり、会社の方針として津波対策に取り入れる決定はしていないと主張。「方針転換も先送りもない」とし、公判では「最大15.7メートル」の基となった長期評価の信用性も主要な争点となっている。

 仮に予測津波高が敷地高を超えていなければどうだったのか。元幹部は検察官に「長期評価を取り入れる方針が維持され、対策が講じられていたと思う」と説明している。

 

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福一事故・回避先送り、避難者が告訴・事故予見先送り・旧経営陣3人 (AO)
2019-09-19 16:30:18
 東京電力福島第1原発事故で強制起訴された勝俣恒久元会長(79)ら旧経営陣3人は19日、無罪判決を言い渡されると裁判長に一礼し、緊張した表情を少し緩めた。一方、傍聴人からは「ええー」「うそ」と、どよめきや不満の声が上がった。
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