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緩和ケアのメリットは、終末期にとどまらない。

2022-02-09 | Weblog
「痛くない死に方」は準備が9割 早めの”緩和ケア”で穏やかな最期に 医師解説 

「苦しまず、安らかに最期を迎えたい」──これは人類の共通の願望だ。とはいえ「死に方は選べない」ということも長らく人類の共通認識だった。しかし医学が進歩したいま、それは過去になりつつある。エビデンスと経験にもとづく、「痛くない死に方」に必要なものとは。

        安らかな最期を迎えるために、家族と連携して早めの準備をすることが大事(写真/GettyImages)© 介護ポストセブン 提供 安らかな最期を迎えるために、家族と連携して早めの準備をすることが大事(写真/GettyImages)

痛くない死に方をするためにできること

 厚生労働省が行った調査によると、2020年における日本人の死因トップ2はがんと心疾患。3位の老衰を除いて脳血管疾患、肺炎と続き、7割近くが何らかの病気によって亡くなる結果になっている。つまり病気に伴う苦痛をいかにコントロールするかが、“痛くない死に方”ができるかどうかの鍵を握ることになる。

           2021年に発表された厚生労働省の調査より。死因として最も多いがんをはじめとして、緩和ケアが重要になる病気は少なくない© 介護ポストセブン 提供 2021年に発表された厚生労働省の調査より。死因として最も多いがんをはじめとして、緩和ケアが重要になる病気は少なくない

痛みを和らげる“緩和ケア”のメリット

 緩和ケア医の大津秀一さんは、痛みを和らげる“緩和ケア”をうまく取り入れることで安らかな最期を迎えやすくなるとアドバイスする。

「特にがんは末期になると体の痛みや倦怠感、息苦しさといった苦痛症状が出ますが、これらは適切な処置をすることで弱められる。さらに死期が近づいて、耐えがたい苦痛がある場合には、投薬によって意識を低下させる『鎮静』状態にすることも可能です。ほぼ眠りながら穏やかに最期を待つことができます。

 実際に60代の肺がん末期の女性は、いずれ耐え難い呼吸困難などが起きることを想定して、早くから緩和ケアを受けて準備をし、最期は鎮静の処置を受けて穏やかに旅立たれました」(大津さん)

 緩和ケアのメリットは、終末期にとどまらない。

「病気に伴う苦しみは、痛みだけではありません。痛みに伴うストレスはもちろん、家族や同僚との人間関係や経済面、メンタル面における不安など、多岐にわたります。

 緩和ケアの治療内容にはコーピングと呼ばれる病気に伴うストレスへの対処方法を伝えたり療養場所の相談も含まれる。そのため、終末期に限らず早期から緩和ケアを受けることで、こうした苦しみを軽減し、終末期だけでなく、長い目で見ても生活の質を改善することができます」(大津さん)

 緩和ケアを希望する場合、「がん診療連携拠点病院」のように大きな病院には緩和ケア外来や緩和ケアチームがあるので、相談してみるといい。通院している病院に緩和ケア医がいなければ、外部の施設を受診することも可能だ。

 ただし、緩和ケアの専門医は少なく、早くから探すなど準備をしておくことが、苦痛が少ない療養となることを覚えておこう。

「いざというときの準備は、時間をかけて行ってほしい。まだ緩和ケアは必要ないと思っていたとしても、病院の緩和ケア外来や地域連携室に早い段階にアクセスし、最期はどんな医療者に診てもらいたいかを明確にし、つながっておくと安心です」(大津さん)

苦痛のない最期には準備期間が必要

 在宅訪問医として多くの患者の最期に立ち会ってきた立川在宅ケアクリニック院長の荘司輝昭さんも、苦痛のない最期を迎えるには、準備期間が必要と声をそろえる。

「安らかな死を迎えるためには医療者と患者、家族の連携が必要です。終末期に入る前から今後起こりうる事態を想定し、急な痛みに対する薬をもらうなど準備をしておくことで、突然の症状変化に対応することができる。一方で準備や話し合いが充分にできていなければ、そのまま苦しみながら亡くなってしまうケースも珍しくありません」(荘司さん)

 つまり、早期に緩和ケアを施してくれる医師を探すことが「痛くない死に方」への近道だということ。しかし荘司さんはその選び方には注意が必要だと指摘する。

「近年は看取りや緩和ケアを行う訪問診療医が増えていますが、終末医療をまったく理解していない医師が多すぎる。『24時間365日対応』と謳っていても、いざというときに連絡がつかないことはざらです。加えて訪問医は、それぞれ得意とする専門分野が異なります。もし、心不全やがんなど特定の病気があるなら、専門の訪問医にかかるのが望ましい。でないと希望するケアを受けられないこともあります」(荘司さん)

 実際、2016年に亡くなった大橋巨泉さん(享年82)は在宅医療を選択したが初めて訪れた在宅医から、こんな質問をされ、ショックを受けたと生前連載していた雑誌のコラムで明かしている。

<在宅介護の院長は、いきなりボクに「大橋さん。どこで死にたいですか?」と訊いてきた。(中略)ボクは、すでに死ぬ覚悟はできていたのだが、「エッ?俺もう死ぬの?」と呆然とした>

 大橋さんはその日から、わずか約3か月後に帰らぬ人となった。訪問医と合わないと思ったら、勇気をもって病院を変えてもらおう。

「客観的にどんなにいい医師であっても、相性があります。自分には合わない、おかしいと思ったら、遠慮なく申し出てください。必要に応じてほかの専門医に診てもらうこともあるので、地元ですぐ駆けつけられてほかの病院と連携が取れていて、看護師さんなどスタッフをマネジメントできる医師が理想です」(荘司さん)

教えてくれた人

大津秀一さん/緩和ケア医、荘司輝昭さん/立川在宅ケアクリニック院長

イラスト/あべゆきこ ※女性セブン2022年2月3日号

 

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新型コロナ化・この冬はご用心「脳梗塞・危険な原因3つ」

2022-01-17 | Weblog

脳梗塞のタイプは3つ...「危険な原因」を知って、「予防」の  ための7つのポイントを実践しよう   2022/01/16

突然、倒れて命を失う。助かっても寝たきりになることも...そうならないためには、どうすればいいのでしょうか? IMSグループ横浜新都市脳神経外科病院院長の森本将史(もりもと・まさふみ)先生に、「脳梗塞の原因と予防のポイント」についてお聞きしました。

脳梗塞には3つのタイプがあります。
一つめは生活習慣病がおもな原因の「アテローム血栓性脳梗塞」、二つめは老化が原因の「ラクナ脳梗塞」、三つめは不整脈が原因の「心原性脳梗塞」です。
どのタイプの脳梗塞も、生活習慣の改善や持病を治療することで、脳梗塞の発症を防げる可能性が高くなります。
「アテローム血栓性脳梗塞は生活習慣病と深い関係があります。特に動脈硬化につながる高血圧、糖尿病、脂質異常症がある人は要注意。脳の血管が詰まりやすいので、脳梗塞を引き起こす可能性が高いのです。また、心原性脳梗塞は、不整脈の一つである心房細動が原因です。健康診断で生活習慣病や不整脈を指摘されても『すぐに命にかかわらないから大丈夫』と放っておく人もいるでしょう。それが、脳梗塞の発症につながります。ラクナ脳梗塞は脳の老化現象といえますが、ストレス、喫煙や過度の飲酒などで進行を早める可能性があります」(森本先生)

脳梗塞3つのタイプ
アテローム血栓性脳梗塞
脳内の比較的太い血管が詰まって起こる脳梗塞です。
"アテローム"とは、粥状硬化という意味で、動脈硬化で起こる血管の状態のこと。
前触れ発作(TIA)が出やすい脳梗塞で、TIAがあった人のうち、約30%が5年以内に脳梗塞を起こすという報告もあります。
前触れに気付くことが発症の予防に。
           2201_P048_01.jpg

【原因】
高血圧や脂質異常症、糖尿病など、動脈硬化の危険因子を多く持っている人に起こりやすいので、生活習慣の改善が急がれます。

ラクナ脳梗塞
脳内の細い血管が詰まって起こる、直径15mm以下の小さな脳梗塞のこと。
手足のしびれ程度の軽度の症状か無症状のため、気付かないこともよくあります。
小さな梗塞を繰り返すうちに脳の機能が低下し、物忘れなどの症状が少しずつ進行して認知症を引き起こすこともあります。
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【原因】
年齢を重ねると血管の老化が進みます。さらに喫煙や大量の飲酒など、不摂生は血管の老化を早めるので、注意しましょう。

心原性脳梗塞
心臓から流れてきた血栓によって、脳の太い血管が詰まる脳梗塞です。
その血栓が大きいため脳の広い範囲にダメージを受けて重症になりやすいのが特徴。
心臓で血栓ができる理由は不整脈の一つである心房細動によるもの。
特に前触れはなく突然発作の症状が現れ、亡くなる危険性が非常に高く、後遺症も重いので要注意です。
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【原因】
不整脈の一つである心房細動が関係しています。該当する人は心房細動を抑える薬や治療などの検討を。睡眠不足や高血圧もリスクが大きいので要注意。


脳梗塞予防7つのポイント
1.血圧に注意
高血圧は動脈硬化を進行させ、血流が悪くなることで血栓が詰まりやすくなり、脳梗塞のリスクに。脳卒中を起こしたことのある人は上が110〜130㎜Hg程度、ない人は140㎜Hg以下で安定させて。
2.LDLコレステロールと中性脂肪に気を付ける
LDL(悪玉)コレステロールが多く、HDL(善玉)コレステロールが少ないと動脈硬化が進みやすくなることが分かっています。中性脂肪の数値が高い人も同様です。家族に高コレステロールの人がいるなら要注意。
3.不整脈を放っておかない
健康診断で不整脈を指摘されたら、精密検査を受けましょう。動悸、息切れ、脈が飛ぶなどの自覚症状を感じた場合は、かかりつけ医に相談してみてください。
【心房細動で脳梗塞が起こるしくみ】
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心房細動で心臓のあちこちに異常な電気信号が発生すると、血流が不規則になってよどみ、かたまりになります。これがある日突然、血液といっしょに脳血管に運ばれて脳梗塞になります。
4.水分補給をする
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体内の水分量が足りなくなると血液がネバネバし、血管が詰まりやすくなります。夏場は特に注意が必要です。1日500ml〜1Lほどを目安に、喉が渇いたと感じる前に少しずつ飲みましょう。
5.バランスの良い食事を心がける
糖質・脂質の多い食事に偏りがちな人は、動脈硬化を引き起こしやすいので、野菜・魚を積極的に食べましょう。食べ過ぎにも注意して適正体重を保つと、血圧も安定し、脳梗塞のリスクを減らせます。
6.適度に運動をする
運動はコレステロールや脂質を減らし、血流を良くするのに効果的です。ジムに通ったりしなくても、エレベーターの代わりに階段を使ったり、移動は徒歩にするなどで運動不足は解消できます。
7.ストレスをため込まない
過度のストレスは血圧や脈拍を上昇させ、血管を傷つけて動脈硬化を招きます。疲れを感じたら深呼吸やストレッチをしましょう。副交感神経の働きが良くなり、血圧も降下します。



取材・文/石井信子 イラスト/ノグチユミコ

<教えてくれた人>

森本将史(もりもと・まさふみ)先生
IMSグループ横浜新都市脳神経外科病院院長。脳神経外科医。京都大学医学部卒業後、国立循環器病研究センター、ベルギーLeuven大学などで手術と研究の研鑽を積み現職。専門は脳卒中で、日本でも有数の実績がある施設長として、日々手術を行う。脳卒中予防にも尽力している。

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欧米ではチーズの虫歯予防効果は常識⁉

2021-06-16 | Weblog

虫歯は、「脱灰」と「再石灰化」のバランスが崩れることで起こる。

まず、食事をすると起こるのが「脱灰」だ。口腔内の細菌が食品の糖類をエサにして酸を産生し、それが歯のエナメル質と象牙質からカルシウムイオンとリン酸イオンを溶出させる。

その後、食事や間食が終わると、エサの糖類がなくなるので、細菌の酸の産生が終わり、脱灰が停止。口の中の唾液に含まれるカルシウムイオンとリン酸イオンが脱灰で溶け出した部分を修復し、虫歯に至らないようにする。これを、「再石灰化」と呼ぶ。

「ところが、糖類の摂取量が多かったり、頻繁に間食を取っていたりすると、再石灰化が間に合わず、虫歯が生じます。再石灰化が進むには、唾液の分泌が十分に行われていることが大前提となります。ただ、唾液内のリン酸イオンは誰でも豊富なのですが、カルシウムイオンの分量は個人差が大きく、カルシウムイオン量が少ない人では、再石灰化が進みにくい」

そこで活躍するのが、チーズだ。

チーズは生乳にタンパク質を固める凝乳酵素を加え、生乳内の水分を抜いて作られる。

「そのため、もとの生乳よりも栄養素が大幅に凝縮されています。ほとんどのチーズで、歯に関係するミネラルであるカルシウム量はもとの生乳の3~10倍、リン酸は2・8倍。特に、チェダー、パルメザン、エメンタール、ゴーダなどに代表されるハードチーズやセミハードチーズは、カルシウムとリン酸の量が、非常に多い」

つまりチーズを食べることで、口の中にカルシウムやリン酸が拡散。カルシウムイオンが少ない唾液に対しては、チーズがそれを“補給”する形となり、再石灰化が促進される。

単にカルシウムが多い食材というだけであれば、小魚もカルシウムが多いが――。

「カルシウムが多い食材であっても、カルシウムとリン酸の結合が固いと、唾液中にカルシウムイオンとして出ていきません。まさに小魚では、そう。一方、チーズはカルシウムとリン酸の結合が緩いので、カルシウムイオンが唾液中に出ていきやすい。カルシウムを豊富に含み、かつ唾液のカルシウムイオン補給に役立つ食品は、チーズが最強です」

歯が溶ける酸蝕症も改善

チーズと虫歯に関する研究報告は複数ある。たとえば、4週間毎日2回、ショ糖液に歯を漬けて虫歯を起こしやすくした研究で、チーズ14グラムを噛んでいたグループは、そうでないグループに比べて再石灰化が有意に促進していた。また、「チーズを毎日4回摂取していたグループは虫歯が改善した」「虫歯の病巣サイズは、チーズ摂取群で非摂取群のおよそ3分の1だった」という報告もある。

「チーズの口腔に対する効果は虫歯予防だけではありません。果実やジュース、ソフトドリンク、食酢は歯が溶ける酸蝕症を引き起こします。しかしチーズを取ることで、それが改善できるのです。チーズを5分間咀嚼すると、そうでない場合に対し歯の硬度が増したとの研究結果もあります」

チーズを利用しない手はない。お勧めの利用法としては、「食事や間食の最後に」「10~15グラム程度(1・5センチ程度角)のチーズを食べる」。

チーズによってカルシウム量は異なるものの、継続が大事なので、ナチュラルでもプロセスでも好きなチーズを選べばいい。

「チーズを食後に食べていれば、多少歯磨きを怠っても、虫歯予防になります」

お酒のつまみも、チーズで決まり。

 

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「“死”は怖くないですか?」ハフポスト日本版

2020-09-09 | Weblog

死というのは、意識がなくなって醒めないだけなんだから、今夜寝るときと同じ

養老孟司さんに聞きました「“死”は怖くないですか?」ハフポスト日本版 2020/09/09 

© ハフポスト日本版

養老孟司さんは、死を怖いと思ったことがないという。解剖医として多くの死体と接し、『バカの壁』(新潮新書)といった著書などで社会を論じてきた知の巨人は今、「死」をどのように捉えているのか。

訪問診療医の小堀鷗一郎さんとの共著『死を受け入れること 生と死をめぐる対話』(祥伝社) では、「私の場合は、死から生を見るということで、視点が普通とは逆転してしまう」と綴ったが、そこから見える景色とは。リモートで話を聞いた。

死とは社会の約束事

━━今年、私(聞き手)の義祖母が亡くなり、6歳の娘とともに「死」とはどういうものかを語り合いました。養老さんならそのような小さな子どもに、「死」をどのように伝えますか?

結論を言うと、こういう話に一般解はありません。生死の問題はマニュアルではいけない。死というのは、常に具体的なものです。その場その場で考えるしかない。

━━棺に入れられた義祖母の身体と、葬儀まで数日にわたって家で一緒に過ごす体験をしました。「医学的な死」と「認識上の死」は別のものだと、改めて実感しました。

その2つの死の間にはタイムラグ、ズレがありますね。つまり死というのは、社会的な約束事として決められているんです。医者が死亡診断書を書くための要件があって、それを満たせば「死んでいる」ということになる。だから、死亡診断書には死亡時刻を書くことになっています。

しかし、おばあさんのような親しい間柄の場合、客観的な基準はない。いつまでも生きていると思っている。いや、思っていたいんですね。僕は「二人称の死」と呼んでいますが、これはさっき言ったように、一般解がないということです。家族が死んだら、自分が変わっちゃいますからね。極端に言えば人生が変わって、別な人になる場合もある。

世間の常識として、死ぬというのは客観的な出来事だと思われてますが、それは「三人称の死」、つまり、神様目線と僕は呼んでいます。本当は厳格な定義はできません。死亡時刻なんてとても書けません。

若者の死因1位は自殺。「対人」ではなく「対物」へ

          © ハフポスト日本版

━━20代、30代の死因の1位が自殺となって、長く経ってしまっています。

 

日本の社会では昔からあるんですね。一番多い自殺の理由は、病苦です。鬱もそれに入れていいと思います。仕方がないですね。止めようがないです。

大学で教えていた頃、学生さんでそういう方がいました。あとから思うとサインがあったんですが、それは後から考えるからで、そのときは気が付かない。気が付いていれば何か打つ手があったかなと思うけど、気が付かなかった。まさか死ぬとは思ってません。それは未だに後悔しています。

━━養老さんがおっしゃる「仕方がない」というのは、著書(『手入れという思想』)にもある、自然界には「仕方がない」としか表せない領域が存在するということですね。ネットが普及し、SNSなどの影響力が大きくなった現代では、「世間」が今まで以上に可視化され、息苦しさを感じている人も少なくないと思います。

僕が思うのは、「対人」と「対物」を分けたときに、若い人は「対人」に集中しすぎているのではないかと。子どもの自殺はいじめが原因とかよく言われるけど、対人ですよね。そんな時、僕は「山に行きなさい」とよく言っています。人の顔ばっかり見ているんじゃなくて。

山は「炎上」したりしませんから。「いいね」「わるいね」なんて言いませんよ。

物との関係をもっと大きくしたらどうですか。ただ、都会はそれがなかなかできない。僕なんかが子どもの頃だったら、山へ虫捕りに行っちゃう。都会は子育てに向かないんですね。

━━私も都会で子どもを育ててしまっています…。

そういうところで子どもを育てちゃいけないんです。子どもは自然ですから。都会では、自然は排除されます。

親が経済的なこととか仕事のこととかいろいろ理由を言うんだけど、しなきゃいけないことというのは、理由とは関係がない。子どもはこうしないとだめですよ、というだけのことで。僕は田舎暮らしを勧めてるんですけど。

━━学校教育についてはどのように考えていますか?

根本的に変えるべきだと言っています。

僕らが子どもの頃は、野山で遊んでいる子どもをつかまえて学校の教室に座らせておくことに意味があったんです。今はまったく逆でしょ。ほっといても家にこもっているだけ。学校に来たら、子どもたちを野山に放した方がいいんじゃないか。つまり、学校の役割が昔と逆になっているんじゃないか。

不登校の子どもたちとよく付き合ってますけど、夏休みが明けると子どもの自殺が増える。それっておかしいと、学校が思わないといけない。つまり、虐待しているわけでしょう。

     © ハフポスト日本版

人生もっとズレちゃってていい

━━養老さんは今までも、自然や子どもへの「手入れ」について論じてこられました。都市での生活で、私たちは身体の「手入れ」についてどう考えていくことができますか?

身体というのは自然であって、本来この身体の当てはまっていた状況があるはずですね。それを頭で考えて都市を作ってしまっているから、ズレが大きくなってしまっている。これでどこまでやる気だろうと思ってるんですけどね。

それでもAIって言ってるでしょ。もっと極端になると、人間がいらなくなると言っている。

そういう考え方には意味がないと、はじめからわかるでしょ。変だよね。なぜ人間がいらなくなるような機械を作っていかなければならないんだろう。

━━本書には「人生は遊び半分でいいんです」と書かれています。とは言え、私たちは明日には学校や会社に行かなければならない。さらには、「夢」や「自己実現」などのプレッシャーも強いように感じます。

もっとズレちゃってていいんじゃないですか。

「夢」とか「自己実現」と言った瞬間に、生真面目な感じになる。夢ってなんでもありですからね。日本ではなにか決まったかたちのようになってしまう。そんなもん夢じゃねえだろ、って。夢ってもっとめちゃくちゃなもんでしょ。そういうめちゃくちゃなものを入れる余裕がなくなっちゃった。

「本人」がノイズになるのが現代

━━本書の中で、小説家サマセット・モームの『要約すると』を参照した記述が印象的でした。解剖実習の描写で、「神経の走り方が教科書と違います」という実習生に対して、助手は「人とはそういうものだ、解剖では例外が普通だ」と言います。生きている人間にも多様性があり、「例外が普通」で「いろんな人がいて当たり前」とも言えます。

本来、そのほうがストレスがないと僕は思ってるんです。できるだけ「普通」の範囲を広げたほうがいい。

世の中を意識できちんと作ってきたから、受け入れづらい。行き着くところがAIです。AIに扱えない状況の情報をノイズと言うんです。今では、人間がノイズになっています。

先日、「本人確認」について、こんな面白いことがありました。銀行に行ったときに、運転免許証を見せてくれと言われましたが、僕は持ってません。「保険証でもいいんですけど」と言われても、銀行には持って行かないでしょ。それで「持ってないよ」って言ったら「困りましたね」という話になって。銀行の人は僕を見て「養老孟司だ」とわかっているわけです。

それで僕が不思議に思ったのは、その「本人」ってなんだろう、と。目の前にいて、銀行の人も本人だってわかってるんだけど、でも本人確認の書類が必要だと言っている。

別の日に、会社の課長クラスの人が「部下がメールで仕事の報告してくる。あれはなんだ」と言っていて、気付いたんです。課長本人のところにいって報告をすると、機嫌が良いとか悪いとか、二日酔いで酒臭いとか、いろんな情報が入ってくるでしょ。その情報は仕事にはいらないよね。それをノイズって言ってるんですよ。本人がノイズなんです。

僕が銀行に行って「本人だ」と言って、銀行の人がわかっていても、その本人はいらないんです。それはコンピュータに入ってないから。

だから「本人」がノイズになる時代が、現代です。システムにはまるものしかいらない。それを始めたのは医者です。患者さんを診ないで検査の結果を見ている。検査の結果が患者であって、患者本人はノイズです。邪魔くさい。いなくていい。だから「人がいらなくなる」と言いだすんです。

それが鬱陶しくなって、息苦しくなってくるのは当たり前でしょう。そういう社会をわざわざ作ろうとしているけど、なんでそんなことすんの、とこっちは聞きたくなる。

━━私たちがそのような社会のあり方を見直していくには、何ができるでしょうか?

いや、だからそれは、そういうものに一般的な解答があるという前提でお聞きになられている。僕が問題にしているのは、一般的な解答がないものが大事なんじゃないかということです。今の人は、一般解がないとイライラするんです。

特に人生や生死というのは全部、具体的な問題です。それは政府や組織で片付く話じゃない。人がどう生きるかという話を組織でやったら、戦争中みたいになりますよ。「万事お国のため」ですから。

死が怖いなんて考えても仕方がない

━━子どもの頃、死んだら自分にとっての宇宙や世界はすべて終わりだと思うと、恐ろしく感じることがありました。生死への、そうした畏怖の念をいつの間にか忘れてしまったような気がします。

死ぬことなんて考えてもわからないでしょ。僕はコロナが嫌なのは、入院するのが嫌だから。死というのは、意識がなくなって醒めないだけなんだから、今夜寝るときと同じ。一度寝てしまったら、意識で起きてるわけじゃないんで。

僕は死を怖いと思ったことはないのでよくわからないですね。そんなことは考えても仕方がないです。

     © ハフポスト日本版

(文:遠藤光太/編集:毛谷村真木)

 

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「虚無は実在する」87歳になった石原慎太郎氏の言葉「死」について「人間の一生」とは。

2020-08-02 | Weblog

記事  PRESIDENT Online2020年08月01日

石原慎太郎「死線を越えた人間のみが味わえる実感がある」

「虚無は実在する」──87歳になった石原慎太郎氏の言葉は、「死」についての、そんな謎めいた表現から始まった。世界中が「命」と真剣に向き合う中で聞いた、「人間の一生」とは。

死線を越えた人間のみが味わえる実感

今から7年前、私は脳梗塞で入院しました。幸いにも早期発見だったため、利き手の左手だけは麻痺したものの、言葉は明瞭に話せたし、すぐに歩くこともできました。

                                               1932年、兵庫県神戸市生まれ。神奈川県立湘南高校、一橋大学卒業。大学在学中に執筆した『太陽の季節』で芥川賞受賞。68年、自民党から出馬し参議院議員に。元東京都知事。『法華経を生きる』『老いてこそ人生』、ミリオンセラーとなった『弟』など、著書多数。
1932年、兵庫県神戸市生まれ。神奈川県立湘南高校、一橋大学卒業。大学在学中に執筆した『太陽の季節』で芥川賞受賞。68年、自民党から出馬し参議院議員に。元東京都知事。『法華経を生きる』『老いてこそ人生』、ミリオンセラーとなった『弟』など、著書多数。

しかし梗塞を起こした場所が記憶を司る海馬の近くであったため、一時は文字というものをすべて忘れてしまいました。また文字の記憶が蘇ったのちも、左手に麻痺が残ったので、字をうまく書けないという時期が続いたのです。もっとも、右手のほうは使えたので、入院中はワードプロセッサーを使って短編小説を書き上げるという新しい経験をすることはできたのだけれど。

この病は私に、人生で初めてといっていいほどの巨大な喪失感をもたらしました。大病をすると、己の死期が近づいていることを嫌でも自覚しないわけにはいきません。するとそのことによって、ものの見方や考え方にも変化が生じるものです。日常茶飯に思っていたものが非常に新鮮に見えるようになり、たとえば廊下を這っている小さな虫をスリッパで踏みつぶそうとも思わなくなりました。かろうじて生きている者同士としての共感があるからでしょう。

今は毎日、床に就く前に「今日も無事に一日が過ぎた」と振り返り、就寝中に急死した友のことを脳裏に描きながら「今晩あたり、寝ている間に死ぬかな」と目を閉じます。こういう実感は、死線を越えた人間でなければ味わえません。1度倒れて死に損なう経験をすればわかります(笑)。健常な年若い人には想像もできないでしょう。

私なりの悟りの言葉「虚無は実在する」

フランスのソルボンヌ大学の哲学教授だったウラジミール・ジャンケレヴィッチが『死』という有名な本を書いていて、死を多角的に分析しています。実に面白い内容なのですが、その中に「老衰とは死の育成」という一節がある。まさにそうだと思います。死というのは人間にとって最後の未知で最後の未来だから、私にとっても非常に興味を惹かれる対象なのです。

では、死ぬとどういうことになるのか。

意識が消滅するのですから、死ねば虚無です。人間が喜んだり愛したり恐れたり怒ったりするのは全部、意識の産物です。意識がなくなってしまったら、自分がどこにいるのかさえもわからない。死んだら何もないのです。

だから私は、こういう言葉をつくりました。

「虚無は実在する」

アフォリズムとしてよくできているのではないかと思います。虚無は虚無として実在する。仏教から来ているといえばそうかもしれないが、それよりもこれは私自身が自分の行動や思索を通して到達した言葉です。私なりの悟り、覚悟と言ってもいい。

年を取れば誰しもわかるようなものですが、人生には限りがある。死ねば虚無しかなく、虚無は実在する。そう考えると、生きている時間が一層愛おしくなるものです。

私はよく「おまえはもう十分にいろんなことをやってきたじゃないか」と言われますが、そういう私でもこの世への未練は尽きはしません。

もっともっと面白いヨットレースをやってみたかったし、スキューバダイビングにしても、世界中の海をめぐってガラパゴス沖のように日本近海とはかけ離れた素晴らしい海にも潜ってきたけれど、それでもまだ行ってみたい場所はあるのです。

しかし、死んだら終わりです。意識が消滅したら、何ものも知覚できるわけはないのです。だからこそ、生きている時間の大切さがわかろうというものです。

そのことが鮮明にわかる瞬間があります。残酷なことですが、とりわけ老いた人間にとって、親しい間柄の人の訃報は活力にもなりえます。私もこの年ですから、長年のヨット仲間や友人たちを数多く見送ってきました。そのたびに感じるのが、彼らは死んでしまったが自分はまだ此岸にいる、という感覚です。老いて意気阻喪していた自分にはそれが意外な活力にもなるのです。

とはいえ、老齢ゆえの孤独と不安は、必ずしも悪いものとは限りません。私はそうした感情に耐えることこそ、老いての生き甲斐ではないかとさえ思っています。

誰しも若い頃の自分と今の自分を比べるのは辛いことです。脳梗塞を患ってからは、日課としている散歩ひとつにしても、思ったほど遠くまでは行けません。「昔はもっと歩けたのにな」なんて言いながら引き返してくるのはいかにも残念で、いい気持ちがするものではありません。けれど、それは仕方がない。肉体の限界というものがあるからです。それを我慢するのも、ひとつの生き甲斐と言えるでしょう。

仏教以外に本来の哲学を説いた宗教はない

ただ私には幸運にも、ものを書くという生き甲斐もあります。ときどき若い頃に書いた小説を読み返すのですが、今読むと幼いと思える部分がある。だから「今の俺ならこう書くだろう」などと、あれこれ考えをめぐらすのは面白いものです。

一橋大学在学中に芥川賞を受賞した当時。自室で原稿を執筆する。
一橋大学在学中に芥川賞を受賞した当時。自室で原稿を執筆する。(毎日新聞社=写真)

先日、ライフワークのひとつを完成させました。私自身が心のよりどころとする法華経の現代語訳と新しい解釈を記した本です。偉い坊さんたちが読んだら解釈が違っていると怒るかもしれませんが、私自身の経験から私なりに納得のいく解釈を導いたものです。これを持ってこれから全国を説法して歩こうかと思っています(笑)。

といっても、私はある特定の宗教・宗派の熱心な信者というわけではありません。釈迦が人生の中で実践し考え抜いた末の認識を弟子たちが書物にまとめたのがお経、仏典です。その中でも法華経には実に多くの学ぶべき知恵が詰まっていると感じ、私自身の行動や思考の指針としています。だから私は宗教というよりも、実践的な哲学として釈迦の言葉に接しているのかもしれません。

哲学とは存在と時間を考える学問です。そうした本来の意味の哲学を説いた宗教があるかというと、仏教以外にはないだろうと思います。

たとえばキリスト教は、つまりはイエス・キリストの一代記です。人間の愛について、虐げられたユダヤの民への共感をベースに説いている教えですが、そこに哲学はありません。あとからギリシャ哲学を援用してきて、神学というものが出来上がったにすぎません。

これに対して仏教は、たとえば時間の推移が存在の形を変えていくという認識を世界で初めて説きました。それを端的に表した言葉が「色即是空 空即是色」です。

釈迦自身は来世などというものを説いてはいません。浄土宗など後世の仏教が極楽浄土を強調したから多くの人が勘違いしていますが、初期の仏教には極楽や地獄という概念はないのです。釈迦は今をどうやって生きるかということをこそ説いています。来世も極楽もありません。私に言わせれば、そんなものを信じていたら甘ったれるだけです。

日本の仏教の系譜

老いてからの生き甲斐は自分で見つけるしかない

さて、私にはものを書くという生き甲斐があると言いました。「作家ではない自分にはどんな生き甲斐があるんだろう」と悩む人もいるでしょう。結局は自分で見つけるしかないのですが、その気になって探してみれば、身の回りにもたくさんあるはずです。極端な話、野良犬を拾ってきて育てるのも生き甲斐になるかもしれません。

いろいろなところに共感の種はあるのです。それを自分の手でつかみ取ることです。そうした行動をせず、くよくよしながら死んでしまったらどうにもなりません。

私のことを言えば、どんなに気が滅入ったときでも、自ら死を選ぼうなどということをわずかでも考えたことはありません。死んではつまらないし、もったいない。この先に残っている人生で、まだいろいろなことができそうな気がしますから。

三島由紀夫さんはああいう形で自ら命を絶ってしまいました。自衛隊市ヶ谷駐屯地(当時)への立てこもり、決起の呼びかけ、切腹、介錯。それ以前に「楯の会」での行動や著作を通じ、自死までの道をごてごてと飾り付けていきました。けれども私は、それをちっともうらやましいとも美しいとも思いません。

江藤淳は私の文学に「死の影が差している」と評しましたが、私は行動派であり肉体を酷使するだけに、死に近づくのは道理です。しかしそのときに死を強く意識するということはありません。あくまでも、そのときそのときの自分の人生を謳歌するという考え方があるだけです。

今、残念だと思うのは、日本人の多くが幼稚になったということです。人間の価値であるはずの感性が鈍麻し、あれかこれかと議論するのはちまちました小さなことばかりになりました。会ってみて感じるのはのっぺりとした平凡な人間性で、こちらがショックを受けるような鮮烈な個性を持った人間がいなくなりました。特に若い世代に少ない。

今の日本の政治家はほとんどが幼稚です。歴史を知らないからです。本質的な歴史観を踏まえて、今の自分を考える、今の国を考える、そういう本当の教養を持った政治家がどこにいますか。みんな姑息で、その場その場で一時しのぎの自己満足や自己暗示に終始しています。

突如として世界を襲った新型コロナウイルス問題への対処が象徴的です。これこれの時期になったら経済活動を再開できるだろうとか、旧に復することばかりを考えている。でもこの新型ウイルスの流行はしばらく続きます。1年先延ばしした東京オリンピックですが、私は開催できないと見ています。

世界は本質的な変革を求められている

コロナ禍に見舞われた世界は、本質的な変革を求められています。40年ほど前に宇宙物理学者ホーキング博士が来日した際、私は「あなたはある程度まで発展した文明は一瞬のうちに滅びると言ったが、宇宙的な尺度で一瞬とはどのくらいか」と質問しました。そのとき彼は「100年くらいでしょう」と答えた。つまり人類文明が環境問題などの課題を放置していたら、あと100年しかもたないだろうと言ったのです。

ベストセラー『老いてこそ人生』から18年、あらためて「老い」とは何かに向き合う思索の書。生命にかかわる大病を7年前に経験した著者が考察した死生観
ベストセラー『老いてこそ人生』から18年、あらためて「老い」とは何かに向き合う思索の書。生命にかかわる大病を7年前に経験した著者が考察した死生観。

ホーキング博士の予言からもう40年経ってしまいました。今この機会に変えなければ人類文明の存続はない、と腹の底から理解している政治家はどれだけいるでしょうか。

2019年2月、ショッキングなニュースが流れました。東京オリンピックでの活躍も期待されていた競泳の池江璃花子選手が、急性の白血病に侵されたというのです。あれだけ華やいだ存在の人が自分の人生を封じられてしまうとは、なんという残酷なことでしょう。人生にはときとしてそんな恐ろしい罠が待ち構えているのです。

その彼女がリハビリを経て、ようやくまた泳ぎ始めたといいます。テレビの映像で見ましたが、実に感動的でした。彼女は自らの置かれた状況に耐え、まったく慨嘆することがないのです。本当に強い人だと感心するしかなかった。池江さんのこれからを考えると、やがて恋愛し結婚し子供を産んで、充実した次の人生を送ることになるでしょう。そのことで彼女の人生は見事な蘇生を見せてくれると信じます。彼女はそれができる人です。

私はまたこうも思うのです。池江さんの身に起きたことを考えれば、90歳近くにもなって「ろくに散歩もできなくなった」とこぼすのは違うのではないかと。私は恐ろしい人生の罠に落ちることもなく、老齢に至るまでともかくも充実した人生を歩んできたのです。それなら嘆くことなんて、何もないはずではないですか。

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石原 慎太郎(いしはら・しんたろう)

1932年、兵庫県神戸市生まれ。神奈川県立湘南高校、一橋大学卒業。大学在学中に執筆した『太陽の季節』で芥川賞受賞。68年、自民党から出馬し参議院議員に。元東京都知事。『法華経を生きる』『老いてこそ人生』、ミリオンセラーとなった『弟』など、著書多数。

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♯安倍政権・数々の疑惑、稀に見る内閣!!

2020-06-28 | Weblog
COVID-19(新型コロナウイルス)・西村大臣、専門家会議の廃止「一部誤解がある廃止
”と強く言い過ぎ反省」
 
「政府と専門家会議の間でギクシャク」専門家会議でコロナ感染無症状者が感染を広める事を、社会混乱を招くと政府は削除、この事が感染を広げる! 又安倍総理は全国の学校休校を専門家の意見を参考と発言も、専門家はその発言を否定!・又・尾身副座長が会見を開いてる途中で専門家会議廃止のニュース・尾身氏はこのニュースで初めて知らされたと。政府の初期対応の遅れとPCR検査不足問題。
 
 
河井克行元法務大臣夫妻逮捕!かつての安倍総理首相補佐官・現金バラマキ原資調査焦点。
安倍政権・一憶5千万円巡る自民党本部関係者を取調、狙いは安倍首相の金庫番
 
参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で・ と、広島選挙区からは自民党の重鎮の溝手顕正氏は第一次政権時に「過去の人」と批判、安倍首相は横手氏のことを毛嫌いしていた、
安倍政権は案里氏を前面に応援し結果・横手氏は落選!この事(買収)が内部から露見!!
 
 
桜を見る会。公職選挙法が禁じる買収・供応に当たる可能性を指摘する声も「税金の私物化」「公私混同」というわけだ。資料等名簿はシュレッターで破棄。
 
安倍事務所が企画したツアーには、桜を見る会前夜に東京都内のホテルで開いた夕食会も含まれていた。会費制なのに主催した首相後援会の政治資金収支報告書に記載がない、政治資金規正法違反の疑い、会費5000円は割安だとして、「首相側が差額を負担したのでは」との疑念もある。ただ、首相は「費用は全て参加者の自己負担で報告すべき収支はない」と反論しているが、ホテル側の領収書等資料は出さない、名簿も破棄・証拠隠滅?
 
森友加計問題・森友学園籠池理事長小学校名は安倍晋三記念小学校・名誉校長安倍昭恵夫人
加計学園・認可に官邸から働きかけ? 52年間どの学園からも認めないが、国家戦略特区事業として岡山理科大学獣医学部新設、何故問題に、閣僚の忖度による決裁文書改ざん疑惑
 
稀に見る呆れた内閣・お題目は丁寧にとか、責任は私に、早く・早急を連発するが、・・
ちっとも早くなく・後手後手、責任と口では云うが、ちっとも責任を取らず、味方は優遇、じゃま者は圧力を掛け徹底的排除、森友学園問題が謂い例だ・最初は特別優遇!問題が発覚するや、トカゲのしっぽ、早く解散して民意を問え。
 

 
 
 
 
 
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バツイチ再婚者に聞く!浮気をする人・しない人 ( お金がある人・活動的でエネルギッシュな人・・・?)

2019-10-15 | Weblog

                           

バツイチ再婚者に聞く!浮気をする人・しない人© All About, Inc.佐竹 悦子(再婚019/10/14  

 

     
 バツイチ再婚者のエピソードから、浮気しやすい人を分析最近、                    
 
世の中を騒がせているのが浮気や不倫報道です。長年、こういったネタはワイドショーで取り上げられて、その度に当事者が釈明をするという構図ができ上がっているので、それだけ関心がある話題なのかもしれません。

 

でも、もし自分が不倫や浮気をされる側になったらどうでしょう。もちろん、そんなことをしない相手を選べばいいのですが、浮気をしない人を見抜く方法として有効なものはあるのでしょうか?

ここでは浮気しやすい人の条件を挙げていきます。当てはまる人がすべて浮気するわけではありませんが、再婚を希望するバツイチのみなさんなどにヒアリングした際に、比較的よく挙がった条件のひとつです。

 

バツイチ再婚者に聞く!浮気をする人・しない人

結婚をするならば生活に困らないような人がいい。これは、誰もが思うことです。婚活現場でも、「お金持ち」は基本的にモテますし、誘いが多ければ、浮気や不倫への誘いも多くなります。

 

しかも相手がお金目的で近づいている場合、ルックスの良し悪しは関係ありませんので、お金を持ったことで急にモテ始め、舞い上がってしまい、成功すると同時に、ここぞとばかりに浮気や不倫をし出す人も少なくありません。

それに既婚者であっても、お金があれば、結婚相手が浮気や不倫を黙認することもあります。結婚相手もある意味「お金目的」になっていて、浮気や不倫をしても生活費さえ入れてくれれば何をしていてもいいという感覚だからです。ある意味、自由な付き合いができるのが、お金持ちといってもいいかもしれません。

また、ケチでないことは、心や懐の余裕を感じさせるというのもポイントです。資産として本当にお金を持っているかどうかというよりも、お金がなくても相手への気遣いとしてお金を使ったり、むやみに奢ったりするため、浮気や不倫相手を惹きつけやすいともいえます。

 

2. 自分の時間がありすぎる、暇すぎる人

男女共に、時間があって暇だなと感じている人は浮気や不倫に走ることがあります。

 

これは実際にあった話ですが、Aさんは子供がいない35歳の主婦でした。旦那さんの年収が高く生活は豊かで、毎日エステやジムに通っていました。しかし、仕事柄、旦那さんは仕事が忙しく、家庭サービスはほぼゼロ。お金だけはもらえるけれど……という生活だったことがだんだんと彼女の不満になっていきます。

ある日、Aさんは突然、旦那さんに離婚を切り出します。ジムの若いトレーナーと恋仲になってしまったのです。

実は、旦那さんのほうが再婚希望者として結婚相談所に相談に来たのですが、「妻は子供がいなくて毎日退屈していた。暇がいけなかったのだと思う」と言っていました。いくらお金があっても、愛情を感じられず、刺激がない毎日はつまらないものです。そんな中で若い男性の存在が刺激になり、浮気の道へと導いたのでしょう。

 

3. 活動的でエネルギッシュな人

結婚しても衰えることなく仕事や遊びもとにかく充実させるタイプも注意が必要です。

 

周囲に「結婚して落ち着いた」「良きパパ、ママになったね」という印象を持たせず、独身時代と同じように遊び回っていれば、既婚者であることを周囲も忘れてしまうのでしょう。実際、男女問わず、行動的な人は魅力的に見えるものです。

実際の例でいえば、ある50歳の男性もそうでした。結婚しても家庭を顧みず、確かに仕事も忙しかったのですが、その分、女性関係も派手で、長年好き勝手をしていたそうです。仕事を盾にし、忙しいを言い訳にして、お金さえ稼いでいればすべて許されると思っていた、といいます。

最終的には彼も奥さんから離婚を切り出されてしまいます。「ずっと家族のために働いてきたのに納得ができない」と言っていましたが、それぐらいエネルギッシュなタイプは再婚もうまくいくものだったりします。

一時は生活が荒れ、魅力も半減しましたが、時間の経過にともなって、過去の結婚生活を反省し、次に活かそうとしています。そんなところも活動的で周囲の女性を惹きつける要因なのかもしれません。

 

見た目の良し悪しは、不倫・浮気と関係ない!

逆に、見た目が良くてカッコいい、美人だから浮気や不倫をしやすいかというと、実はそうでもありません。むしろ、外見が純粋そう、誠実そう、見た目がさほどカッコよくないからモテないだろうなという人が浮気や不倫をしていることもけっこうあります。

 

「モテそうもないあの人が、本当に?」「まじめな家庭思いのあの人が」「子煩悩で理想的なパパのあの人が」「質素で可憐、いい奥さんとしか見えないあの人が」「教育ママで子供が命と言ってたあの人が」というのは、よく聞く話です。

不倫や浮気のイメージが、芸能人が演じるドラマのイメージと重なってしまうこともあり、見た目重視のように思われますが、実は外見からは判断しにくいというのが正直なところです。

以上、浮気や不倫をしやすい人の特徴を挙げてきましたが、これに当てはまるから必ず浮気をするというわけではありません。人それぞれ理由は異なるので、もっと意外な背景がある可能性も否定できません。

ただ、結婚している以上不倫は不貞行為ですし、浮気もパートナーを傷つける行為です。それを自覚し、自分の欲望に対して踏みとどまる決意や勇気、そして気遣いが、最も必要になってくるのではないでしょうか。

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苦しまずに死ねる傾向の人は歯や髪、爪を大切にしている

2019-10-03 | Weblog

苦しまずに死ねる傾向の人は歯や髪、爪を大切にしている

苦しまずに死ねる傾向の人は歯や髪、爪を大切にしている

歯周病は万病のもと

(NEWSポストセブン)

 人生とは連続した時間の積み重ねであり、その結末として誰にでも必ず訪れるのが死だ。であれば、さかのぼって普段の心がけ次第で安らかな最期に近づくことも可能になるはずだ。心筋梗塞やくも膜下出血のように悶絶の痛みと苦しみを伴って亡くなる症状もある。

 日本救急救命士協会会長の鈴木哲司さんは苦しまずに亡くなる人の傾向について、こんな指摘をする。

「直接関係ないように思うかもしれませんが、歯や髪、爪を大切にしている人は苦しまずに亡くなる傾向があるように思えます。特に歯のケアを怠ると心筋梗塞や誤嚥性肺炎、認知症などのリスクが高まりますし、何より、生きざまが歯に表れる。きちんと自己管理ができている人は歯がきれいで、病気にもなりにくいものです」

 髪の毛や爪も同様に、自己管理の状態を如実に示すものであり、自分を大切にしているバロメーターでもあると鈴木さんが言い添える。

「自分自身を愛し、大切にしているからこそ、周囲にも優しくできて人も集まってくる。結果的に多くの人に見守られながら旅立てるのは、こういう人です。普段の行いがこういったところにも表れます」

 さらに、事務的な作業も済ませておかなければ、安心して旅立てない。ポイントは「エンディングノート」だ。山野美容芸術短期大学客員教授で医学博士の中原英臣さんはこう言う。

「相続人のためだけではなく、自分のためにエンディングノートは作っておいた方がいい。『延命治療は拒否します』ときちんと自筆で宣言しておかないと、チューブだらけにされて生かされることになる。家族に口頭で伝えておくだけでは不充分です。臨終が近づくと、普段会わない親族がやって来て『なんで治療しないんだ』などと口を出され、無理な延命をさせられることもあるからです」

 口を酸っぱくして家族に言い含めておいても、「証拠がない」と言われ、ひっくり返されてしまうかもしれないのだ。

 エンディングノートも書いただけで満足してしまう人が多いが、それでは不充分だと語るのは、多くの看取りを行ってきた長尾クリニック院長で医師の長尾和宏さんだ。

「みなさんせっせとエンディングノートに書き込んでいるようですが、肝心な時が近づいた頃には認知症が進んでノートの存在自体を忘れたり、家族が見つけられない場合もある。机にしまい込まず、元気なうちから家族と何度も話し合い、託しておきましょう」

 たしかに、必要な時に意志が伝わらなければ無駄骨に終わってしまう。家族をはじめとする周囲の人と理解し合い、感謝を伝えて旅立てるのがいちばんだろう。終わりよければすべてよし。最期の瞬間に後悔しないために、今から始められることがある」

※女性セブン2019年10月10日号

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福一事故・回避先送り、避難者が告訴・事故予見先送り・旧経営陣3人

2019-09-17 | Weblog

「憤りが原動力」=避難者の告訴が一歩―東電強制起訴公判

 東京電力旧経営陣3人の刑事責任を問う動きは、福島県の避難者らの告訴が出発点だった。19日に東京地裁で言い渡される判決を前に、当初から携わった2人に話を聞いた。

 福島原発告訴団団長の武藤類子さん(66)は「起きずに済んだ事故かもしれないという憤りが原動力だった」と振り返る。福島市で育ち、原発事故後の約1カ月間、山形県に避難。福島県田村市で営んでいた自然食の喫茶店は事故で廃業に追いやられた。

 自分に何ができるのか。仲間と模索を続ける中、「責任の所在をはっきりさせ、責任ある人たちから言葉を聞きたい」との思いに至り、事故から1年後の2012年3月、告訴団を結成した。6月、事故当時県内に住んでいた1324人が名を連ねた告訴状を福島地検に提出。その後、賛同者は全国約1万4000人に膨らんだ。

 しかし、地検と共に捜査していた東京地検は2度、不起訴処分に。勝俣恒久元会長(79)ら3人は、告訴団の申し立てを受けた検察審査会の起訴議決で16年2月に強制起訴された。

 これまでに37回開かれた公判は全て、福島から足を運んで傍聴した。「刑事事件の被害者は限られているが、その後ろにたくさんの被害者がいるという認識を持ってほしい」。裁判所の判断に期待を寄せた。

 告訴団を支え、被害者参加代理人として法廷に立った海渡雄一弁護士(64)は「東電内部の誰が、どの時点で、どう判断したのか。生の行動が明らかになった」と公判の意義を語る。

 証拠として開示された社内メールや元幹部の調書などを読み、「そもそも検察がなぜ不起訴にしたのか。謎だ」といぶかしむ。

 旧経営陣側は政府機関の地震予測「長期評価」の信用性も争っているが、海渡弁護士は事故前、日本原子力発電が長期評価に基づいて東海第2原発(茨城県東海村)の津波対策をしていたことに触れ、「裁判所には東電の体質まで分かった上で、真実を見抜いてほしい」と話している。

 

東電原発事故、予見可能性どう判断 旧経営陣3人に19日判決

 東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された同社元会長、勝俣恒久被告(79)ら旧経営陣3被告の判決公判が19日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれる。最大の争点は、巨大津波を予見し、対策を取れば事故を回避できたかどうか。未曽有の事故から8年半。企業トップらの刑事責任は認められるのか。司法の判断に注目が集まる。

 他に強制起訴されたのは、ともに元副社長の武黒一郎被告(73)と武藤栄被告(69)。3被告はいずれも無罪を主張している。平成29年6月の初公判から計37回の公判が開かれ、今年3月に結審した。

 審理で特に時間が割かれたのは、事故前に政府が出していた地震予測の信頼性と、それを受けた東電内部の対応だった。

 政府の専門機関は14年、「津波地震が福島沖を含む日本海溝沿いで発生しうる」との地震予測「長期評価」を公表。東電子会社は20年、長期評価を基に「最大15・7メートルの津波が襲来する」との試算を示した。

 検察官役の指定弁護士によると、東電の担当部署は試算に基づく津波対策を検討し、同年6月に武藤被告に報告。しかし武藤被告は7月、長期評価の妥当性を土木学会に検討させるよう指示した。21年2月には3被告が出席した会議で、担当部長が巨大津波発生の可能性について言及したものの、対策は実現しなった。

 検察官役の指定弁護士は、3被告は津波の試算に接していたのに、より詳細な情報を収集することを怠ったと指摘。「津波の襲来は予見でき、対策していれば事故は防げたのに、漫然と原発の運転を続けた」として、3被告に禁錮5年を求刑している。

 これに対し3被告側は、長期評価は根拠が不明確で「信頼性はなかった」とし、直ちに対策に取り組まなかったことの妥当性を強調する。また実際の津波は試算と異なり、仮に試算に基づいて対策しても「結果の回避は不可能だった」と主張。指定弁護士の訴えと真っ向から対立している。

 事故をめぐっては、国会や東電など4つの事故調査委員会が検証を実施。国会事故調は事故を「人災」とし、東電も津波想定に「結果的に甘さがあった」とした。ただ一般的に重大事故で個人に刑事責任を負わせる過失罪の立証はハードルが高い。漠然とした不安感などではなく、具体的な危険性を認識した上で事故を予測できたとの厳しい事実認定が不可欠だからだ。

 東京地検は25年9月、「津波を具体的に予見することは困難だった」などとして3被告ら計42人を不起訴処分としたが、検察審査会は3被告を起訴すべきだと2度議決。津波を予見できたのに対策を怠り、事故で長時間の避難を余儀なくされた双葉病院(福島県大熊町)の入院患者ら計44人を死亡させたなどとして、28年2月に強制起訴された。

 

「停止回避で先送り」=元幹部調書でも対立―東電原発事故公判

 東京電力福島第1原発事故で旧経営陣3人が強制起訴された公判では、元東電幹部が検察官に「原発の運転停止を避けるため、津波対策を進める方針が変わった」などと説明していたことが明るみに出た。検察官役の指定弁護士は、元幹部の調書を「対策が先送りされた」との主張の柱に据えたが、弁護側は内容に激しく反発。19日の判決はどう判断するのか。

 調書は計4通で、安全対策担当だった元幹部が事故後、検察官の取り調べに応じて作成された。元幹部の証人尋問が実現せず、地裁が証拠採用。それによると、東電は2008年3月の常務会で、政府機関の地震予測「長期評価」に基づいて襲来する恐れのある津波高を算出し、安全対策を行う方針を決定したとされる。

 算出された津波高は、原発の敷地高(約10メートル)を優に超える「最大15.7メートル」。元幹部は検察官に、報告を受けた元副社長武藤栄被告(69)が08年7月、社の方針を転換して対策先送りを決めたと説明。「長期評価に基づけば、対策工事に時間がかかり、原発が停止される可能性があった」「費用も数百億円規模で、新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発も止まっている中、会社としてリスクが大きかった」と理由を分析した。

 弁護側は調書の内容に真っ向から反論する。そもそも長期評価は信頼性に疑問があり、会社の方針として津波対策に取り入れる決定はしていないと主張。「方針転換も先送りもない」とし、公判では「最大15.7メートル」の基となった長期評価の信用性も主要な争点となっている。

 仮に予測津波高が敷地高を超えていなければどうだったのか。元幹部は検察官に「長期評価を取り入れる方針が維持され、対策が講じられていたと思う」と説明している。

 

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ハーバードで聞いてみた「デキる子の共通点」

2019-07-26 | Weblog

ハーバードで聞いてみた「デキる子の共通点」

 成績優秀者の親が実践する「子育ての公式」 親が実践する「子育ての公式」

 ロナルド・F・ファーガソン,ターシャ・ロバートソン 2019/07/26

 

     
 優秀な人の親は、どのように子育てをしたのでしょうか? その秘訣を紹介します(写真:Choreograph/iStock)© 東洋経済オンライン  優秀な人の親は、どのように子育てをしたのでしょうか? その秘訣を紹介します(写真:Choreograph/iStock)

 

© 東洋経済オンライン  優秀な人の親は、どのように子育てをしたのでしょうか? その秘訣を紹介します(写真:Choreograph/iStock)

「いったい、どうしたらこんな優秀な人が育つのだろう?」「この人の親はどんなふうに育てたのか」。こうした疑問の答えはなかなか見つからない。

子育ての現場となる家庭という「ブラックボックス」の中は、簡単にはのぞけないからだ。このブラックボックスの分解に挑んだのが、『子どもが勝手に学び出す!ハーバード流子育ての公式』だ。ハーバードの学生・卒業生を調査してわかった「デキる子の共通点」「子育ての公式」が紹介されている。ここでは、「子育ての公式」について、抜粋して解説していく。

子育ての秘訣は本当に存在するのか?

 大きな成功を収めた人のエピソードを読んでも、彼らがどうやって優秀な人間に育っていったのかを知る手だてはない。親は子どもの成功を、どんな形で後押ししたのだろう。優秀な子の育ち方を知ることで、子育ての具体的なヒントをつかめないだろうか。こうしたヒントは、私たちの目から隠されている。

 子育ての現場となる家庭という「ブラックボックス」の中は、のぞけないからだ。見えるのは、優秀な人物というアウトプットだけだ。

 私たち(ロナルド・F・ファーガソンとターシャ・ロバートソン)は15年かけて、200人の成功を収めた人とその親の何人かにインタビューを行い、ブラックボックスの分解に挑んだ。すると明らかなパターンが浮かび上がった。

 親の生いたちや生活環境は違っても、子どもへの接し方には、幼児期から驚くほどの共通点が見られたのだ。私たちはこのパターンを、「子育ての公式」と名づけた。

 この公式を生んだ調査は、2つの別々の場所で始まった。

 著者の1人、ターシャ・ロバートソンは2003年、『ボストン・グローブ』紙の編集室で調査を始めた。新聞記者として全米を飛び回るうち、取材で出会う超一流の人の親には共通の特徴があるのではと気づいたのだ。そこで、識者の見解を聞くため何度も連絡したことがある、ハーバード大学のロナルド(以下、ロン)・ファーガソンに電話した。

 「子育ての秘訣って、教えられるものでしょうか」

 ファーガソンは可能だと答え、最近は研究者の間でも、子どもを伸ばす育て方をどう教えるか議論する動きがあると語った。

 やがてターシャは、優秀な人の親は特別な子育ての法則、いわば公式を守っているのではないかと考え始めた。その後10年かけて、60人にどう育てられたか尋ねるインタビューを行い、共通点を探した。

 話を聞いた相手は記者仲間もいれば、取材先で知り合った人もいた。基本的に自分の判断でインタビューしたけれど、バラク・オバマ前大統領など、ほかの媒体に載せるため取材した相手に、子育ての方法を尋ねたこともあった。

 もう1人の著者であるロン・ファーガソンの場合、2009年にハーバード大学の研究室で学生の相談に乗ったことがきっかけだった。修士課程に在籍するキョン・リーは、ロンが研究者として、30年以上関わるケネディ行政大学院で秋期講座を受講していた。気づくと2人は、韓国の文化や教育水準、子育てを話題にしていた。

 ロンは以前、韓国出身の学生から、韓国では全国で上位5%以内の成績をとらなければ褒めてもらえないと聞かされていた。ロンには納得できない話だった。学年の上位10%に入っていてもダメだなんて。自分の育ち方と比べると、まったく理解できない。

 けれど、韓国育ちの両親をもつキョンにはよくわかった。「テストで99点をとっても、どこを間違ったのと母に聞かれました。90点以上とった子がほかにいなくても」と彼女は語った。

 ロンとキョンは考えた。ハーバード大学のほかの学生も、あと1点何が足りなかったか聞かれたのだろうか。人種や民族、社会的地位、貧富の差、国籍によって育てられ方に違いはあるのか。つまるところ、同級生の親はみんな、超難関のハーバード大学にわが子を合格させたのだ。どの子も同じように育てられたのだろうか。

「ハーバード大学育ち方プロジェクト」での子育ての公式

 この会話から、ハーバード大学の学部生と大学院生合わせて120人にインタビューする「ハーバード大学育ち方プロジェクト」が生まれた。2009年、ハーバード大学の学生数百人にメールを送り「あなたの成功に両親はどんな役割を果たしましたか」と尋ねるインタビューへの参加を呼びかけた。

 その後2年の間に、ほぼあらゆる社会階層の多様な生いたちの学生のエピソードが集まった。

 黒人、白人、アジア系、ラテン系、バプテスト派、カトリック、ユダヤ教、仏教、無宗教など。裕福な家庭出身の学生もいたけれど、それ以外が大半を占めた。医師、弁護士、エンジニア、教授の子もいれば、レジ係、バス運転手、料理人の子もいた。

 出身地も幅広く、韓国、中国、インドで生まれた学生もいれば、アフリカ、メキシコ、ドミニカ共和国、ジャマイカ、ブルガリアで生まれた学生もいた。とはいえ参加者のほとんどが、全米各地で生まれ育ったアメリカ人だった。

 彼ら一人ひとりに長時間のインタビューを行い、事前に用意した質問を投げかけて、子ども時代の思い出と両親が果たした役割を探った。

 録音データは次第に増え、参加者の幼少期の記憶と優秀な成績を収めるまでの道のりをたどった膨大な物語の記録が出来上がった。

 ロンは、アシスタントに頼んでデータを入力し一定のパターンを見つけようとした。けれど、データが複雑なため分析に専念できるスタッフが必要だという話になり、プロジェクトはいったんお蔵入りした。

親の学歴、お金、コネはいっさい関係なし

 2014年、ターシャは再びロンに電話をかけ、優秀な子をつくる子育ての公式をテーマに本を書きたいと相談した。ロンも、公式の存在を信じていたが、それがどんなものかわかっていなかった。そこで「ハーバード大学育ち方プロジェクト」のデータを使って、一緒に本を書かないかともちかけた。

 仮説を立て実験するのではなく、一流の人の人生を振り返る形で調査を行い、ジャーナリスティックなアプローチを取り入れることにした。調査を進めると、信念のある子育ての背景に親自身の体験があるとわかった。そこで、途中からは親の人生も調べることにした。

 学生の名前を伏せた録音データを、ターシャが何カ月も聞いて分析した。それからロンと2人で、ハーバード大学の学生の育てられ方と、ターシャが過去にインタビューしたハーバード大学以外の一流人の育てられ方を比較すると、子育ての公式が見えてきた。

 過去の研究から、社会階層の違いや貧富の差により、子育てに差がでることが知られている。そのため私たちは、文化によって子育てのパターンは異なり、それぞれの家庭の背景に応じた育児法、価値観、ノウハウが明らかになると予想していた。

 ところが、そうではなかった。例えば、アジア式の子育て、あるいはアメリカ式の子育てが格段に優れているといったことはなかった。

 むしろ、親の人種、地位、財産、教育水準、宗教、国籍に関係なく、子どもの将来の成功につながる驚くほど一貫した共通点があった。

 学生とのインタビューは格好の糸口になったが、子育ての一端をうかがい知ることしかできなかった。私たちは2人で、プロジェクト参加者に大学卒業後に改めてインタビューを行い、それ以外の場で知り合った一流人にももう一度話を聞いた(インタビューの時点で、1組の双子を除き全員が20~40代だった。双子は50歳になったばかり)。

 その結果、彼らを育てた張本人、つまり優秀な人の親にも話を聞くことになった。

能力に関係なく、子どもを成績優秀者に育てる方法

 私たちが話を聞いた親を、「子育ての達人」と呼ぶことにする。といっても、彼らが最初から子育ての秘訣を全部知っていたわけではない。わが子が秘めた可能性を引き出す方法を巧みに見つけ出したからだ。

 達人の多くは一流の学校で学んだわけではなく、高校さえ卒業していない親もいた。

 彼らが人と違うのは、親自身は凡人でも、大きな目標と使命感をもった、自分の頭で考える賢い子どもを育てるため努力を惜しまなかったことだ。

 教育水準が高くても低くても、子育ての達人はみんな、子どもが5歳になるまでに簡単な数の概念と文字の読み方を教えていた。また、子どもを対等に扱い、子どもの意見を尊重し、何か質問されればよく考えたうえで答えていた。

 貧富の差に関係なく全員が熱心に子どもに関わり、ビジョンを示していた。地位や財産にかかわらず、誰もが必死に時間を見つけお金をやりくりして、子どもがいい成績をとれるよう手助けしていた。達人の原動力は自分の体験にあった。親自身の生いたちを参考に、子どもに将来どんな力を身に付けてほしいかを考えていた。

 けれど何より大切なことに、自分の夢――かつて親自身が目指して挫折した夢――を子どもに押しつけることは決してなかった。

 ひと言でいうと、子育ての公式の基本は、子どもが力を発揮し幸せな人生を送れるよう、狙いをもって選択することだ。この公式を使って、次の8つの「役割」を通じて子どもの力を伸ばし、将来成功するための準備を整える。

 

最初の学びのパートナー/整備士/手配役/

  紹介役/哲学者/お手本/交渉相手/GPS

 

 といっても、すべてをいっぺんにこなして、スーパーマンになる必要はない。誰でもこの公式を身に付ければ、しっかり活用できる。必ずしもわが子を、天才音楽家やハーバード大学卒業生、リッチな一流ビジネスマンに育てられるわけではない。

 それでもこの公式を使えば、本人の生まれもつ能力に関係なく、学校での成績を上げ、子どもの人生をさらに充実させることができる。

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中高生の早起きは心身に害も、9時起きが良いとの指摘

2019-07-23 | Weblog

記事   NEWSポストセブン   中高生の早起きは心身に害も、9時起きが良いとの指摘

「遅起き」が学力を向上させる
【グラフ】年代ごとの睡眠適性時間

 昔から「早起きは三文の徳」といわれ、早寝早起きが推奨されてきた。文科省も「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進するなど、国ぐるみで夜更かしをやめ、朝は早く目覚めるべきと訴えてきた。

【グラフ】思春期の子供は9時起きが適正だった!

 しかし、若者にはそれは無意味どころか弊害があることが科学的に明らかになってきている。東京医科大学の兼任講師で睡眠健康研究ユニットリーダーの志村哲祥さんが解説する。

「中高生に早起きをさせるのは心身に害があることがわかっています。睡眠だけでなく、細胞レベルで10代後半から20代にかけての時期は、男女問わず体内時計が夜型になる。中高生は平均的には深夜0時就寝、9時起床くらいが最も生理的に合っているのです。

 それら最新の知見を受け、英国で始業時間を8時50分から10時に繰り下げた高校がある。すると、欠席が半減しただけでなく、成績が12%も向上しました。ほかの国でも多くの学校が始業時刻を遅らせ、よい効果をあげています」

 今は早寝早起きができていても「中高生時代は夜更かしで、朝はやたら眠かった」と振り返る大人も多いはず。つまり本来なら寝ている時間なのに無理に起こされて学校に行っていたわけだから合点がいく。

 睡眠の長さも学力に直結する。

「13~18才の場合、本来は8時間以上の睡眠が必要です。記憶は寝ているうちに作られるので睡眠時間が足りないと記憶力が低下する。計算力も落ちます。つまり、睡眠不足だと成績が下がるんです。眠る時間を削って夜遅くに塾に行かせたりするくらいなら、きちんと寝かせた方が成績に反映されるでしょう。実際に、7時間以下の睡眠だと第1志望校に落ちやすいという調査もあります」(志村さん)

 勉強だけではなく、運動機能の記憶も寝ている間に定着するため、早起きして部活の朝練に参加したり、寝る間を惜しんでバットの素振りに励むようなことをするよりも、しっかり良質の睡眠をとる方が得策だというわけだ。

 さらに、進学する学校を選ぶ理由も「睡眠」を軸に考えた方がいい場合すらあるという。

「睡眠時間の観点からいえば、遠くの学校に無理して通わせるより、近くの学校に行った方が成績や成長、健康によい影響を与える可能性が高いでしょう。通学時間が長いと睡眠時間が短くなり、せっかく勉強した記憶が定着しづらい。体調も崩しやすくなります」(志村さん)※女性セブン2019年8月1日号

 

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親の孤立が子どもに連鎖(子どもに大きな負の影響を与える)

2019-07-21 | Weblog

教育困難校の生徒、つながりなく

親の孤立が子どもに連鎖 「教育困難校」の生徒が抱える“つながり格差”とは…

家庭の外に目を向けない親が、子どもに大きな負の影響を与える(※写真はイメージです)(C )yaschan79/istock

(AERA dot)家庭の外に目を向けない親が、子どもに大きな負の影響を与える(※写真はイメージです)(C )yaschan79/istock

「教育困難校」とは、序列の下位に位置し、進路多様校などと称される高校のことだ。一般的には、学力が低い生徒たちが集まっていると考えられているが、こうした学校の背景には貧困、家庭環境、教育行政などが複雑に絡み、偏差値だけでは語れない。朝日新書『ルポ 教育困難校』では、元教師の教育ジャーナリスト・朝比奈なを氏が、生徒の家庭が抱える社会的な接点の乏しさを指摘。同書より内容を一部紹介する。■生徒は親に手を掛けてもらっていない  収入を得るために長時間働く生活では、家族が一緒に過ごす時間が犠牲となる。従って毎日の生活でもほとんど家族が顔を合わせることなく、休日に旅行や日帰りで遊園地やテーマパークに行く体験もしたことがない。


 人はさまざまな体験を通して自身の適性や能力を発見し、失敗・成功の体験を積むことが可能になる。教育熱心で経済力もある家庭では、幼い頃から意図的に色々な体験の機会を子に与えている。そこから、興味・関心が拡がり、高校生になるまでに自分の適性や将来の夢も漠然とではあっても考えることができる。
 一方、体験に乏しい子どもは、ごく狭い興味・関心のままで高校生になる。これが、その後の進路決定や将来の生活に大きな負の影響を及ぼすことを見逃してはならない。
■親の愛情を確信できないからこそ、親孝行になる矛盾  親が大きな不安や不満を抱えている家庭では、子が、親の感情のはけ口になっている場合がある。一見普通の親子関係に見えても、幼い頃から身体的・心理的虐待やネグレクトを受けてきた生徒が「教育困難校」には少なくない。
 しかし、「教育困難校」の生徒たちは、どのタイプの生徒でも驚くほど親や家族思いである。仕事が忙しい親に代わって高齢の祖父母や幼い弟妹の世話をする、あるいは病気の家族の世話や介護を一手に引き受けている、いわゆる「ヤングケアラー」の生徒も少なくない。家庭に毎月少なからぬ額の生活費を入れるために必死になってアルバイトをする、家庭に入れる金額を増やしたいとJKビジネスの世界にはまりこむ、弟の学費も稼ごうとバイトを増やし過ぎ出席不足で高校を中退せざるを得なくなる、義父に性的虐待を受けながら母を悲しませたくないと泣き寝入りしている、こんな生徒たちに、筆者は「教育困難校」勤務の5年間で出会っている。
 親の姿勢を見てみると、子どもに苦労させていると自責の念を持っている親も多いが、その反面、自分の欲望に忠実で子どもにほとんど無関心という親も目立つ。巷で話題になるような教育に熱心な親や子を思うあまり過干渉となる親はほとんど見受けられない。
 親の愛情を確信できない高校生は、その代償を他人、思春期でもあるので特に異性に求めようとして恋愛に走るようになる。この傾向は女子に強く、これで妊娠、高校中退というルートを選ぶこともある。
 幼少期に母親など養育者との愛着がしっかりと形成されず、情緒や対人面に何かしらの問題が起こることを心理学では「愛着障害」と称しているが、高校生の早急な恋愛はまさにその影響なのではないかと考えられる。
■どこにも、誰にもつながらない家庭 「教育困難校」生徒の家庭に多く見られる特徴の1つに、親族や地域と全くと言ってよい程つながっていない点が挙げられる。不安定な生活のために転居を繰り返し自治会などの地域コミュニティに参加したことのない人、親世代やその親の世代から故郷の実家を出てその後親兄弟との音信を全く絶っている人などが親になっている。彼らは「つながり格差社会」の下部、加えて公的援助等の必要な情報も届かない「情報格差社会」の下部にいる人たちである。
 周囲に相談したり頼ったりできる人を見つけ出せず、何かトラブルがあれば家族の自助努力と自己犠牲で何とか凌ごうとする。それで心身ともに無理をして一層厳しい状況に自らを追い込んでしまうケースもある。親も生徒も外の世界に目を向けようとはせず、外の世界からも気にもされず、自分の「家庭」という狭いスペース内に籠っているようにも見える。


<著者プロフィール> 朝比奈なを(あさひな・なを) 教育ジャーナリスト。筑波大学大学院教育研究科修了。公立高校の地歴・公民科教諭として約20年間勤務。早期退職後、大学非常勤講師、公立教育センターでの教育相談、高校生・保護者対象の講演等幅広い教育活動に従事。

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お金があっても、入院できない人達・「一人暮らし身元保証人の問題」

2019-05-22 | Weblog

令和時代の老後リスクとは? 入院できない人たち   2019/05/22

 

  老後に年金はもらえるか? 退職金はどうなる? 貯金はためられるか? そして、病気になったときにどのくらいの費用がかかるのか? 

 老後のお金については心配が尽きない。さらに健康を損なって入院するとなったときに、どのくらいお金があればいいか気にしている人は多いだろう。しかし、たとえお金があっても入院を断られることがある。そんなリスクをご存知だろうか。

 内閣府が発表している平成30年度高齢者白書によると、2015年の高齢者の人口は3347万人である。そのうち、独りで生活をしている高齢者はおよそ592万人にもなり、全高齢者の17%を超える。

 独り暮らしの高齢者はこれからさらに増えていく。子供はいても遠方にいて頼れない……独立してから疎遠になってしまっている……。理由はさまざまだが、自分の身に何かあったとき身内を頼れない人が増えていくことが予想される。

 そんな中、高齢者が独り暮らしをしていると、入院する際にとても困った状況に出くわす。

 入院時にまず必要なのは「入院契約」だが、サインを求められるのは本人だけではない。病院から「ここは身内の方にでもサインをもらってください」と求められる書類がある。それが「身元保証人」の契約だ。

 今回はこの「身元保証人」の問題を通して、令和時代の老後のあり方を法律の専門家である司法書士として考えてみたい。

●身元保証人とは何か?

 保証人と聞くと、借金や家を借りるときの保証人をイメージする人が多いだろう。契約した本人が借金や家賃などを支払うことができなかった場合、支払いの肩代わりをするもので、法律で規定されているものだ。

 一方、身元保証人とは何か?

 身元保証人が具体的に何をするかは、実は法律で決まっているわけではない。内容は契約書次第だ。なかには身元保証人が何をするのか、はっきり書いていない契約書もあり、あいまいなものも多い。

 入院費の支払いを保証するという意味はもちろんあるが、それ以外にも入院という特殊な状況から、賃貸アパートや借金の保証人以上のことを求められる。

 緊急時の連絡先としての対応、治療方針の同意、治療後に自宅に戻れない場合は転院先や施設入所契約を責任もって行うこと、また仮に亡くなってしまった際は遺体の引き取りや葬儀の手配など、あらゆる要求をされることが多い。

 病院が身元保証人に求めていることは、入院している間の全てに及んでいることが分かる。つまり身元保証人とは、入院者自身が身動きを取れない特殊な状況のなかで、病院側が困らないように本人の代わりに全てのことを処理してくれる人というわけだ。

 身元保証人がいないことを理由に入院を拒んではいけないのだが、そのようなケースも実際にある。確かに病院側の要求をみると、なるほど、身元保証人が必要な事情にも一理ある。しかし中身をよく検討すると、必ずしも身元保証人がやらなくてもよいことが多い。

●身元保証人は「保証」することがそれほど多くない?

 「身元保証人を引き受けてください」と言われると、賃貸アパートや借金の連帯保証人のように、費用の支払いを含めて、全てを抱え込むと感じる人もいるのではないだろうか? しかし身元保証人といいつつ、求められる役割は「保証」ではない。

 入院費の支払いは本人の財産が適切に管理できていれば、そこから十分支払えるはずだ。治療費すら困窮するケースでは、身元保証人が身銭を切るかどうかを考える前に、生活保護の受給など別の福祉サービスを考える必要がある。

 退院後の諸手続きについても、本人が自宅に戻る場合はどのような受け入れ態勢を作るか、自宅に戻れる状況にないならどのような入所先の施設がよいのか、病院やケアマネージャーら医療や福祉に携わる専門家が一緒に対処してくれる。求められることは、方針を一緒に検討し、福祉サービスの利用や入所先施設との契約事務を行うことだ。

 医療行為の同意についても、病院側は治療方針についてリスクをしっかり分かったうえで治療内容を選択してほしいと考えている。実際に求められていることは治療方針を「決定」してほしいということで、「保証」ではない。

 「保証」が必要といいつつ、実際に求められていることは、本人の財産を適切に管理し入院費を支払い、退院後の処遇を「決定をする人」ということになる。

●「おひとりさま」になることを想定した老後

 自身の老後にどう備えるか、いざというときに頼れる親族がいればよいが、そうでない場合は「おひとりさま」になることを想定した工夫が必要だ。

 自身の財産を管理し、意に沿った判断を第三者に委ねるという点でいえば、認知症になってさまざまな判断ができなくなる前に、自分のことを第三者に任せておく任意後見契約というものがある。このような方法で備えるのも一つだ。

 筆者は、福岡市内で司法書士事務所を構え、後見人として認知症になってしまった身寄りのいない高齢者の生活支援を行っている。そんな中、後見人として夜中に病院から連絡を受け、取り急ぎ葬儀業者の手配を行った経験は何度もある。

 後見人は身元保証人ではないが、身元保証人としても求められている役割の一部を担うことができる。後見人が本人の財産を把握し適切に処理すれば、入院費の支払いや退院後のことなどは後見人が責任をもって行うので、病院として無理に身元保証人を取らなくても困った事態になるということはないはずだ。本来の業務ではないが、本人が亡くなってしまった場合には、後見人が葬儀の手配を行うこともある。

 後見人という選択以外にも、最近では「身元保証人」を引き受ける事業者も増えている。

 契約で誰かに任せるというやり方は費用もかかる。困った事態となる前に、検討していくことが大切だ。

●令和時代に身元保証人は必要か?

 病院としては、これまで当然のように身元保証人を取ってきたから……という理由で、身元保証人の意味を正確に理解しないまま要求している例も多いように思う。

 だが家族だという理由だけで、日ごろ付き合いのない親族に「身元保証人」として全てをひとくくりにして判断を背負わせるのは酷というものだろう。

 身元保証人の役割の一つとして、先ほど医療行為の同意の話を挙げたが、本来であれば治療方針は自分自身で決めるべきで、親族が同意をしないと治療が進まないというのはおかしな話だ。

 病院のなかには、医療行為について判断力がない患者への対応として、カンファレンスにはかり決定をするなどの工夫をしているところもある。

 例えば、運転免許証や健康保険証は、臓器提供意思を記載する欄があるが、自分がどのレベルの治療を受けたいか、意思を残すような工夫があってもよいだろう。ケアマネージャーなど本人と接する機会の多い関係者が、定期的に意思の確認を行い記録しておけば、身寄りがいないまま急に入院をすることになっても、親族に全てを背負わせる場面は減っていくはずだ。

 家族の単位が大きく変わったこの令和時代、これまでのような家族の存在を前提とした「身元保証人」というやり方は限界だ。入院時の親族を巻き込むやり方は時代遅れになりつつある。病院側も仕組みを考え直すべき時期に来ていることは間違いないだろう。

●筆者:及川修平 司法書士

福岡市内に事務所を構える司法書士。住宅に関するトラブル相談を中心に、これまで専門家の支援を受けにくかった少額の事件に取り組む。そのほか地域で暮らす高齢者の支援も積極的に行っている。

企画協力:シェアーズカフェ・オンライン

 

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日本の医者が"効かない薬"を処方する理由(米国には「ムダな医療」を列挙したリストがある)

2019-04-24 | Weblog

※本稿は、室井一辰『続ムダな医療』(日経BP)の一部に加筆、再編集したものです。

多くの人が医療機関に怒りを感じている

私は20年近く、医療や生命科学などの世界で取材と情報発信を続けてきました。私のこうした立場は家族や友人、知人には知られており、ときおり病気の相談を受けてきました。

2019年になってからも「病院を3カ所ほどハシゴして診断がつかないが、どうすればいいのか」「臓器に腫瘍があるそうで、今度手術だという。どう判断すれば」などの話を受けたばかりです。

いろいろ話を聞いていると、想像以上に多くの人が散々な目に遭っている。さらに言えば、医療機関に怒りまで感じていることがある。そう気がつかされてきました。

身近な人が病気になると、いまではまず、インターネットを使って医学的な知識を深めようとする場合が多い。インターネットにはあらゆる情報があふれています。ですが、玉石混淆の膨大な情報の海の中から、正しいものを見つけるのは困難を極めています。

日本語の医療情報は、基本的な情報は多いのですが、専門性の高い、本当に悩む人にとって役立つ情報は乏しいのです。結局、疲れ果て、私のところに相談に来ている。基本的に、そういう流れで話を受けることが多くなります。そうした国内外の情報充実度の格差に問題意識を持っていました。

「ムダな医療」を列挙するリスト

そんな中で、2013年、私は米国で、「チュージング・ワイズリー」という、世界的にも一目置かれる医学会が「ムダな医療」を列挙しはじめる動きに気がつきました。ウェブから確認できて、250項目ほども掲載されるリストが項目を増やし続けていたのです。その内容は微に入り細をうがつ、一般向けにも参考となるものなのに、専門性の高い内容でした。

「日本では有用な情報を得ることが難しいのに、これだけ突っ込んだ情報が医学会から出されているのは衝撃的だ」。疑問のないまぜになった好奇心が募り、それから私はムダな医療について考える日々を続けてきました。

では、そもそも医療のムダとは何でしょうか。日本の医療のムダを考える上で、まずここでの定義を確認しましょう。

一つは、デメリットがメリットを上回るような医療行為が行われている場合はムダと言えます。ある意味ではすべてのムダな医療行為に当てはまることです。

たとえばCT検査の問題を考えていただくといいでしょう。検査によって得られる情報の価値よりも、放射線被ばくによる発ガンリスクの上昇の方が問題視されるような場合。こうしたケースはじつは数多くあります。さらに、検査後の診断が誤ってしまうと、患者は不必要な精密検査や治療を強いられます。一見すると有用に思える検査も、場合によってはデメリットが大きくなり、結果としてムダと考えられるのです。

抗生物質は「ウイルス」には効かない

さらに、2番目は、メリットがそもそもないケースです。メリットよりデメリットの方が大きいので、ある意味において1つ目と重複しています。ですが、ここでは分かりやすく考えるためにあえて分けています。たとえば、細菌にしか効かない抗菌薬を、ウイルス感染の治療に使うようなケースです。この場合、抗菌薬を使うメリットは皆無となります。

よく勘違いされるのですが、抗菌薬、いわゆる抗生物質は、細菌に効果を発揮するものでウイルスには無効です。抗菌薬を必要以上に使うと、耐性を持つ細菌を増やす恐れもあり、海外では「スーパーバグ」という名で問題視されています。日本でも院内感染による死亡の原因が、スーパーバグである事例も多数発生し、社会問題になっています。抗菌薬を多用して院内感染が広がると、ムダな医療が患者を苦しめたとも解釈できます。

最後に3番目は、デメリットが大きすぎる場合。こちらはメリットをデメリットが大きく上回るという意味では1番目と重なりますが、この場合はムダという言葉のニュアンスがより強いと考え、2番目と同じように分かりやすさの観点から、別にしています。

たとえば、良かれと思っておこなった医療が、結果として患者に無視できない負担を強いるような場合です。典型的なのは延命治療。患者が口から食事をできなくなったとき、本人が希望していないのに胃に管をつないで、栄養液を定期的に注入して生きながらえさせるようなケースがあります。人間の尊厳が置き去りにされたまま、命をつながれる高齢者は日本でも多いのです。場合によっては、デメリットしかないのではないかと思える部分もあります。

「何もされないのは心配」とムダな医療を求める

なぜムダな医療が生じるかというと、なにも医療従事者が患者を貶めるためにやっているわけでは、もちろんありません。

一つは、医療従事者が知っていてやっている場合があり得ます。健康に大きな影響が及ばない範囲で、収入を増やそうという経営的な目的、万が一病気を見逃したら問題になるといったリスク回避で行われる可能性があるのです。

また、もう一つは、医療従事者が知らずに行っている場合もあるでしょう。医療は日進月歩。これまで必要とされていた医療が、不必要となるケースさえあり得ます。そうした進歩を知らずに、無用な医療が行われることもあります。ある病気に、これまで使われていた薬が効果を示さないと新たに判明することはよくあるのです。医療従事者も膨大な情報を常にウォッチできるわけではなく、これは仕方ない部分はあると考えています。

一方、患者側も安心材料としてムダな医療を求めることがあります。医療従事者は無用と思っていても、患者が何もされないのは心配だと、求めてくるのです。それに応えざるを得ない問題もあるでしょう。ただそんな医療の中には、メリットよりもデメリットが大きいこともあります。結果として、ムダになっているわけです。

こうした要因が組み合わさって、医師が無意味な薬を処方することがあります。「念のため」「求められるから」などの"言い訳"がつけられて。

日本の医療全体を統率する仕組みが乏しい

より構造的な問題もありました。専門家が良く言えば自由自在に、悪く言えば無手勝流で医療を行える「お手盛り医療」が当たり前になりやすい環境があったためです。

2011年、世界的な医学誌として知られる『Lancet(ランセット)』誌で、東京大学教授の橋本英樹氏らが、日本の医療の特徴を次のように解説しています。「自由放任主義的なアプローチを取ることを医療政策の基本方針としてきた。その結果、医師や病院などの専門家集団のガバナンスが弱く、説明責任が十分果たされてこなかった」。

その上で、日本の医師の診療について「医師が専門学会や病院ではなく、出身大学の医局に帰属意識をもつ傾向がある。医師の診療パターンは、出身大学の医局・教授の流儀によって特異的に形作られる傾向がある」と指摘しています。

日本の医療全体を統率する仕組みが乏しく、個々の集団が独自に医療のやり方を決めるという仕組みは、地域に合わせた医療を提供する意味ではよいですが、無益な医療を是正しづらい仕組みにもなり得ます。ムダな医療が甘受されやすい構造と私は考えています。

また、日本では半世紀以上「国民皆保険」を保ってきました。一般に医療に自由にアクセスできる点は良いのですが、過剰な受診につながりやすく弱みともなってきました。患者の負担が低く抑えられたために、受診のハードルが異常に低く、過剰な医療が生まれやすい土壌につながったのです。

退院させるべき高齢者を長期にわたって入院させていた

典型的にこうした構造の副作用が出たのが、「社会的入院」だと考えています。

日本では、昭和の時代、社会的入院と呼ばれる必要性が乏しい入院を続ける患者を大発生させたことがありました。1973年から9年間、70歳以上の高齢者の医療費を無料化したことが発端となりました。高齢者の医療や福祉を充実させて、健康な人を増やすだけであればよかったのですが、副作用は大きすぎました。過剰な医療行為が野放しになり、なかでも退院させるべき高齢者を長期にわたって入院させるケースが横行してしまったのです。

1985年には入院の長期化を問題視した国は、都道府県ごとに人口当たりの病院のベッド数を規制することにしました。ですが、必然的だったのだと思いますが、駆け込み需要を生み出してしまい、病院のベッド数をかえって20万床も増やす結果になったのです。

現実としては、入院を増やすと、医療機関の経営にとってはキャッシュフローが安定します。現金収入が増えれば、当面はつぶれづらくなります。これが平成から令和の時代まで引きずる過剰な入院患者を抱える日本の問題につながりました。

精神疾患に対して「安易に薬を出す」構造

患者側の負担がないという経済的な要因が大きいですが、「医師や病院などの専門家集団のガバナンスが弱い」という弱点も影響したと考えます。入院の必要性について専門家集団が統制を利かせる仕組みがあれば、もっと歯止めが利いた可能性はありました。これは象徴的な出来事だと考えていますが、高齢者に限らず、かつては今よりも医療費の自己負担は低く抑えられていました。そうした構造的な欠陥はムダな医療の温床となったと考えます。

結果として、ちょっとした頭部の外傷で、子供に対して放射線の強いCT検査を行ったり、精神疾患に対して安易に薬を処方したり、医療機関の間の情報共有が乏しいままに、ムダなドクターショッピングを引き起こしたりする、日本らしいムダな医療のまん延も招いてきたと想定しています。

米国で同時発生的に起きた「ムダな医療の発表」

そんな問題意識を抱えつつ、日本での情報過疎を嘆いている中で、2013年、私は米国で「同時発生的に起きていた一つの動き」に気がついたのです。世界的にも権威のある医学会が、自らムダな医療を発表し続けるという動きでした。

たとえば、ガンの分野では、世界的にも影響力の強い米国臨床腫瘍学会。消化器の領域でも同様に影響力の大きな米国消化器学会、精神では世界の診断基準を示している米国精神医学会。さらに、米国心臓病学会、米国産科婦人科学会、米国小児科学会など。世界に一目置かれる医学会が「不必要と思われる医療行為」を自ら発表していたのです。いったい何が起きているのかと、私はこの活動に引き込まれました。

震源地は米国のフィラデルフィアにある、公的な団体、米国内科専門医認定機構財団(ABIMファウンデーション)という組織でした。ここが米国の医学会を束ね、ムダな医療を発表していく「チュージング・ワイズリー・キャンペーン」という活動を進めていたのです。

「腰痛にMRIは必要ない」「経口避妊薬に身体検査は不要」

必要性が疑われる医療行為を「5つのリスト」として公表していました。「子供にCTを取ってはならない」「精神疾患に安易に薬を出すな」「腰痛にMRIは必要ない」「爪水虫に飲み薬を使うな」「経口避妊薬を出すときに身体検査は不要だ」など、専門的な指示を出していました。

見ていくほどに、私には「衝撃のリスト」という表現がふさわしいほどの影響力の大きなものに感じられました。そうして5年後の2018年9月には米国の本部であるABIMファウンデーションにまで取材に行くに及びました。

取材を経て、米国に存在している、日本と共通した、ムダな医療をめぐる問題意識に突き当たったのです。日本に存在している構造的な欠陥は共通していないものの、ムダな医療をなくそうと国家レベルで動こうとしていたのです。

米国では医療行為の「価値」に目を向ける動きが強まっていたのです。「バリュー・ベースド・メディシン」、すなわち価値に基づく医療と呼ばれる動きです。医療行為が実際に利益を生むかどうかを重視されるようになっています。

この分野をリードする研究者で、チュージング・ワイズリーに関する論文も複数発表している、米ハーバード大学公衆衛生学教授、メレディス・ローゼンタール氏は「医療行為の価値を高めようと政府や保険会社などが動いている」と語っています。

そうした大波の波頭にチュージング・ワイズリーが姿を見せており、私はそれを見つけていたのでした。米国ならではの医療保険事情の変化、医療費の逼迫(ひっぱく)、医療制度の変革などの動きから学ぶこともありました。なぜ米国医学会が自ら一見首を絞めるかのような動きを見せているのか。取材では、世界的な医学誌であるLancet誌においてムダな医療が大々的に論じられ、その撲滅に向けた対策が提案されていることも確認しました。そうしてチュージング・ワイズリーの背景にある謎を解いていきました。

日本は「ムダな医療」解消による伸びしろが大きい

医療費全体の規模を見ると、日本よりも米国の方が圧倒的に大きいものです。ですが高齢化の進行度合いは日本の方が深刻です。国際連合のデータによると、2010年の段階での65歳以上の全人口割合は、米国が13.0%に対して日本は22.5%と大差。なお、2020年の見通しでも、米国が16.6%に対し、日本は28.2%です。依然として大幅に日本の高齢化の問題は深刻になっています。

チュージング・ワイズリーには、すでに550項目ものムダと考えられる医療行為が列挙されています。示されるムダな医療は年齢が高い層に関わるものも多いです。日本の方が、ムダな医療を解消した場合の伸びしろは大きい可能性もあります。

前述の通り、国際的な潮流としては、医療の価値を高めていくことも求められています。一例を挙げると、米国では、医師が生み出した価値に基づいて、医師の給与をコントロールする仕組みが始まっているのです。ここでも日本が遅れを取るべきではないでしょう。

患者は医療を疑ってもいい

先に紹介したLancet誌では、ムダな医療を生み出す要因に、医療従事者側の要因として「科学的な根拠は、実際の診療の経験と食い違っていると考えがち」「医療従事者の数字音痴」などとあるほか、患者側の要因として「医療が正確だと考えがち」「医師の専門性に疑いを持たない」「患者側が責められるのがいやで医師に質問しない」という説明がなされています。患者は医療を疑ってもいいのです。むしろ、疑うべきだといってもいいかもしれません。そこから、自分自身の問題として医療について考えることを当たり前としていくことが重要です。

良かれと思って行う医療にも、落とし穴が潜みます。日本も手盛り医療の問題を解きつつ、ムダな医療に別れを告げ、医療の価値に目を向ける。そうした時期に来ているのではないでしょうか。

チュージング・ワイズリーに示されている、医療行為を「賢く選ぶ」ための具体的なリストは、拙著『続ムダな医療』(日経BP)をご覧いただければ幸いです。2014年刊行しました『絶対に受けたくないムダな医療』(日経BP)と、あわせて約550の「ムダな医療」のリストを掲載しています。また、2019年には、より易しくチュージング・ワイズリーを解説した入門編としての新書『世界の医療標準からみた受けてもムダな検査 してはいけない手術』(洋泉社)もお出ししています。ご自身、または身近な人の健康、あるいはこうした領域についての知識を深めるためにご活用ください。室井一辰

大手出版社を皮切りに、医学専門メディアや経営メディアなどで全国の病院や診療所、営利組織、公的組織などに関する記事を執筆。米国、欧州などの医療、バイオ技術の現場を取材。2014年に『絶対に受けたくないムダな医療』(日経BP)、2019年に『世界の医療標準からみた受けてもムダな検査 してはいけない手術』(洋泉社)を刊行。本作も含め、米国で始まった「チュージング・ワイズリー」の動きを紹介し、広く注目を集める。執筆や取材協力などを『週刊ポスト』『女性セブン』『週刊現代』『週刊東洋経済』などで行う。石川県金沢市生まれ。東京大学農学部獣医学課程卒業。(写真=iStock.com)

 

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口の中でわかる"早死にする人、ボケる人" 

2019-04-08 | Weblog

プレジデントオンライン    口の中でわかる"早死にする人、ボケる人"   多野 尚樹      

 バターが一瞬で柔らかくなる時短術

     ※写真はイメージです(写真=iStock.com/junce)© PRESIDENT Online ※写真はイメージです(写真=iStock.com/junce)

口の中を見れば寿命がわかると言ったら驚くだろうか。口の中には、さまざまな病気を発症させる怖い細菌が潜んでいて、シグナルを発しているからだ。早速自分の口の中を覗いてみてほしい。

老後、みんなが「歯」で後悔している

以前プレジデント誌では、シニア1000人(55歳から74歳の男女)を対象に「今、何を後悔していますか」と尋ねるアンケートを行った(2012年11月12日号)。すると、健康面では、運動不足や食事の不摂生、毛髪の手入れ不足などを上回り、「歯の定期検診を受ければよかった」がトップになった。「もっと歯を大切にすればよかった」と思わせる現象が、この年代に入ると起こるのだ。歯科医の波多野尚樹氏(波多野歯科医院院長)は、口の中を見れば寿命がわかるという。口の中がどんな状態だと、早死にするのか、取材した。

例えば酒を飲んでそのまま寝てしまった朝、歯の裏や舌の上、口の中を覆っている口腔粘膜全体が、ネバネバで不快な感じになったことはないだろうか。口の中には、何百種類もの細菌が棲み着いていて、これが、口の中に残った糖をエサに大繁殖し、ネバネバの粘性物質を作って口腔内にべったりと張り付いているのだ。これを口腔バイオフィルムという。プラーク(歯垢)ともいうが、バイオフィルムの中では歯周病菌も、大繁殖する。歯周病菌は菌の細胞膜そのものに毒があるため、歯肉に触れただけでも炎症を起こす。悪くなると膿が出て、ひどい口臭がするようになる。

自覚症状としては、歯を磨くと血が出る程度で痛みもないことが多い。だが、鏡で口の中を見ると、歯の間の歯肉が赤く腫れ、軽くぶよぶよしていたり、また最近歯間に食べ物が詰まりやすくなったと気づくだろう。

実は、歯周病の人の口の中は、歯肉だけでなく粘膜全体が赤くただれているのだ。舌の表面に白いカビがこびり付いて「舌苔(ぜったい)」ができている人も多い。口内炎もできやすくなり、喉の奥が赤く腫れて白い粒々が付いている。これらはみな、歯周病という感染症の症状で、全身の病気を引き起こす寿命に関係する怖い兆候だ。

では、なぜ歯周病菌が全身の病気を引き起こすのか。歯肉に腫れが起こると、体はリンパ球や白血球を集結させて炎症を抑えようとする。このとき、歯肉にはリンパ球を送り込むための新しい血管が作られる。この血管の中に歯周病菌が入りこみ、全身へと流れていってしまうのだ。

全身の血管をめぐり始めた歯周病菌は、あちこちで血栓を作って血管に付着し、血液の通りを悪くする。これが心臓に近い冠動脈で起これば心筋梗塞、脳血管で起これば脳卒中、腎臓の血管が詰まれば腎不全になる。酒も飲まないのに起こる非アルコール性脂肪肝炎(NASH)や、近年、患者数が急増している潰瘍性大腸炎でも、歯周病菌が肝臓や大腸にまで至り、作用していることがわかってきている。

また、歯周病は糖尿病とも関係している。血中に糖があふれ、血管を傷つけるのが糖尿病だが、あらゆる治療をしても血糖コントロールできなかった人が、歯科で歯周病を治したら、糖尿病治療もうまくいくようになったという報告もたくさんある。

今や日本人の死因の第3位とされる「誤嚥性肺炎」も歯周病菌と関係がある。ものを飲み込む力が弱くなり、食べ物や唾液が食道ではなく気管に入ってしまうことを「誤嚥」という。この誤嚥の際に、唾液に交じり込んだ歯周病菌など多くの口腔内細菌が気管に入り込み、慢性的な炎症が起こり、そこにインフルエンザの感染などがきっかけになって誤嚥性肺炎が起こるのだ。

また、歯周病が進み、歯がなくなると、認知症になる可能性が高まる。歯周病は、炎症がやがて歯周ポケットといわれる歯肉の奥深くまで広がり、歯を支えている「歯槽骨」という骨を溶かしていく。支えがなくなった歯はぐらぐらし、抜ける原因になる。まず犬歯が抜ける人が多く、次に奥歯が抜ける。すると、残った歯に食事のたびに負担がかかり、次々にダメージを受けて、連続して歯が抜けていく。名古屋大学の調査では、アルツハイマー病患者は健康な高齢者に比べて、残っている歯の数が平均して3分の1しかなかった。また、健康な人に比べて、歯が抜けた後に義歯を使用している割合も半分しかいない。つまり、歯の保有数や治療の有無は、脳の萎縮にも関係することがわかったのだ。

口の中は、人生をも表す

そんな恐ろしい歯周病を加速させるのが、喫煙だ。口の中を見ると、タバコを吸っているかいないかがすぐにわかる。ニコチンによる色素沈着だけではない。血流が悪いために酸欠が起き、粘膜の細胞はますます再生能力を失い、口の中は焼けたようにただれている。血流が低下するから、白血球などの免疫細胞も少なくなり、歯周病菌が繁殖するのだ。

歯周病の治療に通っていながら、そういうひどい状態が見えたときは、はっきり言うことにしている。「喫煙者は救われない。このままタバコを吸い続けるなら、あなたの寿命はもう長くありません。治療を続ける意味があるか、自分で考えてほしい」。そうして患者さんの覚悟を促し、歯周病という感染症の本当の怖さを伝えていくしかないからだ。

これまでむし歯も歯周病もなく、きれいなピンク色の歯肉だった人が、何年後かに診ると口の中の様相が変わり、歯肉にはばい菌がびっしり付いているというようなこともある。それは、生活に何か問題が起きているということなのだ。仕事がうまくいっていない、経済的な問題、夫婦間トラブル、離婚、介護疲れ等々。

ストレスや疲労、睡眠不足で免疫力が低下し、細菌感染がひどくなったのかもしれない。いや、困難な生活の中で、自分のケアが二の次になった結果なのだろう。口の中は寿命だけでなく、その人の生活環境や人生までも表すのだ。

だが、歯の治療にはお金がかかる。歯のことで、老後に悔いを残さないためにはどうしたらいいか。それは、今すぐ歯の磨き方を変えることだ。

歯磨きとは歯に付着している細菌を掃き落とす行為をいう。ヨゴレを落とすのではない。抗菌効果をうたった歯磨き粉にこだわる必要はない。鏡で口の中をよく見て歯並びを自覚しながら、磨き残しのないように磨く。特に、歯並びの個性的な人は、八重歯の裏などに磨き残しが出やすい。そこには細菌が繁殖しやすく、歯周病も起きやすい。フロスで歯間のそうじをする習慣もつけよう。

私はインプラント治療に取り組んでいるが、まずは、歯磨き講習から始めなければならない人は多い。すさまじい細菌の繁殖を食い止めなければ、せっかく埋め込んだインプラントの周囲にも炎症が起こり、周囲の骨を溶かしてしまうからだ。

口腔ケアという生活習慣を身につけることが、歯と全身の寿命を延ばし、人生の後悔を1つ減らすことにつながるはずだ。

波多野尚樹(はたの・なおき)

 

慈皓会・波多野歯科医院院長

1946年生まれ。日本歯科大学卒業。医学博士・歯学博士。MAXIS インプラント インスティチュート主幹。日本のインプラント治療のパイオニアの1人で、即日完成インプラントを開発。

▼シニア1000人「『歯』で後悔」

(構成=南雲つぐみ 撮影=奥谷 仁 写真=iStock.com)

 

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