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◆東京五輪はレガシーどころか「負のイメージ」 小池百合子氏は自賛するが都民の負担まだ続く〈検証小池都政〉

2024年05月21日 08時17分46秒 | ●YAMACHANの雑記帳
2021年夏、新型コロナウイルスの流行により1年延期となった東京五輪・パラリンピックが開かれた。世界のトップ選手による熱戦は多くの人に夢を与えた一方で、経費の膨張やコロナ禍の開催などを巡り批判も多かった。小池百合子都知事は大会を「レガシー(遺産)」と自賛するが、大会後も都民の負担は続いている。(原田遼)

◆新設会場、赤字は年10億円を超える

 「シャー」「ガコッ」。スケートボードが音を立てて斜面や段差を滑る。東京都江東区の都有地にある有明アーバンスポーツパーク。週末、子どもを中心に約30人が練習していた。
「有明アーバンスポーツパーク」でスケートボードの練習をする子どもたち

「有明アーバンスポーツパーク」でスケートボードの練習をする子どもたち

 3年前、五輪のスケートボード会場だった。大会後に解体する予定だったが、日本勢の活躍で人気が高まって存続が決まった。
 葛飾区から通う鎌田景都さん(10)は五輪を見て競技を始めた。「選手と同じコースで同じ技をまねでき、うれしい」。父英治さん(47)は「立派な施設を使えるのも東京五輪のおかげ」と喜んだ。
 施設は4月から都が入場無料で開放。今秋から民間事業者が利用料金を設け、独立採算で運営する。都は土地を10年間無償で貸すだけで、赤字になっても都の持ち出しはない。
 子どもに夢を与え、実現する場を整備する。
 五輪の理想図だが、採算が合う施設ばかりではない。大会のために恒久施設として新設された6会場のうち、24年度予算で黒字見込みなのはバレーボール会場のみ。水泳、ボート、アーチェリー、カヌー・スラローム、ホッケーの5会場は1300万〜5億9000万円の赤字を見込む。赤字分は運営事業者への委託費という形で都が埋める。

◆「都民のスポーツへの不信が高まった」

 都は大会経費1兆4238億円のうち5965億円を投じたが、大会後も「ハコモノ」の維持がのしかかる。都スポーツ施設部は「スポーツをする場ができれば、都民の健康増進や競技普及につながる。採算性だけを見ているわけではない」と意義を強調する。
 経費以外にも大会への不信は根強い。新型コロナ禍で延期を決めた後、21年に無観客で開催。ただ、感染拡大期だったこともあり、批判を浴びた。大会後には贈収賄や談合の疑惑で大会組織委員会の幹部らが相次いで起訴された。
 23年に都が大会の成果をまとめた「レガシーレポート」は、「コロナ禍で安心な大会を実現した」「身近にスポーツができる環境が拡大した」など賛辞が並ぶ。大会を巡る批判や汚職事件の記述はない。都民が週に1回以上運動した割合「スポーツ実施率」は22年調査で65.9%。五輪開催年の21年から3ポイント減った。
 新聞記者として大会を取材した尚美学園大の田中充准教授(現代スポーツ論)は「選手の奮闘やパラリンピック開催などいい側面もあった」としつつ、都の姿勢に首をひねる。「赤字施設や不祥事により、都民のスポーツへの不信が高まった。レガシーという言葉で飾るのではなく、課題と向き合ってスポーツ施策を見直すべきだ」

 2020年東京五輪・パラリンピック 1964年以来2度目の開催は新型コロナ流行により1年延期。7月23日開幕の五輪は直前に流行「第5波」に伴う4度目の緊急事態宣言が発令され、医療機関が逼迫(ひっぱく)する中、都内の会場は無観客で開催された。開催経費は立候補時の7340億円から約2倍の1兆4238億円に膨張。大会後にはスポンサー契約を巡る贈収賄疑惑で、元組織委理事ら15人が起訴され、一部は有罪が確定。テスト大会の受注調整を巡る談合事件でも元組織委幹部の有罪が確定した。

◆都が賛美すればするほど、都民はしらける

 尚美学園大の田中充准教授との一問一答は以下の通り。
 —東京五輪・パラリンピックは東京都民に何をもたらしたか。
 スポーツは都民にとって「有益」ではなく、「負担」を強いられる存在になっている。こうした「負のイメージ」を植え付けてしまったのが、東京大会だと言わざるを得ない。
尚美学園大の田中充准教授

尚美学園大の田中充准教授

 1964年の東京大会とは違い、目に見えたインフラ整備などではなく、都民や国民の心を豊かにする「スポーツの価値」を届ける大会のはずだった。残念ながらそうはなっていない。
 —その原因は何なのか。
 重荷の一つが、「ハコモノ」だろう。スポーツは日本の成長産業の一つ。築地市場跡地や神宮外苑の再開発は象徴的で、環境問題への懸念があるとはいえ、民間事業者が入り、スタジアムを中核とした「まちづくり」に位置付けている。
 これに対して、五輪施設で赤字を指摘される「ハコモノ」は国際基準を満たした立派な施設であっても、まちと一体化できていない。例えば臨海部に建てた「アクアティクスセンター」は交通アクセスが悪く、周りに何もない。大会後に施設をどのように活用していくか、招致前からしっかり考えておくべきだった。
 —東京大会は良かった点もある。
 アスリートたちは50年後には、間違いなく「レジェンド」「勇者」と呼ばれているはずだ。未曾有(みぞう)のコロナ禍で感染対策を徹底し、難しいコンディション調整の中で大舞台に立ち、無観客の中でもベストを尽くした。取材したパラ選手も「やっぱり開催してよかった」と話していた。日本社会が多様性と向き合うきっかけになったと考えているからだという。
「有明アーバンスポーツパーク」でスケートボードの練習をする子どもたち

「有明アーバンスポーツパーク」でスケートボードの練習をする子どもたち

 しかし、大会後の不祥事発覚や、これからも続く赤字施設の存在が台無しにした。大会によって、スポーツの価値や裾野の拡大への寄与の機会は大きく損なわれた。
 —都のレガシーレポートは賛美ばかりが並ぶ。
 多くの都民は大会を誇れないでいる。都が大会を賛美すればするほど、都民はギャップを感じ、しらけてしまうだろう。それは政治への不信、無関心につながるのではないか。
 都政には大会の記憶が新しい間に、スポーツの価値ともう一度、真摯(しんし)に向き合ってほしい。スポーツがくらしの中に溶け込み、人々やまちと一体となった施設や環境が生まれれば、産業になる。スポーツのビジネス化は世界のトレンドになっている。
 利益を生む施設を残し、そうではない施設は閉鎖を決断すべきだと思う。都民がスポーツは「負担」ではなく、「有益」だという捉え方をできるようになれば、東京大会の大きなレガシーになるはずだ。
   ◇
〈検証小池都政〉
 近づく東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)。3選出馬が有力視される小池知事が依然として態度を表明せず、自民党や立憲民主党など主要政党が候補の擁立に至っていない中、いまだ構図は見えていないが、2期8年にわたる小池都政の評価が争点となるのは間違いない。新型コロナウイルス禍、明治神宮外苑再開発への対応をはじめ、さまざまな行政課題と都政がどう向き合ってきたかを検証する。(随時掲載)

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