3年ぶりの行動制限なしのGWが終わった。ハワイなど海外旅行を楽しんだ人もいるが、いよいよ訪日旅行も本格解禁となる。
政府は外国人観光客の入国を6月にも一部解禁する方向で調整中だ。岸田首相は5日、ロンドンでの講演で「6月には他のG7諸国並みに円滑な入国が可能となるよう水際対策を緩和する。ぜひ、日本にお越しください」と表明。GW明けの感染者数の状況にもよるが、入国・帰国者総数の上限引き上げも検討する。本格解禁されれば、厳しすぎるといわれていた入国時の検査も簡素化する方向だという。
一方で国内では現在もソーシャルディスタンスやマスク着用が“義務”のようになっていることから、不満や不安の声もある。
〈欧米人はワクチン
タイでは多くの海外観光客を受け入れているが、マスクの義務化・罰金制度が導入されている。日本では法整備もないし、外国人とのトラブルは起きないのだろうか。旅行ジャーナリストの渡辺輝乃氏が言う。
「少人数のツアーであれば、日本の感染対策のルールを守ってもらうといったことも周知徹底がしやすくなります。ただ、再開を待ちわびていた海外の日本旅行ファンは、想定しているよりも遥かに多い。日本側の思惑とは違って外国人観光客がドッと押し寄せてしまった場合、混乱やルール違反がどうしても発生してしまうでしょう」
日本人の場合は同調圧力で、感染対策が上手くいっていたという実情もあるが、外国人観光客にはそれを強いることはできない。たとえば航空機の場合は、保安上の理由で規制できる。もちろん、事前に正当な理由を申請すれば乗務員の指示の下でマスクせずに搭乗することも可能だ。しかし、問題になるのは、強制着陸や遅延など他の乗客にも迷惑がかかることだろう。
「航空機の場合は、5分もかからずに機内の空気も入れ替わりますが、空気感染するオミクロンはそれでも感染する可能性は排除できません。他の乗客からのクレームがあった時にどう対応するのか。その他にも鉄道やバス、タクシーなどの公共交通機関で感染対策ルールを守ってもらえるのかといった問題もあります。日本人にすら感染対策に関して明確な法律がないのに、外国人にだけ罰則を設けられるのかという根本的な問題点もあります。『観光目的での来日の場合にビザ取得を義務化して、その際に感染対策ルールなどの指示に従わなければ、その時点でビザ取消しになる』といったことが導入できればトラブル回避になると考えます。ただ、これを機に室内のみマスク着用という新ルールや段階的に感染対策ルールを緩和させる方向性を出せるのであれば、日本人にも外国人観光客にとっても良いですね」(前出の渡辺輝乃氏)水際対策を緩和するなら、新型コロナを5類に変更できるかもポイントになるだろう。