【ワシントン=黒見周平】トランプ米大統領は26日、イラクを予告なしに訪問し、メラニア夫人と共に駐留米軍を激励した。米ホワイトハウスのサンダース報道官がツイッターで明らかにした。トランプ氏のイラク訪問は2017年1月の政権発足後、初めて。(読売新聞)
パホーマンスに惑わされるな(笑)
米国防長官辞任 大統領の暴走を止めよ
トランプ米大統領のいさめ役がまた一人、政権を去る。国際社会からも信頼されているマティス国防長官だ。代わって議会や司法、そして米国民こそがトランプ氏の暴走にブレーキをかけてほしい。トランプ氏がシリアからの米軍撤退を独断で決めたことを受け、マティス氏は辞意を表明した。トランプ氏に宛てた書簡で「米国の強さは他国との同盟や協調関係の強固さと不可分の関係にある」と指摘した。そのうえで「あなたはより自分の考えに合った国防長官を選ぶ権利がある」と述べた。国際協調や同盟関係を軽視して、米国第一主義に突き進むトランプ氏への抗議辞任といえる。撤退はアサド・シリア政権の後ろ盾であるロシアとイランを利する。イラン核合意を一方的に離脱したこれまでの対決路線と整合しない。近視眼的で一貫性もないトランプ流である。オバマ前大統領は周囲の反対を押し切ってイラクからの軍撤退を急ぎ、過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭を招いた。その二の舞いになるとの懸念は与党の共和党にも強い。トランプ氏は治安悪化が著しいアフガニスタンに駐留する米軍も大幅に削減するつもりだ。暴君の行状を忠臣がなだめすかして何とかやめさせる-。そんな昔の宮廷劇を見る思いだ。トランプ政権で繰り広げられるドラマである。著名ジャーナリストのウッドワード氏の近著「恐怖の男(邦訳)」によると、トランプ氏は今年初め、北朝鮮への脅しとして在韓米軍の家族に対する引き揚げ命令をツィッターで出そうとした。これにマティス氏らが「米国が戦争準備を始めたと北朝鮮に誤解される」と猛反対し断念させたという。ニューヨーク・タイムズ紙に匿名で寄稿した政権幹部は、トランプ氏の「有害な」行動を阻止するために、政府高官らがエネルギーを費やしていることを明かした。そのおかげで暴走に一定の歯止めがかかってきた。無秩序状態のホワイトハウスに、規律をもたらしたケリー大統領首席補佐官も年内に交代する。自分の思い通りにならないと、周囲にあたりちらすのがトランプ氏だ。マティス氏やケリー氏はさぞ煙たい存在だったろう。「核のボタン」も握る大統領が自分の周りをイエスマンで固めてやりたい放題をしでかす危険を、米社会は認識してほしい。