宮内記者会代表質問
問1 この1年を振り返り,社会情勢やご公務,ご家族との交流などで印象に残った出来事をお聞かせください。来年に向けてのお考えもあわせてお答えください。また,来年は戦後70年という節目の年を迎え,両陛下のパラオご訪問が検討されています。改めて先の戦争や平和に対するお考えをお聞かせください。
天皇陛下
この1年を振り返り,印象深い出来事としては,最近スウェーデンで行われたノーベル物理学賞の授賞式で赤崎,天野,中村3博士が受賞されたことです。赤崎,天野両博士が青色発光ダイオードを作り,さらに同じ頃独自にもその研究を果たしていた中村博士によりその実用化が進められました。照明器具として消費電力が少なく,発光による熱し方も少ないことから,社会の様々な分野で利用されていくことと思います。成果を上げられた3博士の業績を誇りとし,深く敬意を表します。痛ましい災害もありました。8月には大雨が広島市を襲い,土砂災害によって74人が亡くなりました。先日被災地を訪問しましたが,暗闇の中で木がなぎ倒され,大きな石が土砂と共に落下してくる状況は想像するだに恐ろしく,人々の恐怖はいかばかりであったかと思います。また9月には,御嶽山の噴火により,死者,行方不明者が63人となりました。紅葉を楽しもうと登った人々であったことを思い,心が痛みます。長野県北部でも11月に震度6弱の地震が発生しましたが,幸いにも地域の人々の日頃の訓練と消防職員の協力によって死者を出すことはありませんでした。建物の被害は大きく,冬に向かっての生活の苦労が深く察せられますが,死者がなかったことはうれしいことでした。新聞に大きく取り上げられるような災害ではありませんが,常々心に掛かっていることとして多雪地帯での雪害による事故死があります。日本全体で昨冬の間に雪で亡くなった人の数が95人に達しています。この数値は広島市の大雨による災害や御嶽山の噴火による災害の死者数を上回っています。私自身高齢になって転びやすくなっていることを感じているものですから,高齢者の屋根の雪下ろしはいつも心配しています。高齢者の屋根の上での作業などに配慮が行き届き,高齢者が雪の多い地域でも安全に住めるような道が開けることを願ってやみません。家族のことについては秋篠宮家の佳子が国際基督教大学で勉強することになりました。先輩の眞子から大学のことを十分に聞いた上で決めたことですから,きっと良い大学生活を送ることになると期待しています。私には叔父に当たる三笠宮が元気に白寿を迎えられたことは私どもの大きな喜びでした。それと共に6月の桂宮薨去という悲しい出来事もあり,三笠宮,三笠宮妃のお寂しさを深くお察ししています。
先の戦争では300万を超す多くの人が亡くなりました。その人々の死を無にすることがないよう,常により良い日本をつくる努力を続けることが,残された私どもに課された義務であり,後に来る時代への責任であると思います。そして,これからの日本のつつがない発展を求めていくときに,日本が世界の中で安定した平和で健全な国として,近隣諸国はもとより,できるだけ多くの世界の国々と共に支え合って歩んでいけるよう,切に願っています。←
安倍晋三よ・よ~く聞けよ(礼)
+++++++++++++++++++++++++++++++++
天皇陛下の言葉:朝日新聞等は平和守る義務と責任、近隣等との友好という部分は報じません。</stron>
孫崎享 <ch1332@nicovideo.jp>
天皇陛下は今日、平和に関し、最も積極的に発言されています。昨年は「戦後、連合国軍の占領下にあった日本は、平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り様々な改革を行って、今日の日本を築きました。戦争で荒廃した国土を立て直し、かつ、改善していくために当時の我が国の人々の払った努力に対し、深い感謝の気持ちを抱いています」と発言され、NHKニュース資料ではこの部分を報じませんでした。それで今年はと思い、NHKの動向を見ていましたが、「NEWS WEB」に於いては全文を掲載しています。今回81歳の誕生日にはつぎを述べられました。「先の戦争では300万を超す多くの人が亡くなりました。その人々の死を無にすることがないよう、常によりよい日本をつくる努力を続けることが、残された私どもに課された義務であり、のちに来る時代への責任であると思います。そして、これからの日本のつつがない発展を求めていくときに、日本が世界の中で安定した平和で健全な国として、近隣諸国はもとより、できるだけ多くの世界の国々と共に支え合って歩んでいけるよう、せつに願っています。」私は極めて重要なメッセージを発出されていると思います。
新聞での報道はどうだったでしょうか。
朝日新聞(14版)は、「様々な自然災害が日本を襲い、決して安泰であったとはいえない一年が過ぎ去ろうとしています」と振り返り「みなさまにとって来る年が明るい年となることを願ってやみません」と報じています。「その人々の死を無にすることがないよう、常によりよい日本をつくる努力を続けることが、残された私どもに課された義務であり、のちに来る時代への責任であると思います。そして、これからの日本のつつがない発展を求めていくときに、日本が世界の中で安定し和で健全な国として、近隣諸国はもとより、できるだけ多くの世界の国々と共に支え合って歩んでいけるよう、せつに願っています。」の部分を省いています。
読売新聞のWEB版も同様です。「せつに願っています」の部分が省かれているのです。
●ブログランキングに参加しています
●1日1ポチ応援お願いします