つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

津幡町の民家前、古の車輪と時代考。

2011年10月25日 21時13分18秒 | 日記
最近、映画「グラディエーター」を観た。

古代ローマ帝国を舞台にしたスペクタクル活劇で、
ロードショウ公開は2000年。
メガホンを取ったのは「リドリー・スコット」。
主役の剣闘士を演じたのは「ラッセル・クロウ」。
アカデミーの最優秀作品賞に輝いたヒット作だから、
きっと多くの方々がご覧になっただろう。

人生哲学、人間ドラマ、合戦・剣闘シーンなど、
見どころは様々あるが、その1つは“風景”である。
細密なCGで描かれた巨大な闘技場・コロッセオに、ローマ市街。
画面の中に映る肌の色は。白、黒、黄色。
多民族・多国籍の集合体だったローマ帝国は、
確かにこんな感じだったのだろうと頷けたのだが、どこか違和感を拭えない。
理由は「音」だ。

街頭のカットでは、民衆の笑い声、売り子の掛声、
大道芸人の物音、動物の鳴き声など、賑やかな音の演出があった。
…しかし、時は西暦180年頃。
人間がゴムを活用する前である。
当時の車輪は「今日の一枚」の様に、金属か木材。
ローマ街道は、土を固めた日本とは違い、敷石による完全舗装。
こうした車輪が凹凸のある堅い道を通れば、騒音は避けられない。

実際の古代ローマは、映画の中の世界よりも
かなり五月蠅かったのではないだろうか…。
僕は津幡町の街角に飾られた車輪を見て、そう思った。
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本津幡駅の分岐点。

2011年10月23日 09時05分06秒 | 日記
先日、散歩中に本津幡駅前を通りかかったら、上り電車がホームに停車中。
なかなか動き出さない。
やがて、予想通り下り電車がやってきて、
「冒頭の一枚」のようにすれ違い、互いの目指す方角へと遠ざかって行った。
待ち時間が発生するのは、
七尾線が相対の列車が同じ鉄路を共有する「単線軌道」だから。
単線の利点は設備投資・維持管理が安くすむ点。
衝突を避けるためのダイヤ編成を組み、運転の時間配分さえ正確ならば、
利用者数が少なく運行本数が限られた路線では、有効な方法である。

単線から駅構内の複線へ。
分岐点の様子を写したのが、次の写真だ。
 
分岐…英語ならば、Turnout。
辞書を引いてみると「投票」「生産量」「召集」「身支度」など、
様々な意味があり、いずれも何らかの転換を現している。
毎日、このTurnoutを通過する時に揺れる列車の中、
乗客もまた、それぞれ悲喜こもごもの感情に揺れ動いている。
通勤、通学、同じ事の繰り返しに思えるかもしれないシーンは、
実は小さな転換の積み重ね。
気がつけば、大きく変化している自分に気がつくはずだ。

開業から数えて1世紀あまり。
ローカル線の小さな駅は、多くの人生を見守ってきた。
 
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津幡町の力強き自然。

2011年10月22日 10時11分09秒 | 自然
僕は度々、津幡市街と小高い団地を結ぶ幹線を散歩コースに選ぶ。
その道は、山を切り拓いて通した為、人工と天然が隣り合わせている。

例えば「冒頭の一枚」。
アスファルトの歩道から逸れれば、折り重なった蔦や葛が群生。
すっかり地面を覆い隠し、人の背丈近くまで繁茂していた。
サイズが小さい昆虫類にとってそこは、昼なお暗い密林の趣。
身を隠す絶好の環境であり、大切な生活空間なのである。
草の中をかき分けて進むと、飛蝗や雲霞にヨコバイ、蝶・蛾の仲間などが、
沢山飛び出てきた。

そんな虫達を狙って、街路樹の木と木の間にはトラップが…。

 

女郎蜘蛛である。
秋は、大きな巣が目立つ。
…きのうは、僕自身の「飛蝗」の勘違いについて投稿したが、
女郎蜘蛛も誤解を招きやすいかもしれない。

巣の中央にいるのは雌ばかり。
赤、黒、黄色と鮮やかに彩られた派手な見た目や、
網にかかった獲物のみならず交尾時にオスをも捕食する貪欲さなどから
女郎…いわゆる“遊女”を連想してつけた名前だと思いがちだ。
しかし、命名にはもう1つ説がある。
美しく高貴なイメージから、
身分の高い女官「上臈(じょうろう)」に準えたのだそうだ。
女郎蜘蛛の由来が、遊女であっても上臈であっても、
そこには、男心が持つ女性への畏敬や憧れが潜んでいる気がする。

そして視線を足もとへ落とすと、歩道が波打ち、
樹木の根がアスファルトを盛り上げていた。

 

山野を切り拓いて道を通す。
それは人間の技術と力を示す産物だが、不断のメンテナンスを怠れば、
努力は水泡に帰し、たちまち緑に凌駕されるだろう。
やはりトータルな力量を比べてみると、大自然の方が圧倒的に上なのである。
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津幡町の飛蝗と不動。

2011年10月21日 22時07分58秒 | 日記
「冒頭の一枚」は、マンホールの上に鎮座したイナゴ。

日本では、一般的に稲の害虫として認知されているが、
海外では、あらゆる作物を食い尽す「飛蝗(ひこう)」として恐れられている。
…と思い込んでいた。
しかし、これは間違いだったのである。
「飛蝗」とはバッタの総称であり、同時に特定の種類も指す。
また、トノサマバッタやサバクバッタなど、
生息密度が高くなると群れで飛び、集団移動をする性質に変わる種族の別名。
更に、その集団移動の現象も意味する。

僕自身は「飛蝗」を目撃した事がなく、
記録フィルムや図鑑などを通じての知識しかない。
空が黒くなるほどの大群で飛来し、あらゆる作物を食い尽す「蝗害」。
きっと凄まじい光景だろう。
肉眼で見てみたい。⇔ 出遭いたくない。
好奇心。⇔ 恐怖心。
大自然の驚異には、矛盾した思いを抱く。

さて一方、津幡町には「不動虫」がいる。
生息場所は、加賀爪~川尻~井上を結ぶ県道217号線と
津幡バイパスが交差する中橋交差点。

 

 

カブトムシとトンボ。
信号待ちで近くに停まる度、散歩で近くを通る度、
コンクリートから浮き出た2匹を観察するのだが、彼等は決して動かない。
人に危害を加えることもない。
ただ、そこにいる。
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津幡の大地に、冬便り。

2011年10月19日 19時57分38秒 | 自然
「今日の一枚」は、「畑の大根」。
津幡町の大地から白い首が覗き、瑞々しい青葉が天に向って伸びていた。

大根は、冬の定番メニュー「おでん」に欠かせない具材の1つ。
作付面積、生産量共に全ての品種の中で1位。
日本を代表的する野菜である。
スーパーや市場に足を運べば一年中出回っているが、
本来、大根の美味しさは、晩秋からうまみが増しはじめ、
寒さが厳しくなる頃がピーク。
間もなく旬を迎えるという訳だ。

大根というと水分ばかり…というイメージがあるかもしれない。
しかし、実は栄養もたっぷり。
白い根の部分は、ビタミンCと食物繊維の宝庫。
葉っぱに含まれるカロチンや鉄分は、貧血を解消し、
体を温めて体力を回復させる作用があるという。
表面の色が白くてきめ細かく、ひげ根が少なく、ズッシリと重いものが
“いい大根”らしい。

雪国では、真冬になると野菜を雪の下に埋めて貯蔵する。
雪の中は外気に比べて意外に暖かく、一種のチルド状態。
凍らず、乾燥せず、新鮮な状態をキープ。
更に、大根は寒さから身を守る為に糖度を高め、甘味がグンと増すらしい。

涼しい朝の空気に包まれながら畑の大根を見ていたら、
『嗚呼、冬が近づいてきたな』・・・と実感し、
『嗚呼、おでんが食いてえ』・・・と涎が垂れた朝の散歩だった。
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