つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

津幡町で、薄氷を見る思い。

2013年01月31日 23時21分45秒 | 自然
「今日の一枚」は、今朝撮影した近所の側溝。
移動性の高気圧に覆われた津幡町上空は、数日ぶりに青空が広がると共に、
放射冷却によって気温が低下し、澱みの表面が結氷した。
その厚みは1mmもあるだろうか?
文字通りの薄氷(はくひょう)だ。

…僕は、この自然現象に、ある種の愛おしさを禁じ得ない。

ほんの少しの加重で砕けてしまう。
小指の先でツンと押すだけでいい。
僅かな気温の上昇で融けてしまう。
フッと息を吹きかければ事足りる。
氷に命はないが、形あるものが消えるのは1つの「終わり」。
あまりに儚く寿命の短い薄氷は、それ故に存在が貴重だ。

そして、この時期に薄氷を目にすると「始まり」を感じる。
寒さがピークを迎える真冬の氷は厚氷。
薄氷が出来るのは、寒さが増す冬の入口か、寒さが緩む冬の出口だ。
ちなみに「薄氷(うすらひ)」は、春の季語である。

あと1時間もしないうちに、2月だ。
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津幡町で手にした“COOL JAPAN”。

2013年01月30日 20時20分10秒 | 日記
「今日の一枚」は「auショップ津幡店」。
auユーザーである僕は、つい先日、この店でスマートフォンを購入した。
ずっと使ってきたフィーチャーフォン…いわゆる「ガラ携」に寿命が近づいてきたためだ。
昨年末あたりから「声にノイズが混ざって聞こえ辛い」という苦情が増え、
いよいよ覚悟を決めて、新たな世界へと踏み出したのである(大袈裟w)。

元来、携帯はシンプル・イズ・ベストを信条としてきた。
通話ができて、写真が撮れて、メールができる。
それで充分だった。
おサイフ機能よりもニコニコ現金払い。
インターネットはPCの大きな画面が性に合う。
スケジュール管理はシステム手帳で事足りる。
小さな機械に、多くは求めていなかったのである。
しかし、世の流れは「フォン」と名の付いた情報端末礼賛へと向かい、
諸般の事情から、僕もまた世俗に飲み込まれる事となった(大袈裟ww)。

悩んだ挙句に選んだのは…

   

INFOBAR C01…こいつに“ニッポンらしさ”を見た!

アイコンの組み替え可能な箱庭的ディスプレーデザイン。
i-phoneがけん引するタブレット全盛に抗い、テンキーを採用した心意気。
更に、普段使いの機械に施した鮮やかな文様。
優雅な外観の裏に気骨を感じる。
性能面だけじゃなく、限られたスペースの中で、
どうやったら恰好よくなるかを考えた末のスマートフォンだと思う。

バッテリー容量がかなり小さいという欠点も併せ持つ点もいい。
使う側に創意工夫が必要となるからこそ、共に付き合う実感がありそうだ。
これぞ“COOL JAPAN”。
当分の間は愛用したいと考えている。

今回は散歩と関係のない番外編となったが、
雪が融け、雲が晴れ、一緒に外を歩く時間が今から楽しみだ。
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雪景色、津幡検問所前交差点。

2013年01月28日 23時04分55秒 | 自然
今日の一枚は、津幡検問所前交差点にて撮影。
県道59号線と215号線が交差する地点である。
運よく雪が止まったタイミングは午前8時21分。
雲の切れ間から陽が射し視界の奥には雪の森。
ここは、「篠田の森」と言われているらしいのだ。
以下は津幡町観光ガイドより引用したいと思う。
(※上記6行、末尾を揃えてきたがいかがだろう)

『金沢市に近い津幡町の山あいの浅谷集落には、キツネにまつわる伝説が残っています。
 村の入口に、伝説のキツネが住んでいた「篠田の森」と呼ばれる森があります。
 村人が疲れ果てて、仕事から家に帰ってみると、
 買っておいた油揚げがなくなっていました。
 こんなことがしばしばありました。
 ある日、今日こそは盗られないようにと注意していると、やっぱり曲者が出てきました。
 捕まえてみると、それは白い小ギツネでした。
 たまたま親ギツネの真似をして油揚げを盗ろうとして捕まったものであり、
 村人は哀れに思って放してやりました。
 その時、キツネは「篠田の森」の者であると言って帰っていったと言われており、
 今もこの地名は地区に残っています(中条伝説「篠田の狐」の話より引用)。
 村人の話では、この辺りではクマやイノシシ、サルなどの野生動物を
 普通に見かけますが、たまにつがいのカモシカが山里に下りてくることもあるそうです。』

神秘が潜み、魔が暮らす。
森は、日常と乖離した空間なのである。
白く枯れ木を覆う雪が降る冬は尚更である。
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津幡町の書店を覗き、過去を覗く。

2013年01月23日 21時42分12秒 | これは昭和と言えるだろう。
「今日の一枚」は、津幡町の「スガイ書店」の様子。
スペースを縦断する形で何本かの書架が並び、
ぐるりの棚は沢山の書籍で埋め尽くされている。
決して洒落た内装ではないし、大型書店のようにカフェなどの付帯施設もない。
典型的な田舎の本屋さんなのがいい。
明るい照明に満たされた店内には、独り立ち読みに耽溺する小学生と思しき人影。
2010年7月7日にも投稿したが、かつて僕も彼と同じ時間を過ごした。
まるで過去の自分を見たような懐かしさを覚え、散歩から帰宅後、
昔「スガイ書店」で購入した小説「ライ麦畑でつかまえて」のページを開いてみる。

『もしも君が、ほんとにこの話を聞きたいんならだな、
 まず、僕がどこで生まれたとか、チャチな幼年時代はどんなだったのかとか、
 僕が生まれる前に両親は何をやってたかとか、
 そういった《デーヴィッド・カパーフィールド》式のくだんないことから
 聞きたがるかもしれないけどさ、実をいうと僕は、そんなことはしゃべりたくないんだな。
 第一、そういったことは僕には退屈だし、
 第二に、僕の両親てのは、自分たちの身辺のことを話そうものなら、
 めいめいが二回ぐらいずつ脳溢血を起こしかねない人間なんだ。』
      〔※J.D.サリンジャー著、野崎孝訳『ライ麦畑でつかまえて』より引用〕

初出版は、昭和26年(1951年)。
スラング満載、投げやりで乱暴なセリフで進行する物語は、
さぞ斬新でリズミカルだったろうと推察する。

当時のアメリカは“黄金の50年代”。
戦争に勝利して好景気が頂点を極めた「豊かな社会」だが「幸せな社会」とは限らない。
衣食住、娯楽、何もかも満ち足りた中で育った若者達にとっては、
生きる目標を見つけあぐねた「悩める社会」だったと言える。
小説「ライ麦畑でつかまえて」は、成績不振で名門高校を退学になった少年が、
寮を飛び出し、ニューヨークを彷徨う3日間の出来事を描いた。
無鉄砲で反抗的な主人公は、迷えるティーンの代弁者だ。

そして、この本を初めて手に取った時…子供以上大人未満の僕もまた、
悩み多き年頃だったのである。
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津幡町総合体育館、耐震工事中。

2013年01月21日 10時40分22秒 | 日記
先週・木曜日、阪神淡路大震災発生から18年の節目を迎えた。
また、3月には東日本大震災発生から3年となる。
2つの大災害を経て、日本国民の意識は奥深い所で変わった。
建築分野では「もしも」に備えて耐震・免震技術が進歩した。
経済の低迷もあって一時にとはいかなかったが、各地でインフラ整備が行われている。
津幡町の総合体育館もその1つ。
工事期間は、昨年11月に始まり今年の3月末日までを予定している。
その間、体育館全館は使用できない。
巡り合わせが悪かったのだから仕方がないが、
各種サークル活動や、津幡中学校の部活動にとっては難儀だろう。
…振り返ってみると、自分の中学時代にも似たようなシーンがあった。

当時、僕は剣道部の一員だった。
部活動の様子については、2010年6月29日の投稿を再掲載する。
『木造の旧校舎があった。
所属していた剣道部の道場は、その一角。
ギシギシ音を立てる渡り廊下を進んだ先にあった。
空調などない中で励む稽古の環境は、そのまま季節に左右される。
蒸し暑い夏は、道着に着替えただけで汗が流れ、
隙間から粉雪が舞い込む冬は、吐く息も白く、足先がひび割れ床に赤い跡ができた。
裂ぱくの気合い、竹刀がこすれあう音、荒い息使い。
荒々しい時間が過ぎれば、黙想。礼。静謐な時間が流れていた。』

ある時、そんな「道場」が失われる事になった。
建物の老朽化に伴い、取り壊されるのだ。
占有の板の間がなくなり、体育館の限られたスペースしか許されないとしたら、
何かと制限を受ける。
僕等は自主的に、練習場所を探した。

見つけて来たのは、現在、津幡郵便局が建つ場所にあった幼稚園の「遊戯室」。
園児達が帰った後、しばし道場として借り受けたいと交渉。
了承を得て、顧問に申し入れ、僕達は新しい「道場」を確保したのである。

今考えれば、出過ぎた行動だと思う。
各方面に迷惑をかけたのではないだろうか。
よくも我儘が許されたものだと思う。
ある意味、昭和とは曖昧で度量の広い牧歌的な時代だったのかもしれない。
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