つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

花のお江戸は百と二十里。

2018年01月28日 10時03分38秒 | 旅行
「北陸新幹線」が開業して、間もなく丸3年。
金沢⇔東京間を最速2時間40分でつなぐ高速鉄道路線は、
ほんの一部、わが津幡町にかかっている。

この画像は、開業日翌日・2015年3月15日、
新幹線高架橋に隣接した高台から撮影した1枚。
その勇姿を一目見ようと、多くの見物人が詰めかけていた。
また「旭山工業団地」内には「新幹線の見える丘公園」が整備され、
一時は大変な賑わいだったと聞く。
現在の様子はいかばかりか。

さて、金沢と東京の距離は120里(480Km)。
かつての「参勤交代」では、平均12~13泊。
2,000~4,000人の従者を引き連れ、
1度の道行きで5~7億円もの旅費を使ったという。
一人当たりにかかる金額は、20万円程度だろうか。
今では、数千円から数万円で日帰りができるようになった。
…と言っても、膨大な化石燃料と電力、マンパワーに支えられている事を考えれば、
旅の「規模」は、似たようなものかもしれない。

一昨日、僕は初めて文明の利器「北陸新幹線」に乗り、
東京へ日帰り出張に出かけた。

北陸は、寒波の只中。
しかし、東京は好天。
日本の冬の特色だと分かっているが、
その違いを目の当たりにすると羨ましさが込み上げてくる。

仕事を終え、帰りの電車まで残り2時間。
「ボートレース平和島」に隣接する「平和島劇場」を訪れた。

一日最大8場・96レースを販売。
一階の無料スペースに加え、2・3階有料席/256席、4階特別有料席/37席。
名実ともに日本一の外向舟券発売施設である。

僕のお目当ては、今週ずっと見続けている「下関競艇ヴィーナスシリーズ」。
ゆっくり打つ余裕はないため、一思案して投票を済ませ、現地を後にした。
新幹線の車中で結果を確認。
2勝2敗で、プラス収支。
足を運んだ甲斐があった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サヨナラ、狩撫麻礼。(敬称略)

2018年01月21日 11時39分39秒 | 追悼。
年齢を重ねるうちに、人付き合いは変化するものだ。
かつて濃密な時間を過ごし、喜怒哀楽を共有した人であっても、
互いの心情、身体(健康)、環境、仕事などの変遷によって、
交流が少なくなる、または、途絶えてしまう事は珍しくない。

“仲たがいをした訳ではないが、いつの間にか疎遠になった友人”。
最近の僕にとって「狩撫麻礼(かりぶ・まれい)」とは、そんな存在だった。

…先日、久しぶりに風の便りを耳にした。
訃報だった。
漫画原作者・狩撫麻礼さん死去 『リバースエッジ 大川端探偵社』など
40年近く漫画原作の一線で活躍してきたが、平成30年(2018年)1月7日没。 
享年70だった。
存命中、多くの漫画家とタッグを組み名作・佳作・小品や大作を輩出。
いくつか列挙してみよう。

『EAST OF THE SUN, WEST OF THE MOON』(画:大友克洋)。
『迷走王 ボーダー』 『リバースエッジ 大川端探偵社』(画:たなか亜希夫)。
『ナックル・ウォーズ』 『LIVE!オデッセイ』 『青の戦士』(画:谷口ジロー)
『ライブ・マシーン』 『湯けむりスナイパー』(画:松森正)。
『天使派リョウ』 『唇にブルース・ハープ』(画:中村真理子)。
『B(ビィ)』(画:平野仁)。
『ハード&ルーズ』(画:かわぐちかいじ)。
『ルーズ戦記 オールド・ボーイ』(画:嶺岸信明)。

誰もが知るミリオンヒットではないが、熱心な愛読者は少なくない。
僕もその一人だ。
その物語、世界観、台詞回し、鋭い言葉選びに感銘を受け、
20代~30代にかけて、繰り返しページをめくった。
何度かの転居の際も、捨てずに持ち運んできた。

しかし、40の声を聞いた頃から、手に取る機会が徐々に減り、
50を越える頃には、本棚の片隅に置いたままになっていた。
嫌いになったわけではない。
読み飽きたわけでもない。
明確な理由は思い浮かばないが、
やはり、己自身と己を取り巻く変化の積み重なりから、疎遠になっていたのだ。

逝去の報を知り、何冊か読み返してみた。
やはり面白い。
そして、確信した。
間違いなく影響を受けている。

「ボブ・マーレィ」とレゲエミュージック。
ジャズやブルーズなどの黒人音楽。
「ザ・ブルーハーツ」や「ニール・ダイヤモンド」。
もしも「狩撫麻礼」の筆に接しなかったとしたら、これらに耳を傾ける事はなく、
そこから派生する諸々の楽しみは知らないままだったかもしれない。

ギャンブル狂の「土岐正造」、驚異の博才を発揮した「蜂須賀」。
彼らが鉄火場に身を投じるシーンを読まなかったとしたら、
競艇ファンになっていたかどうか怪しい。
また、『B』の主人公の名前が「毒島」じゃなかったとしたら、
レーサー「毒島 誠」に注目しなかったかもしれない。

本名非公開。
近影も数枚が残るだけ。
幾つかのエピソードを除いて、私生活は不明。
黒子に徹し、生きた証は作品の中に。
カッコいいなと思う。
末尾に拙作ながら「故人の想像画」を捧げ、結びとする。

「一番美しい日本語を知ってるか…?」
「…サヨナラ」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ようやく初散歩叶う。

2018年01月20日 13時17分33秒 | 自然
今朝、ようやく平成30年(2018年)になって初めての散歩に出掛けた。

出発は、陽が登って間もない午前7時。
およそ3週間ぶりだけに、人犬共に元気一杯!
所々凍結している道中をものともせず歩を進めた。
ちなみに、本日は二十四節気の「大寒」である。
放射冷却も手伝って、流石に寒さは厳しい。

津幡ふるさと歴史館「れきしる」前の池には分厚い氷が張っていた。
度々、拙ブログで紹介している通り、ここはかつて「津幡小学校」旧校舎の前庭。
子供の頃、やはり真冬の朝に、氷の上を歩き対岸へ渡る度胸試しをした。
抜き足、差し足、忍び足。
時々、氷が割れて大変な目に遭ったことも楽しい思い出である。

大西山を下り、市街地へ。
棚引く白い煙は「久世酒造」が寒造りを始めた合図だ。
辺りに、酒米を蒸す甘い匂いが仄かに漂う中、ちょうどペダルを漕ぐ中学生が通りかかる。
こうして僕も部活へ向かった当時を重ね合わせるも、もはや40年も前の話だ。

さて、冬場に気を付けたいのは火事である。
室内で暖房(火)を使い、季節風も強い。
もしもに備え、お互いくれぐれも用心を。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

モンスターの系譜・人造人間。~「見果てぬ夢の行方」の巻。

2018年01月19日 21時39分26秒 | 手すさびにて候。
ほんの手すさび、手慰み。
不定期イラスト連載・第七十一弾は「人造人間(女)」。

このカテゴリーの前々回投稿「人狼」と、前回の「吸血鬼」。
古い歴史の闇に根源を持つ2つのモンスターに比べ、今回の出自は比較的新しい。
近代19世紀、イギリスの女流作家「メアリー・シェリー」が著したゴシック小説が、
その起源だ。
作品名は「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス」。

科学者を志すスイス生まれの青年「ヴィクター・フランケンシュタイン」。
彼は、留学先のドイツで最先端の自然科学を学ぶうち、
生命の謎を解き明かし、命を操る欲望に憑りつかれてゆく。
ついには人間の設計図を引き、
墓から掘り起こした死体をつなぎ合わせ「人造人間」が完成。
十人力の優れた身体。
古典文学を読み解く知性。
美と純粋を愛する心。
しかし、それらを払拭して余りある醜い容貌。
「フランケンシュタイン」の創造物は、怪物として生を享けた。
あまりのおぞましさに絶望した創造主は、何もかも放り出してスイスへ逃亡。
独り残された怪物は、後を追いかけてアルプスを越え、追いつき、懇願する。
『同じ身の上のパートナーが欲しい。』
「フランケンシュタイン」は、拒否した。
アダムとイブが揃ったことで訪れる未来を想像し、怖れ、躊躇し、危惧したのだ。
絶望した醜い子は復讐鬼となり、生みの親の知人や妻を次々と殺害するようになる。


以上がストーリーのあらまし。
が、もしも「フランケンシュタイン」が伴侶を創ったとしたら…。
というのが、今拙作のモチーフだ。

さて、今年は「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス」出版から、
ちょうど200年を数える。
当時、荒唐無稽だった人造人間は、もはや見果てぬ夢ではないのかもしれない。
生体移植。
クローン。
ロボット。
A.I。
神の領域に足を踏み入れた人類が目にする未来は、天国か、地獄か。
その行方は、神のみぞ知る。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

モンスターの系譜・ヴァンパイア~「妖(あやかし)の君」の巻

2018年01月15日 22時49分19秒 | 手すさびにて候。

ほんの手すさび、手慰み。
不定期イラスト連載・第七十弾は「(女)吸血鬼」。

「吸血鬼」は、このカテゴリーの前回投稿…「人狼」と同じく、
古くから、人の心の闇に棲むモンスターの代表格だ。

@黒いマントを羽織った色白で銀髪の男。
@十字架とニンニクが嫌い。
@日光に弱く、浴びると灰になる。
@白木の杭で心臓を貫かれると死ぬ。
…これらは、ルーマニアの「ドラキュラ伝説」を下敷きにした小説や映画などによって、
広く浸透した紋切り型のイメージ。
世界各地に残る伝説上の吸血鬼は、男だったり女だったり、
禍々しい怪物だったり、動物の姿をしていたり、形相様々ながら、共通した要素もある。
@一度死んだ人間が蘇り、不死者になる。
@生命の根源「血」を求める。
@噛まれた者も吸血鬼となる。
…こうした伝染病の蔓延を連想させるのは、
やはり「人狼」と似て、未知の恐怖が具現化したものではないかと思う。

さて、今拙作のモチーフは、前述「ドラキュラ」の原型になったと言われる作品だ。

主人公は、オーストリアの城郭に暮らす、18歳の孤独なお嬢様「ローラ」。
ある日、彼女の前に同じ年頃の美少女「カーミラ」が現れた。
縁あって2人は寝食を共にすることになるが、
「カーミラ」の挙動には、おかしな点が多々あった。
起きてくるのは毎日正午過ぎ。
食事はチョコレート1杯だけ。
賛美歌に嫌悪感を示す。
いささか度を越した奔放な愛撫と接吻。
友人ができたと喜ぶ「ローラ」は、奇妙に感じながらも、それらを赦していた。
「カーミラ」に魅入られていたのだ。

やがて、城の周辺の村で異変が起き始める。
何人かの女性が相次ぎ死亡し、熱病の流行が噂された。
そして、いつしか「ローラ」も体調不良を覚え、病の床に臥せる。
全ては「カーミラ」の仕業だった…。

恐怖と陶酔、妖美に満ちた『女吸血鬼カーミラ』は、
怪奇小説の傑作にして、耽美小説の古典である。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする