拙ブログを立ち上げたのは、2010年。
犬を飼い始め、散歩を嗜むようになって、町中の変遷に気付いたのがキッカケ。
過去へ押し流されてしまう今を記録しようと考え、
徒然なるままに書き記し出してから、9年余りが経つ。
その間、幾つも巡り遭った、慣れ親しんだ景色の消失の中で、
取り分け大きな出来事が「津幡小学校校舎の建て替え」だ。
旧校舎にまつわる思い出は、この記事と同カテゴリーの過去投稿に譲るが、
枚挙に暇のない中の1つが「鯉」である。
当時、校舎前庭の小さな瓢型(ひさごがた)の池には、数匹の鯉がいた。
泳ぐ芸術の如き、黄金色。
濁りの中でも目立つ、白い魚体。
陽を浴びた鱗の照り返しが美しい、茶色。
小学生の僕は、よくユラユラと水の中を泳ぐ様子を観察したものだ。
地上と異なる環境に生きる彼等は、いくら眺めても見飽きなかった。
やがて、卒業から40年後。
取り壊し工事がスタートし、池の水は抜かれ、鯉も姿を消した。
3年前、大西山に「津幡ふるさと歴史館」がオープンし、池に水が戻り、
先日、ついに鯉が帰ってきた。

赤い丸で囲った辺りにいるのが分かるだろうか?
アップにしてみよう。

白地の背中に緋斑・・・「紅白」だ。
錦鯉のうち、最も人気のある品種だと聞く。
簡素故に、趣があり、観賞の奥行きが深い。
マニア曰く「鯉は、紅白に始まって、紅白に終わる」んだとか。
ともかく、僕は池の畔に立ち尽くし、しばし鯉に見入った。
もう決して戻らないあの頃と同じように。