つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

平成に捧ぐ。

2019年04月30日 22時25分19秒 | 日記
散歩中、僕は神社に立ち寄ることが多い。
理由は複数ある。

まずは「願掛け」。
安全・安泰、健康、的中など、諸々の成就を祈って手を合わせる。
実際に神様が手を差し伸べてくれる事はないのだが、
自分自身の心の内と向き合う意味では、意義があると思う。

次に「休息」。
特に夏季、暑さ厳しい折、鎮守の杜は安らぎを与えてくれる。
木陰の下で一息ついて、英気を養い、歩みを進めるのだ。

そして「観賞」。
神社には、地域の歴史を窺う手がかりがある。
また、人の手が入った杜を眺め、
季節の移り変わりを感じることが出来る。

例えば、津幡町・中須賀の「八幡神社」。
いわゆる知る人ぞ知る小さな社だ。
境内の石碑によれば、今から400年以上前、この地に造営されたらしい。

「阿」の狛犬の奥の緑は「月桂樹」。
独特の香りを持つ枝葉は、香辛料として料理に使われる。
古代ギリシャでは、競技の勝者に月桂樹の葉で作った冠を贈る習慣があった。
現代でも月桂樹は勝利、栄誉を示すとされるが、
どうやらこの木は、平成天皇の皇太子時代・・・成婚にあたり植樹されたらしい。

期日は、昭和三十五年四月。
大地に根を張り60年近く風雪に耐えてきた樹の花は、ちょうど満開。
まるで、平成最終日に歩調を合わせたかのように。

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津幡町・川尻散策。

2019年04月29日 22時15分00秒 | 日記
津幡町「川尻(かわしり)」は、
街中を流れる津幡川の最下流域、文字通り「川の尻(川下)」。
開祖は、源平合戦に破れて落ち延びた平家の落人という説も伝わる。

川尻は泥土質の土壌に恵まれ、古くから稲作が盛ん。
かつては水郷だった。
水田の西に広がるのは、現在の5倍以上とされる「河北潟」。
汽水域で、ボラ、フナ、コイなどが豊富に取れた。
いわゆる半農半漁の集落である。

更に、水運も発達していた。
その痕跡が「ヨーバ跡(あと)」だ。

青い自動車の隣、生垣前の高札には以下の記述がある。

『河北潟や津幡川を往来していた川尻のテント舟は、
 江戸時代から明治・大正時代を経て、昭和二十一年まで
 物資の輸送をしていた。 河北潟の水運によって粟ヶ崎や大根布、
 西荒屋の各村から、砂浜や〆かすなどを運んだ。
 また、石川郡の本吉湊(旧美川町)より砂利や菜種を積載して
 川尻まで運び、ヨーバ跡で荷物を積み替えて、
 上流の津幡村や竹橋・富田村まで輸送した。
 ヨーバ跡は中継地として重要な位置を占めていたところで、
 あたかも小さな港のような活況ぶりであったという。』

「ヨーバ」とは、「水門」を指すようだ。
「テント」と呼ばれる「大型木造船」に満載の荷をのせ、津幡中心部~内灘~金沢へ。
道路インフラが整備され、車が普及する前は、舟が物流の主役。
川尻は中継基地だったのである。
別角度から見てみよう。

アスファルト舗装の道路は、かつて水路だったのだろうか?
前述のような活況を呈する風景を見てみたいものだ。
しかし、明治31年に鉄道が敷設され、運輸拠点としての機能は弱体化。
現在に至る。

「ヨーバ」も鉄筋コンクリート造に。
竣工から半世紀以上になる「川尻水門」は、現役バリバリ。
令和になっても、町の治水の要であることに変わりはない。
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れきしる改元企画。

2019年04月28日 16時26分07秒 | 日記
度々、拙ブログに登場する「津幡ふるさと歴史館 れきしる」。
一週間ほど前から始まった新しい企画展、
「皇室と津幡町」へ足を運んでみた。

近代から現代にかけ、天皇の大規模なツアーは3度組まれている。

@まずは「明治」。
 江戸が終わったばかりの頃、日本は不安定だった。
 不平士族の反乱は後を絶たず、戊辰戦争で幕府側についた藩との亀裂は深い。
 新政府が求心力を強化するために取られた策が、諸国巡幸。
 天皇が御簾からお出ましになり、為政者も国家の仕組みも変わったことを報せた。
@次に「昭和20年以降」。
 敗戦によって荒廃し、打ちひしがれた人心を鼓舞するため、
 現人神(あらひとがみ)ではない“人間天皇”が諸国を漫遊した。
@そして「平成」。
 度重なる大きな災害が起こった地、多くの血が流れた戦地への巡礼と鎮魂の旅。
 
幸い、大規模な被災も戦災にも遭っていないわが津幡町へのそれは、初回だ。

明治天皇北陸巡行の折、休憩所となった「弘願寺(ぐがんじ)」への下賜品。
表面には、菊と五三桐の紋。
戦時中、兵隊さんが鉄釜に敬礼したというエピソードも伝えられている。

菊の紋入り漆塗りの盃も、同寺院が所蔵。

こちらは、昭和20年(の終戦)まで行われていた教科「修身」・・・
今で言う「道徳」の教科書。
明治天皇北陸巡行について、詳しく触れている。

他、写真で目を引いたのは「津幡小学校」で植樹する「三笠宮」。
お手植えの松の木は、未だ健在である。

そして、昭和58年の「全国植樹祭」で来町した「昭和天皇」。
思えば、この時、津幡町中心部は変わった。
道路拡張、街灯設置、水路は暗渠に。
整備されキレイになった訳だが、記憶の中に残る雑多な景色が消え、
一抹の寂しさを覚えたものである。

植樹祭の折「昭和天皇」が使った椅子や机。
役場の応接室に緋毛氈を敷き、お迎えしたそうだ。

前回の「明治のあゆみ・・・」と重なる点は多いが、
改めて、津幡町と日本の近代史に思いを馳せるにはいい機会。
改元のタイミングに、訪れてみてはいかがだろうか。

最後に、きのうの投稿に記した「花嫁のれん」が展示してあったので、
ご紹介して結びとする。

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平成最後の春の営み。

2019年04月27日 23時19分19秒 | 自然
「平成最後」の枕詞、賞味期限もあと僅かになった本日、
列島上空には季節外れの寒気が流れ込み、結構、冷える。
連休期間に突入。
拙ブログをご覧の皆さんは、いかがお過ごしでしょうか。
僕はと言えば、午前に仕事、午後は舟券投票。
用事を終えた夕方、散歩に出かけた。

向かったのは「しょうず」。
相変わらず、清らかな水が滾々と湧き出るその周辺では、田仕事が始まっていた。

田起こしを終え、水を張った不揃いの水田には、餌を啄む白鷺。

バシャバシャと音のする方を見やれば、着水した鴨。
狭い農道に点々と続く土の痕跡は、耕運機が通った証。

やがて早苗が風に揺れ、成長した稲の草原を風が渡る。
夏の日差しにもめげず実りを結んだ黄金色の稲穂が頭を垂れるだろう。
昭和の頃から、同じような営みが繰り返されてきたのだ。

昨年と比較すれば、やや遅いスタート。
気候に左右される故、致し方ない。
しかし、様相は変わらない。
古き良き「津幡の原風景」を残している場所に佇む事しばし。
指先の冷たさを意識する頃、踏切の警告音が鳴り、列車が能登から金沢へ向かう。

二両編成の華やかな外観。
名称は「花嫁のれん号」だっけ。

『能登地方~富山県の西部にかけて、行われている婚礼儀式。
 花嫁が婚礼当日、ご挨拶をするため嫁ぎ先の家を訪れた際、
 仏間の入り口に事前に婚礼道具として持参した花嫁のれんを掛け、
 花嫁はそれをくぐり 仏壇のご先祖にお参り。
 嫁ぎ先で一生を過ごしていく覚悟で、花嫁のれんをくぐる』

・・・そんな故事にあやかった観光列車だ。

続いて、七尾線普通列車の赤い電車が田園を往く。
規則正しいレール音を鳴らしながら。
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さようなら、唯一無二のふたり。ー4月23日追記。

2019年04月21日 17時10分57秒 | 追悼。
訃報は、立て続けだった。

モンキー・パンチさん、ペンネーム由来は「西遊記」好きで「パンチ」があるのがいいと…

小池一夫さん訃報から一夜 令和楽しみにしていた…「3時代を生きられるかなあ」

漫画家「モンキー・パンチさん」-本名=「加藤一彦さん」が、
今月11日に亡くなった。
81年の生涯だった。
言わずと知れた「ルパン三世」の生みの親。
北海道出身。 昭和40年(1965年)にプロデビュー。 
「週刊漫画アクション」で連載した代表作は、
何度もテレビアニメ、劇場アニメ、実写映画化された。
世代を超え、海を越えて多くのファンを獲得している。

漫画原作者「小池一夫さん」-本名=「俵屋星舟さん」が、
今月17日に亡くなった。
享年82だった。
秋田県出身。 さいとうプロダクションに原作者として参加。
「ゴルゴ13」などの原作に関わり、昭和45年(1970年)に独立。
代表作は「子連れ狼」「修羅雪姫」「クライング・フリーマン」等々。
後進育成を目的に主宰した「劇画村塾」からは、
高橋留美子、中村真理子、原哲也、山本直樹、板垣恵介、狩撫麻礼・・・
数多の才能を輩出している。

昭和から平成を股にかけ輝く漫画界の星が、
令和に至る直前、2つも燃え尽きてしまった。
「峰不二子(ルパン三世)」と「鹿島小夜(修羅雪姫)」を描いてみました。
拙作を捧げ、手向けとします。
楽しい時間をありがとうございました。
さようなら。

<※4月23日 追記>
拙作イラスト、粗が目立ち気になる。
描き直してみた。
色使いは単純に。
表情は躍動的に。
改めて掲載します。

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