つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

津幡町と治水。

2022年09月25日 20時20分20秒 | 日記
                          
今月・9月は「防災月間」である。
そのスタートとなる9月1日は「防災の日」。
大正12年(1923年)9月1日の「関東大震災」に由来し、
また、立春から数えて210日頃にあたり、台風が来襲しやすいことから制定された。
近年は、季節を問わず数々の自然災害が起こっているのはご存じのとおり。
お互い、普段から心構えを忘れず、何かと備えておきたいものである。

さて、戦後わが津幡町で発生した自然災害で最も多いのは「水害」だ。
かつて、街中を流れる「津幡川」は台風や大雨によって度々氾濫し、
流域一帯に小さくない被害を与えた。
特に昭和39年(1964年)夏の豪雨では771戸が浸水し、
道路・鉄道が寸断され、田畑も広範囲が水に浸かったという。


(※「津幡町史」に掲載された写真)

当時、水害が頻発した要因としては---
①川幅が狭く蛇行していて、支流が多く、大水量を受け止められない。
②河川が行き着く先、河北潟の排水が悪い。
③治水工事が不十分。---などが考えられた。
そこで、復旧工事とともに上記①~③を改める抜本的な大工事が行われ、
5年の歳月と総額36億円余(当時)を費やして完成した。
以降、氾濫被害は発生していない。


(※津幡川に架かる「おやど橋」袂「弘願寺」前の「災害復興記念碑」)



最下流部の「川尻水門」は大規模に機械化され、川底を切り下げて水位低下を実現。
降雨時の水量を調節できるようになった。
こうして町中心部の川の流れも、水門から河北潟へ通じる水路も、
直線的に流れるように改修された。
結果、僕は、舟小屋が並んだ「水郷の景観」や、
曲がりくねった川の姿を肉眼で見ることは叶わないのだが致し方ない。



昭和44年(1969年)の大改修から半世紀以上。
ここ数年来、経年劣化を補う修繕が大なり小なり行われている。
インフラ整備に終わりはない。
水防の備えと併せ、よろしくお願いしたい。



そして、冒頭に書いたように
僕たちも普段から災害への心構えを忘れず、何かと備えておくと共に、
地球環境の問題に対して敏感でいたいと、改めて思った。
一筋縄ではいかない難問が山積み。
戦争をしている場合ではないのだ。
                             
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津幡町、秋に暮らす虫々。

2022年09月24日 20時55分55秒 | 自然
                        
一般社団法人「日本昆虫学会」によれば、わが国に於ける「昆虫の概要」は以下のようになる。

<日本は南北に細長く,亜寒帯から亜熱帯までを含み,
 第三紀以降の複雑な地史や気候変動の影響を受けて昆虫相は非常に面白く豊かです.
 今後研究が進めば,種数は全ヨーロッパに匹敵し,
 北アメリカの60~70%に達すると考えられています.
 現在,およそ32,000種が日本から記録されていますが,
 実際には10万種以上いると推定されていますので,解明率は1/3程度にすぎません.>
(※(一社)日本昆虫学会HPより引用/抜粋)

今日は、数万~十数万種の虫たちのほんの一端。
散歩中に出会った秋の虫スナップを紹介したいと思う。



まずは「紋白蝶(モンシロチョウ)」。
秋桜--- コスモスの花に止まって蜜を吸っているところに遭遇。
人様の敷地内だった為うまく角度が付け難く、飛び立った直後。
完全にピントは合っていないが、躍動感を汲み取って欲しい。

白い翅に黒の紋、昔から身近に感じる種の1つだが、
実は「外来種」らしい。
原産地は地中海沿岸で、幼虫の餌・キャベツと一緒に上陸したんだとか。
空中を漂う姿は儚げだが、実は繁殖力の強いヤツなのである。



続いて「並揚羽(ナミアゲハ)」。
これもお馴染みの種だ。
鱗粉をまとった翅のデザインがとても美しい。

幼虫は、ミカン科の葉を食べる。
僕が生まれた家の裏には、独特の匂いを放つ「サンショウ」の木が生えていて、
毎年、アゲハ蝶の幼虫を観察した。
側面に目に似た模様を持ち、Y字型でオレンジの臭角を伸ばして威嚇する芋虫が、
どうして可憐な蝶に生まれ変わるのかと不思議に思ったものだ。



ご存じ「秋茜(アキアカネ)」、通称「赤とんぼ」。
体色が赤く上になっているのがオス。
体色が白っぽく逆さになったのがメス。
いわゆる交尾態である。
お取込み中のところを撮影させてもらった。

初夏、田んぼや水辺で羽化した成虫は、標高の高い山地に移動し夏を過ごす。
その間に淡い褐色の体が赤く変わる頃、再び人里へ降り産卵を行う。
「鮭」のような帰巣性があるのかどうかは不明だが、
来年の秋、彼らの子が津幡町の空を赤く染めるだろう。



最後は「小蟷螂(コカマキリ)」。
髪の毛のような細い触覚を備えた逆三角形の頭部。
スリムなボディを支える細長い中脚と後脚に比べ、
前方へ突き出した前脚は、太く大きい。
このファイティングポーズのようなシルエットが特徴的だ。

撮影した場所はバイパスの下を潜るトンネル。
周囲がコンクリートだからこの体色になっているのではない。
日本のカマキリは環境に応じて色を変えることはできず、
コカマキリは、元々茶褐色、黄土色、黒褐色などをしている。
まれに緑色のものもいて、個体差が大きいのだ。

スマホカメラを向け、しつこく何度もシャッターを切っていたら、
冷たく光る複眼でギョロりと睨まれた。



『おい、いい加減にせんかい』

し、失礼しました。
あまりにカッコいいので、つい夢中になってしまいました。
                       
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薄闇に 浮かんで消えた 花牡丹。

2022年09月23日 14時14分14秒 | 手すさびにて候。
                             
僕が生まれた昭和40年(1965年)頃、
邦画には「任侠物(にんきょうもの)」と呼ばれる一大ジャンルがあった。
簡単かつ乱暴に言えば「反社会的勢力/アウトローたちの物語群」。
最盛期には、東映だけで年間30本以上が制作された。

それは2つに大別される。
前期が、明治から戦前~終戦直後を舞台にした、ファンタジー任侠。
『仁義なき戦い』の封切り(1973年)を分水嶺に、
後期は、公開当時の世相を反映した、実録ドキュメンタリー風任侠。
今回取り上げたいのは、前期のそれだ。

リアルタイムではなかったが、僕も何本か観たことがある。
--- いや「眺めたことがある」と言った方が正しい。
日本各地を自転車で貧乏旅行した10代最後の年。
旅費節約のため宿替わりにした「リバイバル館」(※)のオールナイト興行で、
夢見心地で任侠映画と向かい合った。
(※古い作品を2~3本立てで上映するミニシアター。入場料は千円程度。
  作品毎の入替がなく途中入館可。昔は地方の大きな町でもよく見かけた)

「高倉 健」「鶴田 浩二」「若山 富三郎」「勝 新太郎」「二谷 英明」。
カッコイイ男たちが演じるドラマは、どれも迫力満点。
しかし、早朝から200kmほどペダルを踏んできた身はクタクタ。
椅子に座って10分もすれば睡魔に引きずり込まれるのが常。
だがしかし、思わず眠気も吹っ飛んでしまう例外もあった。

ほんの手すさび 手慰み。
不定期イラスト連載 第二百十回「緋牡丹お竜」。



世界は「男と女で成り立っている」。
ジェンダー(社会的・文化的な性別)は一旦棚上げして、
セックス(生物学上の雌雄)という意味である。
男社会とされるところにも女性は係わっているし、逆も然り。
どちらが欠けても物事は成り立たない。

だから「任侠物」にも、必ず女性キャラクターが登場する。
但し、多くは脇役。
血飛沫とスポットライトを浴びる男に寄り添い、ストーリーを彩る華だ。
ところが旅の途中、函館の場末の映画館で偶然目にした『緋牡丹博徒シリーズ』、
「藤 純子」演じる「お竜さん」は一味違った。

歯切れのいい啖呵(たんか)。
スピーディーな殺陣(たて)。
片肌脱いで緋牡丹の刺青を露にするシーン。
手本引きや、壺振りの鮮やかな所作。
--- どれもカッコいいのである。

細雪降る中で、蛇の目を差した立ち姿。
袂から袱紗(ふくさ)を取り出す仕草。
惚れた男の顔をチラリと見遣る流し目。
微笑みを湛えた画面いっぱいの大写し。
--- どれも美しいのである。

切った張ったの修羅場を生抜く逞しさ。
時折醸し出すハッとするような色と艶。
対極に位置する魅力が同居したキャラ。
薄闇に浮かぶ銀幕の中で堂々の主役を張る彼女に、僕は見惚れてしまった。

そもそもテレビに押されて斜陽化した映画産業が、
電波では出来ない「暴力表現」を盛り込むことで生まれた任侠物。
『緋牡丹博徒』は、更に新たなカッコいい女の任侠路線を切り拓いた。
その潮流は、80年代『鬼龍院花子の生涯』『極妻シリーズ」など、
女優を前面に押し出した作品へと受け継がれてゆく。

考えてみれば「侠」の字は「きゃん」とも読む。
粋で鯔背で活発---「御侠(おきゃん)な女子」にも当て嵌まる。
案外「任侠」は、セックスに関わらない、ジェンダーレスな言葉なのかもしれない。
                          
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夜に吼える。

2022年09月19日 10時00分00秒 | 日記
                          
(※よろしかったら前回投稿と併せてご覧くださいませ)

令和四年(2022年)9月18日。
旧津幡宿四町、清水・庄・加賀爪・津幡の秋祭りは無事終了。
コロナ禍のため過去2年中止の憂き目にあっていたが、3年ぶりの開催となった。
当日は、4つの町内を早朝から獅子が練り歩いた。
家々の前で、薙刀を手にしたヒトが、霊獣・獅子を退治して厄払い。
演舞は世帯毎に行われるのだから、100回や200回では収まらない。
関係各位は忙しい時間を過ごしたと思う。



やがて、夜の帳が下り、提灯に明かりが灯る頃。
それぞれの根城から「四ツ角」目指し、獅子たちが集まってきた。



いつもは人気のない交差点に現れた黒山の人だかり。
一年のうち、この日、この夜だけの光景だ。
四頭の獅子が見守る中心では、アクロバティックな剣舞が披露。
祭囃子と万雷の拍手が夜空に吸い込まれてゆく。







「獅子」は日本に生息していないライオンが原型。
中国大陸から伝わった当初は「唐獅子」という空想上の生き物だったと推測。
やがて、獅子舞は儀礼や民俗芸能に広く深く取り込まれ、
ハレの場面と密接な関わりを持つようになる。
わが津幡町の場合は、この秋祭りだ。
時折、獅子同士が咆哮を上げてぶつかり合う。
現場は熱を帯びてゆく。





僕自身も、かつて当事者の一人として参加したことがある。
運行は早朝から夜まで、15時間を超える長丁場だ。
その間、声を出し、薙刀を手に舞い、獅子を動かす。
とても素面ではいられない。
喉の渇きを潤し、威勢をつけるために酒を呑む。
それはすぐに汗となって落ち、大地を濡らした。

いやでも疲労は蓄積してゆく。
反面、心の高揚は増してゆく。
次第に自分が自分じゃない何かに変化してゆくような錯覚を味わい、
得体の知れない衝動が身体の奥から突き上げてくる。
若かりし僕は、夜空へ向かって吼えた。
それは、不思議で悪くない体験だった。
                               
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令和二度目の獅子が舞う秋。

2022年09月18日 18時18分18秒 | 日記
                        
わが津幡町の朝は、静けさに包まれるのが常だ。
しかし、今朝(2022/09/18)ばかりは別。
遠くから聞こえる祭囃子の笛太鼓が、普段にない華やかさを添えていた。
令和になって二度目、3年ぶりに旧・津幡宿四町で「秋季大祭」が開催。



僕が暮らす庄区の鎮守「住吉神社」。
鳥居前の大幟は、推定・縦6m、横50cm。
去年新調しただけに、赤が鮮やかに映えている。
この社を起点に、通称「大獅子」が出発。
お囃子を奏でる鳴物リヤカーを従え、町内を練り歩くのだ。



表面に黒熊の皮を張った獅子頭。
麻布製の蚊帳は、左右に牡丹と巻毛模様。
内側にホネ(胴竹)を張り、尾は3.5mの竹に2.5mの赤麻を垂らす。
なかなかのビッグサイズである。



各家々の前には、得物の薙刀を手に待機する「棒振り」。
地域の小学生たちが中心となって役を受け持つ。
待つことしばし。
次第に囃子の音が近づいてきて---大獅子が到着。





獅子頭持ちは神、棒振りは人、囃子は自然。
石川県・加賀の獅子舞は、棒振り役が巨大な獅子に立ち向かう。
獅子を仕留めて演技を終える「加賀の殺し獅子」。
霊獣である獅子を殺す様子を悪霊に見せつけ退散させ、
獅子舞演者が地面を踏み込み大地を清め、豊作を願うなどの意味があるとか。





四町それぞれの辻を回った獅子は、この投稿から間もなく、
今宵、中心にある「四ツ角交差点」に集結。
「獅子舞頭合わせ」が行われる。
囃子方の競演⇒獅子舞、棒振りの競演⇒四町獅子頭のぶつかり合いと続く。
昨今の時勢を反映して、コロナ前よりは大人しいものになるだろうか?

では、今朝の散歩で撮影した、町内のスナップをもう少し紹介したい。









幸い台風の雨風は免れることができそうだ。
九州~関東では、大変な荒天になっていると聞く。
やがてこちらも影響を受けるだろう。
拙ブログをご覧の皆さま、どうかご無事で。
大事のないことを祈っております。
                               
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