つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

津幡短信vol.71~昭和の日。

2020年04月29日 14時25分00秒 | 津幡短信。
津幡町に関するよしなしごとを簡潔にお届けする不定期通信。
今回はこの3本。

【風に泳ぐ。】


「つばた幼稚園」の敷地内、風に棚引く鯉のぼり。
江戸に起こり、明治~大正~昭和~平成と受け継がれてきた風習。
将来の健康と立身出世を願う気持ちは変わらない。
しかし、子供たちを取り巻く環境は、変化しているようだ。
この園は町立で、僕も卒園生。(前身の「住之江幼稚園」時代)
当時は同い年で3~4クラスあったと記憶しているが、
町HPによれば、現在は3、4、5歳児それぞれ1クラスのみ。
人口は増えたが、少子化なのである。

【咲き残り。】

コロナ禍がなければ、今頃は「桜前線、北海道上陸」などと、
大型連休のお出かけ情報に花が咲いていただろう。
しかし、現実はご存知の通り。
外出・移動は自粛の昨今である。

すっかり葉桜になった北陸の染井吉野だが、
散歩の折、名残を惜しむ花が咲いていた。

【田仕事と石地蔵。】


ご近所、庄町「地蔵堂」の傍には、小振りで素朴な面立ちの石地蔵がある。
背後の石板には以下の文字が刻まれている。
「昭和六年 たま 宗二郎 虎二 常正 ハル コト」
献花が絶えないのは、ご子孫の心遣いだろうか?

また、石地蔵のバックに映るビニールハウスの中では、
早苗がスタンバイ。

あちこちで田起こしが始まった。
着々と準備が進んでいる。

ゴールデンウィーク後半には、可愛らしい稲の子供たちが水田に並ぶ。
そろそろ米作りも本格化。
季節は、夏へと向かっている。

<津幡短信vol.71>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

賭けたり、競ったり、寄付したり。<追記アリ 4/27>

2020年04月26日 10時44分40秒 | 賭けたり競ったり
本日、三重県の「津競艇場」に於いて、
「第21回 マスターズチャンピオン」の優勝戦が行われる。
これは、当年4月1日現在で「満45歳以上」の成績優秀選手達が覇を競う、
ベテランレーサーのナンバーワンを決める競走だ。
5日間の熱戦を勝ち抜き、
最後の6ピットへ舳先を進めたのは、このメンバー。

一号艇:村田修次(東京)
二号艇:前本泰和(広島)
三号艇:金子龍介(兵庫)
四号艇:西島義則(広島)
五号艇:上平真二(広島)
六号艇:松井 繁(大阪)

いずれ勝るとも劣らぬ強豪揃い。
進入(スタートするまでの駆引き)から、目が離せない。

@きのうの準優勝戦10Rでは、
 進入から襲い掛かった「西島」がレースを作り、足のいい「金子」が競り勝ち1着。
@続く2つ目の準優11Rでは、
 節イチモーターを駆る“最若手”「村田」が、他艇を退けて1着。
@最後の準優12Rは「前本」が1着。
 大きな足かせを抱えながら粘り強く戦う東都の看板レーサーと、
 大整備を積み重ねた西の王者の2着争いも見応えがあった。

優勝戦は、目を皿のようにして展示航走(本番前のお披露目)を見て、
自分なりの展開予想を決めつけて投票する。
それはいつもの作業なのだが、すんなりと枠番通りに収まる事はない今回は、
いつにも増して難解この上ない。
超難問に挑まねばならないだろう。

さて、我が艇界は「新型コロナウイルス対策」に寄附を行う。
金額は「6億円」。
その原資は、俺たち(競艇ファン)の銭、一人一人の投票だ。
ご意見様々あるだろうが、金(Money)に色が付いている訳ではない。
金は金だ。
遠慮はいらねえ、持って行ってくれ!
(※画像、いずれもスポーツニッポン紙面より引用)

<追記:4月27日>
勝ったのは「村田修次」だった。

やはり駆引きは火花を散らす激しさ。
「西島」のイン強奪を阻止した「前本」と「村田」。
「松井」の前付けに突っ張る「上平」。
ならばと回り直して大外を選択した「松井」の隣には、
チルト0調整で一発を狙う「金子」。
それぞれの作戦が錯綜した進入隊形は、1245/36。

全員がコンマ0台の踏み込みでスタート!
外から絞め込むやや窮屈な状態で、ターンマークのギリギリを回り、
捲らせず、差させず、曲者・猛者たちを完封した「村田」に軍配。
お見事!
東京支部に初めての名人位をもたらした。
おめでとう!

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

幻想の越南。~ 回転する熱帯。

2020年04月25日 04時37分51秒 | 手すさびにて候。
手元に一冊の本がある。
「回転する熱帯」 --- 「望月飛鳥(もちづき・あすか)」著。

出版元は、今は無き、日米大手が組んだ「ランダムハウス講談社」。
2007年に刊行されたこの本のこと、この作家のことを、
いったいどれくらいの方がご存知だろうか?
ファンには申し訳ないが、有体に言って「有名ではない」と思う。
また、正直「名作とは呼べない」とも思う。
--- だが僕は、この本が好きだ。

ほんの手すさび手慰み。
不定期イラスト連載、第百三十七弾は「ユンとヒロ」。

舞台は、経済成長に沸くベトナムのホーチミン・シティ。
日本語研修センターの教師、日本人の「ヒロ」。
そこで日本語を学ぶ生徒、ベトナム人「ユン」。
物語の中心人物になる2人の女性は、恋人同士だ。
「回転する熱帯」は、“百合小説”に分類できる。

官能シーンはある。
互いが初めて同性を愛する戸惑いと初々しさと熱情が伝わってきた。
しかし、割かれたページは少ない。
そうした営みよりも、読者は「ヒロ」の一人称視点の語りによって知る。
2人の理性や常識が、熱帯の夜に融け出し、甘い果実のように熟してゆく様子を。

私たちは言葉で繋がっていない。
日本語も英語もベトナム語も介在しない世界が二人の間にある。
それは明確で、疑いようもなくて、それでいて、うそみたいなのだ。

私はユンといると救われる。だからユンとばかりいる。
二人の時間がどろどろに濃縮されて、流れが止まってしまいそうで時々怖くなる。

私は、ユンのおしゃべりな目や、芳ばしい匂いや、滑らかそうな湿っぽい感じの肌や、
首筋に浮いていた汗の粒などを、よく寝しなに思い出していた。

(※赤文字、原典より抜粋引用/原文ママ)

2人の恋愛模様を包み込む、ベトナムの描写もいい。
日本人にとっては、異国情緒に溢れている。
僕は、自分が彼の地で見聞きした景観を思い出した。

あれは「回転する熱帯」が世に出たのと同じ頃。
とある企画でベトナム旅行の引率をした。

小雪舞う北陸を飛び立ち、韓国・仁川経由で数時間。
降り立った真夜中のタンソンニヤット国際空港の気温は、32℃。
あまりの違いに驚いたが、それは、まだ序の口。
ホテルで仮眠を取り、街中へ繰り出すと、
灼熱の太陽の下では、熱気と騒音、活気がない交ぜになっていた。

バイクの大群が、まるで生き物のように流れる道路。
市場の傍、沢山の屋台に、沢山の料理が並んでいた。
湯気を立てる「フォー」(米粉の麺料理)。
仏領時代の名残が生んだ、バゲッドのサンドイッチ。
串焼肉、串焼きエビ、臓物と野菜の煮物。
それらをよく冷えた「333(バーバーバー)」と一緒に流し込んだ。

カスタードアップル、マンゴー、ドリアンなどが発する甘い香り。
香辛料やニョクマム、揚げ油から立ち上る匂い。
搾りたてのサトウキビにライム汁を混ぜた飲み物の、青臭さも忘れられない。

大きな夕陽が沈み、喧騒は妖しさを増す。
闇の中、よく分からない言葉で笑い合う人々。
紙幣をやり取りしながら、賭けカードに興じる男たち。
原付バイクに跨り、誘い水を向けてくるアオザイ姿のホンダガール。
原色のネオンを反射して流れるサイゴン川。
相変わらず走り回っているバイク。
皆、当てがあってアクセルを握っている訳ではない。
熱帯夜に涼を取る為、風を切っているのだ。

日を跨ぐまで、ぐるぐるぐるぐる。
今宵も明日も、ぐるぐるぐるぐる。
僕が見たホーチミンは、確かに回転していた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コロナ・ショック下の津幡町。

2020年04月23日 20時11分54秒 | 日記
津幡町HPに以下のメッセージが掲載されている。
タイトルは「町民の皆さまへ」。

石川県では、4月に入り、県内の感染者が急速に拡大したことから、事態を重く受け止め、
4月13日に県全域に対して独自に「緊急事態宣言」を発出しました。
津幡町においても感染者が確認されており、
町民の皆さまには不安な日々をお過ごしのことと思いますが、
この「緊急事態宣言」を受けて、
あらためて人との接触を出来る限り避けるため、
不要不急の外出を自粛いただきますようお願いいたします。

国によれば、私たちひとりひとりが努力を重ね、
人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減できれば、2週間後には感染者の増加を抑え、
減少に転じさせることができるといわれております。

町としましては、4月8日に津幡町新型コロナウィルス感染症対策本部を設置し、
感染症に関する相談窓口を開設しております。
4月13日から5月6日まで町内小中学校の休業、
また、一部の公共施設等においては、
4月10日から休館や使用禁止の措置を講じております。
さらに、4月13日からは、ほとんどの公共施設等において、
いずれも5月6日まで休館や使用禁止にすることといたしました。
加えて、町内のこども園においても、ご家庭での保育が可能な保護者の皆さまには、
家庭保育にご協力をいただいているところです。
町民の多くの皆さまの安全確保を図るための措置であり、
ご不便、ご迷惑をおかけいたしますが、
ご理解とご協力をお願い申し上げます。

新型コロナウィルスの感染拡大による未知のウィルスへの恐怖から、
感染者の方やその家族に対する中傷もあると聞いております。
差別や偏見につながる行動は厳に慎むなど、人への思いやりの気持ちを持ち、
引き続き、冷静な行動をお願いいたします。

<中略>

本町といたしましては、町民の皆さまの命と健康を守り、
安全で安心な社会を築いていくために、
国や県と連携を図りながら危機感を持って、感染拡大の防止に努めてまいります。
私たちひとりひとりの努力が、大切な家族や身近な人を守り、
地域を感染から防ぐことにつながります。
一日も早く事態が終息し、日常の生活が送れるよう、
引き続き、感染対策に取り組んでまいりますので、
町民の皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げます。

                          令和2年4月15日
                           津幡町長 矢田 富郎
          (※津幡町HPより抜粋引用、原文ママ、改行箇所は改訂)

現在、町内の店舗・施設は、一時休業・営業時間短縮が相次いでいる。

町の銭湯「勝崎館」は、5月末まで13:00~21:00の営業。
定休設定だった水曜日も、公衆衛生の責任から営業を続けるとの事。

「洋食masa」店主メッセージには次の文字。
「この世界的危機的状況の中で、極々微力ではありますが力添え出来れば」

寿司「長さん」は店舗営業を自粛しつつも、
出前は電話受付で継続。

「スガイ書店」は、マスク(完成品)の予約販売と合わせ、
手づくりマスクも販売。

ケーキ店・フレンチレストラン「マロニエ」では、
洋食メニューを中心としたお弁当の販売を開始。

ベルギーワッフル「もみの木カフェ」では、
店内の飲食を止め、テイクアウトに切り替え。
また、ベルギー生まれのスナック「フレンチポテト」をデリバリーバンで販売。

皆、頑張っている。
これらは「現在の記録」として取り上げたもの。
立ち止まる選択も、そうではない選択も、ご苦労があると察する。

2020年4月22日現在、石川県の感染者は199。
これを書いている時点で、もう大台は超えたとも聞いている。
うち我が津幡町は6。
二桁は目の前。
景気が急速に悪化していることは明白だ。
まだ、煉獄の出口は見えない。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

上等なる怪奇譚。~ もののけ草紙。

2020年04月20日 21時18分07秒 | 手すさびにて候。
「楳図かずお」、「古賀新一」、「水木しげる」。
「千之ナイフ」、「つのだじろう」・・・(敬称略)。
日本に於けるホラー漫画の描き手は、層が厚い。
それぞれの魅力はあるが、
僕が最も好きな作家は「高橋葉介(たかはし・ようすけ)」氏。
そして、氏の作品中、取り分け好きな一つが「もののけ草紙」である。

ほんの手すさび手慰み。
不定期イラスト連載、第百三十六弾は「もののけ草紙」の主人公「手の目(てのめ)」。

「手の目」は、年端も行かない女芸人。
容姿整い、チョイと蓮っ葉な美少女。
名前の由来は、掌に彫った大きな目の刺青。
そいつをかざして操る芸・・・予知、千里眼、降霊などを酒席で披露し、
糧を得ながらの旅暮らしをしている。

舞台設定は、戦前~戦中~戦後の日本と上海租界。
混沌とした時代のためか?
並外れた異能のためか?
行く先々で彼女の袖を引くのはお客だけではない。
幽霊、妖怪、物の怪の類や、それらに憑りつかれた人達との関りが生まれ、
摩訶不思議な物語が展開してゆくのである。

基本一話読み切り。
怪異のバリエーションが豊富で、
野望と欲望、悪意が渦巻き漂う世の空気や、世界戦争の爪痕、
未練、愛惜、色と欲など、多様な要素を盛り込みつつ簡潔にまとめている。
「高橋葉介」氏は“怪奇短編の名手”と言って差し障りないだろう。

そして、絶品の筆使いも堪能できる。
ペンではなく「毛筆」を用いた主線は、繊細で美しい。
絵柄が個性派揃いのホラー漫画家の中でも、存在感が際立っている。
好き嫌いはあるかもしれないが、その画は一見の価値アリ。
前掲の拙作とは、比べ物にならないのである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする