つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

津幡町は恋の季節。

2012年04月30日 12時17分28秒 | 自然
今、津幡町は「恋の季節」を迎えている。
早朝に雑木林や竹林の傍を歩けば、野鳥の囀り。
夜に水田の横を通ると、蛙の大合唱。
いずれも雄が自分と縄張りを主張し、雌の気を惹くための努力だ。
「冒頭の一枚」…葦が群生する津幡川の川べりでも
「鮒」が繁殖の真っ最中である。

散歩中、バシャバシャと水音がした。
近づいてみると、沢山のギンブナが身を横に倒しくねらせている。
葦は茶色く、水も濁っているため判別しにくいかもしれないが、
これがその様子だ。
 
写真中央のやや下、水面から魚体が浮かんでいるのが分かるだろうか?
かなり激しく動いているため、周辺が波立っている。
次の写真は、数匹がまとまってもつれるように絡み合っている。
よく見ると「鯉」らしき魚影も混ざっているようだ。
 
普段は淀んだ水の中で静かに過ごす事から
“定住する魚”の意で、魚偏に“(居)付く”と書く「鮒」。
こうした行動は、繁殖期以外では目に出来ない。

北陸の川に生息するギンブナは、殆どが雌。
「処女生殖」と呼ばれる方法で子孫を残している。
ギンブナの雌は、繁殖期になるとフェロモンを放出し、
鯉やヘラブナ、ドジョウのオスをおびき寄せ、放精させる。
しかし卵は精子が進入ようとすると、これを拒否。
精子からの刺激…擬似受精により、卵子が細胞分裂をスタート。
つまり、生まれる小鮒は精子側の遺伝子を持たないクローンという訳だ。

両生類やは虫類、魚類などの中で、雌雄の性の固定がゆるやかな種では、
間々ある生殖方法なのだという。
人間を含めた哺乳類では考えにくい営み。
…身近な自然界には不思議がいっぱいなのである。
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津幡町⇔小矢部市~加賀と越中の国境にて花の宴。

2012年04月29日 04時49分30秒 | 日記
「冒頭の一枚」は、石川県・津幡町と富山県・小矢部市にまたがる
倶利伽羅峠の山頂に建つ「倶利伽羅不動尊」の本堂。
神奈川県の大山不動尊、千葉県の成田不動尊と並び、
日本三不動尊の一つとして知られ、1300年の歴史を持つここは、
津幡町の大きな観光資源でもある。
また、境内から周辺の公園には3000本余りの八重桜が根を張り、
毎年ちょうど今頃「八重桜まつり」が催されてきた。
2012年は、きのう4月28日からスタート。
僕も、愛犬「りくすけ」同伴で散歩がてらに足を運んでみた。

花の様子…春の訪れが遅かったためか、
標高の高い不動尊付近は4~5分咲きといったところだが、
気温が上がればすぐに満開となるだろう。
 
美しい花を求めて多くの方が詰め掛けていた。
一方通行に規制された周辺道路は、片側が駐車スペースに充てられ、
なかなかの混雑ぶりである。
 
来訪者のお目当ては、花や参拝ばかりではない。
“食”も楽しみの一つ。
不動尊では「倶利伽羅そば」が有名だが、
お祭り期間中は様々な特産品が購入できる。
出店には、お菓子、おでん、お豆腐、油揚げなどが並んでいたのだが、
仏前のためか獣肉の類は見当たらない。
一番多かったのは和菓子である。 
例えば…八重桜の花の色にも似た「念仏赤餅」。
 
『かつて倶利伽羅峠を通る旅人に悪さをする猿がいて、
 撃退できず困り果てた和尚さんは、夢のお告げに従い、
 念仏を唱えながら餅をつき、赤く染めて猿に与えたところ
 ピッタリと悪事が治まった。』
そんな言い伝えに起因する厄除け縁起物だ。
販売にあたるのは、津幡町商工会と小矢部市商工会。
県境を越えて協力し合い、出店を構えている。
 
最近は大河ドラマ誘致活動をはじめ、何かと交流が盛んな津幡と小矢部。
ぼんぼりも、両者の共演が見られた。
 

さて、倶利伽羅峠の見事な八重桜には、ある人物が関係している。
それは“昭和の花咲かじいさん”こと「高木勝巳さん」。
昭和30年代、高木さんはトラックに乗って峠越えをしている最中、
転落事故に遭遇したのだがケガ一つせず、
お不動さんのお守りが真っ二つに割れていたそうな。
それから3日3晩、枕元に不動明王が現れ
「山を賑やかにして欲しい」というお告げを聞いたことから、
恩返しにと桜の植樹をスタート。
ご本人は、既に鬼籍へ入られているが
その意思を受け継いだ地元の有志が今も苗木を植えているのだとか。
…花の宴には、人間ドラマが隠されていたのだ。
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春爛漫の津幡町は、健康診断シーズン。

2012年04月28日 17時48分38秒 | りくすけ
冒頭の一枚は、津幡町・北中条の「あらいえ動物病院」。
愛犬「りくすけ」の掛かりつけである。
門が開いて間もない、午前10時過ぎに訪問したところ、
既に5~6台が駐車していた。
盛況の理由は、今、狂犬病やフィラリアの予防を奨励する時期であり、
これに歩調を合わせて、年に一度の健康診断も行われているから。
「りくすけ」も御多聞にもれず、検査とワクチン接種なのだ。

受付を済ませ、声がかかるまでしばし待機。
これから我が身に降りかかる出来事(注射や体温測定など)を
知ってか知らずか、どの犬猫も神妙な面持ちで物静か。
院内は天井が高く清潔な雰囲気である。

 

辺りを見回していると、ちょっと気になる張り紙を発見。



「河北郡市わんわんパトロール隊」だ。

入隊条件は…
津幡警察署管内(河北郡市内)在住で、犬と散歩をする機会があること。
犬の登録済みであること。
狂犬病予防注射接種済みであること…など。
活動内容は…
散歩の際、わんわんパトロールバンダナ(登録時に貸与)を着用。
散歩の際、糞の処理や犬の苦手な方々へ十分に配慮する。
不審者、不審車両を見かけたら、110番通報…など。
調べてみると、全国各地に同じ名前で似たような試みがあるようだ。
犬を飼う家庭が増加していることから生まれた、
地域防犯の新しい取り組みなのだ。

さて、いよいよ「りくすけ」にお呼びがかかり診察室へ。
体重測定。 首の静脈から採血。 肛門にて体温測定。
臀部に混合ワクチンの注射。
手際よく進められる診察の間、ずっとしょんぼり。
されるがままだ。

 

とりあえずフィラリアは陰性。
血液検査の結果が出るのはまだ先だが、何事も無きよう祈る。
「りくすけ」…お疲れ。
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津幡町の朝、川風にそよぐ菜の花々。

2012年04月24日 07時27分26秒 | 草花
「今日の一枚」は、先ほどの散歩で訪れた津幡川。
ご覧のとおり、川岸に美しい菜の花が揺れていた。
菜の花のイエローは、日本の伝統色によると「菜の花色」。
緑がかったの黄色を指しているそうだ。
光量が少ない早朝にも拘わらず、色目はなかなか鮮やか。
日中には、もっと華やかに映るだろう。

菜の花…別名「油菜」。
その種からは油が採れる。
食用だけでなく、江戸時代までは灯りの燃料として用いられていた。
今で言うなら“バイオ燃料の元祖”となるかもしれない。
そして、最近は菜種油が、再び注目を集めている。
日本全国で130あまりの団体が進める「菜の花プロジェクト」では、
菜の花から菜種油を搾って、まず食用に利用。
その廃油を回収して公共車両などの代替燃料にリサイクルして、
地域で活用していくという取組のようだ。

『菜の花畑に 入日薄れ
 見わたす山の端 霞ふかし
 春風そよ吹く 空を見れば
 夕月かかりて 匂い淡し』

…と童謡「おぼろ月夜」に唄われるような景観が現出する事を望む。

結びにもう一枚、同じ住ノ江橋から振り返って撮影した写真を掲載したい。

 

朝日影に包まれた津幡川。
これもまた美しい。
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津幡の街角で甦る銀幕の思い出。

2012年04月23日 06時35分58秒 | 日記
ある休日の朝、僕はいつものように散歩を楽しんでいた。
空はほんの少し霞がかかった春らしい青。
見上げると、刷いたような薄い高層雲。
降り注ぐ暖かな光は、やがて地に伏し、僕の影が浮かび上がる。
その横には、小刻みに動くもう一つの小さなシルエット。
愛犬の「りくすけ」だ。
まだ、街は目覚めたばかりである。

…とそこに突如、静寂を突き破る男たちの声。
同時に、固い靴でアスファルトを蹴る音もする。
一定のリズムで規則正しく掛け合いをしながら、集団で走っているらしい。
発生源に近づいてみたところ…「今日の一枚」。
訓練に打ち込む津幡町消防署員の皆さんだ。
緊急時に備え、余念がない。
頭が下がる思いで眺めているうち、僕は一本の映画を思い出した。

それは「愛と青春の旅立ち」。
海軍士官学校の新入生と、町工場の娘とのロマンスを軸にした青春映画。
卒業式で帽子を投げるシーン。
卒業と同時に少尉となった候補生と、彼等をシゴいた鬼軍曹の別れのシーン。
ラストのお姫様抱っこ…など、幾つかのいい場面があるが、
僕は候補生と教官が独特のコール&レスポンスしながら、
海岸を走るシーンをよく覚えている。
音符に続く(    )なし部分が教官、(    )あり部分が候補生だ。

♪とーちゃん、かーちゃん、寝ていたら~(とーちゃん、かーちゃん、寝ていたら~)
 かーちゃん今夜も、おねだりだ~(かーちゃん今夜も、おねだりだ~)
♪おいらは南部の種馬さ~(おいらは南部の種馬さ~)
  白でも黒でもドンとこい(白でも黒でもドンとこい)
  毎晩せっせとエクスタシー~(毎晩せっせとエクスタシー~)

…文言はうろ覚え。こんな感じだった気がする。 
勿論、津幡町消防署員の掛け声はいたってクリーンだが、
掛け合いしながら走る様子が、僕の眠っていた記憶を刺激した。

ところで、映画の日本での公開は1982年(昭和57年)。
500円硬貨が発行され、日本の工場で世界初のCDが誕生。
ベストセラーは「黒柳徹子」の「窓際のトットちゃん」。
「マイケル・ジャクソン」の「スリラー」がリリースされた年である。
振り返ってみると、当時の洋画の邦題は「愛○○○」や「恋○○○」が多い。

「An Officer and a Gentleman」⇒「愛と青春の旅立ち」
「Gorillas in the Mist」⇒「愛は霧のかなたに」
「LES UNS ET LES AUTRES」(あの人も、この人も)⇒「愛と哀しみのボレロ」
「Out of Africa」⇒「愛と哀しみの果て」
「When Harry Met Sally」⇒「恋人たちの予感」
「Some kind of Wonderful」⇒「恋しくて」
「Forces of Natures」⇒「恋は嵐のように」
…原形を留めていないものもある。
大きな食い違いについては賛否両論あるだろう。
しかし、時代を映す鏡として味わい深い。

久しぶりに主題歌でも聞いてみるか。
「ジョー・コッカー&ジェニファー・ウォーンズ」の歌う曲の邦題は、
映画と同じ「愛と青春の旅立ち」。
オリジナルタイトルは「Up Where We Belong」である。
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