ほんの手すさび手慰み。
不定期イラスト連載、第百五十三弾は「マタ・ハリ」。
「マタ・ハリ」は、マレー語で「太陽」や「暁(あかつき)の瞳」などを意味する。
彼女のステージネームだ。
本名は「マルガレータ・ツェレ」。
オランダ生まれのオランダ人である。
生家は裕福で、一人娘の「マルガレータ」はお姫様。
愛情を一身に受け、何不自由無く過ごしていたが、父が株投資に失敗し事態は一変。
損失を借金で補填→負債は雪だるま式に増え→破産&一家離散。
子供たちは、親戚の元へ引き取られた。
19歳になった「マルガレータ」は、「お相手募集」の新聞広告に応募し、
年上のオランダ軍将校と結婚。
ボルネオ、スマトラ、ジャワ、夫の駐留先である東南アジア各地を転居し、
2児を儲けるも7年後に離婚。
オランダに帰国後、職を求めパリへ渡る。
ある日、パーティーの余興で、見様見真似のジャワ舞踊を披露すると拍手喝采。
ダンサーとして舞台に上がらないかと、声がかかった。
徐々に人気を集め、公演がスケールアップしてゆく途上、
“ジャワ島から来た巫女”という演出を施(ほどこ)し、
エキゾチックな源氏名「マタ・ハリ」を名乗るようになる。
また、ステージに加えベッドの上でも活躍。
彼女は、高級士官や政治家らを上客に持つ、高級娼婦でもあった。
第一次世界大戦勃発後は、仕事減、収入減。
困窮の影におびえる「マタ・ハリ」に、ドイツの諜報機関から誘い水が。
“ピロートークでフランス側の情報を集めて欲しい”というのだ。
高額報酬に惹かれ、もう一つの異名 --- コードネーム「H21」を受け容れ、
「マタ・ハリ」は、深い闇へと踏み出した。
幾人もの男たちと逢瀬を重ね、二重、三重スパイになったともいわれるが、
果たしてどれほどの諜報成果を上げたのかは定かでない。
早くから彼女の行動は、フランス当局に筒抜け。
戦況不利の罪を「美貌の大物女スパイ」に着せるべく身柄を拘束し、
非公開の軍事裁判で死刑判決を下す。
反独ムードが高まる中で迎えた1917年の秋。
執行当日、目隠しを拒んで刑場に立ち、ほほ笑みを浮かべ鉛の弾を浴びたという。
死後、よくできたお芝居のような生涯はエンターテイメントの題材になった。
舞台、映画、小説、漫画、ゲームなどに彼女自身、
あるいは彼女がモデルと思われるキャラクターが登場するのは少なくない。
今や、その生き様には、盛大な尾ひれがついているだろう。
魔性の女、男たらし、妖婦(ようふ)、毒婦とまで形容される女の真実は、
歴史の奈落に埋もれている。
不定期イラスト連載、第百五十三弾は「マタ・ハリ」。
「マタ・ハリ」は、マレー語で「太陽」や「暁(あかつき)の瞳」などを意味する。
彼女のステージネームだ。
本名は「マルガレータ・ツェレ」。
オランダ生まれのオランダ人である。
生家は裕福で、一人娘の「マルガレータ」はお姫様。
愛情を一身に受け、何不自由無く過ごしていたが、父が株投資に失敗し事態は一変。
損失を借金で補填→負債は雪だるま式に増え→破産&一家離散。
子供たちは、親戚の元へ引き取られた。
19歳になった「マルガレータ」は、「お相手募集」の新聞広告に応募し、
年上のオランダ軍将校と結婚。
ボルネオ、スマトラ、ジャワ、夫の駐留先である東南アジア各地を転居し、
2児を儲けるも7年後に離婚。
オランダに帰国後、職を求めパリへ渡る。
ある日、パーティーの余興で、見様見真似のジャワ舞踊を披露すると拍手喝采。
ダンサーとして舞台に上がらないかと、声がかかった。
徐々に人気を集め、公演がスケールアップしてゆく途上、
“ジャワ島から来た巫女”という演出を施(ほどこ)し、
エキゾチックな源氏名「マタ・ハリ」を名乗るようになる。
また、ステージに加えベッドの上でも活躍。
彼女は、高級士官や政治家らを上客に持つ、高級娼婦でもあった。
第一次世界大戦勃発後は、仕事減、収入減。
困窮の影におびえる「マタ・ハリ」に、ドイツの諜報機関から誘い水が。
“ピロートークでフランス側の情報を集めて欲しい”というのだ。
高額報酬に惹かれ、もう一つの異名 --- コードネーム「H21」を受け容れ、
「マタ・ハリ」は、深い闇へと踏み出した。
幾人もの男たちと逢瀬を重ね、二重、三重スパイになったともいわれるが、
果たしてどれほどの諜報成果を上げたのかは定かでない。
早くから彼女の行動は、フランス当局に筒抜け。
戦況不利の罪を「美貌の大物女スパイ」に着せるべく身柄を拘束し、
非公開の軍事裁判で死刑判決を下す。
反独ムードが高まる中で迎えた1917年の秋。
執行当日、目隠しを拒んで刑場に立ち、ほほ笑みを浮かべ鉛の弾を浴びたという。
死後、よくできたお芝居のような生涯はエンターテイメントの題材になった。
舞台、映画、小説、漫画、ゲームなどに彼女自身、
あるいは彼女がモデルと思われるキャラクターが登場するのは少なくない。
今や、その生き様には、盛大な尾ひれがついているだろう。
魔性の女、男たらし、妖婦(ようふ)、毒婦とまで形容される女の真実は、
歴史の奈落に埋もれている。