つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

津幡の片隅で聴き惚れた、15の夏。

2010年08月25日 22時43分45秒 | 日記
「今日の一枚」は散歩風景ではない。
ある事がキッカケで何十年振りかに手にしたレコードジャケット。

1980年に東芝EMIから発売された「The Beatles Ballads」。
名前の通り「ザ・ビートルズ」のバラード曲を集めたベストアルバムである。
一時期、このアルバムをよく聴いた。収録された歌の殆どを空で歌えるくらいに。
ところが、何故このアルバムを選んだのかは殆ど記憶にない。
多分バラードに固執はしていなかったはずだ。
おそらく「20曲入り」のお得感に惹かれたのと「ジャケ買い」だったはずだ。

気だるい視線を投げかける4人の表情。
その周囲に配置された木々や動物。
まるで中世の宗教画(イコン)のような静謐。
「アンリ・ルソー」の画風にも似た、妖しく夢想的な筆のタッチ。
調べてみたところ、この絵を描いたのは「ジョン・パトリック・バーン」という
スコットランド出身のアーティストらしい。
とにかく印象に残るジャケットのデザインである。
当時の僕は、レコード棚から取り上げた瞬間、ハッとしたに違いない。

アルバムの歌はどれも好きなのだが、
「Black Bird」は、思い出深く美しい小品だ。
ボーカルは「ポール・マッカートニー」。
伴奏は「ポール」が弾くアコギのみ。
足元にマイクを置いて拾った、歌いながら床を叩く音と、
鳥の囀りをミックスした、シンプルで奥の深いバラードナンバーである。

タイトルになっている鳥は、一般的にツグミと訳されるが、
僕は「黒歌鳥(くろうたどり)」ではないかと睨んでいる。
クチバシと目の周りが黄色いのを除き、全身の羽毛は黒。
特にヨーロッパではポピュラーな存在で、
透き通ったいい音色で唄うことでも知られている。
また「Blackbird」とは、黒人女性の比喩表現とも言われ、
人種差別に対して、静かに抗議を唱えた作品でもあるようだ。

『夜の闇に囀る黒歌鳥。
 ずっと、傷ついた翼を広げて飛ぶ方法を探し求め、大空に舞う瞬間を待ってきた。
 夜の闇に囀る黒歌鳥。
 ずっと、落ち窪んだ瞳で世の中を見つめ、自由になる瞬間を待ちわびてきた。
 Blackbird Fly.
 Into The Light Of The Black Night.
 さぁ、行くんだ。 闇夜に灯る光を目指して。
 君は、飛び立つ瞬間だけを待ち焦がれてきたのだから。』
コメント
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