つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

昭和の自転車ブーム。~津幡中央銀座商店街の面影③

2010年08月19日 09時20分15秒 | 日記
昨今は、エコや不景気の観点から「自転車ブーム」だという。
確かに、街中でペダルを漕ぐ人の数は増えたように思える。
かくいう僕自身は、随分と長い間、サドルにまたがっていない。
それこそ軽く10年以上のブランクがあるだろう。
振り返ってみると、もっとも頻繁に自転車を利用したのは、小学生時代。
「今日の一枚」…津幡中央銀座商店街の「橋本サイクル商会」は、
当時の僕にとって“ロードピット”のような存在だった。

僕の自転車のフレームは、精悍な黒一色。
タイヤが回るたび、光を反射して輝く銀色のシャーシ。
前傾姿勢のドロップハンドル。 ギアは5段変速。
荷台の代わりに大きなウインカーを設置。
籠は折りたたみ式で、普段は右の後ろタイヤに添えて薄く収納。
左ハンドルには小さなスピードメーター。
右ハンドルには、大きな電気音が鳴る派手なサイレン。

エコや省エネの観念が希薄で、とにかくグレードアップを目指す世の中だから
平成の今からすれば、昭和の自転車はゴテゴテした印象だろう。

「橋本サイクル商会」の店内には、新型の自転車が並び、
ショーケースには、本革製のハンドルグリップ、レース用グローブ、7段ギアなど、
少年の心をくすぐるパーツが陳列されていた。

店主のオヤジさんは口数の少ない職人気質といった風情。
いつも店先で工具片手に自転車を触っていたように思う。
そして、パンク修理などは手さばきが鮮やかだった。

タイヤの内側からゴムチューブを引っ張り出し、
水を張った洗面器に漬けて、空気が漏れるポイントを探す。
パンク箇所が見つかると、その周囲に黄色いボンドを塗ってゴムで補強。
再びゴムチューブをタイヤの中に納めて、
手押しポンプで空気を送り込んで作業終了。

…この間、僅か十数分。
僕は、無駄のないプロの仕事に見惚れた。
少し調子の悪さを感じたら、すぐに「橋本サイクル商会」へと急ぐ。
パーツや新型自転車を眺め、オヤジさんの技を見たくて。
コメント
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