団地に漂着した高嶺者が、仲間と一緒にカラダを動かすことはあまり無い。
せいぜいゲートボールぐらいだろうか.......。
しかし、地元育ちの高嶺者には農作業が有る。
同級生がいる。
互いにセッサタクマし、収穫物を分かち合うシアワセがある。
夕飯のおかずくらいは自給できるトクがある。
くすくす笑っていた山は、ここ数日の暑さで大笑いをしている。
本当は、もう少し複雑微妙なはにかみ笑いをご報告したかった。
まぁ、大笑いも悪くないが。
いま、山はパステル画家になる。
故郷や どちらを見ても 山笑ふ 子規
高麗の里 どちらを見ても 山笑う 森生
子規、ったって大したことないけど、パロ句でスイマセンね。
友だちの奥さんから貰った君子蘭が玄関で華やかに咲いた。
貰った時はボロボロだったが、介助に努めた結果大株になり、去年大手術で株分けした一鉢である。分離した株はまだ情けない状態であるが。
亡くなったご隠居さんから頂いたシンビジウムも咲いた。
どっちも場所を取るので持て余しているが、特別待遇をしている。
一方、狭い鉢の中で山野草たちが悲鳴をあげているようだった。
突然の暑さで親方ひとりはグッタリしていたけれど、今年初めて地下足袋を履き、植え替えてやった。このくらいの作業で大袈裟だが地下足袋を履くと気分がシャンとする。
植替えは例年より一ヶ月も遅れている。逆に季節の移り変わりは大分速い。かちかちに詰った鉢の中では既に新芽が蠢いていた。
全部で15鉢、土を換えたり、株分けしたり、寄せ合わせて一鉢にしたりした。
開花直前の大手術なので、今年の花は殆ど期待出来ないだろう。
でも胸のつかえがやっと下りた感じがした。
本場宇都宮で買って以来35年間、連れ歩いた皐月を枯らせてしまったようだ。
年末年始の入院中はひと様のお蔭で生き延びてきたのに、最近のほんの数日、水遣りを怠ってしまい、葉が縮れて新芽が動いてこない。
鉢物は春から秋は毎日水遣りをするので枯らすことは無いが、冬から春先は数日おきの水遣りなので、油断して枯らしてしまうことがある。
まだ助かるかもしれない。思い切って丸坊主にした。
幹にはまだ水分が少しあるし、根は生きているように見える。
あとは皐月に頑張ってもらうしかない。
新緑を楽しみに、巾着田へ行った。
いやはや、巾着田は大駐車場になっていた。
観光協会が何もしていない時が本当の巾着田です。
以下、悲しい巾着田速報です。
これじゃガッカリだから、下は車が見えない、麗しの巾着田です。
世の中は三日見ぬ間の桜かな。堤防の桜並木は既に殆ど葉桜。
ここは鹿台橋から見た巾着田です。
精進料理や懐石料理ばかりを食していると、たまにはビフテキが食いたくなる。
だが幸か不幸か入歯の調子が悪い。ビフテキなんかを食ったら歯茎が腫れて痛い。
それで止むを得ずマックへ照焼バーガーセットを食いに行くのだよ。
普通のハンバーガーはトマトケチャップまんま味で食えたもんじゃない。あれは完全に子どもの食い物ですね。ちっとも洗練の高みに達していない。
またビッグマックというのもあるが、あんなに重ねて、顎を外して食うのだろうか?青大将じゃあるまいし、ヤマト民族には向かない食い物だ。
◎
マックの店は仔細に点検すると面白い。例えば店のお姉さんやお兄さんの話し言葉。
なんかとてつもなく丁寧なことを言ってるらしいけれど、早口言葉みたいで、ちっとも聞き取れないのね。いつも受付でオロオロさせられてしまう。
で、結局、品書き帖を指差しあって、注文するのである。
ドリンクとやらは、何時もツベタイのにするけれど、カキ氷をドッサリ入れて下さる。
あれは実は迷惑で全然親切じゃない。
痩せた歯茎には沁みるし、美味しいファンタは氷が押しのけて少なくなる。
最後にカキ氷は捨てるんだから、その分ファンタを増やせよ。
エトセトラをオズオズおじぃさんはお姉さんにお願いすると、
P@♂☆#Z$&;♀*%・・・G┘┘↑。
..........??????
お言葉の最後が上がり気味なのは分るけど、チンプンカンプン意味不明だ。
もしかしたら、このクソじじい、と仰ってるのかもしれないね。
そして結局、マックのシステムに押し切られてしまう。
◎
モンダイもある。ゴミが多過ぎることだ。
お盆の敷き紙、フライドポテトを入れる紙箱、紙ナプキン、ブラコップ、プラストロー、蓋(キャップというらしい)、でかいレシート.........。
たかが500円少しでお食事廃棄物の山になる。カキ氷だって相当なムダである。
急いでファンタを飲まないと氷が融けて甘味が薄くなるぜ。
ただ、モンダイは便利でもある。
照焼バーガーを食った後は紙ナプキンは使わず舌なめずりですませ、眼鏡拭きに使うこと。ハンカチより綺麗になります。
紙ナプキンを大量に持ち帰り、窓硝子掃除に使うといいかも知れない。
更に、敷き紙はこの記事の挿絵に使えました。
ありがとう、ありがとう......。ね。
わが町ではマックは大家族のご馳走らしい。
大量持ち帰り客のために、受付は長い行列になります。
韋駄天さんに連れられて行った時は閉っていた。その後一人で行ったけれど閉っていた。
そうなると意地でも食ってやるぞ、と4回目に行ったら開いていた。
まだ昼前なのに主婦連が一杯で、空いてる席は一つだった。
「お邪魔します」、と断ったのに向いの男は白目で見上げるだけ。
休日、白ワイシャツにネクタイと真っ青なカーデガン。だぶだぶズボンを穿き一心不乱に読書中だった。
「お待たせしますが....」と。意地でも食ってやるぞ、と思った。
店内はコンクリ剥き出し、配管モロ出し、工事中の跡を止めている。
バッハの無伴奏チェロが流れ、淺川マキの無愛想なレコードジャケットが見下ろしている。
店の奥には縦型ピアノ。その前には個展やら演奏会のチラシ。それに地元で夫婦の植木職人をしている人が書いた本2冊。廃油石鹸などイカニモなしつらえだった。
先客であるオバサンたちのまぁ賑やかなこと!
入ったことを後悔したけれど、意地でも食ってやるぞ、とまた思った。
狭い厨房兼カウンターの中の二人は大車輪である。
30分待って、同時に15人分の定食がようやく配られた。
器はばらばら。家庭的でむしろいい。
時間が掛かるはずだ。大皿に小皿が三つ載り、小皿の間にもちまちまと都合7~8品もおかずが付いている。
ご飯は小さな漆の椀に白米ご飯と小豆ご飯が半分ずつ。
味は頗る宜しい。合格である。
ぜんまいは「今朝下直竹で採れたばかり」、だそうで、普段ああいうものは食わないが、試しに口に入れたら、へえ~っ、ぜんまいってこんなに美味かったのか。湯掻いて削り節を載せ生醤油をちょっと、だけなのに。
蓮根団子を入れた澄まし汁も良かった。
鯵の天麩羅は暖かく、トマト細切れ酸っぱいソースがかかっていて洋風。これも美味。
これだけ手間隙かけて1000円は安い。
難点はオバサンたちと一緒になると内装がコンクリ剥き出しだから喧しい。椅子が18席しか無い。等々である。
店員のおばさんの一人は宝塚風に威勢が良く、朗らか。もう一人はオットリと淑やか。
暇な時に話をしたら面白そうだ。
「豆さる」というヘンな店名の由来を二人は教えてくれなかったけれど、どうも二人は共同経営者らしく、二人の雅号(?)を足したもののようだ。つまり豆さん、さるさん、である。
あの口煩い韋駄天さんが贔屓にしていることを納得した。
二人が共同経営者らしいことは「FMチャッピーDJ日誌」さんから教えて貰いました。
店内に置いてあった絵葉書は、「はる はるばる展 いわて」(岩手県矢巾町)のご案内です。
ネクタイおじさん、実は大変親切。ゴカイしてごめんなさい、ありがとう。
「本日の豆さる定食」黒板は何日か前のもののようでした。
090412
巾着田は、土日の「菜の花祭り」の準備をしていた。
観光協会は、なにかというと看板と幟旗を看板を並べ、楽隊や太鼓で囃したてなきゃ巾着田を楽しめない、とでも思ってるらしい。
街に住む人々は懐かしい田舎の風景を求めて来る。イナカッペを見に来るのではない。
それに、車の進入を禁止したらどうか。車で一周して何が見えるのか。タンポポやメダカなぞ見えはすまい。
商店街だって客寄せに歩行者天国にするじゃないか。
巾着田では歩きながら、うかうか写真など撮っていられないぞ。
と演説したら、友だちは同感してはくれたものの、
あんた市長になんなよ。
だとさ。
巾着田は、今、菜の花が満開である。
しゃがんでパチリとやれば「いちめんのなのはな」。
まさに山村暮鳥の菜の花だ。
実際は広い巾着田のほんの一部分だが、見事な黄色だった。
堤防に並んだ染井吉野は盛りをすぎて、桜吹雪だった。
とっくに盛りを過ぎたわれわれは、あと何回花吹雪を浴びられるか.......。
高麗川には花筏。
水路にはメダカやハゼが。
水が恋しい季節になった。
と、ここまでは良かったが........。
友だちと春うららな高麗の里を歩いた。
清流集落の桃源郷を経由し、2倍も時間をかけて「万年青(おもと)」へ行った。
2人とは1年ぶり、1人は15年目の再会であり、積もる話は山盛だ。
だが、先々のことはどの道をとっても所詮同じこと、今さら慰めあっても仕方が無いし、触れたくも無い現実。話題は昔話噂話に偏るが、肝心の相手の名前が出てこない。
それで、話は起承転々として行方定めぬ旅枕。
「万年青」はお地蔵さんの奥にあり、住宅の広い居間兼食堂を喫茶店にしている。
ベランダでスリッパに履き替えなければならない。ご機嫌でスリッパのまま帰ってしまう客がいるので要注意、とか。
ご主人は月給鳥として各地を渡り歩き、奥方の故郷高麗を終の棲家とした由。
亀の甲より年の功で、話題は豊富、出過ぎず如才無く、亀さんにソックリな笑顔だ。珈琲博士であり、万年青博士でもある。
栃の巨木で作った食卓を占領し、邪魔が入らなかったのは、営業的には気の毒だが、客としては嬉しかった。
昼飯のカレーと珈琲だけで3時間も粘ってしまった。
帰り道はあの青い山脈を越えて飯能へ行こう、と提案したが、体力を気遣ってくれて没。
なんだい、なんだい、オラは1週間も前から山歩き里歩きで鍛えてきたのに........。
社交ダンスで鍛えている先輩は別にして、困った街おじいだ。自分たちの足が言うこと聞かないんじゃないのかい、ふんっ。
と桜吹雪、菜の花満開の巾着田に向かった。
すみません、夜8時に写真がやっと出来上がりました。ソフトを変えたら滅茶苦茶です。
またお越し下さり有り難うございます。